京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 雨にけぶる花

2013年05月28日 | 日々の暮らしの中で

雨の似あう花だとか。理由は、雨の多い時季に咲くから、とあった。上賀茂神社で咲く楝(オウチ)の花です。
芭蕉にこんな句があります。「どむみりと樗(オウチ)や雨の花曇り」 (「どむ(ん)みり」とは「どんより」の意)

『徒然草』に登場します。5月5日の競馬会(くらべうまえ)の日、この楝(オウチ)の木の上で居眠りをして落ちかかっては目を覚ましながら見物するお坊さんがいました。写真、ちょうど奥に緑濃い植え込みが見えますが、その前が馬場になります。この高みから見物を決め込んだ坊さんが一人。気付いた人たちからは「とんでもないあきれたばか者だ。こんな危ない枝の上で、どうして安心して眠っていられるのだろうな」と呆れられてしまいます。10メートル以上にもなる高木だそうです。

この木を知ったのは、2010年4月に観た吉田松陰生誕180年記念映画「獄(ひとや)に咲く花」ででした。当時は、獄門の木として理解してしまいました。松陰が収監されていた藩の牢獄「野山嶽」。海岸で大きな楝(オウチ)の木が花をつけ爽やかに揺らいでいた終章のシーンが浮かびます。


白っぽく見えます薄紫の小花がびっしりと、雨にけぶるようです。 10日ほど早く梅雨入りしました。

コメント (12)
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