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「それでは、それぞれの部局の予算について見ていきましょう。
まず総務部ですが、全体で三億八千万バウの予算が割り当てられています。このうちの五千万バウは部長予算で、部全体のために使用されるほか部内の局予算の不足を穴埋めすることも可能です。この部には五つの局がありますが、局間での予算の流用は禁じられています。局予算が不足した場合には、部長予算を回してもらうか予算管理局経由理事会に追加予算の申請が必要となります。
ここの局予算では、総務局と入出国管理局がそれぞれ一億バウと多くなっています。総務局は毎月発行されるテスバウ共和国通信の作成費用が大きく、入出国管理局では事務経費の負担が大きくなっています。
また、皆さまをお迎えしていますように、新たな市民をお迎えするための広告や体験講座なども入出国管理局が統括していますが、それらの費用の大半は新しい市民の入国一時金や受講料の一部が充てられています。
財務部の予算は全体で一億九千万バウと部の予算としては一番少なくなっています。その理由は、事務経費以外にはあまり大きな資金を必要とするものがないことです。
部長予算の五千万バウは各部共通に割り当てられています。また、銀行局はコンピューターや自動支払機など相当大きな費用が発生しますが、それらは銀行事業経費として処理されていて、国家予算からは三千万バウが割り当てられているだけです。
次の厚生部は、もっとも大きな予算が割り当てられている部署です。部長予算の五千万バウは同じですが、総合病院局に二億バウ、地区保険局にも二億バウ、特別介護局に一億バウの合計五億五千万バウとなっています。
なおこれらの予算は、一部事務経費の他は、施設の改善や補充などに使用されることになっていて、直接医療行為などに必要な経費は、別建てとなっている健康保険財政で賄われています。そちらの方は、後日担当部署から説明させていただきます。
四番目の互助会には、二億五千万バウの予算が割り当てられています。この部には互助会と、生活相談局と介護対策局の三つの局があります。互助会は局とはなっていませんが、同列の組織と考えてください。
互助会には全市民が参加することになっており、市民にとって最も直接的に関係してくる組織ですが、国家予算としては大きくはありません。
それは厚生部と同じ理由でして、運営費の大半は互助会費によって賄われているからです。
生活相談局には一億バウというかなりな予算が充てられていますが、その使用目的なども含めまして、この部全体の運営の仕組みや状況などにつきましては、後日かなりの時間をかけて担当部局から説明させていただきます。
互助会の運営は、私たちの国テスバウ共和国の生命線であり誇りでもあるのです。母国や私たちと同様の組織を持つ団体からも注目されています。私たちの国には、この組織運営のエキスパートが何人もおりますので、私などが付け焼刃のような説明をするのは控えさせていただきます。
交通防災部は五億バウと大きな予算になっています。交通局の一億バウは主に国内の路線バスの運営費用です。警備局の二億バウは、支援していただいている警備会社と母国州警察への分担金などの支払いが大半を占めています。防災局の一億五千万バウも同様です。
国土管理部も五億バウの予算です。施設管理局の五千万バウは事務経費などに使われていますが、この局は市民から徴収する住居使用料を管轄しています。年間およそ四十三億バウほどの収入がありますが、そのうちの半分ほどは減価償却引当金として積み立てられています。残りの資金で国内のほとんどの建物や施設の保全や修理、あるいは新設の計画や立案をしたりしています。
国土管理局の一億五千万バウは、全国土の保全と開発改良に充てられています。道路、公園、農場、森林、母国州政府から委託を受けている隣接地を含む国境整備など幅広い業務守備範囲になっています。そうそう、少し意外かもしれませんが、農場などの管理もこの部署の管轄です。
上下水道局の二億バウは、上下水道事業の運営費に充てられています。上水道は母国からの供給を受けていますが、国内の施設の管理、下水道処理の全てを国内で処理しています。
電気事業局は五千万バウの予算ですが、ここは他に事業収入の管理も担当しています。
私たちの国内エネルギーは、ほぼ全量が電力からとなっています。それも大半が太陽光発電によるものです。全建物に設備を設置しているほか、近接の土地を母国から管理を委託されてからはそちらにも設備を設置しています。
これは開国以来の方針として相当の設備投資をしてきましたが、技術の向上の恩恵もあり、特に近年になって蓄電機器の技術向上が目覚ましく、最近では余剰電力の売却で水道水の購入代金を賄えるまでになっています。
但し、投資してきた資金や管理に要する人的経費などを厳密に計算しますと、残念ながら、電力会社からの購入に頼った方が有利だったそうです。
次は地域運営部です。ここに割り当てられている予算四億一千万バウは、地域単位での市民活動を支援するためのものです。
この部では局という呼び方はしていませんが、予算が割り当てられている単位を局に準ずる組織と位置付けされています。まず、大半の市民の方が生活拠点とする四つの区画があります。この地区にはそれぞれ六千万バウが割り当てられ、本部住居区、本部棟区、介護棟区にそれぞれ三千万バウが割り当てられます。その他、各区画の市民数により若干の調整が部長予算から行われています。
これらの予算は、その地区内の環境整備などに当てられたり、地区内の行事などの費用に当てられます。そして、この部の予算は使い切るのが原則で、若干の金額については次期に繰り越すことも認められています。
最後の市民生活部には、三億五千万バウの予算があります。
流通局は五千万バウの予算ですが、ここにはバザール・給食などの別建て資金を管轄しています。
文化スポーツ局の一億バウは、映画演劇・図書館・旅行・運動施設、各サークルへの支援などの管理運用の費用などに当てられています。
葬祭局の予算五千万バウは少ないようですが、ここには互助会から手厚く資金が割り当てられています。
環境保全局は、清掃業務と環境美化の市民への啓蒙活動などを行っています。予算は一億バウですが、ゴミ処理場の運転状況などによっては、厳しい予算のようです。
私たちの国テスバウ共和国は、開国当初からゴミの処理を母国に頼らない方針を徹底してきました。現在、国内から母国に流出するゴミなどは下水も含めてもほぼ皆無になっています。医療関係の廃棄物など例外的なものはありますが、処理後の廃棄物は、肥料として近隣農場に提供したり、木材チップとして販売している物はありますが、これらはあくまで商品価値のあるものなのです。
皆様も来週あたりから外出していただく機会が増えると思いますが・・・、ああ、今日の午後も外のようですね。おそらく、道路がきれいなことと数多く置かれている屑籠が殆ど空なのに驚かれると思います。
環境保全局は、この国の花形部署なのです。
以上、駆け足で予算の内容を説明させていただきました。
この予算がどの程度使われたかにつきましては、併記されている決算額の欄を見ていただきたいのですが、合計欄だけ少し説明させていただきましょう。
収入が予算より一億七千万バウほど多くなっていますが、これは利息収入が計画比多くなったためです。もっとも、あまり大きな声では言えないのですが、毎年この項目は固めに見積もるものですから余剰が出ています。
支出は、来季使用分も含めても三億五千万バウ少なくて済みました。この年は突発的な支出がほとんど発生しなかったため、全部局で予算超過が発生していません。
なお、来季使用分として二億五千万バウが計上されているのは、現在工事中であったり、具体的な計画が固まっているもので何らかの事情で実施が遅れているものなどについては、各部の部長の申請により当期予算を充当することが認められているからです。
利益積立金が十一億バウと一億五千バウ増えたのは、利息収入と寄付金収入が予算比増加したものを反映させたからです。
この結果、次期繰越金は十二億二千万バウとなり、前期までの繰越金を増やすことが出来ています。つまり、会計的にみれば良い決算だったということになります。
但し、国家経営の観点から申し上げますと、もっと市民サービスにお金を使うことが出来なかったのか、ということにもなります。予算管理を担当している私たちは、予算比赤字になるのは極力避けたいのですが、同時に黒字の幅は、利息収入分を超えないように注意しています。
この考え方は、理事会でも認識されていて、私たちの国の予算運営の原則の一つになっています。
「それでは、それぞれの部局の予算について見ていきましょう。
まず総務部ですが、全体で三億八千万バウの予算が割り当てられています。このうちの五千万バウは部長予算で、部全体のために使用されるほか部内の局予算の不足を穴埋めすることも可能です。この部には五つの局がありますが、局間での予算の流用は禁じられています。局予算が不足した場合には、部長予算を回してもらうか予算管理局経由理事会に追加予算の申請が必要となります。
ここの局予算では、総務局と入出国管理局がそれぞれ一億バウと多くなっています。総務局は毎月発行されるテスバウ共和国通信の作成費用が大きく、入出国管理局では事務経費の負担が大きくなっています。
また、皆さまをお迎えしていますように、新たな市民をお迎えするための広告や体験講座なども入出国管理局が統括していますが、それらの費用の大半は新しい市民の入国一時金や受講料の一部が充てられています。
財務部の予算は全体で一億九千万バウと部の予算としては一番少なくなっています。その理由は、事務経費以外にはあまり大きな資金を必要とするものがないことです。
部長予算の五千万バウは各部共通に割り当てられています。また、銀行局はコンピューターや自動支払機など相当大きな費用が発生しますが、それらは銀行事業経費として処理されていて、国家予算からは三千万バウが割り当てられているだけです。
次の厚生部は、もっとも大きな予算が割り当てられている部署です。部長予算の五千万バウは同じですが、総合病院局に二億バウ、地区保険局にも二億バウ、特別介護局に一億バウの合計五億五千万バウとなっています。
なおこれらの予算は、一部事務経費の他は、施設の改善や補充などに使用されることになっていて、直接医療行為などに必要な経費は、別建てとなっている健康保険財政で賄われています。そちらの方は、後日担当部署から説明させていただきます。
四番目の互助会には、二億五千万バウの予算が割り当てられています。この部には互助会と、生活相談局と介護対策局の三つの局があります。互助会は局とはなっていませんが、同列の組織と考えてください。
互助会には全市民が参加することになっており、市民にとって最も直接的に関係してくる組織ですが、国家予算としては大きくはありません。
それは厚生部と同じ理由でして、運営費の大半は互助会費によって賄われているからです。
生活相談局には一億バウというかなりな予算が充てられていますが、その使用目的なども含めまして、この部全体の運営の仕組みや状況などにつきましては、後日かなりの時間をかけて担当部局から説明させていただきます。
互助会の運営は、私たちの国テスバウ共和国の生命線であり誇りでもあるのです。母国や私たちと同様の組織を持つ団体からも注目されています。私たちの国には、この組織運営のエキスパートが何人もおりますので、私などが付け焼刃のような説明をするのは控えさせていただきます。
交通防災部は五億バウと大きな予算になっています。交通局の一億バウは主に国内の路線バスの運営費用です。警備局の二億バウは、支援していただいている警備会社と母国州警察への分担金などの支払いが大半を占めています。防災局の一億五千万バウも同様です。
国土管理部も五億バウの予算です。施設管理局の五千万バウは事務経費などに使われていますが、この局は市民から徴収する住居使用料を管轄しています。年間およそ四十三億バウほどの収入がありますが、そのうちの半分ほどは減価償却引当金として積み立てられています。残りの資金で国内のほとんどの建物や施設の保全や修理、あるいは新設の計画や立案をしたりしています。
国土管理局の一億五千万バウは、全国土の保全と開発改良に充てられています。道路、公園、農場、森林、母国州政府から委託を受けている隣接地を含む国境整備など幅広い業務守備範囲になっています。そうそう、少し意外かもしれませんが、農場などの管理もこの部署の管轄です。
上下水道局の二億バウは、上下水道事業の運営費に充てられています。上水道は母国からの供給を受けていますが、国内の施設の管理、下水道処理の全てを国内で処理しています。
電気事業局は五千万バウの予算ですが、ここは他に事業収入の管理も担当しています。
私たちの国内エネルギーは、ほぼ全量が電力からとなっています。それも大半が太陽光発電によるものです。全建物に設備を設置しているほか、近接の土地を母国から管理を委託されてからはそちらにも設備を設置しています。
これは開国以来の方針として相当の設備投資をしてきましたが、技術の向上の恩恵もあり、特に近年になって蓄電機器の技術向上が目覚ましく、最近では余剰電力の売却で水道水の購入代金を賄えるまでになっています。
但し、投資してきた資金や管理に要する人的経費などを厳密に計算しますと、残念ながら、電力会社からの購入に頼った方が有利だったそうです。
次は地域運営部です。ここに割り当てられている予算四億一千万バウは、地域単位での市民活動を支援するためのものです。
この部では局という呼び方はしていませんが、予算が割り当てられている単位を局に準ずる組織と位置付けされています。まず、大半の市民の方が生活拠点とする四つの区画があります。この地区にはそれぞれ六千万バウが割り当てられ、本部住居区、本部棟区、介護棟区にそれぞれ三千万バウが割り当てられます。その他、各区画の市民数により若干の調整が部長予算から行われています。
これらの予算は、その地区内の環境整備などに当てられたり、地区内の行事などの費用に当てられます。そして、この部の予算は使い切るのが原則で、若干の金額については次期に繰り越すことも認められています。
最後の市民生活部には、三億五千万バウの予算があります。
流通局は五千万バウの予算ですが、ここにはバザール・給食などの別建て資金を管轄しています。
文化スポーツ局の一億バウは、映画演劇・図書館・旅行・運動施設、各サークルへの支援などの管理運用の費用などに当てられています。
葬祭局の予算五千万バウは少ないようですが、ここには互助会から手厚く資金が割り当てられています。
環境保全局は、清掃業務と環境美化の市民への啓蒙活動などを行っています。予算は一億バウですが、ゴミ処理場の運転状況などによっては、厳しい予算のようです。
私たちの国テスバウ共和国は、開国当初からゴミの処理を母国に頼らない方針を徹底してきました。現在、国内から母国に流出するゴミなどは下水も含めてもほぼ皆無になっています。医療関係の廃棄物など例外的なものはありますが、処理後の廃棄物は、肥料として近隣農場に提供したり、木材チップとして販売している物はありますが、これらはあくまで商品価値のあるものなのです。
皆様も来週あたりから外出していただく機会が増えると思いますが・・・、ああ、今日の午後も外のようですね。おそらく、道路がきれいなことと数多く置かれている屑籠が殆ど空なのに驚かれると思います。
環境保全局は、この国の花形部署なのです。
以上、駆け足で予算の内容を説明させていただきました。
この予算がどの程度使われたかにつきましては、併記されている決算額の欄を見ていただきたいのですが、合計欄だけ少し説明させていただきましょう。
収入が予算より一億七千万バウほど多くなっていますが、これは利息収入が計画比多くなったためです。もっとも、あまり大きな声では言えないのですが、毎年この項目は固めに見積もるものですから余剰が出ています。
支出は、来季使用分も含めても三億五千万バウ少なくて済みました。この年は突発的な支出がほとんど発生しなかったため、全部局で予算超過が発生していません。
なお、来季使用分として二億五千万バウが計上されているのは、現在工事中であったり、具体的な計画が固まっているもので何らかの事情で実施が遅れているものなどについては、各部の部長の申請により当期予算を充当することが認められているからです。
利益積立金が十一億バウと一億五千バウ増えたのは、利息収入と寄付金収入が予算比増加したものを反映させたからです。
この結果、次期繰越金は十二億二千万バウとなり、前期までの繰越金を増やすことが出来ています。つまり、会計的にみれば良い決算だったということになります。
但し、国家経営の観点から申し上げますと、もっと市民サービスにお金を使うことが出来なかったのか、ということにもなります。予算管理を担当している私たちは、予算比赤字になるのは極力避けたいのですが、同時に黒字の幅は、利息収入分を超えないように注意しています。
この考え方は、理事会でも認識されていて、私たちの国の予算運営の原則の一つになっています。