エビの天ぷらを箸で食べるとき、どのように食べますか? あれを品よく食べるにはどうすればいいのか? それがわたしの疑念だった。
傍から見ると、例えば美人の口元で噛み切る様子はどう見ても美しい食べ方とは思えない。で、この本でも、やはり三口くらいに分けて噛み切るしかないと言うことだった。だから大口を開けてがぶりと噛み切るのはやめたほうがいい。
私の息子の話では、てんぷら屋さんでは、エビの天ぷらを三切れぐらいに切って出すところもあるらしい。やはり歯で噛み切る不恰好を気遣っているのだろう。それ以外のものは箸で切り分けられるからね。
わたしたちが何気なくよくやることに、ビールでもワインでもいいが、「ごくろうさん」とか「おめでとう」とか言ってグラスを打ち付けるのは良くないらしい。グラスが割れる危険もあって、軽く上げるだけでいい。
それから、女性の多くに見られるのは、料理を口に運ぶとき左手のてのひらで受ける格好をするのもよくないらしい。和食の基本は、お皿を手に持って食べるところにある。その流儀で行けば、手の代わりに小鉢でも皿でも持てばいいし、あるいは懐紙をあてがってもいい。
考えてみれば、江戸時代には一人膳が当たり前で、そのお膳で食事をすることを思えば、おのずから和食の食べ方も理解できる。
それでは、箸置きの箸を三手で取り上げましょう。和食の基本中の基本から書いてある。和食にかぎらず、フランス料理、イタリア料理、中華料理と多岐にわたり、和室でのマナーまで書いてある。これは一読をお薦めする。食事の席ほど生まれや育ちが出るところはない。
読んだ本は、小倉朋子著「和食・洋食・中国料理 スマートな食べ方の流儀」と「グルメ以前の食事作法の常識」。大体同じような内容であるが、『グルメ以前……」のほうが少し内容が多いかな。
参考になるところが多い。今一度、復習の意味で読んでみればいいかもしれない。ホテルでランチというのも女性の間では流行っている折でもあり、一段と輝けるかもしれない。