文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

本が売れないのは図書館のせいか

2015-11-02 10:44:08 | オピニオン
 メールで配信を受けているCNET Japan に、「「本が売れぬのは図書館のせい」というニュースを見たのでデータを確かめてみました 」という興味深い記事が掲載されていた。

 新潮社の佐藤隆信社長が、「売れるべき本が売れない要因の一つは図書館の貸し出しにある」と、図書館関係者が多く集まる席で発言したことに対して、朝日新聞社デジタル本部の林智彦さんが、各種データにより検証を行ったものだ。

 林さんの結論は、「少なくともマクロで見て、公共図書館の貸出数が書籍の売り上げに影響を与えている証拠は、筆者の分析の範囲では見つかりませんでした。」ということであった。このことが、各種データで説明されているわけだが、私もこの結論は納得できるものだと思う。

 そもそも、出版不況は、本を読む人間が減ったということにあるのは明らかだ。林さんは、その主な原因を「もっとも本を読む世代であるはずの、15~64歳までの「生産年齢人口」の減少」と見ている。確かにそれは、重要なファクターだろう。しかし、それ以外にもいろいろな要因があると思う。

 本を読む人として、まず頭に浮かぶのは学生だろう。昔の学生なら、本を読むか、麻雀をするくらいしか楽しみがなかった。しかし、今は、色々な遊びやゲームに精を出し、本を読むことの優先順位はかなり低くなっている。よく新聞などで目にするが、我が国の最高学府の学生でも、本を読まないのは良く知られた通りだ。要するに、本と競合するものが多くなってきたので、それに反比例して、売れなくなっているのではないか。例えば、電車やバスの中で周りを見回してみると良い。昔は、本を読んでいる人はかなりいたのものだが、今は、殆どの人が、スマホの画面とにらめっこしている。スマホで電子書籍を読んでいるのなら大したものだが、そういう気配もない。
  
 そして、本は高くなった。売れないから価格を上げるという理屈だろうが、これでは、ますます負のスパイラルに落ち込むだけである。金のないはずの学生時代には、理工系の専門書を気楽に買っていた。しかし、今、専門書を買おうと思うと、その値段の高さに躊躇せざるを得ない。

 更に、図書館との関係を言えば、元々図書館に来る人は、本好きな人だ。図書館で借りるばかりではなく、自分でもかなり購入していると考えるのが自然だろう。図書館の貸し出しが減ったとしても、その人たちの予算は決まっているのだから、本の売り上げが増えるということは考えにくい。誰にも読まれない本が増えていくだけの話だ。そして、本を読まない人はにとっては、図書館があろうがなかろうが、本の売り上げとはまったく関係がないのである。

 図書館で、本と出合うことにより、もっと読書人口が増えれば、本の売り上げも増えるはずだ。林さんは次のように述べている。「 「図書館悪玉論」をぶつ前に、考えるべきことは無数にあると筆者には思えてなりません。少なくとも単なる「印象論」で、本来「味方」である存在を切って捨てるのはやめてほしいと思います。」私もこの意見に賛成だ。
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物理学は女にもてる?(思い出シリーズ28)

2015-11-02 09:24:29 | 思い出シリーズ
 これは、幼馴染で、お寺の坊さんをしている友人の話である。寺の跡取り息子だった彼は、立派な坊さんになるために、京都にある、所属する宗派関係の大学に通っていたのであった。

 いくら立派な坊さんになるための勉強といっても、もちろん、大学でお経ばかりあげているということはない。当時は、どこの大学でも、1、2年は教養課程になっているのが普通であり、専門とは直接関係の無い一般教養科目を履修する必要があった。だから、仏教のことを専攻する人も、自然科学関係の科目を何単位かは取らなければならなかったのである。

 なぜか彼が選んだのが、物理学であった。例外はあると言うものの、普通なら文系の人は最も敬遠する科目である。もちろん文系の人にも、理系の科目も得意という人もいることは否定しない。しかし、彼の場合、幼稚園から知っているのだが、決して理数系が得意だということはなかった。むしろ苦手なはずである。この物理学という科目、分かるか分からないかが極端に分かれるので、単位取得ということから見ると、非常にリスクが大きいだろうと思うのだが。

 疑問に思った私は、どうして、物理なんて選択したのかと彼に聞いた。その答えはなんと「女の子にもてそうだから!」。あまりにも意外な理由に、私は絶句した。そして、私は、彼が女の子にもてる手伝いのため、ボランティアで、彼の家庭教師をさせられたという訳である。

 でも、その後、彼が女の子にもてている所を、一度も目撃したことはなかった・・・・・。

 (これは100%事実です)

※本記事は、2006.03.25 付で「時空の流離人」に掲載したものに、加除修正を加えたものです。


○関連過去記事
くじ運がいい2(思い出シリーズ27)

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くじ運がいい2(思い出シリーズ27)

2015-11-02 07:59:55 | 思い出シリーズ

 私の出た大学は、4回生になると卒業研究のために、各研究室に配属されていた。今はどうしているのか分からないが、当時は、まず各自が希望の研究室にエントリーし、定員を超えていた場合は、学生が集まって、くじ引きで決めていた。記憶は薄れているが、教務の人間がいた記憶はないので、学生たちだけでやっていたのだろう。当時の母校は、そのくらい自由と自治が重視されていたのである。

 ところで、私が希望していた研究室は、定員より希望者が一人多かった。

なんだか、いやな予感!!! ( ̄~ ̄△)

 しかし、いざくじを引こうとすると、欠席者が一人いることが分かった。欠席者を除けば、ちょうど定員ぴったりだ。

 あーよかった!

 欠席すると言うことは、合理的な理由がない限り、権利放棄と見なされるのが当たり前ではないか。もしそいつが卒業研究をしたければ、定員割れの研究室から再度選択すればよいと。・・・・・というのが、常識的な考え方ではないかと思う。

 でも、どこにでもいるもんですな。

 独善的で、おせっかいなヤツが!!!!!!

 最近でも、私が趣味で参加していた書評サイトにも、そんなのが何人かいて辟易したのだが、こんなのがしゃしゃり出てくると、大体ろくなことにはならない。この時そのおせっかいな奴がやったことは、


 休んだとはいえ、抽選に参加できないのは可哀そうだから、代わりに、おれがそいつの分も引くよと・・・

 結果は

 !!(ノ゜д゜)ノ オオオォォォォー
 

 外れくじになってしまったのは私だった・・・  _| ̄|○

 なぜ、きちんと抽選に出席した私が外されるのか未だに理解できない。欠席者の代わりにくじを引いた奴は、多分自分では、いいことをしているつもりだったのだろう。そのおかげで、ちゃんと抽選会に出席している人間が、誰か外されるということは、念頭にはなかったんだろうな。

 実は、未だに憤っているのには訳がある。結局その欠席者は、その後一度も学校に出てこなかった。もちろん、くじで当たった研究室に顔を出すわけもない。、風の噂では、自らの意思で別の世界に旅立っていったらしい。もちらん、その人は、このくじ引きの件については預かり知らぬところであり、何の責任もない。しかし、その時の、おせっかいにもしゃしゃり出てきた奴には、未だに腹立たしい思いを抱いている。だから、私は、独善的でおせっかいな人間というのが嫌いなのだ。

 実は、自分の意思で別の世界に行った人が絡んで、私の人生の方向が変わったことは、就職したときにもあったのだが、その話は、機会があればまた。なお、どちらの人も、私にはまったく面識のない人である。まさに、人生は、複雑に絡まった因果の糸。不思議と言えば、不思議である。

※本記事は、2006.02.26付の「時空の流離人」に掲載したものに加除修正を加えたものです。

○関連過去記事
大学院受験(思い出シリーズ26)



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