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なぜ、低金利が家計から政府への贈与となるか、あわせて日銀の出口戦略は爆弾

2022-05-01 02:20:58 | マクロ経済

 先日、「贈与」と書いたが分かりにくいようだ。( https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/f09aac3088bf6513bd38bf64088e9cba )現在:

①家計金融資産 1,992兆円(’22年6月):負債(ローンなど)や実物資産は除く

②政府債務 1,218兆円(’21年末):国債・借入金、「国債費」:国債の償還(国の借金の元本の返済)と利払い23.8兆円(一般会計歳出106.6兆円の22.3%)

 定期預金は金利0.5%程度、バブル崩壊以降30年はインフレもGDP成長率もほぼ0%。

 若し、金利が1%増加すると、(実際は家計の投資配分や国債の償還時期の差があるが)家計は16兆円(20%程度は税金のため0.8%の増加になる)の所得になる。しかし、政府は1%の増加により12兆円の負担増加になる。これが低金利による家計から政府への「贈与」だ。(家計(持つもの)の損は国家(借りるもの)の利得となる)

家計金融資産が増えていくのは、金利という果実もなく、将来の不安からでもある。企業の内部留保の積み上がりも「金融危機に備える(債務超過にはならない)」ためだ。つまりは間接金融(銀行など)を信用していないと伺える。片や、直接金融である株式や社債には熱心であり株主対応や格付けには敏感になっている。

 銀行の元締めである日銀は、円安にも関わらず低金利政策を続けている。これは、出口戦略が、低金利(金融緩和)でも高金利(金融引締)でも爆弾になるからだ。

①低金利継続の場合

・円安は歯止めが止まらない

・コスト・プッシュ・インフレになるが、余り金はいよいよ現物投資・投機(買占め)に向かい更なる原材料高を招く

・株式は高値を続けるが、企業業績は値上げによる需要低迷から低下し、株価高値と業績の乖離が起こる

②高金利に転換の場合

・日銀の方針変更により株価下落が起こり、そしりとなる

・日銀の持つETF50兆円(2万円で含み損との報道がある)、550兆円の国債の含み損(利回り確保のため価格の低下による)https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/9a49e1d613b18ffd319cdf52abe4cc9b 

・日銀の資産劣化の対応と責任論となる

 つまりは、低金利が長く続いた状態は異常であり、薬漬けによりゾンビ企業の延命、企業も革新という攻めより財務という防衛を生み、「失われた30年」となった。

 アベノミクスは日銀を使った、政府への贈与と銀行・日銀の劣化、そして円安とうたかたのインバウンド・ツーリズムを生んだのみだ

 とるなら②の高金利だ。いびつな我が国だけの長期金融政策は国際的信用を失う、辞め時が肝心だ

 気がつくと、大企業が黒字でも50代をリストラしている。65歳までの雇用延長など絵にかいた餅だ。しかも、日本型企業の特色である終身雇用と年功序列制はコロナ禍のリモート運用により非効率(いらない上司)と判明した。リストラ後はジョブ型組織・雇用となるなら、変化を嫌い、技能がない社員は「こういう話でなかった」になる。

 また、我が国の一人当たりGDPが低下しているとの報道もあるが、円安の影響だ。円レートは60円/$が適正と思う。(自動的に所得が倍増する)円高というなら40円/$だろう。なぜここまで円安なのかは、政府の無策と借金、産業競争力の低下、高齢化にともなう成熟化(輸出入Nxのモノから配当の受け取り)でも説明がつかない。

90年に130円/$だったが、アメリカのインフレ( https://ecodb.net/country/US/imf_inflation.html )を考えると、物価比較(PPP)では、この30年で$は半値以下になるはずだ。例えば、20万ドル(MBAは6桁の給与を求める)のアメリカでの職種は、我が国では1,200万円の高給取りと同じ感じだ。NYの20$のラーメンも1,200円とすれば納得がいく。ボストンの高騰不動産案件でウォーターフロントのコンド2M$も東京の1億円超マンションの感覚だ。この円安が日本観光客を呼んだのは当然だ、なんでも半額と思えば良い。その反対に海外旅行では割高感が強い。これでは留学も減るわけだ、また海外企業のM&Aもできない

 低金利と円安はぬるま湯だった、長く浸かると出た時がつらい

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