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虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

自閉症スペクトラムの子の学習 と 才能開発

2011-03-13 22:01:12 | 通常レッスン
★くんは、年少のときに重度の自閉症の診断を受けている男の子です。
年中の頃には、療育での様子について報告を受けた
病院の先生が「中度くらいになってきたのかな」とおっしゃったそうです。

年長(もうすぐ新1年生)となった現在、
私の目から見ると、高機能自閉症や
アスペルガー症候群の子の印象があるのですが
診断は変わっていません。

★くんは記号を見分けるのがとても上手で、字を読むのも速いです。

そこで、『電子ブロック』にチャレンジしてみることにしました。
するとたちまち気に入って、
細かいアルファベットや線が描いてある電子ブロックのピースを
見分けては適切な位置に置くという作業をマスターしました。
『ウソ発見器』の回路を自分で組んでとても満足していました。

この『電子ブロック』のようなおもちゃを気に入る自閉症スペクトラムの小学生はけっこういます。
(そうでない子もいます)
自閉症スペクトラムの子たちは、
想像力や弱くて、意味を考えることは苦手ですが、
一度覚えた方法をねばり強く繰り返したり、
細かい違いを見分けて、正しい位置に置いていくことが得意な場合がよくあるのです。
得意と不得意の開きが大きいのです。
不得意を補う工夫もいりますが、
得意に磨きをかけるために、いろんなことにチャレンジさせてあげることも
大切だと感じています。
★くんにはいずれプログラミングにも挑戦させてあげたいと思っています。

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★くんは就学に向けて自宅で計算や漢字の練習を積んでいます。

就学前に先取り学習をさせるのには賛否両論があるでしょうが、
集団に向けて発せられる指示が通りにくい★くんが、
授業中に立ち歩いたり、そわそわしたりせずに過すためには、
やるべきことが一度頭に入っている必要があるのです。


★くんは 自宅学習のおかげで、機械的に筆算するのなら二桁の足し算、引き算もできるようになっています。
ただ数の意味を本当に理解しているかというと怪しくて、
『10枚の1円玉は10円硬貨1枚と交換できる』ということが
よくわかっていません。

視覚からくる情報で判断をくだすので、10円二枚と1円2枚だと、
「4だ」という感覚から抜けにくいのです。
それでも訓練すると、22円と言えるようになり、
他の組み合わせでも正しい答えを言えはするのですが、
やはり理解しているのとは少しちがうようです。

それで、できるだけ具体物を操作しながら考えさせるように教えています。

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あめが18個ありました。5個、妹にあげて、姉から
7個もらいました。
あめはいくつになったでしょう?
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といった問題を解いています。

★くんはこうした文章題を解く時、順番に解かずに、後から出てきた数字にだけ注目して、この問題でしたら18+7=25 としてしまいます。
でも、ブロックを操作しながら考えるうちに、
順番に解いていくということが少しわかってきました。


写真はブロック遊びの様子です。
「動物園が作りたい」と言うので、ブロックの基礎板を何枚か渡すと
囲いを作って喜んでいました。
「どうして囲いがあるのかな?」とたずねると、
困っています。
そこで、囲いにすき間を作って、動物が逃げる様子を演じると、
「動物が逃げないように囲いがあるんだ」と言い、
今度は何をたずねても……
「象さんの囲いの中は、きりんさんの囲いの中より広いね。どうして広いのかな?」といった質問にも「動物が逃げないため!」という
返事が返ってきました。

このように★くんは想像力に弱さはありますが、
ひとつひとつ具体的に教えていけば、パターンとして覚えていくことができます。

今後は、ていねいにハンディーを補ってもらいながら、
さまざまな可能性の芽を伸ばしていってほしいです。
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虹色教室には病院で広汎性発達障害の診断を受けている子が
何名か通っています。
こうした子たちは『みんな』ですることに合わせるのがとても苦手です。
集団の場では、わがままに見えたり、頑固で意地悪に見えたり、周囲の子より能力が劣って見えたりします。

でも、その子ひとりとじっくり関わっていると、
心が透き通るようにピュアで本当に可愛らしい子たちです。
また、それぞれが独自の個性的な才能を持っています。
もちろん数値で評価できるような才能ばかりではないのですが……。


広汎性発達障害の年少さんの●くんが初めて教室に来たとき、
こんなことがありました。
最初は自分ひとりの世界に閉じこもって遊んでいたのですが、
からくりのある木の玩具で遊んだり、
紙コップでエレベーターを作ってビー球を上げ下げしたりするうちに
次第に打ち解けて、
帰り際には、自分から不器用に私の肩を抱く格好をして、
よしよしと手で軽くたたく真似をして、(おそらく親御さんか園の先生にしてもらっているのでしょう)「また、遊ぼうね」と学者さんのような口調で言いました。
本人は真面目そのものなのですが、私も親御さんも思わず吹き出してしまいました。

●くんは、私の絵の絵画展にも来てくれました。
展示場に据えつけてあったテレビを見せてあげるために抱き上げて、
といってもテレビはついていないのですが、
「これ、何かな? 何かな?」と画面を指差すと、
「おじさんとおねえさん」と答えます。
「テレビ」と返ってくるものと思っていた私は驚いて、電源が入っていないテレビの画面に目をこらしました。
すると、画面には確かに、ガラス戸の向こうで歩道を行き来する
おじさんやおねえさんの姿が映っていたのです。
「こんなの消えているテレビじゃないか」などという先入観抜きに、
独自の感受性で物を眺めている●くんの瞳には、私には言われるまで見えなかったものが見えていたのです。
●くんは、私が教えることを、「うん、うん」とこっくりしながら学んでくれるし、
私も●くんにいろんなことを教えてもらいます。

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自閉症の子どもたちにオススメのパソコンソフトを紹介します。
こども脳機能バランサー
とてもすばらしい内容です。さまざまな能力アップに役立つと思います。
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