文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

ひろしまアントレプレナーシップシンポジウム

2015-03-19 20:59:47 | セミナー、講演会他


 今日は、午後から、広島駅新幹線口にある「ホテルフランヴィア広島」で開催された「ひろしまアントレプレナーシップシンポジウム」を聴講してきた。現在、新幹線口は、階層工事中なので、ホテルの入り口もこんな感じになっている。

 このシンポジウムは、広島大学が「ひろしまアントレプレナーシッププログラム」を実施していることから開催されたものだ。このプログラムは、文部科学省の「グローバルアントレプレナー育成促進事業(EDGEプログラム)の一つに採択されている。横文字で、長ったらしい名前だが、要は、ベンチャー人材を育成するためのプログラムだ。

 主催者あいさつ、来賓あいさつと続いた後、広島大学EDGEプログラムの紹介が行われ、特別講演として、オーストラリアのアデレート大学とアメリカのミネソタ大学からゲストを呼んで、向こうの事情についての説明が行われた。同時通訳もついて、いたれりつくせりである。

 この後、大学院生立上VB事例紹介や、パネルディスカッションも行われるのだが、ここまでで力尽きて退席した。


 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評:完訳 ファーブル昆虫記〈1〉

2015-03-17 20:12:24 | 書評:学術教養(科学・工学)
完訳 ファーブル昆虫記〈1〉 (岩波文庫)
クリエーター情報なし
岩波書店


 昆虫文学としてあまりに有名な「ファーブル昆虫記」。本書はその第1巻に当たる。ちなみに、私の読んだこの本は、岩波文庫版で、山田吉彦氏と林達夫氏の訳によるものだ。この巻で扱われている昆虫は、くそむしと呼ばれるたまこがね類、狩人蜂のつちすがり類、あなばち類、じがばち類、はなだかばち類、そして土を使って独特の巣を作る左官蜂とも言えるはなばち類である。

 ファーブルの時代には、昆虫に対して、なんとも牧歌的な迷信が流布していたようだ。例えば、くそむしは、運んでいた糞団子が、1匹では引き出せないような穴のなかに落ちると、助っ人を連れて戻ってくるといったようなことである。彼はそのような俗説が、たとえどのような権威者から唱えられようと、徹底的な観察と実験で真実を掘り起こして、反論を加える。

 ファーブルは、徹底した実証主義者だ。彼の信念となっているのは、「実験を通じ学問に事実という強固な基礎を与えねばならない」(p325)ということなのである。彼は、ユーモラスで芝居がかった語り口で、観察したことを微に入り細に入り説明するが、その一方で観察している目は冷静そのものだ。そしてその卓越した観察力と推理力で、昆虫たちの纏っているヴェールをはがしていく。

 虫たちも、ファーブルに目をつけられたら最後だ。徹底的に付きまとわれて、巣は壊されるわ、私生活を暴き出されるわで、大変な迷惑である。それだけではない。ファーブル先生、虫を解剖したり、針で刺したり、窒息させたりと、なんともサディスティックなこと。それだけではなく、あなばちに刺されたらどのくらい痛いかを自らの体を使って実験しているのだから、マゾっ気の方もあるようだ(笑)。おまけに、警察に不審者として連行されそうになったり、葡萄摘みの女たちに、理性を失ったかわいそうな人とおもわれたり。しかし、もちろん、そんなことでめげるファーブル先生ではない。

 虫たちの持っている本能というのは、本当に不思議なものだ。例えば、狩人蜂たちは、種類により獲物とする虫がちがうが、それぞれどこを攻撃すれば、幼虫の餌として新鮮さを保っていられるかを知っているのである。反面、そのすごい本能は、全く応用がきかないというのがなんとも面白いところだ。ファーブルが取り上げている蜂たちは、何キロも離れた知らない場所からも巣に戻ってこられるというのに、巣の位置を少し変えられただけで、自分の巣かどうかを判別できなくなるのだから。

 これは致し方のないことではあるが、扱われている昆虫は、それぞれ図が載せられているとはいえ、フランスの昆虫なので、私達にはそれほどなじみがないだろう。もしこれが、私たちにとっても身近な昆虫だったら、興味の度合いが一段違ってくるのではないだろうか、しかし、それでも昆虫たちの持つ本能の不思議さ、面白さというものは、十分に伝わってくる。昆虫好きの人には必読の書だろう。

☆☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評:ニュートリノ天体物理学入門

2015-03-16 20:09:28 | 書評:学術教養(科学・工学)
ニュートリノ天体物理学入門―知られざる宇宙の姿を透視する (ブルーバックス)
クリエーター情報なし
講談社


 ノーベル賞受章者の小柴昌俊さんが語るニュートリノ天体物理学の入門書、「ニュートリノ天体物理学入門」(講談社ブルーバックス)。本書には、小柴さんが物理学を志すことになった経緯から始まり、自らの研究の歩み、素粒子と宇宙のこと、ニュートリノ天体物理学の誕生から今後の展望といったことが述べられている。

 小柴さんが物理学を志すきっかけというのが面白い。旧制一高時代に、物理の教授と1学年上の先輩が、自分のこ進路について(成績が悪いので)「物理に行かないことだけは確かだろうな」と話しているのを聞き、悔しくなって猛勉強したそうだ。

 しかし、アルバイトで生活費を稼がなければいけなかったこともあり、小柴さんの大学の卒業成績はビリだったそうだ。その証拠にと、学部時代の成績表が載っている。大学の成績の悪いことを、芸能人の名前に引っかけて、よく可山優三と言うが、小柴さんの場合は良が半分以上もある。決して良い成績とは言えないだろうが、それほど無茶苦茶に悪くもない気がするのだが。それにしても、物理学実験の2科目が優というのはさすがと言うべきか。驚いたのは、大学の科目数が少ないということ。数えてみると、わずかに16科目である。このあたりは、時代の流れを感じさせてくれる。

 ところで、小柴さんと言えば、なんといっても「カミオカンデ」だ。その原理は次のようなものである。屈折率が1より大きい媒質のなかでは、光の速度は、真空中より(、1/屈折率)に落ちる。このとき、粒子の速度が、光の速度を越えるとチェレンコフ光というものを出す。「カミオカンデ」は、この原理を利用している。

 ニュートリノは、他の物質との相互作用が非常に弱いため非常に検出しにくい。「カミオカンデ」は、ニュートリノが、純水中の電子と衝突することにより、加速された電子が発するチェレンコフ光を光電増倍管により検出して、間接的にニュートリノを観測するものである。超新星爆発や太陽からのニュートリノなどを観測することにより、宇宙の秘密を解明していこうとする、天体物理学の分野が、「ニュートリノ天体物理学」なのである。

 小柴さんは、実験屋のためか、理論的なことについては、あまり細かいことは書かれておらず、ざっくりと基礎的な素粒子物理学や宇宙物理学の概略を知ることができる。ただ、弘法も筆の誤りだろうか。「宇宙の9割くらいが暗黒物質」(P122)といったことが書かれている(正しくは暗黒エネルギーと暗黒物質)のがちょっと気になるが、私の持っているのは第1刷なので、この後訂正されているかどうかは分からない。

☆☆☆☆

※本記事は姉妹ブログと同時掲載です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

放送大学の学費支払い確認

2015-03-14 23:31:57 | 放送大学関係
 放送大学の「システムWAKABA」の学生カルテで、授業料納入情報を閲覧すると、先日行ったH27年度1学期の学費振り込みが反映されていた。

 昨年教材が届いたのが3月22日だったから、あと1週間程度で新年度の教材も届くと思われる。今から楽しみだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評:バネ足ジャックと時空の罠

2015-03-14 21:40:34 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
バネ足ジャックと時空の罠〈上〉 (大英帝国蒸気奇譚1) (創元海外SF叢書)
クリエーター情報なし
東京創元社


 かって英国には、2人のジャックの伝説があった。切り裂きジャックとバネ足ジャックである。切り裂きジャック伝説は、実際に起きた殺人事件が元になって生まれているが、バネ足ジャックの方は、もう一つ信憑性がはっきりしないようだ。バネ足ジャックというネーミング自体が少々チープな観もあり、まさか本当にこんな都市伝説があったとは思わなかったのだが、実際にヴィクトリア朝英国では、人々の間に流布していたらしい。日本で言えば、口裂け女のような存在だろうか。

 「バネ足ジャックと時空の罠」(マーク・ホダー/金子司 訳:創元海外SF叢書)は、このバネ足ジャックをモチーフにしたSF小説だ。実在した著名人たちが、奇想天外な設定のアナザーワールドで暴れまる。この作品を一言で表せば、まさに「怪作」といったところだろう。

 主人公は、探検家のリチャード・バートン。実在した人物で、19世紀イギリスを代表する探検家である。彼は、かって、弟のように親しかったスピーク(彼も実在した人物だ)と、ナイル川の水源をめぐる問題で対立していた。ところが、討論会での直接対決を前に、スピークが自殺を図ってしまう。彼の息のあるうちに和解を図ろうとしたバートンは、スピークが搬送されたというロンドンに向かった。

 ところが、バートンは、ロンドンで、バネ仕掛けの竹馬に乗った、怪物のような男に襲われる。その姿は、まるでおとぎ話に出てくるバネ足ジャックだ。バートンにはその怪人にまったく見覚えはないというのに、彼は、、「おれをほうっておけ」と言う。このバネ足ジャックは、かってヴィクトリア女王が暗殺された(あくまでこの小説での設定です)現場でも目撃されていた。彼は、以前に何人もの若い女性を襲うという事件も起こしていたのだが、その姿は、20年以上も前に目撃された時から変わっていないようだ。いったい、バネ足ジャックとは何者なのか。そしてなぜバートンは襲われたのか。これが本作の第一の謎だ。

 ロンドンでは奇妙な事件が発生していた。人狼の一団が煙突掃除人の少年たちを誘拐するという事件が頻発していた。瀕死のスピークも、不気味なアルビノの男と人狼たちに連れ去れたという。なぜ人狼などというものが出現したのか。彼らは何を目的に、そのような事件を引き起こしているのかということが第二の謎となる。

 本文の最初に奇想天外な設定と書いたが、作品の舞台となっているのが、どんなに奇妙奇天烈な世界か、少し説明しておこう。この世界では、技術者集団というものがあり、その中のに大派閥である工学者たちと優性学者たちが競うようにヘンテコな機械や動物を創りだしている。例えば、蒸気馬が二輪馬車を牽引したり回転翼式飛行椅子が空を飛んだり、インコが人の言葉を伝令したり、巨大白鳥が人の乗った凧を引いて空を飛んだりといった具合だ。

 極めつけは、敵の幹部たち。なんと、あのダーウィンやナイチンゲールといった面々でなのであるが、ダーウィンは、いとこのゴルトンの脳を移植して、2つの脳を持つ巨大頭の怪人として描かれている。ナイチンゲールも、看護婦なのに、人間の脳を動物に移植するというような実験を繰り返しているマッドサイエンティストで、クリミアの天使の面影などはどこにもない。その他、敵幹部には、機械の体に脳を移植された(999じゃないよw)、高名な技術者のブルネルや、オラウータンに脳を移植されたペレスフォードといったような奴らもいる。念のために言っておくが、この作品は未来が舞台ではない。あくまで19世紀という設定である。それでは、どうしてこのような奇妙な世界になってしまったのか。実はこれが第三の謎なのだ。

 これらの謎は、根っこのところでは繋がっているのだが、謎解きのヒントとなるのが、タイトルにある「時空の罠」という言葉だ。本作は、詰まる所、一種のタイムパラドックスものとでも言ってよいのだろうか。パラドックスを避けるために、作者の頭には、おそらく量子力学における多世界解釈というものがあったのではないかとも推測される。そもそもは、バネ足ジャックと呼ばれる男が、自分の家系の名誉を回復しようと始めたことなのだったが、彼が何かやろうとする度に、どんどんと問題がこじれて、因果関係すらよく分からなくなってしまう。残酷な場面もあるのだが、このハチャメチャぶりはなんとも面白い。奔放な想像力が、まるで暴走でもしているような摩訶不思議な世界観。一度お試しあれ。

☆☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評:”文学少女”見習いの、卒業。

2015-03-13 21:14:06 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
“文学少女”見習いの、卒業。
クリエーター情報なし
KADOKAWA / エンターブレイン


 聖条学園2年生の井上心葉(このは)と、文芸部の先輩で、自ら“文学少女”を任ずる天野遠子が、学園に関係した事件に挑むという「”文学少女”シリーズ」。タイトルの通り、どの巻も、有名な文学作品がモチーフになっている。その外伝に当たるのが、「見習い」シリーズで、3巻目に当たる、この「”文学少女”見習いの、卒業。」(野村美月:ファミ通文庫)は、その完結編となる。

 このシリーズでは、既に遠子は卒業している。心葉一人になってしまった文芸部に入って来たのが、心葉に恋した、日坂菜乃という1年生。しかし、菜乃は文学作品も殆ど読んだことがないような”文学少女”とは程遠い女の子。なにしろ、心葉からヘッセのデミアンを勧められた時には、<デミアンって666のデミアンですよね。十三日の金曜日にチェーンソー振り回して大暴れするんですよね>と、とんでもないことを言うくらいなのである。

 どこか陰のあった遠子と違い、どこまでも明るく前向きな菜乃は、心葉の心には遠子がいると分かっていてもめげずにアタックを続ける。最初は迷惑がっていた心葉だが、どこまでもまっすぐな菜乃のお日様のような暖かさに救われる。菜乃は、どこか遠子を連想させるところがあるようだ。特に、目を離すと、何をするか分からないところなど(笑)。

 この巻に収められているのは、長編の「”文学少女”見習の、寂寞。」、短編の「ある日のななせ」そして中編で表題にもなっている「”文学少女”見習いの、卒業。」の3作品。

 「”文学少女”見習の、寂寞。」は夏目漱石の「こころ」をモチーフとした作品だ。物語の中心人物は、菜乃の親友で氷雪系美少女の冬柴瞳と彼女のかっての家庭教師で、聖条学園に司書のアルバイトに来ている忍成良介。瞳は、彼が来てから様子がおかしい。虫が嫌いなはずなのに、昼にイナゴの佃煮を持ってきて食べたり、菜乃を遠ざけようとするような行動をとったり。

 「こころ」と言えば、「先生」と「K」と「お嬢さん」の三角関係の物語である。先生は、Kのお嬢さんに対する恋心を知りながら、お嬢さんと結婚してしまう。Kは自殺し、それが先生を罪悪感で苦しめ、ついには彼も自殺してしまう。瞳と忍成、そして忍成とかって暮らしていた櫂という少年の関係は、「こころ」を彷彿させるような関係だった。クリスマス・イブを前に自殺した櫂に対する二人の罪悪感と愛憎。もつれあっていた二人の心も、菜乃と心葉による事件の謎解きにより救われる。そして最後に瞳が下すある決断。それは、菜乃にとっては辛く寂しい瞳との別れ。泣きじゃくりながらも、瞳の背中を押す菜乃の姿がなんともいじらしい。

 「ある日のななせ」は、心葉や菜乃のことを考えながら、イブの日をゆっくりすごしている琴吹ななせを描いたもの。心葉の心には遠子がいると知りながら、一途に心葉のことを思ってきたななせだが、卒業後はどんな女性になっていくのだろうか。ぜひとも、番外編でその後のななせを描いて欲しいものである。

 そして、このシリーズの完結となる、「”文学少女”見習いの、卒業。」。といっても、実際に高校を卒業するのは、菜乃ではなく心葉の方だが。菜乃は1年間、ひたむきに心葉のことを思ってきたかいがあり、最後に心葉から、思いがけない贈り物をもらう。しかし、それは同時に、菜乃にとっての、心葉からの卒業、初恋の終わりでもあった。

 作中では、どちらかと言えば、ちんちくりん的な扱いをされてきた菜乃だが、遠子の友人である姫倉麻貴は、菜乃に、<ねぇ、見習いさん、おたくは将来イイ女になるわよ。胸はあまりふくらみそうにないけど、きっと度量の広い、魅力的で思いやりのある、最高の女にね>と言った。確かにそのような予感を感じさせて、この物語は終わっている。なお、”文学少女”シリーズの後日談となる、「半熟作家と“文学少女”な編集者」に、大学を出て司書になった菜乃が登場しており、麻貴の言葉通り、なかなかイイ女になっているようだ。

☆☆☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お好み焼きなかき屋(広島市を歩く145)

2015-03-12 22:54:35 | 旅行:広島県


 写真は、広島市の国泰寺高校の近くにある、「なかき屋」というお好み焼き屋。間口は少し狭いが、広島のお好み焼き屋というとこんな感じだろう(たぶん)。




 注文したのが肉玉そばのお好み焼き。写真では分かりにくいが、結構ボリュームがある。これでワンコイン500円とは嬉しい。これまた、写真では分かりにくいが、乗っているのは、お好み焼きを焼いた鉄板。この間も書いたが、広島人は、これをヘラですくって食べるのだが私は広島人ではないので、ヘラで切ったものを小皿に載せて箸で食べる。うまい。満足だ。



○関連過去記事
中國厨房時記(広島市を歩く144)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評:中国地域の藩と人―地域を支えた人びと

2015-03-11 21:42:55 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
中国地域の藩と人―地域を支えた人びと (中国総研・地域再発見BOOKS)
クリエーター情報なし
中国地方総合研究センター


 徳川政権260年における中国地方の藩について紹介した、「中国地域の藩と人―地域を支えた人びと」(中国地方総合研究センター編:中国地方総合研究センター)。この時代、中国地方には、全部で41の藩が存在したという。現在の5県に対して、41藩では、一見藩の数が多いように思えるが、これは、支藩や廃藩になったものも含めての数だからだ。例えば、鳥取県の米子は、鳥取藩の一部だったが、独立した米子藩が置かれた時期もあった。また幕末の雄藩・長州藩も、本藩の他に長府、清末、徳山、岩国の4つの支藩があったのだ。これらの藩からは、多くの人材が輩出され、数々のドラマが生み出されて来た。

 ところで、江戸時代を幕藩体勢というが、意外なことに、「藩」が正式な名称だったのは、幕末の慶応4年(1868)に「政体書」により、旧大名領を「藩」と称してから、明治4年(1871)に廃藩置県がおこなわれるまでの僅か3年余りだったという。もっとも、江戸時代中期ごろからは、俗称としては、使われていたようだが。

 藩と言えば、中心になるのは、何といっても殿様である。中国地方にも、多くの名君と呼ばれる殿様がいた。何人か紹介してみよう。

 まず、池田光政であるが、この人はなんと3つの藩の藩主を歴任している。父の死により、姫路藩42万石を8歳で相続したが、幼少を理由に、鳥取藩32万石に移封された。そして、叔父の岡山藩主・池田忠雄が死ぬと、忠雄の嫡男光仲が幼少だったために、再度国替えになり、最終的には、岡山藩31万5千2百石の藩主となったのだ。光政は、藩政改革に力をつくしたことで知られている。

 松江と言えば和菓子で有名だが、これは、松江藩主松平治郷(不昧)の影響だ。治郷は、茶人として知られているが、政治家としても有能で、父の代では失敗続きだった藩政改革を成功に導いたという。この他にも、長州藩主毛利重就など名君と呼ばれる人物が多い

 家臣の方も負けてはいない。茶人として知られた広島藩家臣の上田重安、藩政改革に力をふるった長州藩の村田清風や周布政之助など、まさに多士済々である。

 本書は、副題に「地域を支えた人びと」とあるが、単なる人物の紹介にとどまらず、藩政時代の産業や教育などにも幅広く触れており、あの時代の中国地方の様子がうかがえる、興味深い内容となっている。中国地方の幕藩期に限定して記述されているので、通常の歴史書とは一味違う興味深い話題が満載だ。中国地方に住んでいる方だけでなく、他の地方に住んでいても故郷が中国地方にある方、中国地方に興味を持っておられる方などもぜひ読んでみてほしい。

☆☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

放送大学の学費振り込み完了

2015-03-11 20:35:03 | 放送大学関係
 放送大学から、例によって、H27年度1学期履修科目の授業料の振り込め用紙が来ていたので、仕事帰りにコンビニから振り込んできた。後は、テキストが来るのを待つだけである。

 事前勉強というわけでもないが、家に帰ってから、「和歌文学の世界(’14)」の和泉式部に関する授業をネット配信で視聴した。平安時代の才女と言えば紫式部と清少納言というのが常識になっているように思えるが、和泉式部も決して彼女たちに劣ってはいないと感じた。



 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中國厨房時記(広島市を歩く144)

2015-03-11 20:24:28 | 旅行:広島県


 昼食に立ち寄った、広島市の御幸橋電停近くにある、「中國厨房時記」。久しぶりに、お好み焼きが食べたくなったので、「オタフクソース」の幟に誘われて入ってみたのだが、後で、ネットで調べてみると、どうも専門は中華だったようだ。入った時は、全然気がつかなかったのだが。



 お好み焼きもメニューにあったので、そば玉を注文した。値段は550円。面白いことに、テーブル席に座ったら、熱い鉄板に乗って、お好み焼きが出てきた。広島の人間は、ヘラで食べるが、私は本来広島人ではないので、当然のことながら、割り箸を使って食べる。

 店内には、マンガ本がたくさん置いてあり、注文したものが出てくるまでの時間をつぶすことができる。しかし、あまり私の好みのマンガはなかった。


○関連過去記事
UCC Cafe Plaza(広島市を歩く143)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする