6月に入ってようやく東京の博物館も再開しだしたので、まずは近場の目黒、東京都庭園美術館へ。
「東京モダン生活」展と名打たれているが、見どころは本館である旧朝香宮邸の再現展示。
普段は禁止されている館内の写真撮影ができるということで、カメラを持ってやってきた。
この建物はパリ滞在中にアールデコに魅了された朝香宮夫妻がフランス人アンリ・ラパンに設計を依頼し、宮内省監修のもと戸田建設が手掛けて1933年に完成したもの。
玄関のタイルやガラス扉からうっとりするが、ガラス彫刻はルネ・ラリックのもの。
入るとまずは天井の照明が印象的なホールがあり、右手の部屋に立っているのはアンリ・ラパンがデザインした香水塔。上部の照明で温められる部分に香水を入れて部屋に香りを漂わせていたというおしゃれさ。
その先に大客室と大食堂が続いて
壁から照明、扉まで凝りまくり。
特に暖炉が素敵で、これが各部屋にあるのだが
正面のグリルの模様が一つ一つ違い、他に部屋の周りにはラジエーターがあってこれらにも凝った細工がされている。
大食堂の奥には小食堂があり、こちらは家族が普段の食事に使っていたところ。
ここだけは木材が多く使われて和風で、やっぱり普段はこういうところが落ち着いたのだろうか。
二階へ上がる階段は2つあって、小食堂に近いのはおそらく普段使い用。
大広間から続く方にはこれまた凝った金物装飾があって、この階段下はトイレだったと思うが洗面台までおしゃれだ。
二階の踊り場の周りは家族の寝室やそれぞれの居間などプライベート空間。
バスルームのタイルまでかっこいい。
殿下の書斎の机は日の入り具合に合わせて回るように作られているとか。
夫婦専用のベランダまでまあ、おしゃれで
通風孔までこの凝りよう。
ラジエーターグリルやら照明器具、タイルなどは宮内省内匠寮のデザインだそうで、細かく見だすときりがないほど素敵な細部はこちら↓
ところで一度住んでみたいと思わせるこの素敵なお屋敷の発注者、朝香宮ご夫妻。
妃殿下はなんとこの建物の完成後わずか半年で亡くなられたそうで、殿下も14年後には皇籍離脱でこの家を出られたとか。
旧皇室の贅沢とも言えるが、センスにあふれ、住み心地も良さそうなこの家がその後は迎賓館などにしか使われなかったとはもったいない気もする。
本館の奥にはこんな新館があって、こんなところがあったっけ、と思ったら2014年にできたそう。
こちらのギャラリーでは1930年代の写真や絵などの展示があったが、モボモガがもてはやされたこの時代、東京でも洋装の女性は10%ぐらいしかいなかったというのが意外で面白かった。
建物の前には広い庭があって、
日本庭園に茶室もある。
「いつもより空いています」と言われた通り、ゆっくり見学できて大満足の庭園美術館。
新館のカフェのケーキがとてもおいしそうだったのに食べ損ねたので、ここはまた来ないと。
←人気ブログランキングへ一票、お願いします。