文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:氷雪の殺人

2016-03-06 09:39:48 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
氷雪の殺人 (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋

・内田康夫

 本作は、内田康夫氏による旅情ミステリー、「浅見光彦シリーズ」のひとつだ。舞台は、北海道の利尻島。5月といってもまだ寒い利尻山中で男が凍死する。男の名は、富沢晴之。日本有数の通信機メーカー、西嶺通信機のエリート社員だった。

 警察が自殺として幕引きをしようとしていたこの事件に光彦が関わることになったのは、警察庁刑事局長である兄の陽一郎を通じて、北海道沖縄開発庁長官の秋元康博から依頼があったためである。

 富沢が死ぬ前に、利尻カルチャーセンターに残した「プロメテウスの火矢は氷雪を溶かさない」という言葉。それはいったい何を意味するのか。当初は単なる殺人事件を扱ったミステリーかと思っていたら、物語は次第に国防を揺るがすような、なんともスケールの大きな話に発展していく。「龍頭蛇尾」という言葉があるが、これはその逆。「蛇頭龍尾」といったところか。

 それもそのはず。巻末の自作解説によれば、当初は、この作品として、旅情ミステリーの利尻版のようなものを考えていたようだ。ところが、執筆中に、テポドン事件が起こり、防衛庁(当時)の危機対応のお粗末さが露呈される。更には、防衛庁幹部職員の起こした汚職事件。我が国の国防はいったいどうなっているのか。そのような作者の憤りが文章の端々から感じられ、社会派のミステリーとしてよく仕上がっている。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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デザイン講習会「デザイナー・中小企業のためのデザイン保護戦略」聴講

2016-03-05 21:14:35 | セミナー、講演会他

広島市工業技術センター


 昨日は、広島市工業技術センターで行われた「デザイン講習会」を聴講してきた。「デザイン講習会」といっても、別にどうやったら人の目を引くようなデザインを生み出すことができるのかといったようなものではない。「デザイナー・中小企業のためのデザイン保護戦略」というタイトルからわかるように、知的財産という観点から、どうやってデザインを守っていくのかという内容である。

 講師は、日本弁理士会意匠委員会委員長でもある、レクシア特許法律事務所代表パートナーの松井宏記氏。講義の内容は、主に意匠権、商標権に関してのもので、これに関連して不正競争防止法や著作権についても触れていた。

 日本の意匠は、特許庁がきちんと審査をしているので海外でも信用があるらしい。国によっては、審査をしていないところもあるという。この意匠は使い方によってはかなり強い権利となり、登録から最長20年権利を独占できる。今は立体商標が認められるようになったので、意匠で権利を守って、広く世の中に認識されるようになったら、こんどは商標に切り替え、10年ごとの更新で半永久的に権利を保有することもできるという。

 最近の法律改正を反映して、興味深い話が多かった。はっきり言って、自分自身の中でまだ十分に消化しきれていないが、暇なときにゆっくり資料を見直し、疑問点はネットなどで調べて、理解を深めていきたいと思う。

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シニアライフ・相続アドバイザー試験合格

2016-03-04 11:31:50 | 資格試験受験関係
 1月24日に受験した一般社団法人金融財務事情研究会が実施する「シニアライフ・相続アドバイザー試験」だが、そろそろホームページで合否結果が分かるころだと思い覗いてみた。受験番号を入力すれば結果が帰ってくるというシステムなので、番号を入れてみたところ、「合格」の文字が表示された。合否のほうは、自己採点でほぼわかっていたのであるが、これで正式に「合格」である。資格は全部で94種類になった。

シニアライフ・相続アドバイザー試験問題解説集<2015年度版>
クリエーター情報なし
きんざい


○関連過去記事
シニアライフ・相続アドバイザー試験受験
シニアライフ・相続アドバイザー受験票到着
シニアライフ・相続アドバイザー試験問題解説集到着
金融業務能力検定 シニアライフ・相続アドバイザー試験申し込み
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書評:問題解決の数理

2016-03-04 10:21:31 | 書評:学術教養(科学・工学)
問題解決の数理 (放送大学教材)
クリエーター情報なし
放送大学教育振興会

・大西仁

 本書は、放送大学のテキストの一つで、主として意思決定に役立つ数理的なアプローチについて解説したものだ。

 大学の正規の科目のテキストである以上、一般書のように概要だけを紹介しているようなものではない。取り上げられている手法が、実際にビジネスシーンで出くわす問題解決に役立つよう、きちんと数式を使って説明が行われているのだ。私の個人的な感触としては、学部の2年程度のレベルだと思うが、高校数学程度の知識があれば十分に読みこなせるだろう。

 紹介されているのは、線形計画法、非線形計画法、ネットワーク計画法、スケジュール管理、在庫管理等ORの勉強をした人ならおなじみのものが多い。ゲーム理論が2章に渡って解説されているのは、経済学などでもこの理論がよく使われるようになったという最近の傾向を反映してのことだろうか。ベイズの定理や遺伝的アルゴリズムが入っているのも、いまどきのテキストらしい。AHPなどは、かって盛んだったQCサークルでもよく使われた手法だ。これは複数の選択肢の中から複数の基準を使ってどれかを選択するような場合に使われるもので、そこそこ納得感のある結論が得られるような手法だ。

 もちろん本書に紹介された手法が万能なわけはない。目の前の問題に必ず適用できるとは限らないだろう。しかし、意思決定をKKD(経験、勘、度胸)で行うより、こういった数理的な方法を使った方が、はるかに納得感のある結論を得られるのではないかと思う。だからこそ意識決定に関わる者は、教養として本書レベル程度のことは知っておかなくてはならないだろう。おそらく適用できそうなことが、自分たちのビジネスにおいてもいくつかは見つかるのではないだろうか。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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書評:・ターゲット ゴディバはなぜ売上2倍を5年間で達成したのか?

2016-03-02 08:13:49 | 書評:ビジネス
ターゲット ゴディバはなぜ売上2倍を5年間で達成したのか?
クリエーター情報なし
高橋書店

・ジェローム・シュシャン

 著者は、フランス人で高級チョコレートを扱う会社・ゴディバジャパンの社長だ。29歳から弓道を始め、現在弓道連士五段、国際弓道連盟の理事も務めている。著者によれば、弓道とビジネスには共通点が多いようだ。彼は、結果を出せるビジネスの正しい姿勢を弓道から学んだという。

 弓道には「正射必中」という言葉があるという。これは、正しく射られた矢は、必ず的に当たるという意味だそうだ。つまり、正しいプロセスで矢を射れば、的に自ずから当たるということなのである。言い換えれば、目的を果たすためには、目的のことばかり考えていてもだめで、正しいプロセスを踏んでいくことが大切だということなのだ。

 正しいプロセスを踏むことが重要。これは弓道であろうがビジネスであろうが、基本的な考え方としては大きく変わらないだろう。だから弓道とビジネスが似ているのは、ある意味当たり前だと言える。ただ弓道はそのプロセスがある程度確立されているが、ビジネスにおいては、自分でそのプロセスを探求していかなくてはならないという違いはあるのだが。

 本書に述べられているのは、割とオーソドックスなビジネス論である。例えば、マーケティングの4Pをうまく使うことや失敗から学ぶこと、顧客や現場の声を聴くことの重要性など、「弓道」成分を差し引いても、ビジネス書として普通に読めるだろう。しかし、うまく弓道になぞらえて説明しているので、とっつきやすいのは確かだ。

 また、ゴディバジャパンや前職のリヤドロジャパン(スペインの磁器人形の会社)の社長時代の経験を織り込んで書かれているので、著者が、具体的にどのようにビジネスを進めてきたかがよくわかり、ビジネスマンにとって得るところも多いものと思う。

 ところで、我々日本人は「○○道」のような精神修養に近いものを、その対極にあるようなビジネスになぞらえてあまり考えていなかったかもしれない。本書は、著者がフランス人だからこそ生まれた書だと言えるだろう。

☆☆☆☆

※本記事は書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。


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情報セキュリティマネジメント試験受験見送り

2016-03-01 21:41:39 | 資格試験受験関係
 受験しようかどうしようか迷っていた「情報セキュリティマネジメント試験」だが、気が付いてみると申込期間を過ぎていた(苦笑)。ということで、今回は受験見送りである。

 今年は、マンションの役員が回ってきたので、秋に「マンション管理士」を受けてみようかなあ。
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