蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

トルストイには、なれない?

2010-12-06 | 

昨夜は、美味しく白ワインを味わいながらの夕食後・・・、
雲行きがあやしくなり、不穏な空気が漂った。

そう、夫とわたし。
夫婦のミゾ。
ピシピシ、パキパキ、キーーンと、亀裂が生じた。

その後、夫は、酔って眠り込み、わたしは、なみだ・・・・・ほろり。

娘Rは、なにごともなかったかのように、
アールグレイの紅茶をアクセントに使って、シフォンケーキを焼いた。
シャカシャカシャカ・・・材料を混ぜる音が、響き渡る。

これは、しあわせの家庭像・・・なのか?
こんな図? こんな絵?

どこの家庭もこんなもの?
理想の家庭って、あるのだろうか。

上の娘Mから、「わたしが知ってる離婚してない夫婦で、うちの両親がいちばん仲が悪い」
と、前に帰省したときに言われた。


夫が寝入っているあいだに、大音量でつけっ放されたテレビのチャンネルをこそっと変えた。
NHK教育では、「ゴッホ」、「N響モーツァルト協奏曲」のあと、
折しも、「トルストイの家出」というのをやっていて、
「文豪はなぜ家族を捨てたのか」「知られざる夫婦の修羅」など、朗読を軸に展開されていた。

貴族階級で広大な領土を保有するトルストイが、
キリスト教精神に則り、人間は平等であるという考えのもとで、
貧しい農民がいる傍らで、贅沢な貴族生活は許されないと考えるようになった。

熱烈な恋愛の後、結婚し(妻18歳)、12人も子どもを産み育てた妻と、
そのあたりの価値観の違いから、確執が生まれる。

「愛はある」そうだが、価値観の違いは、どうしようもない。
そんな概念的なストイックな理想を掲げられても、生活に密着している妻たちには、理解できないだろう。

子どもたちには、遺産を残さないつもりで、
一旦は(もっとも信頼している、何番目かの娘に)相続手続きしていたものの、後にロシア政府に没収された。
家出して1週間後に82歳で生涯を終えたトルストイは、時代のうねりの、ど真ん中に生きた。


まあ、そんな文豪かつ貴族とはまったく、関係ない下々の庶民のわたしたち。

わたしの涙・・・はらはらとこぼれつつ、アタマのなかで、
シミュレーションをあれこれしてみた。

A案→強硬案   
B案→おめおめ妥協案  
C案→提案型・折衷案  
D案→だらだら先送り・引き延ばし案 
E案→ドラマ風仕立て案   
F案→狂気錯乱案

あまりまとまらないので、とりあえずは、シフォンケーキを賞味し、うん、おいしい、ふんわり、なんて思いながら
寝ながら考えようと、布団に入ると、ああ、なんて早いの、もう朝だった。

結局、なんにも考えてないじゃない。
まぶしい朝に、昨夜のシフォンケーキをまた、ぱくり。

人間って、食べて、寝て、食べて。
これが生活なのか。
トルストイとはえらく違うが、まあ、こんなもんだ。

 

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