文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

半七捕物帳 60 青山の仇討

2020-02-23 08:26:44 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 これも半七捕物帳の話の一つだ。他の話と同様に、作者が明治になって、半七老人から昔目明しだったころの話を聞く形になっている。

 さて、このお話の方だが、佐倉領にある村から、金右衛門、為吉という百姓がそれぞれ、娘のおさん、妹のお種を連れて、江戸にやってくる。ちなみに、おさんは来年為吉の嫁になることになっている。

 ところが青山六道の辻で、浪人風の男が若党風の男を切り殺すのを目撃する。浪人風の男のいうことには、敵討ちだというが、その男は逃亡。そして言っていたことも嘘だと判明する。

 そして、金右衛門たちは、その夜何者かに襲われ、金右衛門は負傷、おさんはどこかにつれさられる。

 この事件を調べるのが、我らが半七親分という訳だが、2つの事件は果たして関係があるのか。この半七親分、どうも勘で調べを進める傾向があるようで、今回も、金右衛門の親戚の米屋で米搗きをしている藤助が臭いと、部下の庄太に指示している。

「おれの眼についたのは藤助という奴だ。越後か信州者だろうが、米搗きにしちゃあ、垢抜けのした野郎だ。あいつの身許や行状を洗ってみろ」



 操作をする者は、予断によってはいけないというのは大原則なのだが、半七親分、予断ありありである。つまり今でいえば、チャラ男は悪い奴だと。実は、藤助は意外と善人で、悪い奴は他にいたのだが、善人は垢抜けしていてはいけないらしい(笑)。この話の教訓は、チャラチャラしていると、悪い奴だと思われかねないということなのだろうか?

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする