文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:萌空姫様のスノボ道

2015-03-25 22:34:09 | 書評:小説(その他)
萌空姫様のスノボ道
クリエーター情報なし
風詠社



 寒がりで、ウィンタースポーツなんてするよりは、こたつで丸くなっている方がいいという私が、なぜか読んでみようと思った「萌空姫様のスノボ道」(末長薫:風詠社)。そのわけは、ひとえに、表紙イラストが可愛らしくて楽しそうだったからだ。何しろ、基本的に、可愛いもの大好きというこの私。初めての作家さんの作品を手に取らせるには、表紙イラストがかなりものを言う。

 いかし、ウィンタースポーツ全般が苦手な私のこと。もちろんスノボのことなど全く分からない。例えば、「ハープパイプ」なんて言葉がよく出てくるが、「それいったい何?」という感じなのだ。ある程度の用語解説は、巻末についてはいるのだが、私の場合、もうそれ以前の問題。用語解説にも、例として挙げた「ハーフパイプ」なんて基本中の基本のような用語は出てこないので、こういったものは、ググッて調べてみる。グーグル先生と用語集の助けを借りて読んでいるうちに、どういうことを言っているのかは、なんとか想像できるようにはなった(と思う)。

 さて、本書の内容を一言でいえば、安藤萌空という、気まぐれで、わがままお気楽娘が、スノボ道を突っ走るというもの。萌空は、「すーさん」こと行板滑という友人(だよね。それとも保護者?どう考えても、彼氏じゃやないよね)から4年越しで誘われていたスノボに行って、すっかりその魅力にハマってしまう。才能もあったようで、びっくりするくらいのスピードで、テクニックを身につけていった。やがて、舞台も日本からオーストラリアに移り、金メダリストのノーラから教えを受けて、ついには、オリンピックの代表にまでなってしまう。

 私の好みとしては、もっと、主人公に山あり谷ありといったようなことも欲しかったのだが、この作品は、とにかく上り調子一直線の出世物語。萌空が悩んだり、心の闇を抱えていたりなんてことは全然ない(普段、いったいどんな小説を読んどるんや!?)。例えてみれば、スノボ太閤記といったところか。ストーリーにひねりはないが、萌空のルックスは、AKBの島崎遥香そっくりだということだ。それ誰やと思って、こちらもググッてみたら、「かっ、可愛いやないかい!」。これなら許す!(何を?)

 ところで、気になるのは、表紙イラストで萌空が来ているウェア。ロリータブランドを思わせるピンクのフリルがついているとウェアという設定だから、こんな感じなのだろうが、これって、空気抵抗が結構大きくなるんじゃないかな。普通のスポーツでは、空気抵抗(水泳なら水の抵抗)はできるだけ少ない方が良いと思うのだが、スノボの競技は、空気抵抗が大きくても、不利にはならないのだろうか?いかん、最近は、すっかり文学青年に化けてはいるが、元々理系育ちの私としては、変なところにこだわってしまう。

 もうひとつ気になったのは、萌空の話す言葉だ。彼女のホームグラウンドは大阪ということなのに、大阪弁が使われないどころか、時々「~みたいに」というのを「~みたく」と言っている。これは、東京方面の若者が使う言葉のようで、大阪人は使わないと思うのだが。作者も大阪に暮らしていると書かれているが、出身も大阪なのだろうか。TV番組の「秘密のケンミンショー」に、客の話す言葉で出身地を当てるバーのマスターが出てくるが、私も、彼の真似をして、「あんた、元々関東の人間だね!」と推理してみよう。

 そうは言っても、色々と知らないことを覚えることができたのは楽しかった。私のような、スノボド素人ではなく、ある程度その方面の知識がある人なら、もっと楽しめるだろう。

☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする