「再生エネルギーが電気代高騰の一因」という記事を見ました。
この数年、原油などの価格高騰、円安などにより、電気料金やガス料金が高くなっています。年々厳しさを増す猛暑は、家庭の光熱費負担をさらに厳しくしています。政府は、電気料金などに補助金を実施したり、終了しては復活させたりと、何とも一貫性のない施策を繰り返しています。
私たち下々の苦しい生活を少しでも緩和させようと政府も腐心されているのでしょうが、その電気料金の中に「再生エネルギー賦課金」が、そんな施策をあざ笑うように増加しています。
地球温暖化云々と言った遠大な課題のため、再生エネルギーの比率を高めていかなくてはならないという事のようですが、そのコスト増を使用者に分担させるという手段は、うっかりしていると合理的なように感じてしまうのですが、何だか変なような気もします。
先日、「今年の7~9月のエンゲル係数が29.3%になった」と言った記事が出ていました。
わが国のエンゲル係数は、2001 ~ 2014 の間頃は概ね23%程度、2015 ~ 2019 の間頃は概ね25%程度、2020 ~ 2022 の間は27%前後、そして、直近では、30%に向かって順調に増加中です。
「2%の物価上昇」という立派な目標をかかげて下さったおかげで、エンゲル係数は見事なまでに順調に増加しており、私たち下々の生活を圧迫してくれています。ただ、今から60年ほど前のわが国のエンゲル係数は38%程度だったというデーターがありますから、30%程度は十分堪えられるので、どんどん値上げいたしましょう、という意見をお持ちの人もいるのでしょうねぇ。
エンゲル係数というのは、1857 年に、ドイツの社会統計学者であるエルンスト・エンゲル氏が発表したものです。えんげるの法則とも言われますが、一般に、家庭の総支出のうちの食料費支出の割合が、低いほど生活に余裕があり、高いほど生活が逼迫しているというものです。
国家や民族や生活様式によっても差があるでしょうし、当時に比べて現在は、例えば通信費などの比重が増えるなど消費内容は変化していると思われますが、エンゲル係数の理論は今も健在のようです。
もちろん、食費関係の支出よりも、生活の余裕度を示す指数はあると提唱された方もいるようですが、わが国では、この種の統計では、エンゲル係数より有力な指数はないようです。
そういえば、再生エネルギーのコスト高分を国民に分担させる一つの原因は、エンゲル係数を低く見せるためではないかとも思うのですが、これは「げすのかんぐり」でしょうね。
私たちの日々の生活は、係数を気にして生活しているわけではありませんが、国家のさまざまな施策は、こうしたデーターに基づいて立案・実施されているのだと思うのですが、多くの国民を対象とする制度は、どうしても不具合・不公平な面が発生してしまいます。
「103万円の壁」が話題になり、まるで鬼の首でも取ったようなつもりで検討が行われているようですが、単純に「178万円]に引き上げたりすれば、新たな障害が多出するはずです。
また、生活保護制度は、わが国の国民にとっては最後とも言える「安全ネット」だと思うのですが、実は、それより明らかに厳しい条件下で生活している人が少なくないはずです。そうした人の数を政府は把握しているのでしょうか。社会は適切な手を差し伸べているのでしょうか。
先に述べましたエンゲル係数は、生活が苦しいほど高くなる傾向があるのは確かですが、ある限界を超えますと、その指数は低下を始めます。「飲まず食わず」という生活を強いられますと、エンゲル係数は低下するのです。
この国に生れて、この国で懸命に生きている人の誰もが、「エンゲル係数の理論内に収まる生活」が保てる社会でありたいと願うばかりです。
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