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読書「幸村去影」津本陽

2013-08-28 15:34:53 | 読書

                 
 一言で言えば、あまり印象に残らなかった。大阪冬の陣から夏の陣にかけて、真田幸村の生き様が描かれてあるが、胸に迫る展開とはいえない。むしろ、欲張らずに夏の陣を中心に人間幸村を描ききったほうが良かった気がする。

 妻や息子に対する情愛も濃密さに欠ける。端的にいえば、歴史の教科書を少し小説風にしたと言えばいいか。私はそういう風なのを望んでいないので不満が残る。

 「死に場所と決めた大阪夏の陣を、真田幸村はいかに生きたか。武将として、父として、愛する女を思いやる男として、幸村を新たな視点で描き出す合戦小説」という出版社のキャッチコピーではあるが、武将としての幸村が強く出ている嫌いがある。

 正室は、大谷吉継の娘竹林院、側室が4人。少なくとも正室との関係を濃密に描いてあれば、深みのある印象的な作品になったであろう。