晴れ、28度、81%
先日の福岡への帰国は、母の一周忌、父の四十五周忌の法要が一番の目的でした。朝から曇り空、午後には雨や雷の予報が出ています。法要の時間は3時からでした。その前にお墓掃除をと思い、行き慣れたクスノキの下の墓へと急ぎます。
お寺に向かう途中、銀行の用事を幾つか済ませました。都市銀行は市の中央にしかありません。幾つかの銀行を廻り、中洲の川を渡ればお寺はすぐそこです。市の中央にある公園を抜けて行きます。ちょうどお昼休み明けの時間帯、人通りも多くありません。道の先に、黒い塊が幾つか落ちています。落ちているものを見ると、胸騒ぎがして小走りになります。あら?クヌギ!見上げると公園とビルの境にクヌギの木が植わっています。町中のクヌギです。クヌギを見るのは何年ぶりでしょうか。ドングリだって、滅多にお目にかからない香港です。ましてや、クヌギのびらびらの付いた袴は可愛い。屈んで、拾ったり、写真を撮っていても、道行く人は、何の感心もないかのようです。ふたつ程ポケットに入れて、お寺にと向かいます。
お墓の前で掃除の荷を解きました。大きなクスノキの下ですから、余程でない限り強い日差しはありません。心配していた蚊の攻撃もさほどではありません。水を汲み、さあ掃除と取りかかると、大粒の雨がひとつふたつ。空を見上げると雲が多くなっています。東の空には雷が光りました。そして、勢い大雨です。一旦引き上げようと、ポケットのクヌギを2つ、お墓の前に置きました。急いで、本堂に引き返しました。様子を見ますが、雨はやむ気配がありません。法要の最中、雨の上がった気配がしました。しめしめ、大雨できれいになったお墓です。拭き上げるだけでお墓掃除は終わります。ところが、法要後、お坊さんの話の長いこと。これがお坊さんのお仕事ですが、親戚縁者の話など長々と続きます。本堂を出ると、すっかり暗くなっています。お墓へは、次の朝、飛行場へ向かう前に行くつもりで帰りました。
翌朝も雨です。しかもかなり強く降っています。結局、お墓掃除途中のまま、香港に戻って来ました。飛行機を待っていると、空がずんずん晴れ始めました。お供えする和菓子は、私が食べてしまいました。置いて来たのは、2つのクヌギだけです。心がちょっと痛みます。
町中で拾ったクヌギを2つ、それだけが墓に供えたものでした。父母ともに、分かってくれるでしょう。