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興福寺五重塔の初層内部が公開されている。
塔は天平2年(730)に、興福寺の創建者である藤原不比等の娘・光明皇后の発願により建立された。たびたびの落雷や焼き討ちなどで5回の焼失と再建を経て、現在の塔は室町時代の応永33年(1426)に建てられている。
初層内部は心柱を中心に、東に薬師如来、南に釈迦如来、西に阿弥陀如来、北方に弥勒如来坐像を配置し、それぞれ左右に脇侍を従えた三尊像の形式で、合計12躰が安置されている。塔の中心には心柱が心礎上に立ち、須弥壇下の一部の囲いが外されていて、その柱の一部を見ることができた。
公開終了後は明治33年(1900)以来、120年ぶりの大規模修理に入るという。修理期間は10年の予想とか。となれば、次の機会を待つのではなく拝観は今のうちにとなる。
電車内の供に澤田瞳子さんの『龍華記』を携えた。
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1184年の平重衡による南都焼き打ちを題材にしている。藤原頼長を父とする高貴な出自でありながら、悪僧(僧兵)として南都興福寺に身を置く範長。繁栄を極める平家は、南都をも支配しようと目論む。範長らは、やってくる検非違使の南都入りを阻止しようとするのだが…。藤原氏の氏寺でもあった興福寺は焼打ちの標的か。
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読書週間も始まるが、嬉しい嬉しい、楽しみ楽しみ。
澤田瞳子さんの「龍華記」は読みたい本のリストにしています。
近々アマ取り寄せようと取り寄せようと、と思っています。
読みたい本がたくさんあるということは、幸せなことです。
「与楽の飯」では、東大寺の大仏を造る役夫たちに
苦しい作事の一日の終わりを告げるかのように興福寺の鐘が聞こえてくるシーンがありました。
「火定」での施薬院や葬送の岸辺の秋篠川に思いがとんだり、
奈良を訪れますと、様々なことに遊んで思いが広がります。
「輝山」は地元紙に連載されたのですが、切り抜いておきながら読むことが追い付きませんでした。
読んでみたい、と思った時が読みどきですね。