20日に、日本テレビ系列の「金曜ロードSHOW」で放映された、
「視覚探偵日暮旅人」。山口幸三郎の「探偵・日暮旅人の探し物」を原作としたドラマである。
主人公の旅人は、五感のうち、視覚以外はすべて失っているが、人の目には見えないものが見えるので、それを活かして、探し物専門の探偵をしている。彼としっしょに暮らしているのが、弟分の雪路と血のつながらない娘の灯衣だ。
灯衣の通う保育園で保育士をしている山川洋子は、一人で帰った灯衣を心配して、後をつけ日暮の事務所に行きついたことから、何かと彼らの世話を焼くようになる。これは、そんな日暮と洋子の、ラブコメめいた話のようだ。
大変なのは、日暮が寝てしまったとき、何しろ、読んでも聞こえないし、触っても分からないから、起こす方法がない。自然に目が覚めるのを待つしかないのである。
全体の話の中に、幾つかのエピソードが織り込まれた作りになっているが、子供の虐待の話は無くても良いのではないかと思う。最近は、リアルの世界でも、ひどい話が多く報じられ過ぎている。いくら最後をいい話風にまとめても、どうもこの手の話は、好きにはなれない。
灯衣が誘拐されたとき、その犯人が東大卒という設定というのも、なんだかなという感じだ。あれだけ学生がいれば、悪いやつが出てきても、統計的には当然なのだが、こういったドラマで、そういう設定があると、なんだかやっかみのようなものが入っているような気もしなくはないのだが。ところで、その犯人が指摘していた、領収書水増し事件の方は、結局どうなったんだろう?
ところで、日暮が本気を出すとき、赤い目薬をさしている。すると彼の黒目が青く変わって、色々なものが見えてくるのだが、あのシーン、どう見てもアブナイ人だ。あの目薬の中に、何かヘンなものが入っているのだろうか。
(原作)
・山口幸三郎:探偵・日暮旅人の探し物
(演出)
・堤幸彦
(脚本)
・福原充則
(出演)
・松坂桃李(日暮旅人)
・多部未華子(山川洋子)
・濱田岳(雪路雅彦)
・小南晴夏(小野智子)
・住田萌乃(百代灯衣) ほか
※本記事は、書評専門の拙ブログ、
「風竜胆の書評」に掲載したものです。