虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

小2の子どもたちと暗算が得意になる手遊び

2020-02-19 19:18:56 | 算数

小学2年生の子たちとこんな手遊びをしました。

指2本でチョキを作って、「半分に分けるといくつずつ?」と

問います。「1」という答え。

次に、指3本で、「半分に分けるといくつずつ?」とたずねて、

「1.5ずつだよ」と教えます。

それからは、指4本、指5本と増やしていって

「半分に分けるといくつずつ?」とたずねていきます。

小数は初めてという子ばかりでしたが、

すぐに理解して、「9を半分に分けるといくつずつ?」とたずねたら

「4.5」と答え、「11を半分に分けるといくつずつ?」とたずねたら

「5.5」と答えていました。

 

こうやってどんどん大きな数の半分にチャレンジします。(二人分の指を全て使い終えた

後は、言葉だけで半分クイズを)

 

この記事は虹色オンライン算数教室のおまけブログでもアップしています。

(おまけブログとは、虹色オンライン算数教室を購入いただいた方に見ていただける鍵付きブログです。見ていただく方法については、こちらの記事で書いています。)

おまけブログには、この遊びをもう少し発展させる方法も

紹介しているのでよかったら見てくださいね。


100円グッズ 算数調査 と くりあがりの計算

2020-02-16 23:21:50 | 算数

 

小1のAちゃんが、100円ショップの六倍に膨らむ恐竜

のおもちゃを、「本当に六倍に膨らむの?」と調査してくれました。

その結果!!

六倍には膨らまず、だいたい五倍くらいのサイズに膨らんだそうです。

この調査のおかげで、「何倍」という概念に興味を持つ子が続出。

100円グッズのうさんくささに子どもたちはワクワクしています。

 

<おまけ>

年中のBくんの算数レッスン。

10たす6は?と問うと、16とすぐ答えます。

でも、

9たす6は?とたずねると、

10の方のケースから1つ取り出し、「うーん」と悩んでいます。

「んん……15?」とくびをひねりながら答えて正解しました。

大人気の金のトランプも使って、10+4と9+4、

10+3と9+3、を順番に置いてみて、くりあがりを計算を学びました。

Bくん、ちょっとわかってきた模様です。

 


1種類の数字で数式を作る算術パズル 「Tchisla」

2020-01-18 18:07:01 | 算数

小2のAちゃん、Bちゃん、Cちゃんのレッスンで。

3人とも算数の文章問題はかなり難しいものまでこなせるように

なっているので、今日は算術パズルをみんなで解いて遊ぶことにしました。

1種類の数字で数式を作る算術パズル 「Tchisla」です。

無料で遊べるアプリです。興味ある方はぜひダウンロードしてみてください。

一種類の数字のみで数式を作る算術パズル「Tchisla」が面白い

という記事で、遊び方を紹介してくれています。

記号の数そのものは数えるほどだけど、小学生では習うことはない

数学の記号も扱うので難しいかな、と思ったのですが、

!(階乗)、√(ルート)、^(累乗)

などの扱いもすぐ覚えてパズルを楽しんでいました。

 

この算術パズル、「できるだけ少ない数の同じ数字で数式を作る」というルールです。

たとえば、2という数を「3」という数だけで、「3」をできるだけ少なくして

数式にすると、3!/3

となります。

26=4!+√4

といった答えを作ることができるようになった

Aちゃんは、すっかりこのパズルに夢中で、

「もっと解きたい。絶対、このアプリを入れて!」とはしゃいでいました。

計算をするのではなくて、計算式を自分で探し出すところが面白かったようです。

Cちゃんは、自分なりの数式をたくさん発見しました。

「こうすればいいんじゃない?こうじゃない?」とアイデアを出しながら、

じっくりと問題を解いていました。

Bちゃんは、初めて見る数学記号に慣れないようでしたが、

がんばって取り組めました。

これから教室で学年を超えて遊べる

パズルになりそうでうれしいです。

今日のBちゃんの工作。左右の透明ポケットに

問題のカードを入れて、うま答えがマッチングすると、

豆電球がつく仕掛けです。

完成にはいたりませんでしたが、豆電球がきちんと着いた時は

感動しました。

↓Aちゃんのいらいら棒。

 

↓Bちゃんのいらいら棒です。

 


レンガ積み木で十の位と百の位の学習

2019-12-22 20:04:46 | 算数

教室にあるさまざまな物を使って大きな数を体感しています。

年長さんのふたりがしているのは、レンガ積み木のチョコレート屋さん。

レンガ積み木のチョコレート10枚を輪ゴムでたばねて、10の塊を作っています。

作る作業も面白いし、後から算数の問題にチャレンジするのも

楽しくできます。

100を超える数まで数えたり、

32+38=

41+25=

といった問題を解いたりしました。

 

10のかたまりが2こと5でいくつ?

35は10のかたまりがいくつとバラバラの数がいくつ?

98を見せて、「あといくつで100になる?」といった質問をしています。

工作の写真もいくつか。

3~34歳の子のグループでも10作りをよくします。

あといくつで10になるかな?

という問題や「10,20、30~」と数を数えています。


算数の学習の記事をまとめました

2019-12-18 11:01:04 | 算数

この1か月ほど、リフォームをしながら教室をしています。

ブログの更新やらお約束していたオンライン用の「おまけブログ」が

そのままになっています。(年末と正月には少し時間ができるので、

その間に何とかしようと思っています。)

 

過去記事ですが、算数のレッスンの記事をいくつかアップします。

記事と同じものがないと(たくさんのブロックなど)学べない……と感じるかもしれないですが、

雰囲気だけ感じ取っていただき、お家にあるもので学んでみてくださいね。

 

<年中さんの算数レッスン たし算マシーンとひき算マシーン>

年中のAくんとBくんのレッスンの様子を算数の学習中心に紹介します。

「コードマスター(プログラミング ロジック ゲーム)」

の課題に挑戦しています。

このパズル、アメリカのお土産にいただいたもので、今、教室にくる男の子たちに

とても人気があります。

対象年齢は8歳~大人までとあるいるのですが、

AくんもBくんもすぐにルールを飲みこんで問題を解いていました。

 

↑ 写真のブロック作品を『たし算マシーン』ということにして問題を出して

遊びました。隙間にいくつか大きめのビーズを入れておきます。

 

「上から5このビーズを投入する場合、途中で3こと4この

ビーズが加わって出てくるとすると、下からいくつのビーズが出てくるでしょう?」

といった問題を考えます。

こうしたおもちゃで課題に取り組むよさは、

「正しい数を当てたい」「あっているかごうか確かめたい」

「もういっかいやりたい」という気持ちを引き出してくれることです。

 

ついでに引き算マシーンも作りました。

ジュースとお茶がでてくる機械と同じ作りかたです。

投入する数について、指で形を作ってしっかり確認します。

問題を出す側の子が一本だけブロックの棒を引き抜きます。残った数を見て、

下に落ちた数がいくつだったか当てます。

答える側の子は、残っているビーズの数を当てます。

 

間違えても楽しいし、何度も遊ぶうちに

5-2と6-2の違いにしても、答えを知識として知るのではなく、

計算式と答えの関係について勘を身につけながら理解を深めています。

 

AくんとBくんが競ってやりたがっていた二進法のおもちゃ。

幼い子たちには二進法の仕組みは難しいので、

レバーについている数を足したら、予想通りの数のポケットに玉が入るように

しています。

 

左の作品は、ひき算マシーンにBくんがブロックを足していって

『ひき算マシーンスーパーX』に進化させたものです。

右は、Aくんのひき算マシーンの進化形。

 

今回、創作好きのAくんのひき算マシーンはあまり凝った作りではありません。

実は、Bくんがひき算マシーンスーパーXを作っている間、

お城の石垣を作っていたから時間が足りなくなったのでした。

 

まだお城は建っていません。

 

算数タイムに5円で遊んでいます。5円がふたつ。5と5で十。

手を打って確認。

 

5円が4つ。

指で忍者になって、5円の上を渡ります。

「5~10~15~20」と数えながら。

大きな数を見て、64-4 や 78-8などを考え中。

 

AくんもBくんも数が大好きな子に成長しつつあります。

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<年中グループ 算数レッスンのひとこま>

年中のAちゃん、Bちゃん、Cちゃん。

工作用のティッシュの箱にビー玉をたくさん詰め込むいたずらをしていました。

 

いくつ入っているか数えることにしました。

「10より多いかな?」とたずねると、3人とも興味しんしんです。

 

10のくぼみのある製氷皿に、「1,2,3……」と数えながら入れていくと……。

 

トレイのくぼみが全て埋まっても、まだまだあります。

そこで、「10はAちゃん持っていてね」とトレイのビー玉をAちゃんの手の中に

預けて、11から先を数えていくことにしました。

「11,12、13……20」まだあります。

 

「21,22,23……」みんな2ケタの数も上手に数えています。

 

「30」までトレイに入れてから、ティッシュ箱を振ると、

カラコロ小さい音がしました。隙間からひとつだけビー玉が見えます。

「あっ、31こだ!」とCちゃんがうれしそうに声をあげていました。

 

いっしょに空中浮遊という手品の道具を作っていた時のこと。

お人形を描いて、重りを仕込ませて作ります。

頭だけで人形をコップの縁に乗せて大喜びの子どもたち。

 

手品に刺激されて、Cちゃんが、

「あのねぇ、先生。わたし、手にカードとかペタッてできるよ」

と言いました。「すごいね。汗をかくからひっつくのかな?」と話していると、

「ほらーほらー」と金色のテープを乗せて実演。Cちゃん曰く、手品なのだそう。

 

手品かどうかは別にして、これは他の子たちに大受けで、

「見て―見てー先生!わたしもできるー」「はやく写真撮って」と

言いながらこの通り。

 

カニの迷路とお家を作って遊びました。

カニを放したところ、いっしょう懸命作った子のお家ではなく、

箱に穴を開けただけだったCちゃんのお家に何匹か集まって動かなくなりました。

「カニは、電気のついた家は嫌いなのね。

じめじめしていて、暗くて、お魚のにおいとかちくわのにおいがして

ちょっとくさいお家が好きなのかな?」といった話をすると、

子どもたち同士で「わたしは明るくてじめじめしてないお家が好きだけど、

カニは電気が消えているお家が好きなのよねぇ」といった話で盛り上がっていました。

 

Bちゃんが作ったブランコ。Bちゃんは2歳の時にブロックとブロックの間に

ストローをはさんで、「ラプンツェル作ったよ」と言っていました。

長いストローがラプンツェルの髪の毛に見えたようです。

それ以来、ストローを使ってさまざまなものを作るようになったBちゃん。

ブランコ、うんてい、牧場の柵、カギなど自在に作っていきます。

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<うまくいかない時も、投げ出さずに何度も何度も再挑戦する力>

小2の女の子たちのグループレッスンで。

ユースホステルでサンダルを作って以来、何度も何度も改良を加えて

作り直しているというAちゃん。

自分の足型を取り、前に失敗した原因をていねいに分析し、

何回もゼロから作り直しています。

Aちゃんは、勉強でもうまくいかないときにも、落ち込まずに

何度も再挑戦する強さを持っています。

 

教室にはAちゃん同様、失敗や挫折に強くて、

うまくいかないときにも、りラックスした状態で何度でも再挑戦していこうとする子たちが

たくさんいます。

そうした子たちの親御さんには、とてもよく似通った面があるのを

感じています。

 

「何かする度に、出来不出来の評価しない。その時できなくても、先の心配をしない。

遊びも勉強も同じように大切にしている」というところです。

 

1年程前に、教室の折りたたみ式のドールハウスに感動して以来、

Aちゃんが何度も作り直している「からくりハウス」。

今日はわたしといっしょに隠し部屋を作りました。

 

シンプルな小さな部屋があっという間に広がって隠し部屋が生まれます。

 

 

Bちゃんが作った化粧コンパクト。

Bちゃんは目にしたものを何でも作ろうとします。

円柱形のものを作ることが多いです。

 

今日、Bちゃんが教室で作っていたドールハウス。

ベッドやテーブルなど、自在に形を創りだすのが得意です。

カーテンは開閉できる工夫をしていました。

 

少し長い文章題を整理しながら解く練習をしています。

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なわとびを しました。つとむさんは 1回目は86回 とび、

2回目は 1回目より 38回 多く とび、3回目は 2回目より

27回 少なく とびました。

まさとさんは 1回目は93回とび、2回目は1回目より17回少なくとび、

3回目は 2回目より29回多くとびました。

3回目は どちらが 何回 多く とびましたか。

              (トップクラス問題集2年生より ) 

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算数が得意なBちゃんが、めずらしくうっかりミスをしたものの

3人ともよくできていました。

 

ガタガタした形のまわりの長さを問う問題をいくつか解きました。

合わせると、縦(横)線と同じになる部分に、顔や身体を描いてみると、

とてもイメージしやすくなります。(数字が逆さまの部分は気にしないでくださいね)

 

計算の数当てクイズも楽しかったです。


具体物で体感する前に、プリントで覚えてしまうと、現物を正確に認識できなくなる?

2019-12-03 09:40:03 | 算数

日高敏隆氏の『生きものの流儀』という著書に興味深い話が載っていました。

簡単に要約して紹介しますね。

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著者が当時の成城学園小学校の先生だった庄司和晃先生からうかがった話です。

ある日、庄司先生は子どもたちに画用紙を配って「さあ、アリの絵を描いてください」と

言ったそうです。たちまちイメージできたらしい子もいれば、まだイメージをさぐっている子もいたそうです。

できた絵を見ると、アリの身体は頭と胴体のふたつに分かれていて、

人間がイメージしている「動物」の姿であって、

たいていの女の子はそのアリにリボンまでつけていたのだとか。

 

次に庄司先生は、子どもたちひとりに1匹ずつ、「実物」のアリを渡して、

「これがほんもののアリだよ。今度はそれをようく見て、アリの絵を描いてください。」と言ったそうです。

すると、驚いたことに、実物のアリを見て描いたはずの絵でも、その多くは

依然としてアリは胴と頭、足は四本だったのだとか。

著者はそこに人間のイリュージョンというものの見たような気がしたということです。

どの子も実物はちゃんとまじめに見ているはずなのに、

実物が自分の思っているように見えてしまい、それ以外のものは、

存在しなくなっているのです。

 

庄司先生は、その後、

「……よく描けてきたなあ。えらい、えらい。だけど、アリの体って

ほんとに頭と胴体しかないのかい?」とか、「じゃぁ、その六本の足はどこに生えている?」といった

会話を通した指導をして、もう一枚、子どもたちに絵を描かせると、

子どもたちの絵はより正確なものになりました。(が、依然、赤いリボンをつけている子らはいたようですが)

「イリュージョンが修正されるには、これだけの手間が必要なのだ。しかも現実の生きたアリが

手もとにいるのにである」と著者は人間の持っている錯覚や幻想のもつ意味と力が

少し理解できるようになったと述べています。

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先に紹介した話で面白かったのは、

実物を見た後で、最初の動物もどきのアリの絵から、

頭、胸、腹、そして6本の肢という昆虫の姿に変化させることができた子というのは、

一枚目の絵を何度も描いたり消したりしていた子どもの場合に

多かったという著者の発見です。

何でも、一枚目の絵を太い鉛筆で自信満々、頭と胴、四本の肢と描いた子の絵は、

実物を見ても何一つ変わっていなかったそうです。

 

この話を読んだ数日後の小学2年生の女の子ふたりのレッスンで

こんな気になる出来事がありました。

この2年生の子たちは、もともと観察力があって、思考力も高い子たち

です。

そのうちの子のひとりは、2年生になったあたりから、長文を読んで理解する力が伸びて、

中学入試向けの和差算や植木算や旅人算なども

ひねった問題でもテキパキと解けるようになってきました。

 

それでこれまでは虹色教室で月に1回、そうした問題に触れる程度だったのですが、

お家でも最レベの最高レベルの問題を中心に予習をしてくるようになりました。

 

わたしはこの子がやる気と自信に満ちて学習に取り組むようになった

こと自体はうれしくて、その意欲を大事に育んでいこうと感じた反面、

ちょっと気になる態度に引っかかるようになってきました。

 

お家で学んでくる際に、正しい式を教わってくるようになったためか、

問題を見たとたん、複雑なものでも数字を操作して、

正しい公式で解こうとする姿が目立つようになったのです。

 

でも、少し前なら、紙に絵図を描いてみて、考えこみながら解いていたのが、

問題を見たとたん、数を正しい公式にあてはめるようにさらさら

解くようにもなっていたのです。

 

そこで、その子がお家ではしていない3年生の最レベの問題から、

一部を取り出して、上の写真の図を描いて、緑色の線の部分、

直径2センチの円の中心が描く線について、

長さをたずねたところ、「18センチ?ん、20センチかな?」とでたらめなことを言いました。

 

何度もよく見るようにうながしても、緑の線が18センチの線より長いということや、

20センチよりも短いということに気づけません。

この子は、本来、とても観察力があって、直観がよく働く子ですから、

この線の違いに気づかないわけはないのです。

 

でも、「小学3年生のだと難しいに違いない」とか「やったことがない問題は解けないに違いない」とか

「算数の問題は、そこにあるどれかの数字を言えばいいはず」といった思い込みが邪魔をするのか、

素直に絵が見れなくなっていました。

 

難しい問題をさらさらと正しい式を立てて解けるようになると、

周囲から「すごい~」という賞賛を浴びることが多くなります。

 

すると、子どもはうれしくて、がんばる意欲を見せるときがあるのですが、

その時期の周囲の大人のフォローやサポートが

とても重要だと思っています。

 

「すごい~」と言われることにばかり心が奪われると、

絵図を描いて、試行錯誤して、自己流の間違った式を立てるより、

「最初から答えを見て、暗記してしまえばいいじゃん」という態度に傾き

がちになるからです。

 

そうした時に陥りやすいのは、

意味を理解せずに、

「こういう言葉が出てくるこういう問い方の時は、

この数からこの数を引いて、それにこの数をかければいいんだった」といった

わからないままに丸飲みするように解く癖がつくことです。

 

そういう癖がつきはじめている時の危険信号は、

現物を見ているのに、

自分のなかのイリュージョンに自信を持つあまりに、

現物を正しく見ることができなくなっているという状態だと

感じています。

 

線が長いか短いか、

素直に見るならすぐにわかるのに、

「前にどんな解き方だったかな?」と

記憶をさぐる作業に忙しくて、目の前のものが見れなくなる場合があるのです。

 

もちろん、意欲的に学習し、長い文を理解して解く力が伸びること自体はいいことで、

それを認めて、褒めて、大事にしてあげなくてはなりません。

 

でも、その時に、

子どもが問題を自分で具体物を操作して説明できるほどわかっておらず、

自分で絵図をきちんと描いて、自分の間違いを修正できるほど成長していないにも関わらず、

式さえ暗記すれば、そちらが正しい答えなんだよ……と教えこんでしまうことは

危険なことだと思うのです。

 

正しい式を覚えるのは、

まず問題の意味が正確にわかって、自分で自在に操作できるようになってからで十分で、

わかりもしないのに、正しい式だけかけるようになると、

自分がわかっていると錯覚して、さっぱり応用のきかない力をつけてしまうからです。

 

前回の記事にe-com子育ての羊先生から次のようなコメントをいただきました。

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ヒトの五感というのは脳で処理をする過程で、

記憶や経験に影響されるというのを聞いたことがあります。

アリの絵の話は、ヒトが見たいものを見るという例ですね。

実はまだブログでアップしていない記事で、公式をわすれたから解けないという

生徒の話を書きました。公式から離れて考えれば持てる知識で解けるのにです。


「正しい解法」という枠に囚われている生徒が多いように感じます。

その原因を作っているのは大人なのですね。

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羊先生のブログで、

現実の中から何かを引き出す訓練=学習

という記事を読んでとても共感しました。

京都産業大学の永田和宏教授の

 「今の若い人は、現実の世界から何かを引き出すという訓練を全く受けていませんね。」

という指摘からはじまる考えさせる文章や

JT生命誌研究館館長 中村桂子氏の

「 教育や学問では一人一人の状況に応じて対象から引き出すものが違ってくるところが大事なのに、

どんな子供も同じことから同じものを引き出すように仕向けている風潮がありますね」

というこちらも現在の教育問題の急所を突く指摘と取り上げて、

羊先生がわかりやすく解説してくださっています。

ぜひ、ブログに遊びにいってくださいね。

 

前回の記事で、教室の子が意欲的に学習に取り組むようになると同時に

目の前の事実が素直に眺められなくなる事態が起こったという話を書きました。

 

「デジタルからデジタルへ」情報を変換することを覚えるほど、

目の前の現実の世界や自分が向き合っている対象を正しく読み説いて、

そこから価値ある何かを生み出していくことは難しくなりがちです。

 

 でも、だからといってプリントや本で学んだり、

その子の能力を超える概念に

触れたりすることが悪いわけではないはずです。

 

羊先生がおっしゃる通り、「正しい解法という枠に囚われるあまり、

公式を忘れると解けなくなるような原因を作る」 大人の態度に

問題があるのではないでしょうか。


Yくんのお母さんからコメントをいただきました

2019-10-24 08:47:01 | 算数

算数なんて必要ないんだと力説していたYくん。算数の面白さを発見する。

 の記事で登場してもらったYくんのお母さんからコメントをいただきました。
(コメント欄の中に埋もれさせたくないので、記事の形で紹介させていただきますね。)

「算数なんか必要ないんだ!」って熱弁していた一年前が思い出されて懐かしく、可笑しく、ついに、「算数の面白さ」を見つけたんだなあ、としみじみ、じーんとしました。

当時、「算数きらい」って言うので、そうなんだ、この子は算数には興味がないんだな、って思っていました。
嫌いって言うんだから仕方ないし、何に興味があるのかは人それぞれだから、っていう風に考えていたのですが・・・「面白い!」と感じた子は、これほど変わるのか、と、感動しています。

子どもの「嫌い」っていう言葉を安易に真に受けちゃいけないな~と反省しました。「算数の秘宝」を見つけて、Yの人生が、すごく豊かになったように思うのです。

「冒険」という言葉を使われていますが、本当にそうで、未知の世界に飛び込む勇気と好奇心で、算数の面白さや自分が変わっていく喜びに出会ったのだと思います。
それは、百人百通りの、その子だけの冒険物語なのでしょう。

これからもたくさんの「秘宝」を見つけて、新しい扉を開いて、世界を広げていってくれたらと願っています。

といっても、私が家で算数をさせたりすると(めったにしませんが)、Yの心の中に芽生えたこの新しい息吹が、どっかにいってしまう感があります!冒険ではなく、作業?労働?(汗)奈緒美先生との算数とは、全然違うのでしょうね・・・。


小学2年生の子たちの算数の学習の様子です

2019-09-30 13:32:24 | 算数

小学2年生のAくんとBくんのレッスンの様子です。

お城の縄張り図を作るAくん。

石垣の傾きを作りだすために斜めの切り口を貼り合わせていく作業に

苦労していました。どんなに大変でも投げ出さず、

黙々とひとりで作業するAくん。

しまいに、こんなに立派な作品ができあがりました。

 

算数の学習では、かけ算を視覚的にとらえて学ぶことから始まって、

方陣算や規則性の問題などにクイズのような形でいろいろチャレンジしました。

ふたりともとてもよく理解していました。

<問題>

ご石をすきまなく正方形にならべたら、25個ありました。

このご石のまわりに3列分、ご石をならべました。

まわりにならべたご石はいくつですか?

□×4

 

 

かけ算を線分で表しています。

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別のグループの

小学2年生のCくんとDくんのレッスンでも、

縄張り図作りが人気でした。

 

Cくんは数学的なパズル問題が大好きな子です。

初めてみる問題も自力で即座に解答する姿に驚きました。

<問題>

ご石をすきまなく正方形にならべたら、100個ありました。

このご石のまわりに3列分、ご石をならべました。

まわりにならべたご石はいくつですか?

(□×4の形で答える)

 

 

かけ算をチップを置きながら学ぶついでに

かけ算を線分で表してみる練習もしました。

2年生の子らは頭が柔軟なのか、

即座に何をしているのか合点して、答えていました。

最レベ3年生の文章題をチップを置きながら考えました。

この問題でもCくんは即答。

↓ とてもよくできていました。

 

 

 


「おつり」をもらう経験がわかりにくくなっている?

2019-08-12 17:50:34 | 算数

ユースホステルでのレッスンにて。

年長~小学1年生の子たちをメインに、

「おつり」をテーマにした算数遊びをしました。

 

それぞれの子の数の理解に応じて、

商品の値段を決めて、お店屋さんをしてもらいます。

 

「すべて10円のお店」では、お客が、

50円玉を出して100円玉を出して買い物をし、

お店屋さんは、おつりを渡します。

 

子どもたちはどの子も大乗り気で参加していたのですが

意外なことがありました。

3ケタの計算をしたり、ややこしい文章題を解いたりできる子であっても、

お店屋さんになっておつりを渡す際に、ごくごく初歩的な間違いをしていたのです。

 

「20円の商品を売る時、50円を払ってもらった時のおつりは?」という場面で、

おつりで20円を渡そうとしていたのです。

何度か遊ぶうちに、ちゃんと理解しておつりの計算ができるようになったのですが、

その姿からは、子どもの生活から(消費税などがかからない形の)買い物をしておつりをもらうという経験が

ほとんどなくなっているんだろうな、と感じました。

10円の買い物をするのに、100円払うと、たくさんおつりが返ってきそうだという

経験からくる勘のようなものが、

参加したどの子にもないように見えました。

確かに、昭和の時代の子なら、駅で切符を購入する度に、

80円の切符を買うのに100円投入すると

10円玉が何枚出てくるのかとか、

160円の切符を買うのに

1000円札を投入すると、

どれほどたくさんのお金が戻ってくるのかといったことを

目で見たり、数えてみたりしていたんです。

駄菓子屋などで少額のおこづかいを使うのも楽しみで、

何度も買い物してみながら、おつりというものを体感していました。

そうした体験の減少をプリント学習等だけで補うのでは、

もとになるイメージがないので

応用がききにくいのです。

ごっこ遊びや、お金を扱うボードゲームなどで、

楽しみながら、数をやりとりをたっぷり体験させてあげたいと思っています。

2段ベットにお手紙を行き来させる通路を作っていました。


 


古生物作り と 1年生の女の子たちの算数レッスン

2019-07-02 20:09:26 | 算数

Aちゃん、Bちゃん、Cちゃん、小学1年生の女の子たち3人のレッスンでの出来事。

(この日、小3のCちゃんのお姉ちゃんのDちゃんも参加していました。)

 

まず、古生物の話から。

教室では、今、

リアルサイズ古生物図鑑 古生代編 http://bunshun.jp/articles/-/8402

という本がとっても人気です。図鑑を見た子たちが、次々に、

古生物を粘土で作っていました。

写真は、Dちゃんの作ったコエルロサウラウ¨ス。

これまで知られている脊椎動物の中で最も初期に空を飛んだもののひとつで、

翼を折りたたむこともできる。

Dちゃんは、「折りたたむ」仕掛けに関心のある子で、

2年前のレッスンでも、こんな作品を作っていました。

基礎的な発見 2 <折りたたむ>

で、Dちゃんの工夫を見ることができます。

この翼を折りたたむという生物にとても興味が湧いたようです。

今回は粘土で制作したため、つばさを折りたたむ仕掛けに作れなかったのですが、

次回は紙で作ってみるのもいいかもしれません。

Cちゃんはイノストランケウ¨ィアというペルム紀の古生物を作っていました。

尖った石があったので、それを牙にすることを思いついたのです。

 

Aちゃんはプテリゴトゥス・アングリカスという

ウミサソリの仲間を作っていました。Aちゃんは形にとても興味がある子で、

台形を貼り合わせて、丸みのある形を作るなど、いつも形の世界をたんきゅうするような

工作をする子です。

 そんなAちゃんが、Dちゃんが工作で使っていたバランを見て、

「これって、24652465~って並べていたのと同じね」と言いました。

24652465~というのは、ユースホステルのレッスンの日、

Aちゃんより年上の子たちが学んでいた規則性の問題のことでした。

Aちゃんいわく、23452345とは、上の写真のように

バランの山が規則的に並んでいるということに気づいたそうなのです。

写真は、バランを切って、Aちゃんが説明してくれたものです。

そこで、算数レッスンの時間に、Aちゃんの発見を問題にすることにしました。

バランが、山山山半分の山というつながりでできているとします。(半分とはいいがたいですが、

ここではちょうど半分ということにしました)

 

「バランが2つだと、山はいくつになるでしょう?」 答え7

「バランが4つだと、山はいくつになるでしょう?」 答え14

「バランが8つだと、山はいくつになるでしょう?」 答え28

こんな問題です。

最初はわからなかった子たちもテキパキ答えていました。

 

バランについて考えた後で、ユースでした規則性の問題を子どもたちに

たずねると、しっかり(数え上げてですが)解いていました。

という絵本を読んで盛り上がりました。

この絵本は子どもたちに大人気です。

絵本の中で、60秒になった時、「何分でしょう?」と聞くと、

「1分」と答えていたので、

 

65秒は何分何秒?

70秒は何分何秒?

100秒は何分何秒?

 

と問うと、みんな喜んで答えていました。