★ちゃんと★ちゃんのお母さんの関わりを見ていると、
いくつか気になるところがありました。
★ちゃんの自分から人との関わりを求めていこうする力が弱いからでしょうが、
★ちゃんと★ちゃんのお母さんの関係は
希薄に見えます。
お母さんをお母さんと認識していないかのように見えるときもあります。
★ちゃんのお宅にお邪魔して遊ぶ様子を見せていただいたところ、
★ちゃんの興味は遊び道具より、
フックのようなものや仏様に備えてあるお線香やガラスのコップや木のささくれのような
おもちゃでないようなものに向かっていました。
そのため、★ちゃんが遊び出したとたんに、★ちゃんのお母さんが「ダメダメ」と注意することがあって、
するとなぜか★ちゃんがケタケタとうれしそうな笑い声をあげるということが
何度もありました。
見ていると★ちゃんが、お母さんとの関わりで、いきいきとうれしそうにしているときは、
このように「ダメダメ」と注意されているときだけでした。
そのためか、★ちゃんはちょっとめずらしいものに興味を示すときだけでなく
お茶を飲んでいる最中や、ペンでなぐりがきをしているようなときも
わざわざ「ダメダメ」という関わりを求めるように、はめをはずしがちでした。
虹色教室でこれまで出会った人と関わる力に弱さを持った子たちも
お母さんとの関係が希薄で、心と心がしっかり通いあうというシーンが少ないのに
「ダメダメ」と注意するときには、いきいきしてきて笑い声をあげるという
ちょっと気になる親子関係があった場合、年を追うごとに悪ふざけや
大人の嫌がる行為をするのがエスカレートすることが多々ありました。
そのため、★ちゃんのお母さんには、
次の3つのアドバイスをしました。
① 悪いことするとき以外のことで、笑顔を引き出すようにすること。
喜ぶ遊びは繰り返ししてあげること。
★ちゃんがお母さんに抱きついたり甘えたりしやすい
態勢を取ること。自然でリラックスした態度で接して、少しでも甘えるそぶりを見せたら、
心地いいようにだっこしてあげるか、ぎゅっと抱きしめてあげること。
反りかえるなど、抱かれるのを嫌がるときは、どのような抱かれ方を喜ぶか
慎重に接しつつ、次第に甘えることを気持ちがいいことだとわからせていくこと。
② 悪いことをはじめたら、静かにきっぱり注意して、
怒り声を楽しいもののように感じさせて興奮させないこと。
③ 「ちょっと変わっているなぁ……」と共感できない遊びに没頭したり、
大人にとって嫌な物を好むときには、
叱ってやめさせるよりも、何を喜んでいるのか(感触か音か動きかなど)を
見極めて、大人にとっても困らない遊びにして提案すること。
(たとえば汚いものを好んで触りたがるようなときは、
糊を画用紙に塗りたくる造形遊びに誘うといいです)
次回に続きます。