人類は衰退しました (ガガガ文庫) | |
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小学館 |
人類の衰退がゆるやかに進み、その代わりに、妖精さんたちが地球に溢れるようになった世界の物語、「人類は衰退しました」(田中ロミオ:GAGAGA文庫)。
主人公の「わたし」は、人類最後の教育機関である「学舎」を卒業し、クスノキの里の調停官として、生まれ故郷に帰ってきた。調停官とは、妖精さんたちとの間をとりもつ国際公務員だが、その実態は名ばかりの仕事。彼女がその職を選んだのは、単に楽そうだったからだ。
一方、妖精さんというのは、衰退した人類に代わって地球に溢れてきた、身長10センチ、3頭身の、現人類とも呼べる存在である。可愛らしい容姿のようで、高い知能や技術力を持ち、面白いことを見つけると、集まって、ノリノリでとんでもないことを始めてしまう。一日で、未来予想図風のメトロポリスを作ってみたり、ペーパークラフトで、動く恐竜をつくってみたり。しかもこのペーパークラフト、勝手に進化しているような・・・。
主人公の設定だけで、どんな話か想像がつきそうだが、期待にたがわない脱力系の物語だ。特に、山のようなものもなく、ゆるゆる、ふわふわ、ほのぼのと話が進んでいくのだが、なんとも不思議な魅力に包まれている。妖精さんたちも、ちょっと変だか、賑やかで、その言動が、とっても楽しく、読んでいる間中、笑いの連続。表紙イラストなどに描かれた主人公の姿も、この作品の雰囲気によく合致していて一層魅力を引き立てる。
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