曇、23度、90% 福岡
一昨日、香港から福岡に着いたのは4時過ぎでした。8月の日照時間が、過去2番目に少なかったという福岡です。連日雨だったと聞いていました。空港を出ると、曇りがちながら雨は降っていません。吹く風には福岡の匂いがします。
次の日の予定を決めるため、ビルの中のお店に入って出て来たのは7時前です。すっかり日が落ちているわけではありませんが、暗くなり始めていました。日本の都会の夕暮れです、カラスの鳴き声が聞こえて来ます。香港あいにくカラスがいません。人の通りが多い道を抜けると、何処からともなく甘い香りがして来ます。花の匂いです。花の匂いにはどうも惹かれます。当たりを見回して、見える花はオシロイバナの群生だけです。オシロイバナって、こんなにいい香りだっだでしょうか。
小さい頃はこのオシロイバナを摘んでは、爪を染めていました。赤く色付いた花のように見えるその下には、少し長く延びた白い部分があります。花を抜き取るようにしてこの白いところを吸うと、微かに甘みがします。蜜です。考えてみると、オシロイバナが昼間咲いているのを見たところがありません。昼間は、縮れたようになって萎んでいます。小さなアパートの隅に群生しているオシロイバナを匂うために、ちょっと回り道をしました。
しっかりと鼻をつけて匂ってみます。フワッとやさしい香りです。この香りに今まで気付かなかったのですね。57歳にして、初めてオシロイバナの香りを知りました。
昨日の朝は、少しだけ雨が降りました。この雨の中、傘をささずに歩きました。日本の雨の匂いです。前の晩のオシロイバナのアパートの方へ歩きました。花はみんなしぼんでいます。萎むとあのやさしい香りはありません。
空気の匂い、オシロイバナの匂い、雨の匂い。私にとって、日本の匂いです。今日の夕方、もう一度オシロイバナの花を訪ねてみましょう。