本書は嵐山さんが沖釣り(船釣り)をしている様子をユーモラスな文体で描いた釣りエッセイという形で纏めたものだ。紹介されている釣り場は東京近辺が多いが、中には香川県、新潟県、長崎県などにも遠征している。なお、文中「タコの介」なる人物がよく出てくるが、これは、沖釣り専門誌の「つり丸」編集長(当時)の樋口正博さんのことである。なおネット情報によると、樋口さんは2019年7月に亡くなられているようだ。
タイトルの通り、釣った魚を船上で開いて干して、美味しく食べるのだがすべての魚という訳ではない。例えば、ヒラマサのように大きな魚は開いて干すという訳にはいかずに他の食べ方をしている。
実は、私にも昔釣りに凝っていた時期があった。船は酔うので、もっぱら堤防からの投げ釣りなのだが、夏はキス、冬はカレイがよく釣れた。今は当時住んでいたところとは別のところに住んでいるので止めているのであるが。
釣りと言えば面白いことがあった。昔勤めていた会社でのことだ。釣り大会で皆船で繰り出した。私も最初は船に乗っていたのだが、酔ってしまって、近くの波止場で下ろしてもらった。やることもないので、一人寂しくサビキ釣りなどをしていたのだが、なんと私が一番の大物を釣り上げてしまった。確かウマヅラハギだと記憶している。同僚は皆呆れていたが、波止場でこれだけの大物が釣れるのなら、船っていったい・・・・。
本書を読んでいると、色々な魚を対象とした釣りが紹介されており、また釣りを再開したくなってきた。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。