万座温泉に公共浴場はないが、温泉宿は現在7軒営業中で、そのうち6軒は湯めぐり手形というもので入ることができる。
これが宿のフロントで購入した湯めぐり手形、1300円。
木札の裏にはシールが3枚あって、これで購入した年の終わりまで3か所のお湯に入ることができる。
万座の立ち寄りは一か所1000円以上の所がほとんどなので、この手形は本当にお得。
ということで万座滞在2日目、日進館以外のお風呂に入りに行く。
まずは万座温泉の中でも一番大きくて目立つ万座プリンスホテルへ。
軽井沢駅にも日進館と同じ時間に送迎バスが来ていたが、こちらは大型バスにお客さんがいっぱいだった。
広いけれどがらんとしたロビーで手形を見せると、「混浴は入りますか」とお姉さん。
ここは混浴露天の景色が売りなので、300円のレンタルバスタオルを借りる。
ロビー奥の階段から下に降りて行くと一番下の突き当りにあるのが「ななかまどの湯」。
浴場に入るとすぐに内湯があるがここは体を洗うだけでほぼ素通りして、すぐに露天へ。
手前には女性専用露天の浴槽が2つあり、壁の向こうが混浴露天。
写真はHPから
目の前は景色が開けて確かに解放感は抜群。
しかし酸性・含硫黄‐マグネシウム・ナトリウム・硫酸塩泉と日進館と同じ泉質のこちらのお湯、源泉温度が70℃以上と熱いので相当加水しているのだろう、ホテルの周辺に硫黄臭が充満している割にお湯はそれほど香りもせず、薄く濁ってはいるが温泉らしい浴感もあまりない。
それ以上にがっかりしたのが浴場全体に漂うくたびれた感じ。
浴槽の底のペンキは長いこと塗りなおしていないのか色がまだらだし、妙な段差も気になる。
陽が照ってきたが日よけもないので、女性専用の小さな浴槽がちょうど壁の影で湯温もぬるめなのでそちらでしばし湯浴み。
出るとお昼をまわった所だし、宿泊施設以外に食事ができる所もないのでプリンスのレストランへ。
大きな窓から外の緑が見えていい景色だが、こちらも何やらスタッフが少なく、メニューもお高いわりに食指が動かない。
そこでケーキのケースに入っていた焼きミルクなるものを頼んでみると、一見クレームブリュレのように見えながら焼いた砂糖の下には生クリームの層、その下にはベリーの入ったミルクという変わったお菓子。甘すぎることもなく、これはおいしかった。
ところでこちらの食事にはすべてドリンクが付いているが、熱いのも冷たいのもすべてセルフサービス。
設備もサービスもなんだかやる気がないねえ、と話していたところ、こちらのプリンスホテルはシンガポールの投資会社に売却されてこれからどうなるのかわからないのだ、と後で日進館のおじさんが教えてくれた。
なるほど納得、プリンスの凋落ぶりがまざまざ。
プリンスホテルを後にしたら少し坂を下って道なりに進むと
道の下からはガスが上がって、道路脇には「ここで立ち止まるな」と注意書きがある。中毒になっては大変、とここを急いで通り過ぎると
看板があって、その先の細い道を200mほど進むとホテルジュラクが見えてくる。
ジュラクと聞いてマリリン・モンローまがいの金髪が「ジュラクよ~ん」というCMを思い出すのはたぶん50代以上(笑)。
こちらのロビーは小さいながらもいい雰囲気で、お客さんもプリンスよりも多い。
こちらも大浴場は階段を降りた所。
男女の浴室は入れ替わりがあり、違いは露天の浴槽が1つか2つ。この日の女湯は浴槽1つだったが
源泉温度43.7℃で加水なしの単純硫黄泉は入ればわかる濃厚さ。
お湯をなめてみると日進館のお湯が酸っぱいのに比べてこちらは苦い。ツルスベ感もあり、
目の前には煙の上がる空吹も見えていいお湯だ。
露天で言葉を交わした群馬在住の方は月に一度はこのホテルに来ているそうで、やはりプリンス経営の万座高原ホテルにも泊まったことがあるが「食事がおいしくなくて」とのこと。
ジュラクにしろプリンスにしろ、昔のイメージとはずいぶん変わっているようだ。
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