虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

抽象的な概念を学ぶこと と 「わからない」を保つこと

2014-05-31 08:50:30 | 国語


小5の★ちゃんが、中学入試をするというので、

志望校の国語の受験問題を解いてもらって、一緒に答え合わせをしながら

解き方について会話を交わして、理解を深めていく手助けをしています。

★ちゃんは理解力があって物覚えもいい子です。

素直で勉強に対する意欲もまずまずです。

読書家で、言葉についてよく知っている★ちゃんですが、中学入試の国語問題で

問われる抽象的な言葉は、難しすぎるようで困惑していました。

先日も、「偽物の正義感」という言葉が表わす内容を抜き出す問題で、

「偽物」という言葉と、「正義感」という言葉の辞書的な意味がわかった後にも、

文の中で表現されているどのような行為が、「偽物の正義感」にあたるのか、

ピンとこないようでした。


★ちゃんの志望校の国語の読解問題は、大人向けの本の脳科学や生物の多様性の

話題が取り上げられるなど、難易度が高めです。

それでも★ちゃんは、国語の読解の際に

「肯定的なイメージで書かれている場所」と「否定的なイメージで書かれている場所」

を見分けて、文の内容がぼんやりとしかわからないときも、適切な答えを選んだり、

文を抜き出したりできるようになってきました。

こんなふうに試験で良い点を取るためのコツをマスターするのが上手な★ちゃんですが、

★ちゃんのお母さんは、日常生活で何かに疑問をもつとか、

納得できない事柄で悩むとか、

「わからない」ことを長い期間、保つようなことがほとんど見られない★ちゃんの様子を

少し気にかけておられて、次のようにおっしゃっていました。

「素直で要領がいいのはいいことではあるのですが、いつも あまりにあっさりと相手の

意見に同調してしまうし、日常生活で問題が起こっても、すぐに他人の意見を聞いて

納得してしまうので心配です。

その場でぶつかった問題は、無理があっても、中途半端な理解でも、その場、その場で

終わらせたいようで、問題を引きずるのが何よりきらいなようなのです。

そのおかげで、集団の場では協調性があるし、

確かに試験の成績は伸びてはいるのですが、いいことばかりでもないのです。

「こういうときはこんなふうに解けばいい」という方法を暗記して解くので、

どうしても問題の表面をさらっていくような解き方で、

ちょっと異なる問い方をされると、基本中の基本とも言える概念が

わかっていないという場合がほとんどなのです。

★は小さい頃から育てやすくて、何でもすぐにマスターする教えやすい子でしたが、

今、その性質がネックになって、本当の理解に達するまで考えていく力が

失われているように感じます」。


★ちゃんのお母さんの心配ごとは、

優等生の子の親の贅沢な悩みのようにも聞こえるかもしれません。

でも、「まったく見過ごしていてもいい、放っておいてもいい」とも思えません。

現に、入試の国語で出てくる抽象的な言葉を学ぶとき、

これまでの★ちゃんのやり方が通用しなくなりつつあるのです。

というのも、抽象的な言葉が指すものは、

「暗記したらおしまい」という一つの意味と結ばれるわけではないからです。

同じ「正義感」という言葉も、

こちらの文章では、このような場面にこのような態度で発揮されていたけれど、

別の文章では、心の中に秘めている思いとして表現されていたり、

明るく肯定的な意見で使われていたかと思うと、皮肉っぽく自己卑下するような

言葉の中で使われていることもあるのです(「ぼくの薄っぺらな正義感」など)。

そうした複雑で多様でさまざまな意味を含んでいる抽象的な概念の理解は、

日常の暮らしの中で「悔しいな」って思ったり、納得できなくてもんもんとしたり、

悲しくて胸が張り裂けそうになったり、

喜びで舞い上がりそうな気持ちになったりしながら、

自分の内面で言葉を練ることを通して発達していきます。

勉強では、理解をするときや記憶するときには集中しても、

ほかの場面で、いつもその場に流れる空気に同調するだけで、自分の考えを持たないで

過ごしていると、「答えが一つ」ではない問題を解く力が育ってこないのです。


★ちゃんは、ひとつ年下の☆ちゃんと一緒にレッスンしています。

☆ちゃんは、★ちゃんとは正反対ともいえる性質の子で、本気で考えているわりに、

すんなり「わかった!」という状態に至ることはめずらしく、

何ヶ月もわからないまま問題を置いていることがよくあります。

算数の文章題を解く際には、少しでも納得できない点があると、

「わからない」と言って考え続けているので、なかなか先に進めないときがあります。

そんなふうに☆ちゃんは、★ちゃんの「得意」としている素早く理解し

マスターするという面で、「苦手」があります。

でも、それは悪いところばかりとは言えず、

「わからない」と言い張るには、自分の頭でしっかり考えているからとも言えて、

☆ちゃんが「あっ、なんだ。そうだったのか、わかった」と言うときには、

その概念の非常に深い意味まで☆ちゃんの内面で消化されてもいるのです。


先日も、つるかめ算をベースにした買い物をする問題で、

数ヶ月前にはでたらめな式を立てて、間違えた答えを書きつづけていた☆ちゃんが、

自分の間違いを見直しながら、なぜ間違っているのか納得できないからと、

さんざんぶつくさこぼしていました。

が、見直しながら図を描いて考え込んでいた☆ちゃんが、「あーなんだ。そうか!

わかった、わかった」と言いだしたかと思うと、

同様のかなり難しい応用問題も解いてしまいました。

「ここが納得できない」「どうして、これがこうなるの?」

「なぜ?」「わからない」とさんざん「わからない」と格闘していた結果、

教わって、「こう解けばいいのか」と納得するよりずっと深い理解に達したのです。

もちろん、★ちゃんと☆ちゃんを比べて、

☆ちゃんの方が★ちゃんよりできるとかできないとか、

上とか下とかいう話ではないのです。

どちらにも長所があって、学習していく上で、一方に偏らず、どちらの良い面も

少しずつ取り入れていく工夫が必要だと感じているのです。

『「プロ編集者による」文章上達<秘伝>スクール』という本に、

文章を書くということについて、次のように書かれています。

これって、文章を書くことだけでなく、抽象的な概念について考えを練っていくときも

こういうところがあるな~と思ったので引用させていただくことにしました。
 
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それでも文章に関心がない人っている。

どうして、ものを書く人と書かない人が分かれるかっていう疑問があるよね。

すごく根本的に言って、うまくいろんなことに適応しちゃっている人は

そんなに書く必要を感じていないのね。そもそも。 

(略)

基本的にうまくいかないことを埋めていくために言葉って生まれていくんだけど。

で、どんどん自他が別れていくと、人間はいろいろ考えちゃうんだよ。

うまくいってる時には考えない。

例えば、ここにクーラーがついてればクーラーのことは忘れて、

ただ快適にいるわけだけど、クーラーが壊れていて暑かったら

「クーラーどうしたの?」という言葉が必要になってくるんだよね。

(略)

だから、自分の中でうまくいかないことを治療するために言葉ってのは

生まれてきてるんだよ。人の肉体が傷つくと血が出るでしょう。

それと同じように人がうまく世界とつながれないと、

そこに言葉が必要になってうまれてくるんだよ。

(『「プロ編集者による」文章上達<秘伝>スクール』 村松恒平
 メタ・ブレーンより)

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うまくいっているときには考えない……

確かにその通りなのでしょうが、

誰でもわが子が、悩んだり迷ったり、ミスして恥ずかしい思いをしたり、

欠如感を感じたりするような体験をさせないように手を尽くしがちですよね。

その結果、子どもたちは、問題や障害物にぶつかること自体がほとんどなくて、

何となくいつの間にか、真剣に考えることも、

自分に足りないものに気付いて、強く欲することもなしに

日々をやりすごしているのかもしれません。

虹色教室でも、子どもたちが、真剣な表情で

「ああでもない~こうでもない~」と言葉をひねり出しながら訴えてくるときは、

何か心に引っかかることがあって、納得していないときです。

☆ちゃんは、教室に着くなり、

「ねぇ、先生、聞いて聞いて。うちのクラスの~が……」と

学校の愚痴やら、何だか納得できない心に引っかかっていることやら、

これはおかしいんじゃない?と感じた出来事なんかを、話しだすことがよくあります。

それで、私は「へぇ~そうなの」とうなずきながら、よりくわしく説明してもらために、

「それはいつのこと?」「その時、どう思ったの?」「それなら☆ちゃんが、

運が悪いって言い方で表現するのは、カードゲームをするときに、

悪い札が回ってくるとか、くじびきをしたら外ればかり引くとかいうことなの?」

といった質問をします。

すると、☆ちゃんからは、「私は運が悪いけど、席替えのときに隣に座る子とか、

友だちは良い子ばっかりだから、そういう運はいいけど、

でも、ゲームの時の運は悪いのよ」などと返してきます。

そうしたときに、「なら、☆ちゃんの私は運が悪いって言葉は、遊びの中のゲームの

一部にだけ限定して言えることなの?」

「それなのに、私はいつも運が悪いと感じてしまうのは、事実ではなくて、

一部をすべてのように錯覚して使っているんじゃないかしら?」

というように、「限定」とか「事実」とか「錯覚」といった

まだ☆ちゃんには少し難しいけれど、会話の中で使っていると自然にどのような意味か

わかってくる抽象的な言葉も使うようにしています。

こうした私と☆ちゃんの間で交わされるような話は、同じ時間に通ってくる★ちゃんと

交わすことはこれまであまりありませんでした。

★ちゃんは、お勉強のできるしっかりした子ではあるのですが、

会話が始まると、すぐに「そっか~」「うん、わかった」「そだね~(そうだね)」

「そうそう、まあね~」とうなずくだけで、

ニコニコしながら満足そうに話を終わらせてしまうところがあるのです。

子ども同士でけんかになりそうなときも、「じゃ、いいよ。私は今度でいい」と

すぐに譲ってしまって、何事もなかったかのように過ごします。

周囲の人がアドバイスすると、「うん、そうしとく」とふたつ返事で納得します。

★ちゃんのお母さんは、★ちゃんにさまざまな体験をさせるように

気を配っていますが、何をするにも★ちゃんは上機嫌でうれしそうにこなすものの、

強く心に響くということもないようです。


★ちゃんは、幼稚園の頃から先生の期待するものをそのまんま取りこんで、

自分がやりたいことなのか先生の望みなのかわからなくなるほど、

良い子に振舞うことがよくありました。

それが小学校に上がってもずっと続いてきたために、文章は読めるし、

文法も漢字もわかるのに、文章の中で描かれている主人公の心の軌跡や、

抽象的な言葉が指している内容について、

どれほど具体的に説明されてもピンとこないところがあるのです。

あんまりものわかりのいい良い子もちょっぴり困ったところがあるものです。


算数の勉強のときも、「こういう問題はこのパターンで解けばいいのか~」といった

理解が早いので、根本的な問題の意味をつかまないうちに

解けるようになってしまうところが、★ちゃんの親御さんが気にかけていた

「問題の表面をさらっていくような」解き方になってしまうということなのです。


私は、★ちゃんに、国語で出てきた抽象的な言葉について、

それが表わす具体的な例をいくつか挙げて、

「ね、さっき説明したような偽の正義感を振りかざすような人がいたら、

今度教えてね。あっ、こういうの、偽の正義感だ。自分は道徳的に正しいことを

している態度を示しているけど、それって、何だかずるくないかな?って

ことを言ったりしたりする人がいないか、いろんな人を観察してきてね」

という宿題を出しました。

算数の勉強では、やったけどわからないから、その日はわからないまま置いておいて、

自分の頭のなかでじっくり考えてみることを大切にするように伝えました。

 

★ちゃん、素直ですから、そんなややこしい課題にも、

「うん、わかった。やっとくねぇ~」と明るい返事でした。


 


中学入試に出てくる難解な国語の文章や言葉を目にすると、
 
「そんな難しい言葉が出てくるようになるのか」とびっくりして、
 
「それなら、早めに辞書を引く習慣を身につけさせておけばいいの?」
 
「幼いころから、難しい言葉の意味を教えていけばいいの?」
 
と感じた方がいらっしゃるかもしれません。
 
そうして、大人が知識を与えて、それに自分の意見をはさまずに素直に
 
吸収するほど、幼いころは賢く見えるし、学習を先に進めることができます。
 
でも、そうすればそうするほど、
 
子どもは現実の世界で自分が理解できないことにぶつかっても、
 
「大人が正しい答えを教えてくれるから、自分の頭を使って考える
 
必要はない」という態度を示すようになります。
 
それか、本に正しい答えが書いてあるから、
 
苦労して自分で「ああかな~こうかな~」と考えて、
 
間違えるくらいなら、「何も考えないようにして、暗記した方が得」と
 
感じるようになったりします。
 
子どもは子どもの脳の仕組みを使って、自己中心的に物事を考えて
 
いきますから、
 
正しいか正しくないかという大人の世界の尺度で測れば、
 
たいていでたらめで間違っています。
 
でも、そうやって、子どもが自分の頭で考え、
 
自分の言葉で練った内容というのは、
 
子どもが自由自在に自分の内面の世界を歩き回る際の
 
地図の役割を果たしてくれもいるのです。
 
たとえば、仲良しの友だちが別の子にいじわるされているのを見て、
 
「どうしたらいいのかな?」って自分の中でさんざん迷って、
 
勇気を出してお友だちを助けてあげたという体験があるとします。
 
すると、子どもの内面には、「正義感」という言葉や「勇気」という
 
言葉の概念を理解するために元となる体験が、一つ蓄積されたことに
 
なります。
 
でももし、大人が「こういうときは、こうするんですよ」と教えることを
 
徹底しすぎて、お友だちのいじめを見た子が反射的に
 
「先生~○○くんが悪いことしてる~」と言いつけて、
 
あとは大人の仕事と考えて、すぐに自分の遊びに戻ったとすると、
 
同じ体験にぶつかっても何も残らないかもしれません。
 
もちろん大人の助けを借りなければならない場面というのはあるのです。
 
いじめも早めに芽を摘んでおかなくてはならないものでしょう。
 
でも、そうして、子どもが直接体験して、
 
自分で考える体験を奪ったら奪っただけ、
 
それ以外の場所では、大人は一歩、控える必要があると思うのです。
 
何から何まで大人が口をはさんで、決めてしまったのでは、
 
いったいいつ、子どもは、「正義感」とか「勇気」とか「罪悪感」とか
 
「憧れ」とか「欲求」とか「自覚する」といった言葉のもとになる体験を
 
自分の中にためていくのでしょう?
 
大きくなって、そうした言葉に出会ったとき、
 
「ああ、私がいつまでもごねていて、
 
しまいに夕ご飯いらないって言ったときの気持ちが、本の中の……
 
自分の気持ちと折り合いがつけられなくて、わけもなく執拗に……って
 
言葉が表わしているのと一緒かな?」と察するためには、
 
それまで生活の中で、感情を通して味わったさまざまな体験が
 
たくさん必要なのです。
 
大人は、子どもに指示を与えたり、答えを教えたりするよりも
 
一対一でじっくり会話をする時間を設けて、
 
子どもの話にじっくり耳を傾けるようにすると、
 
より体験が子どもの中で深まるのではないでしょうか。



国語のテストで0点近い点数を取ってしまうことが……(発達の凹凸のある子のレッスンで)

2013-07-06 07:09:50 | 国語

 

過去記事です。

発達に凹凸のある小学1年生の★くん、2年生の☆くんのレッスンの様子です。

 

★くんのお母さんから、このところ国語のテストの文章が長くなってきたので、

読むのが面倒なのかテスト自体を放棄してしまうため、

0点近い点数になってしまう……という相談をいただきました。

そこで、

今回の学習時間には、前回に引き続き

国語の長文問題を解いてもらうことにしました。

(国語の話題は後から書かせていただきますね)

 

★くんも☆くんも、工作が大好きです。

ふたりとも「こういうことをしよう」とイメージしたり、

どのような手順で取りかかるのか計画したり、状況を把握しながら

柔軟に物事に取り組んでいくことをかなり苦手としている子たちです。

でも工作に親しむうちに、

工作やブロック遊びの中では、目標に向けて計画を立てて、準備から完成まで

自分の力でやり抜く力がついてきました。

 

☆くんは1年生の後半くらいまで、

ちょっとでも手間がかかりそうだったり、頭を使わなくてはならないような

活動を嫌がって、ゴロッと横になったり机につっぷしたままになってりして、

「え~やりたくない~」と言い続ける癖がありました。

 

自分の好きな遊び以外、何をするにも消極的なものですから、

「やりたくないからやらなくて、やらないからできない、できないからやりたくない」

という悪循環に陥っていました。

 

それが、1年生の終わり頃から、

工作やブロック遊びがだんだん楽しくなってきて、お家でもよく作るようになり、

学校でも先生やお友だちから「工作上手」と一目置かれるようになってきました。

 

工作に関して、自信がついてきた○くん。

急に、それまで嫌がって避けていたことも

積極的にやりたがるようになってきました。

ゲーム類もそのひとつ。

「ゲームをしようか?」と誘うと、初めてする少し難しそうなゲームでも

「する!する!」と大乗り気でした。

 

 

今回は、えれめんトランプとマティックスという計算ゲームをしました。

どちらも初めてのチャレンジですが、楽しく遊べました。

↑★くん、☆くんの自信の源となっている

「自分の中でイメージしたものを、アウトプットできる」という技能です。今回は、戦隊物のカードを作っていました。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それでは国語の学習の様子を……。

 

★くんは知力が高く語彙力もある子です。

ですから1年生のテストが全然わからない、ということはなさそうです。

 

ただ★くんの能力には大きな凹凸がありますから、

国語のテストの形式が★くんの凹にあたる苦手な作業を含んでいる

ことが考えられました。

★くんは、何でも白黒つけたがるところがあります。

何をするにも0か100かで両極端。

 

「難しそう」「面倒くさそう」と感じた時点で、取り組むのを放棄して

白紙に近い答案を出しているのかもしれません。

 

そこで、★くんと☆くんに最レベの国語問題集の小学2年生の最高レベルの問題を

プリントして自分たちで解けるところまで解いてもらうことにしました。

 

どうして国語のテストを白紙で出してしまう★くんにまで、

2年生の難しい問題を用意したのかというと、

ある程度、読む文章が長くて、問われていることの種類が多彩でないと、

どこでどのようにつまずいているのかはっきりしないし、解き方のコツが身につきにくくもあるからです。

 

ただ漢字については習ってないものはできませんから、先に教えておきました。

 

☆くんは少し前まで語彙量の少なさが気になっていた子です。

前回のレッスンでそうした語彙量の少なさを補うために、お家でする取り組みについて

☆くんのお母さんと話しあいました。

<前回のレッスンの様子です>

国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 1

国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 2

国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 3

国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 4

国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 5

 

このレッスンから2ヶ月半ほど、毎日ではないものの

公文式の小学ドリルの『文章の読解』と

『ちょっと難しい1000の言葉』をお家でしているうちに、

語彙の意味を推測する力がついてきて、

国語の問題が解けるようになってきたそうです。

 

確かに、☆くんは今回テストした国語の読解問題を解く時も、

以前はつまずいていた「どこで」や「なぜ」や「だれと」といった質問に対して、

ちゃんと正しい答えを書きこんでいました。

 

★くんにしても、最初はどこから読み始めたらいいのか、どこから手をつけたらいいのか

混乱していたのですが、

解いていく時、どこを読めばいいのか、わからない時どんなことをすればいいのか

話合った後からは、自分で最後まで解いていました。

 

 

普段の会話では

自分の思っていることを的確に表現することができる★くん。

長文の読解問題も1学年上のものでも

これといったわからない問題はないようでした。

 

でも、いったん「わからない、わからない」と言いだすと、

「問題を読み返せばいいんだな」とか、

「わからない問題は飛ばして、次に進めばいいんだな」といった判断が

できなくなって、

パニック状態に陥るところはありました。

 

そうかと思うと、「わからない時は、どうすればいいんだった?」

「どこらへんに問題の答えがあると思う?」と問うと、

「ここらへんを……」と言って、問題文を指したかと思うと、

「わかったわかった」と続きを解き始めます。

 

★くんは、知的な能力は高い子なのですが、

見本通りに図や文字を写していくといった

アウトプットしていく力が極端に弱いことは、

病院で受けた知能検査の結果からも指摘されています。

 

そうした凸凹ゆえに、頭では理解できていても、できない、ということが

あれこれあるのです。

でも学校に支援をお願いしても

凸凹の凸部分の知能の高さを理由に

困り感に対応してもらえずにいるそうです。

外からは、「できるのに怠けているだけ」「わかっているのに反抗しているだけ」にしか

見えないのですよね。

 

虹色教室でも、すぐに効果がでるようなサポートはできないのですが、

「実際に長文問題を解いてみてできた」とか

「わからないと思って、困ってしまったけれど、落ち着いて、こういう風にしたらできた」といった成功体験

を積ませて、

見ただけで拒絶することがなくなるように

導いていこうと思っています。


言葉の力を伸ばすちょっとしたコツ

2013-07-02 15:35:38 | 国語
言葉の力を伸ばす ちょっとしたコツを紹介します。

よく似ていて、少し違うという物を2つ用意して
どこがどう似ているのか、どう違うのか説明させます。

このように良く似ているものは、ていねいに観察して、
色やサイズや質感や形などさまざまなことを表現できなくては言えません。

語彙の数が少ない子は、
物を見るとき、サッと見て、ワンパターンの表現をしがちです。

似ているものの違いとなると、

象=鼻が長い 大きい

といったワンパターンな表現ができないため、
よりていねいに説明する習慣がついてきます。

よく似ててちょっと異なるふたつ……
おばけとゆうれいはどこが似ているでしょう?
どこが違うでしょう?

携帯電話とパソコンはどこが似ているでしょう?どこが違うでしょう?


大人にとっても言葉と頭のトレーニングになるものが多いですよ。

作文を書く力を育てる遊び

2013-03-03 08:25:14 | 国語
写真は 小学1年生入学準備号のふろくのかるたで遊んでいるところです。
学校での生活シーンのイラスト満載で
作文指導に役立ちます。

遊び方は まずカードを見て
ひとりがイラストの説明をします。

レッスンでは


6歳の女の子が左上のカードを指して「しずかちゃんが掃除しています。」と言いました。
そこで 私は「しずかちゃんが ほうきでお掃除をしています。
ほこりがもうもうと立ちました。」と 少し文を長くして
言い直しました。
すると女の子は「しずかちゃんが ほうきで教室を掃除しています。
ほこりが立ちました。目が少し痛くなりました。」
とさらに文をくわしくしました。
次は私の番です。
「掃除の時間です。しずかちゃんは ほうきで教室を掃除しています。
ほこりがもうもうと立ちました。
目や鼻がむずむずとかゆくなりました。」

そんな具合に 文を少しずつ膨らませたり くわしい表現に変えながら
文章作りのトレーニングをしています。

いきなり作文用紙を与えるよりも
まずすらすら言葉が組み立てられるようになる方が
文章は上達します。
あまりルールに縛られず
たくさんヒントを与えてあげながら
遊んでくださいね。

国語のテストで0点近い点数を取ってしまうことが……(発達の凹凸のある子のレッスンで) 2

2013-02-27 17:15:51 | 国語

普段の会話では

自分の思っていることを的確に表現することができる★くん。

長文の読解問題も1学年上のものでも

これといったわからない問題はないようでした。

 

でも、いったん「わからない、わからない」と言いだすと、

「問題を読み返せばいいんだな」とか、

「わからない問題は飛ばして、次に進めばいいんだな」といった判断が

できなくなって、

パニック状態に陥るところはありました。

 

そうかと思うと、「わからない時は、どうすればいいんだった?」

「どこらへんに問題の答えがあると思う?」と問うと、

「ここらへんを……」と言って、問題文を指したかと思うと、

「わかったわかった」と続きを解き始めます。

 

★くんは、知的な能力は高い子なのですが、

見本通りに図や文字を写していくといった

アウトプットしていく力が極端に弱いことは、

病院で受けた知能検査の結果からも指摘されています。

 

そうした凸凹ゆえに、頭では理解できていても、できない、ということが

あれこれあるのです。

でも学校に支援をお願いしても

凸凹の凸部分の知能の高さを理由に

困り感に対応してもらえずにいるそうです。

外からは、「できるのに怠けているだけ」「わかっているのに反抗しているだけ」にしか

見えないのですよね。

 

虹色教室でも、すぐに効果がでるようなサポートはできないのですが、

「実際に長文問題を解いてみてできた」とか

「わからないと思って、困ってしまったけれど、落ち着いて、こういう風にしたらできた」といった成功体験

を積ませて、

見ただけで拒絶することがなくなるように

導いていこうと思っています。

 

 

 

 

 


国語のテストで0点近い点数を取ってしまうことが……(発達の凹凸のある子のレッスンで)

2013-02-27 13:39:53 | 国語

発達に凹凸のある小学1年生の★くん、2年生の☆くんのレッスンの様子です。

 

★くんのお母さんから、このところ国語のテストの文章が長くなってきたので、

読むのが面倒なのかテスト自体を放棄してしまうため、

0点近い点数になってしまう……という相談をいただきました。

そこで、

今回の学習時間には、前回に引き続き

国語の長文問題を解いてもらうことにしました。

(国語の話題は後から書かせていただきますね)

 

★くんも☆くんも、工作が大好きです。

ふたりとも「こういうことをしよう」とイメージしたり、

どのような手順で取りかかるのか計画したり、状況を把握しながら

柔軟に物事に取り組んでいくことをかなり苦手としている子たちです。

でも工作に親しむうちに、

工作やブロック遊びの中では、目標に向けて計画を立てて、準備から完成まで

自分の力でやり抜く力がついてきました。

 

☆くんは1年生の後半くらいまで、

ちょっとでも手間がかかりそうだったり、頭を使わなくてはならないような

活動を嫌がって、ゴロッと横になったり机につっぷしたままになってりして、

「え~やりたくない~」と言い続ける癖がありました。

 

自分の好きな遊び以外、何をするにも消極的なものですから、

「やりたくないからやらなくて、やらないからできない、できないからやりたくない」

という悪循環に陥っていました。

 

それが、1年生の終わり頃から、

工作やブロック遊びがだんだん楽しくなってきて、お家でもよく作るようになり、

学校でも先生やお友だちから「工作上手」と一目置かれるようになってきました。

 

工作に関して、自信がついてきた○くん。

急に、それまで嫌がって避けていたことも

積極的にやりたがるようになってきました。

ゲーム類もそのひとつ。

「ゲームをしようか?」と誘うと、初めてする少し難しそうなゲームでも

「する!する!」と大乗り気でした。

 

 

今回は、えれめんトランプとマティックスという計算ゲームをしました。

どちらも初めてのチャレンジですが、楽しく遊べました。

↑★くん、☆くんの自信の源となっている

「自分の中でイメージしたものを、アウトプットできる」という技能です。今回は、戦隊物のカードを作っていました。

 

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それでは国語の学習の様子を……。

 

★くんは知力が高く語彙力もある子です。

ですから1年生のテストが全然わからない、ということはなさそうです。

 

ただ★くんの能力には大きな凹凸がありますから、

国語のテストの形式が★くんの凹にあたる苦手な作業を含んでいる

ことが考えられました。

★くんは、何でも白黒つけたがるところがあります。

何をするにも0か100かで両極端。

 

「難しそう」「面倒くさそう」と感じた時点で、取り組むのを放棄して

白紙に近い答案を出しているのかもしれません。

 

そこで、★くんと☆くんに最レベの国語問題集の小学2年生の最高レベルの問題を

プリントして自分たちで解けるところまで解いてもらうことにしました。

 

どうして国語のテストを白紙で出してしまう★くんにまで、

2年生の難しい問題を用意したのかというと、

ある程度、読む文章が長くて、問われていることの種類が多彩でないと、

どこでどのようにつまずいているのかはっきりしないし、解き方のコツが身につきにくくもあるからです。

 

ただ漢字については習ってないものはできませんから、先に教えておきました。

 

☆くんは少し前まで語彙量の少なさが気になっていた子です。

前回のレッスンでそうした語彙量の少なさを補うために、お家でする取り組みについて

☆くんのお母さんと話しあいました。

<前回のレッスンの様子です>

国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 1

国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 2

国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 3

国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 4

国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 5

 

このレッスンから2ヶ月半ほど、毎日ではないものの

公文式の小学ドリルの『文章の読解』と

『ちょっと難しい1000の言葉』をお家でしているうちに、

語彙の意味を推測する力がついてきて、

国語の問題が解けるようになってきたそうです。

 

確かに、☆くんは今回テストした国語の読解問題を解く時も、

以前はつまずいていた「どこで」や「なぜ」や「だれと」といった質問に対して、

ちゃんと正しい答えを書きこんでいました。

 

★くんにしても、最初はどこから読み始めたらいいのか、どこから手をつけたらいいのか

混乱していたのですが、

解いていく時、どこを読めばいいのか、わからない時どんなことをすればいいのか

話合った後からは、自分で最後まで解いていました。

 

 

次回に続きます。

 


国語の接続詞の問題をどのように教えるか

2013-01-16 14:58:32 | 国語

国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 

に次のような質問をいただきました。

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今日の質問は、接続詞の問題をどのようにわからせたらよいのか、教えて頂きたいのです。

①と⑤の文章は固定していて、②、③、④を文章を読んで、並べ替える問題です。

①友達との交わりの中でこそ人は本当に成長します。
②しかし、その場合の自分はやはり子としての、又は  生徒としての自分にほかなりません。
③親も、先生たちも、もちろん、精神の成長にとって
 大切であることは確かです。
④まさに友達との間でこそ、人はお互いに完全対等の
  関係に身を置くことになります。
⑤肉親や先生に打ち明けられないことも、ここでは打 ち明けることができます。

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この問題は、書かれている内容や言葉がとっつきにくい、と感じる子が多いかもしれませんね。

 

もし、視線が問題の上を行き来するだけで、

さっぱりわかっていないようだな、と感じたら、

この問題文をコピーして、②③④の部分を切り取って、

「この3つの文を並べ替える」というイメージを

手の操作を通してわかるようにするといいかもしれません。

 

それから、「しかし」という接続詞がキーワードとなることを

話し、「しかし」に色をつけておきます。

 

その上でいったん問題から離れて、

「しかし」によって最初の文と後の文がひっくりかえることを

意識させながら、いくつか例をあげたり、

子どもにも問題を作らせてみます。

 

また、他の問題集等で、「しかし」によって

本当に文がその前後で逆の内容になっているか、

確かめながらおしゃべりします。

 

子どもが自分で気付いて、「ほら、ここが反対!」と言うようになるまで

ゆっくり例文に親しみます。

 

遠回りなようですが、これくらいゆっくりと前段階を踏んだ上でないと、

この並び変えの文章は難しいように思います。

 

子どもがしっかり「しかし」の前後の変化がわかったら、

 

②しかし、その場合の自分はやはり子としての、又は  生徒としての自分にほかなりません。


の前にある文を推測してみます。

「この前に何の話が書いてあるかな?

子としてのとか生徒としての……なんて書いてあるから、

子の反対?生徒の反対?何かな?」

「文から見つけてみる? そうそう、親とか、先生だね。

その文としかしの文をつないでもおかしくないか

確かめようか?」

 

という具合に話あって、

③親も、先生たちも、もちろん、精神の成長にとって
 大切であることは確かです。

②しかし、その場合の自分はやはり子としての、又は  生徒としての自分にほかなりません。


「どう?このふたつ、いけるね」ということになれば、③と②をテープで貼った上で

残りの④の位置をその前と後ろに置いてみて、

どっちがしっくりするか話しあいます。


その際、「まさに」という言葉の働きについて

子どもが気付くようにうながします。




何度教えても文字が書けるようにならない子に教える方法

2013-01-15 17:30:35 | 国語
文字の書きを教えるのは、絵を描く力が十分育ってからの方が良いと感じています。
絵が描けるようになるより先に文字を教えすぎると、
想像したり絵を描いたりするときに、
おきまりのパターンを繰り返したり、描く力が貧弱になったり、
絵の中に文字を書き込んで、全体のバランスが悪い絵ばかり描いたりするからです。
文字は就学後でも、書けるようになりますが、
すでにあるものを書き写すのではなく、目で見ているものを、
イメージしなおして絵で表現する力は、
後から身についてくるのは難しいようです。


ハンディキャップを持っている子のなかには、
親御さんから「何度教えても、いっこうに字が書けるようになりません~!」
という訴えを受けることがよくあります。

そこで、私がかわって、子どもさんにその覚えないという文字や絵を教えてみると、
何度も教えても覚えなかったという原因が見えてくることがよくあります。

その原因というのは、本当に 子どもにより、ハンディーにより
それぞれです。

「斜めの線を把握しにくい」という見ることや空間認知の問題ゆえに
文字が覚えられない子がいます。

ADHDの子や広汎性発達障害の子に多いですが、
相手の手元や手本を見ることに
集中できないため、覚えられないという子がいます。

数字の3
のような丸く弧を描く腕の動きができないために書けない子がいます。

どの地点で止まれば良いのか、最終地点を推測する力が弱くて、
書けない子がいます。

自閉症の子で、書くことへの意欲のなさから、書けない子がいます。

ADHDの子で、椅子に座る困難から書けるようになれない子がいます。

LDの子で、文字を目で判断する時点で困難を抱えてしまう子がいます。

アスペルガー症候群の子で、自己流の書き順にこだわり治らない子がいます。
DANP症候群の子などで、筆圧が弱すぎて、文字にならない子がいます。

何度教えてもできない…という場合、教え方が、
その子の最近接領域よりかなり離れている可能性が
あります。
教えたら出来そうな事を見つけて強化するのが、できるようにするコツです。

写真は、「数字の3
のような丸く弧を描く腕の動きができないために書けない子」に手作り
バトンを弧を描いて回す練習で、
丸く描くコツを筋肉の運動からマスターしてもらっているところです。
この子には、えんぴつで丸を書かせることは、最近接領域内にある
作業とは思えなかったので、この運動から
練習をスタートしているのです

★ひらがなが上手に書けません~どうすれば書けるようになるでしょう?
★ひらがなが上手に書けません~どうすれば書けるようになるでしょう? 2

国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 5

2013-01-02 11:10:33 | 国語

「国語の読解問題の答えは

問題文の中にある」ということが

なかなかピンとこない子がいます。

 

「はなさんのお誕生日は何曜日だったでしょう?」

 

「うさぎさんは、どうして泣いていたのでしょう?」といった設問に対して、

 

問題文も読まずに、

「火曜日?」「ちがうの?じゃ、水曜日?」といった答え方をしたり、

 

「痛いから泣いてたと思う」と文章の内容とはかけ離れた

泣いているから連想した考えを述べたりするのです。

 

そこで、「文の中に書いてあるから、

文章をよく読んでね」と言っても、

文字の上を視線が上滑りに滑っていって

読んでいるのか、読んでいないのかはっきりしない時もあります。

 

そんな時に便利なのが、

クーピーペンシルや色鉛筆といったアイテムです。

 

設問の「どこで」や「どうして」「だれが」「いつ」といった部分に

色をつけてから、

文中の中からその答えになる部分を探しだして同じ色を塗るのです。

 

色を塗るという視覚的にわかりやすい行動をつけくわえてはじめて、

設問の答えって

自分で思いついたことを言うんじゃなくて

文章の中に書いてあるのか、

と身体で気づく子たちがいます。