本書は、問題解決によく使われる推論の3つの技法について解説したものである。すなわち、帰納法、演繹法、アブダクションの3つだ。帰納法、演繹法についてはロジカルシンキングについて書かれた本ならまず載っているのだが、3つ目は他の2つのように訳語がないことから最近言われ始めたのだろう。アブダクションについてはあまり覚えがない(私が知らないだけかもしれないが)。
本書の構成は、まず推論力とは何かを定義して、その後、帰納法、演繹法、アブダクションについて、それぞれ章を割いて説明している。それを読めば、どういったものか、その使い方、トレーニング方法などが分かると思う。しかし実際には、これらを単独で使うよりは組み合わせて使う場面の方が多いだろう。ということで、最後の章で、これらの合わせ技を解説している。
しかし本を一度読んだだけでは本当のスキルは身につかないのはもちろんである。問題の大小に関わらず、実際に使っているうちに、だんだんと洗練されて自家薬籠中のものになっていくのだ。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。