本書は、旧約聖書を要約したものだ。読んでみると、宗教書というのはいかにツッコミどころ満載かということが分かる。著者は次のように言っている。
私は聖書の神には、悪魔的なイメージがあるように感じています。(pp3-4)
著者の言う通り、描かれているのは、殺戮と略奪の物語。異教徒は人間ではなく皆殺しにして構わないという思想。
かって宗教が絶対だという時代があった。もちろん神がそれが正しいとか間違っているとか言っている訳ではない。それが宗教的な権力者に都合が良いか悪いかで決まってしまうのだ。キリスト教の魔女狩りしかり、十字軍しかりである。我が国でも本来摂政はご法度のはずの寺が僧兵を抱えていたという時代もある。
本書でも著者は、色々なところでツッコんでいるが、宗教関係のものを読むときはこの態度が大切だと思う。思考放棄して、経典に書いてあることを絶対だとするものを「原理主義」というが、こうゆう人は何を言っても、自分の信じていることが絶対なので、徒労に終わる確率が非常に高い。もはや、健全な批判精神や論理的な思考は期待できないので、そういう人は相手にしないに限る。しかし世界的にはこういう人達が結構いるのが現実である。
最後に一つ、いや二つ。最初の人間として神がアダムとエバをつくったのなら、全ての人間はその子孫ということになる。しかし、イスラエルの民以外の者に対しては虐殺をさせたり、略奪をさせたりしている。ということは、他の人々は自然に湧いたのか?
また、この中に「割礼」という言葉が何度か出てくる。どうして神があそこの皮に拘るんだろう? また最初の人間をつくったのが全能の神だとしたら、どうしてそんなことが不要なようにつくらなかったのか?
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