虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

工作をするだけで、算数が得意な子になっていく方法

2021-11-03 20:06:48 | 算数

子どもたちと工作をするとき、私はごく自然に「算数の世界で学ぶ言葉」を使うようにしています。

工作では、箱や折り紙などをよく使いますよね。

そのある形や部分を指して、「○○を貸してちょうだい?」「○○と△△どっちがいい?」などたずねるときに、自然に、算数に関わる言葉を使うのです。


基本の基本は「形」を表す言葉。

「四角、三角、丸、だ円、五角形、正方形、長方形、二等辺三角形」などです。



たとえば、「四角い紙と、だ円の紙はどっちがいい?」などと使います。

立体を表わす「三角すい、四角すい、円すい、正20面体、立方体」などの呼び名も自然に使います。

また、子どもとのやりとりの中で、「長さ、高さ、深さ、浅さ、広さ、垂直、平行、直角、角度、拡大、縮小、重なり、○パーセント」などもどんどん使っています。

たとえば、「そこの面は、80パーセントくらいに色を塗ってね」など。



また、物差しや三角定規、分度器、コンパス、量り、メジャーといった道具も、2、3歳の子とする工作でも自然に使うようにしています。
(危険なものは、扱いや保管に注意しています)

子どもに教え込むことは一つもありません。
子どもたちは、自然に家の中のテレビや冷蔵庫といった名前を覚えますし、テレビのリモコンや電話の使い方を覚えますよね。
それと同じように、算数に使う道具の使い方や目盛りの読み方も、いつの間にか覚えてしまいます。

工作でそうした言葉に親しませるとき、無理矢理教え込むことは一切しない方がいいです。

何度も何度も工作で遊ぶうちに、子どもたちは、その言葉が何を表すのか、身体にしみこむように理解していきます。

物差しの目盛りの読み方にしても、ただ読めるだけでなく、単位の変換や小数点や分数の概念や、概数の意味まで理解していきます。

工作の世界では、「だいたい3センチくらいの紐がいる」ということがよくあります。
それは、概数について理解するチャンスです。

また、箱を切り開いて使用する工作をしていれば、頭の中で図を自動的に組み立てることができるようになります。
展開図を見るだけで、それが立体になるとどのような形になるのか、わかるようになってきます。



たとえば、3、4歳の子が、紙皿をちょっと切って工作するようなときにも、「円の中心が知りたいわ。丸い形のおへそよ。」と言って、2回半分の折って、交差する部分が円の中心にあたることや、半径がどれにあたるかを見せてあげることができます。

もちろん、教え込む必要はないのです。
ただ、工作で得る知識は、無駄な先取りにはならず、とても実用的ですから、「円の中心に穴を開けて、くるくる回る回転ずしを作りましょう」「半径の長さに、コンパスをグーンと広げてね、足が痛いよって言うかな?そして、くるんってバレエみたいに回ったら円が描けちゃうよ」といった会話にすぐに使っていけます。

もちろん、一度にたくさん使う必要はなく、もう1ヶ月、「毎日、毎日、紙皿で船作ってるわ」なんて時に、ついでに、水に浮かべるときに、「指の上に、円の中心のところを乗せて、そーっとそーっと動かしてみよう」といった楽しい誘いをしてみるといいですね。


100均のカレンダーで算数クイズ

2021-08-19 20:57:57 | 算数
大阪市立自然史博物館のアインシュタイン展に行ってきたという方から、
「教室のお子さんにはぜひ行って楽しんでほしい展示でした」と報告をいただいています。
コロナ禍でお出かけを控えておられる方が多いと思いますが、
ひとこと紹介だけしておきます。
 
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100均の透明ポケットの付いたカレンダーは、
計算を習い始める低学年の子にとっても
中学受験でカレンダーにまつわる問題を学んでいる子にとっても
学習に役立つアイテムです。
 

100円均のカレンダーで算数クイズという記事(鍵付きです)を

虹色オンライン算数教室のおまけブログで新しくアップしました。

(おまけブログとは、虹色オンライン算数教室を購入いただいた方に見ていただける鍵付きブログです。購入者の方が見る方法については、こちらの記事で書いています。)


具体物で体感する前に、プリントで覚えてしまうと、現物を正確に認識できなくなる?

2021-08-04 21:34:00 | 算数

日高敏隆氏の『生きものの流儀』という著書に興味深い話が載っていました。

簡単に要約して紹介しますね。

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著者が当時の成城学園小学校の先生だった庄司和晃先生からうかがった話です。

ある日、庄司先生は子どもたちに画用紙を配って「さあ、アリの絵を描いてください」と言ったそうです。たちまちイメージできたらしい子もいれば、まだイメージをさぐっている子もいたそうです。

できた絵を見ると、アリの身体は頭と胴体のふたつに分かれていて、人間がイメージしている「動物」の姿であって、たいていの女の子はそのアリにリボンまでつけていたのだとか。

次に庄司先生は、子どもたちひとりに1匹ずつ、「実物」のアリを渡して、「これがほんもののアリだよ。今度はそれをようく見て、アリの絵を描いてください。」と言ったそうです。

すると、驚いたことに、実物のアリを見て描いたはずの絵でも、その多くは依然としてアリは胴と頭、足は四本だったのだとか。

著者はそこに人間のイリュージョンというものの見たような気がしたということです。

どの子も実物はちゃんとまじめに見ているはずなのに、実物が自分の思っているように見えてしまい、それ以外のものは、存在しなくなっているのです。

庄司先生は、その後、「……よく描けてきたなあ。えらい、えらい。だけど、アリの体ってほんとに頭と胴体しかないのかい?」とか、「じゃぁ、その六本の足はどこに生えている?」といった会話を通した指導をして、もう一枚、子どもたちに絵を描かせると、子どもたちの絵はより正確なものになりました。(が、依然、赤いリボンをつけている子らはいたようですが)

「イリュージョンが修正されるには、これだけの手間が必要なのだ。しかも現実の生きたアリが手もとにいるのにである」と著者は人間の持っている錯覚や幻想のもつ意味と力が少し理解できるようになったと述べています。

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先に紹介した話で面白かったのは、実物を見た後で、最初の動物もどきのアリの絵から、頭、胸、腹、そして6本の肢という昆虫の姿に変化させることができた子というのは、一枚目の絵を何度も描いたり消したりしていた子どもの場合に多かったという著者の発見です。

何でも、一枚目の絵を太い鉛筆で自信満々、頭と胴、四本の肢と描いた子の絵は、実物を見ても何一つ変わっていなかったそうです。

 

この話を読んだ数日後の小学2年生の女の子ふたりのレッスンで、気になる出来事がありました。

この2年生の子たちは、もともと観察力があって、思考力も高い子達です。

そのうちの子のひとりは、2年生になったあたりから、長文を読んで理解する力が伸びて、中学入試向けの和差算や植木算や旅人算などもひねった問題でもテキパキと解けるようになってきました。

それで、これまでは虹色教室で月に1回、そうした問題に触れる程度だったのですが、お家でも最レベの最高レベルの問題を中心に予習をしてくるようになりました。

わたしはこの子がやる気と自信に満ちて学習に取り組むようになったこと自体はうれしくて、その意欲を大事に育んでいこうと感じた反面、ちょっと気になる態度が引っかかるようになってきました。

お家で学んでくる際に、正しい式を教わってくるようになったためか、問題を見たとたん、複雑なものでも数字を操作して、正しい公式で解こうとする姿が目立つようになったのです。

でも、少し前なら、紙に絵図を描いてみて、考えこみながら解いていたのが、問題を見たとたん、数を正しい公式にあてはめるようにさらさら解くようにもなっていたのです。

そこで、その子がお家ではしていない3年生の最レベの問題から、一部を取り出して、下の写真の図↓を描いて、緑色の線の部分、直径2センチの円の中心が描く線について、長さをたずねたところ、「18センチ?ん、20センチかな?」とでたらめなことを言いました。

何度もよく見るようにうながしても、緑の線が18センチの線より長いということや、20センチよりも短いということに気づけません。

この子は、本来、とても観察力があって、直観がよく働く子ですから、この線の違いに気づかないわけはないのです。

でも、「小学3年生のだと難しいに違いない」とか「やったことがない問題は解けないに違いない」とか「算数の問題は、そこにあるどれかの数字を言えばいいはず」といった思い込みが邪魔をするのか、素直に絵が見れなくなっていました。

 

難しい問題をさらさらと正しい式を立てて解けるようになると、周囲から「すごい~」という賞賛を浴びることが多くなります。

すると、子どもはうれしくて、がんばる意欲を見せるときがあるのですが、その時期の周囲の大人のフォローやサポートがとても重要だと思っています。

「すごい~」と言われることにばかり心が奪われると、絵図を描いて、試行錯誤して、自己流の間違った式を立てるより、「最初から答えを見て、暗記してしまえばいいじゃん」という態度に傾きがちになるからです。

そうした時に陥りやすいのは、意味を理解せずに、「こういう言葉が出てくるこういう問い方の時は、この数からこの数を引いて、それにこの数をかければいいんだった」といったわからないままに丸飲みするように解く癖がつくことです。

そういう癖がつきはじめている時の危険信号は、現物を見ているのに、自分のなかのイリュージョンに自信を持つあまりに、現物を正しく見ることができなくなっているという状態だと感じています。

線が長いか短いか、素直に見るならすぐにわかるのに、「前にどんな解き方だったかな?」と記憶をさぐる作業に忙しくて、目の前のものが見れなくなる場合があるのです。

 

もちろん、意欲的に学習し、長い文を理解して解く力が伸びること自体はいいことで、それを認めて、褒めて、大事にしてあげなくてはなりません。

でも、その時に、子どもが問題を自分で具体物を操作して説明できるほどわかっておらず、自分で絵図をきちんと描いて、自分の間違いを修正できるほど成長していないにも関わらず、式さえ暗記すれば、そちらが正しい答えなんだよ……と教えこんでしまうことは危険なことだと思うのです。

正しい式を覚えるのは、まず問題の意味が正確にわかって、自分で自在に操作できるようになってからで十分で、わかりもしないのに、正しい式だけかけるようになると、自分がわかっていると錯覚して、さっぱり応用のきかない力をつけてしまうからです。

 

前回の記事にe-com子育ての羊先生から次のようなコメントをいただきました。

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ヒトの五感というのは脳で処理をする過程で、

記憶や経験に影響されるというのを聞いたことがあります。

アリの絵の話は、ヒトが見たいものを見るという例ですね。

実はまだブログでアップしていない記事で、公式をわすれたから解けないという生徒の話を書きました。

公式から離れて考えれば持てる知識で解けるのにです。

「正しい解法」という枠に囚われている生徒が多いように感じます。

その原因を作っているのは大人なのですね。

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羊先生のブログで、

現実の中から何かを引き出す訓練=学習

という記事を読んでとても共感しました。

京都産業大学の永田和宏教授の 「今の若い人は、現実の世界から何かを引き出すという訓練を全く受けていませんね。」という指摘からはじまる考えさせる文章や、JT生命誌研究館館長 中村桂子氏の「教育や学問では一人一人の状況に応じて対象から引き出すものが違ってくるところが大事なのに、どんな子供も同じことから同じものを引き出すように仕向けている風潮がありますね」というこちらも現在の教育問題の急所を突く指摘と取り上げて、羊先生がわかりやすく解説してくださっています。

ぜひ、ブログに遊びにいってくださいね。

 

前回の記事で、教室の子が意欲的に学習に取り組むようになると同時に、目の前の事実が素直に眺められなくなる事態が起こったという話を書きました。

「デジタルからデジタルへ」情報を変換することを覚えるほど、目の前の現実の世界や自分が向き合っている対象を正しく読み説いて、そこから価値ある何かを生み出していくことは難しくなりがちです。

でも、だからといってプリントや本で学んだり、その子の能力を超える概念に触れたりすることが悪いわけではないはずです。

 

羊先生がおっしゃる通り、「正しい解法という枠に囚われるあまり、公式を忘れると解けなくなるような原因を作る」 大人の態度に問題があるのではないでしょうか。


幼児期に体験しておくと、算数が得意になること

2021-06-16 09:38:38 | 算数

幼児期、“ある遊び”をした経験の量で、4年生以降の算数を解く力が全然違ってくるな~と感じています。

その遊び……しっかりしている子は、
小学校低学年であっても、高学年の問題も、自分でひらめいて解いていくことが多いです。

どんな遊び??

と気になりますよね。

ままごとの延長線上にある、分ける遊びです。
それも大人に教わりながら、分けるのでなく、

ただ皿があるから、あっちやりこっちやり、ジャラジャラ……

大玉ビーズや豆やどんぐりやビー玉を本能的に、感触を楽しんで分ける行為です。

外では砂や小石もいいですよね。

おやつの時間にはお菓子を分ける。
そこでも教えるというより、自分でいろいろやってみることが大事で、
何か大人が教えよう気づかせようとフォーカスすると、体感してわかることが減ってしまいます。

この「分ける」遊び、どのような先の学習に結びついているのか
小学校で習うことと、中学入試の問題から例をあげていきますね。

たとえば、「平均」を出す問題。

平均とはつまり、↓の写真のように、



皿にいくつかずつ入ってて、

いったん、ごちゃっと集めて、

もとの皿に同じ数ずつ分けなおす

という行為です。
それが、85点とか70点で計算するわけですから、
どんぐりが85個とか70個とか、い~っぱいあるというだけで、
あとは上と同じ作業をすればいいのです。

もちろん、教えるときに何十個もどんぐりは必要ないのですが、
それより、
「分ける」「集める」「分けなおす」
といった算数の大きな枠になる部分がピンとくるかどうか……は、幼児期の体感にかかっている気がするのです。

教室では、幼いうちから、計算プリントをしてきた子たちが、体感が抜けているために、中学の計算もできるのに、幼児がささっとわかることがいつまでもわからない~
新しい文章題になるたびに、公式の暗記で解いていくので、応用がきかない~
という問題にぶつかるのを良く見かけます。

この算数に必要な体感というのは、
たとえば、高いところから飛び降りたことがあるかどうか……の感覚に似ています。
目で見れば、あの高さならいける!
あの高さはひざにひびく~
あの高さは危険……ということが、体験がたくさんある人にはわかりますよね。

でも何センチが飛べて~とプリントで習うと、地面が傾いていて危険なところで飛んでしまったり、メジャーがないから飛べないと思ったりするのではないでしょうか?

今日は4歳児さんたちのグループレッスン。
女の子3人組さん、毎回、頬が緩みっぱなしのかわいらしさです。
このごろ、少しだけお菓子を持参しているので、いっしょにお菓子を分け合う時間は、すごく楽しくて大事な学習時間です。
3枚のおかしを「★ちゃん、☆ちゃん、私でわけるのよ」と○ちゃんが言ったので、
「4枚だったら、どうしよう?」とたずねると、
「★ちゃん、☆ちゃん、私、先生」と答えます。
「先生はいらないから、3つに割って★ちゃん、☆ちゃん、○ちゃんにあげるね。ひとり、1と3分の1ずつになるね」と言うと、
「そう、1つと、3つに割ったのの1個ずつ」とうなずきました。
お菓子を食べながら、それそれのお母さんやお父さんお留守番の赤ちゃんにも
みんなお菓子を配ったらいくつになるんだろう?」という話で盛り上がりました。
キャッキャと笑いながら計算してくれました。

 

平均算だけでなく、
算数のほとんどの文章題が、皿に分けるという感覚をベースにしているといっても過言ではありません。

割合の問題

1000円の3割は?
つまり、1000個のどんぐり(数)を10の並んだ皿に同じ数ずつ分ける
その3皿ですね。

1200円の40パーセントは?
つまり1200個のどんぐり(数)を100個並んだ皿に同じ数ずつ分ける、その40皿分ですね。

時速も同じ

時速5キロは 分速何キロメートル?
5キロをまず、5000メートルになおして……
5000個のどんぐりを1時間は60分だから、60個並んだ皿に分けた1つ分ですね。

兄は10歳 弟の2倍の年齢です。
弟は何歳?

兄は9歳 来年になると、弟の2倍の年になります。
今、弟は何歳?

といった文章題も、「分ける」感性で見てみると、写真↓の通り。



2倍の2皿側が10個なら、1皿はいくつ?
で解けますね。

下のものも、皿に1個ずつどんぐり増やすと、写真のような2倍の状態になったと考えられますね。

子どもにたっぷり遊ばせて、感性をにぶらせないことがとても大切です。

↑集合の問題は、こんな風に分けます。


てんびんクイズ

2021-05-10 21:36:31 | 算数
てんびんの問題は、実際にものを動かしながら解くと
1〜2年生の子達も楽しんでチャレンジできます。
 
 
問題1
下の写真のてんびんはつり合っています。
左の皿には、AA
右の皿には、8g
 
Aは何gでしょう?
 
 
 
<クイズ用のてんびんの作り方>
★材料
棒(てんびん用の棒は、新聞紙などを丸めて細い棒を作ったものでもいいです。)
紙皿
モール
折り紙
台紙
 
★作り方
チップは、ゲーム用のチップにセロテープを貼ってから上にマジックで記号を書いています。
(折り紙や段ボールで作れます。)
 
 
台紙になる厚紙(画用紙でもOK)に穴を開け、モールを通して、
棒の中央部分をとめます。
紙皿に穴を開けて、モールを通して棒の両端に取り付けるとできあがり。
 

虹色オンライン算数教室のおまけブログ(鍵付きです)で、

てんびんクイズの問題をいくつかアップしています。

(おまけブログとは、虹色オンライン算数教室を購入いただいた方に見ていただける鍵付きブログです。見ていただく方法については、こちらの記事で書いています。)


点対称な図形がかけない!

2021-04-18 22:12:09 | 算数

発達の凹凸がある子の中に、

「線対称な図形ならかけるけれど、

点対称な図形が何度やってもかけない!」という子らが

けっこういます。

虹色オンライン算数教室のおまけブログ(鍵付きです)で、

発達の凹凸がある子が6年の算数で苦手なところ 1

という記事を書きました。

(おまけブログとは、虹色オンライン算数教室を購入いただいた方に見ていただける鍵付きブログです。見ていただく方法については、こちらの記事で書いています。)

 

↑の記事の中で紹介している

マス目の上に物を置いてみる

点対称を探す遊びは、点対称を習う学年でない子もおすすめです。

パズルのように楽しむうちに、

点対称の図形をかく土台ができます。


異なる分母の足し算が理解できるようになる分数ゲーム

2021-04-12 09:28:01 | 算数

分母の異なる分数の足し算がわかるようになる
『ピザ(ケーキ)ゲーム』を紹介します。
オンライン教材では、3年生と、5年生の算数のところで取り上げていますが、
小学1年生くらいの子から遊べます。
分数をまだ理解していない子と遊ぶ時は、分母について、「同じに切り分けるよ」と言いながら、丸いピザを切り分ける真似をし、3分の2でしたら、「3つに切り分けたピースが2つだよ」という具合に、
3分の1のピースを分子の数だけ渡すようにします。
分数が少しでもわかってきたら、サイコロに合わせて自分で遊ばせます。

 

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<ゲームの作り方>

(基本の材料は折り紙と立方体です。
折り紙の代わりに、紙皿や丸いケーキの絵のついた柄付き折り紙を使ったり、
立方体の木片の代わりに厚紙や牛乳パックで立方体を作るのもいいです。)

線を引いた紙(下の写真を参考にします)

 

サイコロを作ります。それぞれの面に、数字や記号を書きます。
●  分母用さいころ初心者用(♡、⇔、2、3、4、6)
        上級者用(♡、⇔、2、4、6、9)

●  分子用さいころ(1、2、3、4、5、6の目)

●2分の1のピース6枚

●3分の1のピース 9枚

●4分の1のピース 12枚

●6分の1のピース 10枚

●9分の1のピース 10枚

 

<遊び方>

<1>  順番に分母用さいころ(♡、⇔、4、6、8、9の目)と

分子用さいころ(1、2、3、4、5、6の目)を振って、でた目を、

横線を引いた紙の分母と分子の位置にそれぞれおきます。

<2> さいころででた目で作った分数のピースをもらいます。

9分の6だった場合、9分の1のピースを6枚もらいます。

<3> 分母用のさいころで♡がでたときは、好きな分数のピースを

1枚もらいます。

⇔がでたときは、交換してほしい相手に、自分のいらない分数のピースと相手の持っている

分数のピースを交換してもらいます。相手は嫌でも交換しなくてはなりません。

そうして、自分の手番に集めたピースで

はじめにピザを3枚作った人が勝ちです。

 

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<ハートが出たら?>

3年生の男の子達のグループでこのゲームをした時、
Aくんは、分母のサイコロでハートが出て、分子のサイコロで3が出ました。
「ハートが出たら、どんな数字を入れてもいいんだよ」と言うと、
Aくんはしばらく悩んでから、

「3‥‥‥じゃなくて、1!」と言って、丸いままのピザを
3枚手にし、一緒に参加していた子達が、「わー!」っと歓声を上げました。


分母に小さい数を入れるほど、大きな数になるというのは、
なんだか実感が湧きにくいんでしょうね。

でも、3を入れると、3分の1のピース3枚分だけれど、1を入れると、丸いまま
ピザを手に入れて、いきなり優勝者になるという流れは、
子ども達にとって大きな驚きのようです。
問題集でこの手の問題が出てくると、
繰り返し間違えたり、なかなか理解しようとしない子が多いのに、このゲームで
一度でもハートが出ると、2度と忘れないからゲームの効果は大したものです。

 

<教室でこんなことに気をつけています>

学習ゲームを作る場合、
作る作業が学びにつながるようにしています。

子どもはその都度、その子が興味を抱いた1つのことに集中し、学びます。
興味を抱かなかったとしても、
一緒に活動している時、子どもにちょうどいいレベルの
考える課題を与えたり、新しい知識を教えてあげたりすることができます。

子どもと学習用のゲームを作る場合、
作る過程が長いと、遊ぶのが嫌になってしまいますから、
あれこれと欲張って教えるのでなく
その中の一つに絞って学べるようにしています。

 

分数ゲームを作る作業の中で学ぶアイデア

分数ゲームの後でするクイズ「5分は何時間?」という記事を

虹色オンライン算数教室のおまけブログ(鍵付きです)で新しくアップしました。

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長い間、ブログをお休みしていて申し訳ありません ♪

2020-09-05 19:47:49 | 算数

長い間、ブログをお休みしていて申し訳ありません。

ブログをやめたわけではないのですが、

孫が産まれお世話に通ったり、コロナの影響で教室を休む日が増えたり、

休憩時間のほとんどを趣味の物語を書く時間に費やしていたりで

なかなかブログを更新する時間が取れずにいました。

 

↓の写真。工作用のヨーグルトの空き容器がたまりすぎて……。

捨てるのならと、教室の子達と10ずつつないだものを5つつくり、

それぞれが連結できるようにしました。

一つの容器に一体ずつお人形を乗せていく

一対一対応の遊び用に作った乗り物ですが、

小学生の子達も遊んでいます。

1年生のAちゃんがせっせとこの容器にポケモンのお人形を乗せて

いた時、「入れ物は50個だから、1つに1人(1ぴき?)ずつ乗せていったら

50人入るよね」という話をしていたついでに、

「もし、一つに2人ずつ乗せていったら、全部で何人乗ると思う?」と

聞いてみました。

すると、自分なりの知恵を絞って考えるのが得意なAちゃんは、

ざっと容器全体を見渡して、「100人」と答えました。

「どうしてわかったの?」とたずねると、

「50まで一回全部入れて、もう一回全部入れたら、50を2回入れることになるから100になる」と

のこと。

「いい考えね。それ、2かける50と同じことよ」と言うと、「そっか」と

うなずいていました。

 

 

↓の写真は、小3のBくんが作った

ビー玉を転がしていく立体パズルの

オリジナル問題です。虹色教室には

とてもいろいろなタイプの頭脳パズルがあるのですが、

どんどんレベルの高いものを解いていって、

問題カードに、「ここまで解けました!」という名前を書いた札を

貼るのも楽しむ子達も多いですが、

Bくんのように自分で問題を作って

他の子に出題するのが好きな子達もいます。

市販のおもちゃもこうして工夫して遊ぶと楽しいです。

 

↓は年中のCちゃんが、

どうぶつしょうぎを真似して作った

きんぎょしょうぎです。

教室にあるゲームが気に入った子達が

家に帰って遊べるように

Cちゃんのようにゲームのコマを作って帰ることが

ちょこちょこあるんです。

自分で作ったゲームで家族と遊ぶのは楽しいですよね。


円周率を3.14は、ごはんのおかわり多めに3回と似ている

2020-06-27 22:46:22 | 算数

円周率を3.14と聞いたとたん、難しそう!という顔をする子に、

「だいたい3倍ってことよ。ごはんのおかわりを三回するの

3倍。ちょっとだけ多めのおかわり。だって、3.14だから」と

言うと、たいていの子は、笑顔になって、わかったという顔をします。

ものは言いよう。

 

円の面積と円周を教える時、セロテープの芯(全てなくなってなくてもOK)を用意して、

周りの部分だけと、面積の違いを視覚的に判断できるようにすると、

面積というのがピンとこない幼い子も理解しやすいようです。

 

セロテープの芯を見せて、

「周りのところだけだと、お家を建てられないね」と言うと、

広さってどういうことか、面積って何を指しているのか、

気づきやすいようです。

 

 

 

 


かけ算の意味がわかる手動機械

2020-03-03 23:01:25 | 算数

九九を学ぶ小学2年生たちはもちろん

3,4歳の子たちも大好きな

かけ算の意味がわかる手動機械を紹介しますね。

(機械は子どものアイデアを盛り込んで

毎回バージョンアップしているので、写真のものより

高機能になっています。

1つで2の段から9の段まで対応するようになりました)

 

作り方

上の写真のように画用紙に穴を開け、0~9のボタンを書きます。

出てくるベルトコンベアー用の長い紙と皿もいくつか用意します。

 

遊び方

「2の段の九九で注文します」というルールのもとでしたら、

「2つずつ2皿ください」と注文し、

機械の役をしている子がベルトコンベアーに皿を2つ乗せ、

2個ずつ小物を乗せます。

注文する側の人は、「2かける2だから、ににんがしですね」と言いながら、

機械の4のボタンを押すと、

ベルトコンベアーが動き出し(もちろん、手動です!!)

2ずつ2皿の注文品が出てきます。

他のかけ算も同様にします。

 

(おまけ)

年中のAちゃんが作ってきてくれた

回転ずし店のタッチパネル

高級なエビとふつうのエビのにぎりを

タッチで申し込めます。

お寿司は高速レーンで届きます。(想像の世界)