毎年の12月1日に新しく注連縄を架けると聞いていた奈良市高樋町。
架ける場は春日神社の拝殿である。
この日の早朝に集まった神社役員、自治会役員らが隅から隅まで綺麗に清掃する。
落葉が激しい銀杏の大木。
下にある大師堂の屋根に積もる。
氏子たちは屋根に登って丹念に掃いていく。
場合にとってはブロアーで吹き飛ばす。
昨今はこうした清掃道具を用いることが多い。
一方、社務所の屋根に積もった落ち葉は土混ざりで掃き落とすのも力が要る。
滑らないように足場を固めるが、恐る恐る、だ。
湿り気がある落ち葉に足をおけば、つるっと滑るから慎重さが求められる。
落下した黄色い葉っぱに埋もれた樹木周り。
びっしり積もった葉っぱをブロアーで吹き飛ばす。
地面だけではなく、杉の葉が伸びた垣根に積もった黄色い葉っぱは侘しくも美しい。
その場は近寄るだけで、その存在が判る銀杏の実がある。
独特な匂いが境内に漂う。
12月初旬のころから落ち始めた銀杏の実を拾い集める人はだれもいない。
この日もそうだった。
高い処で伸びる葉っぱは高枝鋏を用いて伐りとる。
力は要るし、腕や顎も怠くなる。
長時間の作業は耐えられない。
この高枝鋏はアタッチメント式。
先にある鋏を鋸に切り替えた。
頭上あたりから飛び出している枝を伐採する。
鋸の刃はキレが良い。
太い枝であっても、すぱっと切れる。
切れ味抜群が心地いいから、何度も何度も伐りたくなる。
もっと美しくと思って作業は休むことを知らない。
持ち込んだ稲藁はモチワラ。
注連縄など結う材は必ずといっていいほどモチワラである。
粳米の藁の場合は柔らかさがないし、硬い。
結い難いから嫌われる、ということだ。
それはともかく神社清掃中に注連縄作りが始まった。
何人かは細縄を結う。
藁打ち、シビ取りは予めしていたモチワラは細縄で括って束にする。
手前左手にある太い注連縄はこの日の朝まで掲げていた。
一年間に亘って守ってきた注連縄を参考に今年の注連縄を作っていくのである。
注連縄を作り始めてから1時間。
ようやくできあがった。
結った注連縄は荒々しい。
飛び出している藁は鋏で刈りとって綺麗にする。
ここまではどこでも見かける鋏刈りだが、高樋町はそうではなかった。
抱えた注連縄は集めた塵などを燃やしていたトンドの真上に翳したのだ。
作りたての注連縄は燃やしてしまうのか。
そうではない。
鋏で刈り取った注連縄は、さらに磨きをかける。
もっと美しく、ということで飛び出た細かい髭のような藁を焼くのである。
この日から一年間に亘って守り続ける注連縄ができあがった。
見本の役目を終えた古い注連縄はそれこそほんまにトンドに投げ入れて焼納される。
そして、だ。
紙垂れを4カ所。
挟みこんでから割拝殿に吊るす。
これぐらいでえーかとか云いながら、みんなに見てもらって調製した。
新しく架け替えた注連縄を潜って本殿前に上がる高樋町の氏子たち。
つい30分ほど前までは注連縄作りをしていた。
服装は着替えることもなく、作業をしていたときの服装で参拝する。
この日の神事は新嘗祭。
特徴といえばお供えの新酒である。
この年に収穫された酒米で醸造したシロザケ(にごり酒)は神社庁指定の白酒。
平成13年度より神社庁が委託された蔵元は御所市の葛城酒造。
奈良県内神社はどことも同じだと思う。
新嘗祭に相応しい白酒は商品名が「百楽門(濁酒)」の名で一般販売されている。
春日神社の本殿下に建つ灯籠(左)に「今宮大明神 奉 寛文拾二年(1672)十一月吉日 □□」の刻印がある。
寄進年代は見られないが、この場にもう一本の石塔にも「今宮大明神 常夜燈」があった。
現在は春日神社の名になっているが、300年前は「今宮大明神」だった。
右の灯籠は「□□(※寛文であろうか)壬子八月吉日」だ。
「壬子」から推定するに寛文十二年に違いない。
さらに一段下がった処にも灯籠が建つ。
灯籠は丸支柱。
「雨願成就村中」の刻印がある。
その横に建つ灯籠(右)に「大□(正)十三年八月 春日神社 祈雨満願」の刻印があった。
2塔は刻印が物語るように雨乞いに祈りを捧げた結果、雨が降った満願成就を記念に建てた碑である。
(H27.12. 1 EOS40D撮影)
架ける場は春日神社の拝殿である。
この日の早朝に集まった神社役員、自治会役員らが隅から隅まで綺麗に清掃する。
落葉が激しい銀杏の大木。
下にある大師堂の屋根に積もる。
氏子たちは屋根に登って丹念に掃いていく。
場合にとってはブロアーで吹き飛ばす。
昨今はこうした清掃道具を用いることが多い。
一方、社務所の屋根に積もった落ち葉は土混ざりで掃き落とすのも力が要る。
滑らないように足場を固めるが、恐る恐る、だ。
湿り気がある落ち葉に足をおけば、つるっと滑るから慎重さが求められる。
落下した黄色い葉っぱに埋もれた樹木周り。
びっしり積もった葉っぱをブロアーで吹き飛ばす。
地面だけではなく、杉の葉が伸びた垣根に積もった黄色い葉っぱは侘しくも美しい。
その場は近寄るだけで、その存在が判る銀杏の実がある。
独特な匂いが境内に漂う。
12月初旬のころから落ち始めた銀杏の実を拾い集める人はだれもいない。
この日もそうだった。
高い処で伸びる葉っぱは高枝鋏を用いて伐りとる。
力は要るし、腕や顎も怠くなる。
長時間の作業は耐えられない。
この高枝鋏はアタッチメント式。
先にある鋏を鋸に切り替えた。
頭上あたりから飛び出している枝を伐採する。
鋸の刃はキレが良い。
太い枝であっても、すぱっと切れる。
切れ味抜群が心地いいから、何度も何度も伐りたくなる。
もっと美しくと思って作業は休むことを知らない。
持ち込んだ稲藁はモチワラ。
注連縄など結う材は必ずといっていいほどモチワラである。
粳米の藁の場合は柔らかさがないし、硬い。
結い難いから嫌われる、ということだ。
それはともかく神社清掃中に注連縄作りが始まった。
何人かは細縄を結う。
藁打ち、シビ取りは予めしていたモチワラは細縄で括って束にする。
手前左手にある太い注連縄はこの日の朝まで掲げていた。
一年間に亘って守ってきた注連縄を参考に今年の注連縄を作っていくのである。
注連縄を作り始めてから1時間。
ようやくできあがった。
結った注連縄は荒々しい。
飛び出している藁は鋏で刈りとって綺麗にする。
ここまではどこでも見かける鋏刈りだが、高樋町はそうではなかった。
抱えた注連縄は集めた塵などを燃やしていたトンドの真上に翳したのだ。
作りたての注連縄は燃やしてしまうのか。
そうではない。
鋏で刈り取った注連縄は、さらに磨きをかける。
もっと美しく、ということで飛び出た細かい髭のような藁を焼くのである。
この日から一年間に亘って守り続ける注連縄ができあがった。
見本の役目を終えた古い注連縄はそれこそほんまにトンドに投げ入れて焼納される。
そして、だ。
紙垂れを4カ所。
挟みこんでから割拝殿に吊るす。
これぐらいでえーかとか云いながら、みんなに見てもらって調製した。
新しく架け替えた注連縄を潜って本殿前に上がる高樋町の氏子たち。
つい30分ほど前までは注連縄作りをしていた。
服装は着替えることもなく、作業をしていたときの服装で参拝する。
この日の神事は新嘗祭。
特徴といえばお供えの新酒である。
この年に収穫された酒米で醸造したシロザケ(にごり酒)は神社庁指定の白酒。
平成13年度より神社庁が委託された蔵元は御所市の葛城酒造。
奈良県内神社はどことも同じだと思う。
新嘗祭に相応しい白酒は商品名が「百楽門(濁酒)」の名で一般販売されている。
春日神社の本殿下に建つ灯籠(左)に「今宮大明神 奉 寛文拾二年(1672)十一月吉日 □□」の刻印がある。
寄進年代は見られないが、この場にもう一本の石塔にも「今宮大明神 常夜燈」があった。
現在は春日神社の名になっているが、300年前は「今宮大明神」だった。
右の灯籠は「□□(※寛文であろうか)壬子八月吉日」だ。
「壬子」から推定するに寛文十二年に違いない。
さらに一段下がった処にも灯籠が建つ。
灯籠は丸支柱。
「雨願成就村中」の刻印がある。
その横に建つ灯籠(右)に「大□(正)十三年八月 春日神社 祈雨満願」の刻印があった。
2塔は刻印が物語るように雨乞いに祈りを捧げた結果、雨が降った満願成就を記念に建てた碑である。
(H27.12. 1 EOS40D撮影)