ある方から聞いた話。
その方の学生時代の友人が、つい最近、リタイアされたそうだ。
ある程度の期間、単身赴任されていて、
留守を守る奥さんは、子供(息子さん)と、楽しく暮らしていたそうな。
ご主人が帰ってきた時だけ、歓迎ムードで、
あれこれ世話を焼き、料理に腕をかけ、満足してもらって、機嫌よく赴任先に帰っていただく。
奥さんのご奉公は、一種のメリハリのようなもので、
ご主人が外で働き、お給料をもらっている限りは、ご自分の役割も果たしておられた。
それに、一時だけのガマンで、あとは天国。
さて、ご主人サマ、単身赴任も終わり、リタイアに。
毎日、夫が家にいる!!
奥さんは、ブルーになった。(そうだろうなあ・・・)
息子さんが、ご主人(お父さん)に、こそっと言ったそうな。
「お母さん、離婚を考えてるみたい」
ご主人も、企業の犠牲者。
すき好んで、単身赴任をしたわけではない。
家族を引き離す、単身赴任の労働形態が当然の如くまかり通るのは、日本だけだそうだ。
外国では、家族が別々に暮らすということは、すでに、家族の役割を果たしてないとか。
でも、子供は18歳になると、とっとと親元を出て、自立する。
メリハリ。
夫との結びつきは弱いけれど、子供とはいつまでたっても離れられない。
子供の自立心を育てる弊害になり、自分の子供への執着心も、断ち切れない。
夫不在のなか、親子の悲劇。
子離れできない母親から可愛がられ続ける子供が、かわいそう。
いずれ、子供が親離れした時には、母親は、空の巣症候群。
更年期の鬱症状と重なると、重症になることもあるそうだ。
奥さんは、
昔、昔の、小さな小さな、とるに足らぬような、夫婦間での不満を、今でも鮮明に覚えていて、
それをご主人に、愚痴るそうだ。
よくそんな昔のことをいつまでも覚えていて、しかも、まだ根に持っていて、・・・・と、ご主人は、驚かれる。
このお話、実に、わたしのケースと似ている。
わたしも、昔の、小さな出来事を、その場で解消できずに、不満を持ったまま、
30年近く、まだ心のなかに鬱積したまま抱え込んでいる。
その30年の間に、利子が利子をよび、高配当も加わり(ああ、株や、預貯金なら、とてもよかったのに・・・)
小さな不満は、むくむく大きく成長し、しかも、姿や性質も変わって、別の悪魔か、化け物に、変身している。
世の中には、似たような人もいるんだなあ・・・と、その奥さんの話を聞いて、感慨に耽った。
奥さん、大変だろうけれど、ご主人も大変。
どちらが悪いでもない、二人とも、大変。
これからのリタイア生活、老後を、お二人は嵐の中の、壊れた小船で、突き進むことができるのか?
嵐は止んでも、小船の底が破れ、水が徐々に入って、浸水、沈没の危機は付きまとう。
ひとごとなら、クールに、冷静に、両方、お気の毒、なんて言えるけれど、
自分のことなら、一方的に相手を責めるかも知れない。
だが、ウジウジと引きずっているのは、
その場で自己主張できなかった自分の非も大きいと、わたしは自覚しているが。
自分の蒔いた種。自業自得。
ジムでエアロバイクをこぎながらテレビを観ていると、昼メロが放映されていた。
ドロドロものだが、こういうドロドロはお昼には、受けがよろしいようで、
そのなかの、悲劇のヒロインが言っていたセリフ。
「わたしは、いつも笑い声のする、普通の暖かい家庭に育ちたかった」
へえ~。わたしは、思った。
笑い声がするのは、普通の家庭やったんや~。
現実は、そんな漫画か、昼メロみたいなことはありませんよ、ドラマの主人公のお嬢さんっ。
それを間違えてはいけません。
「わたしは、いつも笑い声のする、とても立派な、類まれな優秀な幸せな家庭に育ちたかった」
が、正解。
脚本家に、またまた、してやられてしまった。
アンチテーゼ。
うまい方法、というか、結構、安易な常套手段ではあるが。
ひっかかってしまった、平凡な視聴者の、わたし。
ここまで、ブログで引っ張って書くぐらい、こころに残ったのだから、あの脚本家の勝ち?
いえ、わたしが、単純で、いつも同じところで、脚本家の策略にまんまと、ひっかかっているだけだが。
いつまで経っても、学習能力なし。
まあ、それはそれとして・・・(ドラマの話は、おいといて)
世の中には、よく似た、一見、幸せな家庭があるんだなあ・・・というお話。
見た目は、幸せそのものでも、いろいろ抱えているわけです。
ああ、今日も幸せ。この幸せに感謝。
なんて(わたしも時々言ってますが)、
自分だけがジコチュー的に幸せで、自分ルールをゴリ押し通し、
自分以外の家族メンバーは、不幸せかも知れない。
家族の不幸せの上に、自分の幸せがあり、
家族の幸せの上に、自分の不幸せがある。
持ちつ持たれつ、お互い様。
家族は、互助会みたいなものですね。
どこの家にも、見方によって、いろいろ虹色にも、玉虫色にも見えるってことでしょう。
わたしは、家族にこころから尽くしている。
家族もそれを感謝して、ああ、なんてすばらしい家族。
こういうドラマ、視聴率は絶対稼げません。
でも、わたし、NHKの朝ドラ「「おひさま」大好きです。
登場人物、全員が、イイひと、善人。頑張り屋さんで、感激屋さん。
毎朝、涙はらはら流しています。
目薬効果、絶大。