虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

どこまで教える? どのように教える? 教えてはダメなこと、教えないとダメなこと 1

2012-03-14 21:57:13 | 積み木  ピタゴラスイッチ

2歳半の●くん。

駅に屋根をつけようとして、うまくいかずに挫折。

●くんのお母さんが教えようとすると、プイッとどこかへ行ってしまいました。

その後、わたしが●くんと駅の屋根作りをしながら、どのようにすると

子どもが集中してお手本を見て、こちらの言うことに耳を傾けるようになるのか実演して、

●くんのお母さんに見ていただいた

のですが、

肝心のコツの部分がうまく伝わらなかったようです。

 

そこで、わたしが教える際に気をつけていることについて、

少しくわしく説明してみることにしました。

 

●くんへの教え方については、続きの記事で紹介しますね。

 

わたしが、レッスンで物作りの活動を大切にしているのは、

工作技術の向上や手先の器用さを高める意味もありますが、

 

「お手本をきちんと見る」

 

「大人の話に耳を傾ける」

 

「自分の考えを上手に表現する」

 

「人と協調しながら作業に取り組む」

 

「現在の自分自身に自信を持つ」

 

ということを、1回、1回の場で

身体を通して学ばせるために最適だから

という面が大きいです。

 

そうしたことを子どもに習得させるには、

子どもをサポートする大人が、

教え方を洗練させていくことが大切です。

 

まずは、過去記事から。

 

 

4歳8ヶ月の★くん。

教室の棚に飾られていた他の子の作品(かたつむり)を見つけて、
「これ作りたい!」と言いました。

まず最初に、かたつむりの殻の部分作り。
ピラミッドを作るようにだんだん底が広がるデザインです。

幼稚園や学校のように集団に向かって教えるのでなく
個人か小集団に教えている虹色教室では、その良さを生かして
気をつけている点があります。

それは手伝い過ぎない、必要以上に教え過ぎないことです。
どんな大人の手伝いも、それがだんだん必要なくなるように
少しずつ手抜きしていって、しまいにその部分では「卒業」というか、
「自分ひとりでできる!」ようにしていくことです。

だんだん子どもに仕事を預けていって、

製作でしたら、
最終的に、

目標設定と、それをきちんと言葉にして説明する

材料の準備

製作過程で考えながら進める


新しいアイデアを思いつく

アイデアを生かして取り入れる

わからない点、教えて欲しい技術をたずねて、集中して大人の説明をきく


問題点や改善点に気づく

自分で問題を解決する


製作を振り返り、工夫したポイントなどを説明する

といったことを、子どもが全て自分でやり遂げ、
達成感や自信や満足感を得られるようにしています。
「ちゃんと聞きなさい」と説明ばかりするのでなくて、、
「すごいアイデアね。これはどんな風に動くの?」

「いいこと思いついたね。どうやって使うのか教えてちょうだい」といった子どもの発言を引き出す
声かけを増やすのがコツです。



手伝い過ぎない……というのは、
この★くんでしたら、
ピラミッド型のブロックの組み方を教えてもらいたがったので、

1段目と2段目だけしてみせて、「こうしてだんだん下が広くなるように作るのよ」と言うと、
自分でも真似てみて、1段目、2段目を作ってから、3段目を作ってみようとして、うまくいかなくて困っていました。
「ほら、こうしてひとつだけ、ブロックのポツッとしたところが外に出すのよ。」と最低限の説明をすると、あとは、
「わかった!そうか!」と、自分で次の段からポイントに気をつけて作って満足そうでした。

そこで安易に、「こうやってこうやって作るのよ」と、大人が
「作れるようになること」ばかりに重点をおくと、
テクニックとしての作り方を学んでも、
自分で問題を解決する方法は少しも身につきません。

非常に多くの子どもが、自分で考えられることまで、
何でもかんでも
大人が教えよう説明しようとするために、

目の前の問題に対して、
● 自分でできそうか
● どこまでならできそうで、どこを手伝ってもらえば良さそうか
● すぐにできなくても、じっくり取り組んでみたらできそうか
といった自分の知力を把握することができなくなっています。
赤ちゃんでも解決できることを、する前から、
「お母さん、やって」「どうするの?」とたずねる5,6歳児も後を絶ちません。

すぐすぐ教えずに、少し様子を見ていると、「見本をみてごらん」と言わなくても、
(「見本を見てごらん」と言わないのは、できないときは手本や見本を見ることを、自分で思いつくようになって欲しいからです。いつも指示をしてもらっている子は、6歳でも、これが考えつきません)
子どもは自分で

「よく見本を観察して、どのようになっているのか研究してみよう」

ということを思いつきます。
また、あれこれ触ったり、よく観察して、「こうじゃないかな?」と推理します。

説明は、どうしても困っている最低限で十分です。

(1,2歳の子に対しても「このおもちゃで遊んでごらん」「お砂を入れて」と、
目の前にあるから、自分で考えられそうなことまで全て言葉で指示を出して、
子どもが「考える」のを邪魔をする方がいます。

子どもと会話をはずませるのはいくらでもいいでしょうが、
「教える」のに関しては、大人が控えないと、
「考えるのはお母さん」「実行するのは自分」という役割分担を身につけてしまいますよね)


とにかく、必要以上に教えると、子どもの考えるところがなくなってしまうし、
指示ばかりされて作っても本人はちっとも面白くないものです。

こうしたとき、「どこまで教えるか、手伝うか」の微調整が、できるのが、
1対1で教える良い点です。
ですから家庭で教える場合、
ここの線引きに細心の注意を払っていると、親はどんどん手抜きができて、
子どもは何事もテキパキと自分でできるようになってきます。

「どこまで教えるか、手伝うか」の基準は、
子どもがそれを楽しめるかどうかで決まります。

たとえば、「こんなものが作ってみたいな」
と考えることができる年齢の子に、いつまでも、「今日はこれを作りましょう」「今日はこれを学びましょう」という集団教育の真似っこのようなことを続けていたら、
子どもの発想力も目標を定める力も自発性も失われていきますよね。

「大人が説明して子どもが聞いて理解する」というスタイルも、それは集団教育で人数上やむえなくそうなりがちなだけですから、

家庭では、「子どもの側が、大人に理解してもらえるように、自分の考えを整理して、きちんと説明する」が基本と思っておいて、そちらに近づく方向に、

「教える」のでなく「引き出す」接し方をしていると、
その方がずっと自然でいきいきと学び始めます。

子どもが「楽しいな~」とワクワク活動できる範囲で、
どんどん子どもに作業や、考える活動や、言葉での表現をまかせていき、
大人は常に手抜きできる部分を探っていく……

と、子どもの驚異的な成長する力に、きっと目を見はるはずですよ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この文章を書いて、気になっているのが、「教える」ことへの誤解です。
というのは、教えなくてはわからないこと、
子どもが頭で考えられるわけがないこと(危険物の扱い方など)は、
教えず、ダメ出しだけですませて、

教えなくてもいいこと、ちょっと待っていれば子どもが自分で考えることは、
すべて……子どもが考える間を与えず……即座に「教える」
(子どもが自分で選んだり、判断したり、失敗の原因を探ったりすること)という方が非常に多くて、

「教える」という言葉を使うことに迷いがあるのです。

難しいです

 

 


ミニカー遊び、お人形遊びで、数学的なセンスを育む働きかけを

2011-12-29 13:10:44 | 積み木  ピタゴラスイッチ

「いつもミニカーでばかり遊んでいて、遊びが発展しません」

「いつもお人形ごっこばかりしていて、別の遊びをしたがりません」

なんて相談をよくお受けします。

何度やっても飽きないほど好きな遊びがあるなら、その遊びを思う存分させてあげると

いいと思います。

そうしたいつもと同じ遊びのなかで、数学的なセンスを育む働きかけ

を紹介します。

 

 

 

コツ1  <できあがったおもちゃをそろえすぎず、

積み木やブロックで小道具を作る>

 

最初は大人が作ってあげます。

車なら車庫、お風呂(車が入ります)、道路など……。

人形なら椅子、テーブル、お風呂など……。

 

空間認知能力が伸びるだけでなく、イメージする力がついてきます。

算数の図形分野の力がはぐくまれます。

 

コツ2 <困った場面に遭遇させて、

サイズや量への気づきをうながす>

 

子どもは最初、大きさについてでたらめな感性を持っています。

教えずぎず、たくさん失敗させて、

「あれ、小さすぎる」「あれ、あふれちゃう」といった体験をたくさんさせます。

 

コツ3 <「こんなものがほしい」「こうしたい」と思ったら、頭と手を使って解決する習慣を>

「こんなものがほしい」「こうしたい」と思ったとき、

自分の頭をひねって考えると、必ず良い解決法があるんだ、と実感する

体験をたくさんさせてあげます。

工作も、工作の時間にさせるものではなく、

日常の一こまやいつもの遊びのなかで、

「こうだったらいいな」と実現するツールとして体験させてあげたいです。

 

ブロックや積み木や紙を使って

問題を解決することは、

数学的なセンスを育むのにとても役立ちます。

 


ごっこ遊びをしながら いろいろ考えること

2011-10-01 13:53:16 | 積み木  ピタゴラスイッチ

いつも面白いことを思いつく保育所でも遊びのリーダーをしているらしい4歳の◎ちゃん。

いっしょにお人形の家を作りました。 

ポイントは、トイレ。

子どもがドールハウス遊びを始めるとき、たいてい最初に欲しがるのがトイレなんですが、

おもちゃのドールハウスにトイレが設置してない場合がありますよね。

そんなときは、ドールハウスを買わずに、部品のトイレだけ購入して

あとは積み木や空き箱で代用するのでもかなり喜びます。

写真のトイレは100円ショップのものです。

 

トイレを作るとき、ドアを開閉するようにします。(積み木を置くだけですが)

後、子どもたちが気にするのは、「じろじろ覗かれないか?」ということです。

 

誰かにじろじろ覗かれる→周囲に壁を作らなきゃ→開閉するドアも作らなきゃ

 

という発想の流れで、きちんとしたトイレができあがります。

◎ちゃんは、トイレのスリッパ置き場をパパママ用を上の段、子ども用を下の段とする

凝り様で棚までこしらえていたのに、

いざ、お人形選びの段になって、「もう、電車でいいかー」と、近くにあった電車で代用!?

 

熱が入ってる部分と、

適当に手を抜いている部分の落差が大きすぎます……

 

電車たちはトイレの前に並んで順番を待っています。

一台、一台、ちゃんとトイレで用をたして、ちゃんと流して、手を洗って出てきます。

「◎ちゃん、せっかくスリッパの棚作ったのに、電車くんたちの足は車輪だからねぇ……」とわたしが残念そうに言うと、

◎ちゃんは電車をひっくり返して、車輪のひとつひとつにスリッパを履かせる真似をしました。

 

そこで、わたしは最後に並んでいたラピートを一番前に置き換えて、

「トイレトイレ!まだかな?」と言わせました。

すると、◎ちゃんはラピートをつかむと、列から遠い場所に移して、

「順番抜かしをしる悪い子だから、そこにいなさい」と罰を与えていました。

 

◎ちゃんが作ったお風呂と衣裳棚。

お風呂は最初とても小さなサイズでした。

それを兄の☆くんに指摘され、「こうして入ればいいのよ」と新幹線を立てて風呂に入れていたのですが、

「それじゃ、足とかお尻の下の方しかお湯につかれないじゃんか」とさらに指摘され、

ぶつくさ言いながら風呂場を拡張しました。

本当は、小さい風呂のまま風呂の高さを高くして、たくさんお湯を張ることで

乗り切りたかったのです。

でも大雑把でめんどくさがりの◎ちゃんは、3つまで積み木を立てたところで力つきた模様で

途中から、風呂を横に広げるのに変更していました。

その間に小1のお兄ちゃんの☆くんは、街を作っていました。


文字積み木で言葉作りゲーム

2010-12-26 09:23:26 | 積み木  ピタゴラスイッチ
立方体の文字積み木を使った言葉作りゲームを紹介します。
ようやく字が読め出した子から小学生まで
熱中して遊べます。

ひとりに5つずつ文字のキューブ積み木を配ります。

いぬ、ねこ……など、言葉が作れたら、その文字の数だけ新しいキューブをもらいます。
たくさんの言葉を作った人が勝ちです。




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ニキーチンの積み木

2010-09-29 08:49:33 | 積み木  ピタゴラスイッチ
小学1年生さんたちとニキーチンの積み木で遊んでいます。
『みんなの積み木』『模様作り』です。

楽しめる目安は、だいたいでいうと、
『模様作り』は年中さん~小学1年生。
『みんなの積み木』年長さん~小学6年生
です。

『ニキーチンの積み木遊び』B・P・ニキーチン 暮らしの手帳社
ろいう本に載っている
『ユニキューブ』
『レンガ積み』
『組み立て設計局』
といった遊びは、中学入試にも通じる内容だと思います。

立体積み木がたくさん安く手に入れば、ニキーチンの積み木類は手作りできます。
レンガ積みはレンガ積み木があれば遊べます。

空間認知力の力は入試ではとても高いものが求められるものの
小学校で学ぶことはほとんどない上、
家庭での遊びで伸ばす機会も少ないです。

お友達同士、こうした問題形式の積み木の知育遊びを
楽しむ時間が作れるといいですね。


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算数好きになる 積み木との付き合い方

2010-04-08 14:14:19 | 積み木  ピタゴラスイッチ
3歳3ヶ月の☆くんが積み木遊びをしています。ニキーチンの積み木です。
カチッと合う瞬間が面白いらしく、熱中しています。

子どもが、モクモクと積み木をいじっているとき、
「どうやって遊んであげたらいいかな?」と悩んでしまうかもしれません。
「こうやってごらん」「ああしてごらん」と色々口を出したくなるかも
しれませんが、
最初は、だまって、
よく子どもの遊び方を観察するのがいいと思います。

遊びとしてなりたっていなくても、熱心に積んだり崩したりして、
積み木に触れているなら、
今後、図形や立体パズルへの興味が育ってくる可能性が大きいです。
無関心な段階のとき、(女の子に多いですが)
積み木に触れようともしないものです。

見ていると、☆くんは、立体的な塊を作ろうとしたり、
平面に隙間なく埋めていこうとしたりしていました。
自分の中で、なんとなく積み木を動かしながら
ルールや秩序を生み出そうとしているのです。

子どもが、自分で偶然できたものから秩序を見出して、
自分のルールで作業に没頭していくとき、
外から見るともたもたと、無駄なことを続けているように
見えたりします。
子どもが自分の頭を使って何かしているときは、
もたもたと試行錯誤をしている間が長いので、
「最初から価値があるように見えることをして欲しい」という気持ちで眺めていると、ただ、だらだらしているように映ります。

大人が見本をしるして、
それに向かって何かできるようになる作業をしている方が
見た目はずっと良いです。
子どもが進歩したように感じます。

でも、いつもそうして、大人が教えて子どもが真似る
ことを繰り返していると、
「直感的に秩序やルールに気づいて発展させる」能力が育ちにくいです。

かといって、好きなように遊ばせるだけでは、いつまでも遊びが進展しないまま飽きてしまいます。

私は、子どもが自分のしたいようにしている間は
邪魔しないようにして、「今、どのようなことに気づきつつあるのか」観察しています。
そして、飽きてきたころに、関心を持ちそうな見本をしるして、
遊びに誘います。
でも無理に教え込むことはしません。
そのとき、参加しなくても、いくつか新しい情報がたまっていくと、
次に子どもがひとりで遊ぶときには、子どもが作るものの中に、
私が見本でしるしたものも含まれてくるからです。
見本をしるすことで、ルールや秩序に対する敏感さが
増してきます。

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1つたった18円のエッジで積み木の世界が変わります ♪ 1

2009-08-03 21:44:18 | 積み木  ピタゴラスイッチ
コーナンで10個180円のエッジ。
非常に固い素材のダンボールなので、人が乗っても壊れません。
かなり長持ち♪

これを使うと、やってみたかった
積み木の斜めの積み上げや、
昔の集落作り
などが簡単にできてしまいます。

ちょっとうれしい発見です。

毎日バタバタしていて、メールのお返事ができていなくてすいません。
レッスンのお礼のメール……とてもうれしく読ませていただいています。
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お出かけのあとで知的好奇心を大きく広げる方法 1 (2歳10ヶ月のかいくんのレッスンから)

2009-06-27 17:52:27 | 積み木  ピタゴラスイッチ
もうすぐ3歳になるかいくんがパパやママと動物園に行ってきました。
その後のレッスンでの積み木遊び。

きりんさんにえさをやったときのシーンを
積み木で再現しています。
お出かけしたあとで、印象に残ったことを遊びの中で再現するようにすると
語彙も考える力も格段にアップします。
きりんのえさやり遊びをしながら
「なが~い、なが~い舌がべろ~ってね」とかいくん一生懸命説明しています。

動物園に実際行ってみると、動物はえさを食べたり、寝ていたり、じゃれていたりとさまざまな動きをしています。写真で見るのとまったく異なるさまざまな記憶が子どもの中で錯綜します。
動物のしぐさ、におい、しっぽの形、おりの様子。暗い場所にいる動物、水の中にいる動物。

3歳近くなるとそうした記憶を再現する形の積み木遊びに、
鏡、ミラーシート、じしゃく、ピタゴラスイッチのような板、ゴムなどを
取り入れておもしろい仕組みを体験しながら遊ぶと楽しいです。
ペンギンの氷の国に鏡を使ったり、えさの運搬にじしゃくをつかったり……

この日、かいくんに一番ヒットしたのは、空中を移動する
ブロックのゴンドラ。
本物のロープウェーを体験してきたそうです。
遊びながら何度も楽しかった経験を思い出しているかいくんでした。
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もうすぐ2歳 IQを高めるレンガ積み木遊び 4

2009-06-13 08:02:00 | 積み木  ピタゴラスイッチ
この時期の子はのぞき穴も大好きです。
横からののぞき穴
縦からののぞき穴を交互に作ります。

立体的に物を把握する力がつきます。

お母さんと子どもで
むこうとこちらでのぞきあいます。

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