曇り、25度、84%
集合住宅に住んでいると、ふとした折に近隣の家から風呂を使っている匂いがして来ます。石けんの匂い、シャンプーの匂い、生暖かいお湯の匂い。一昔前なら、夕方の匂いだったお風呂場からの匂いも、シャワーを朝浴びる人が増えて、時間構わず匂って来ます。
花王石鹸の匂い、資生堂の石けんの匂い、牛乳石鹸の匂い、作る会社によって匂いも違うはずですが、日本の石けん独特の匂いがあります。なぜでしょう。そして、その日本の石けんの匂いをとても懐かし感じます。日本を離れて、もう、随分と長くなったからでしょう。お風呂場のぼんやりした暖かさと石鹸の香りが、やさしく包んでくれるように懐かしさを運んでくれます。
朝、忙しなくシャワーを浴びる人たちには、心にも石鹸の匂いを感じる余裕がないかもしれません。しかも、昨今、石鹸ではなくシャワージェル、シャワーソープなどと呼ばれる液体状の石鹸です。ポンプを押してスポンジに取り、シャワーの下で体を洗う、まあ、なんと気忙しいことでしょう。朝からのんびりお風呂に入っていられないのも分かりますが、夜使うお風呂に比べると味気ない気がします。
香港は、2003年のサーズ以来、手を洗うのも体を洗うのも、圧倒的にリキッドソープが増えて来ました。石鹸に依る感染を防ぐために、消毒剤入りのリキッドソープが主流になりました。我家の洗面所には、このリキッドソープが置かれるようになったのは、このサーズ以来です。
リキッドソープと石鹸とどう違うのでしょうか。石鹸の塊を手に、泡を立てる様子を想像すると、その過程で石鹸の方が一手間かかっています。つまり、時間がかかるのです。朝の余裕のないシャワー向きではありません。
石鹸が小さい頃から好きでした。紙石鹸なんていうのもありましたね。今思うと安っぽい匂いでしたが、懐かしい。洗濯石けんの、ちょっと癖のある匂い、最近はあの癖が無くなった洗濯石けんです。
普通の石鹸が一番です。それでも、いいお歳になって来ましたから、出来るだけ自然のものから作られている石鹸を使いたいと思います。タイのパンプリーの石鹸を昨晩おろしました。ライムとジンジャーの香りです。この石鹸は、顔を洗う時だけ使います。香りばかりでなく、質の高いいい石鹸です。洗面所の匂いが一晩で爽やかに変身していました。