虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

勉強が楽しくてたまらなくなる 『夢中の法則』……?  1

2010-06-15 12:31:29 | 教育論 読者の方からのQ&A
『夢中の法則』佐々木正悟 マイコミ新書
を読みました。
この本、一見、幼児教育と関係ないようですが、
幼児を育てている方々にぜひ目を通していただきたい内容でした。
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経験には、努力しても覚えられないものもあれば、一度で細かい部分まで頭に入ってしまうものもあります。著者は、この不思議の鍵を握るのが、
「夢中になれるかどうかだ」としています。

脳科学の立場から、記憶力が働かないとき、
バツグンに働くときの2つの心理状態を分析し、
夢中になれる条件を探っています。
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生物学者のライアル・ワトソンによると、
人間やトラなどの動物は「ネオフェリア(新しいもの好き)」という
特徴を持っているそうです。

ヒトは進んで新しいもの、違うものを求めます。無理をしたり、背伸びをしたりするのが好きです。
何かを1度知ってしまい覚えると、興味が色あせていくのです。

こうしたヒトの性質が「退屈」という心の状態も生むことにもなります。
ヒトは何かを理解して記憶してしまうと
それをさらに深く知りたいという気持ちを、失いがちなのです。

アトランタの脳科学者であるグレゴリー・バーンズは、
鮮明な印象を残すすばらしい経験は、
1回目をピークに、徐々に快感が減っていくとし、
この問題を「スシ・プロブレム」と名づけました。

ヒトはこのように、新しい体験に強く惹きつけられる性質を持っています。
一方、理解しすぎたことが退屈であるように、
たとえ新しいことでも、理解が及ばないことは退屈です。

そこで、著者は、次のようにまとめています。
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「新しいもの好き」の人間が夢中になれることというのは、理解できる範囲の中で、
「自分にとっては新しい」経験なのある。

また次のような例をあげて説明しています。

子どもは駅で興奮しやすい。
「新しく記憶に納めるべきこと」をいくつも見つけるからだ。車両デザイン、時刻表、車掌の振る旗……
すぐに理解できそうな、特徴的で「ためになりそうな」刺激を目の当たりにすると、
突然脳が「記憶モード」に変化する。
J・アラン・ボブソンというハーバード大の教授によれば、こうしたときに
脳はアセチルコリンという化学物質を放出しているそうです。

著者によると、
子どもはすぐに記憶に納められそうな刺激を前に、急激に「脳を柔らかく」して夢見心地になるのだそうです。
そのように脳が柔らかくなって自我意識を失いかけたとき、脳は体験を吸収して
記憶にとどめようというモードに入るのだとか……。

この話題、次回に続きます♪

虹色教室で子どもたちと接していると、
遊びや実体験のような
子どもが夢中になることを中心に日々を過している子たちは、
年々、集中力が増して、知的な課題をこなすことを心から楽しむようになっていくのです。

一方、「将来役立ちそうなことを、仕込んでおく」といった育てられ方をしている子や、
活動範囲が狭く大人の管理が行き届いた現代的な暮らしをしている子の多くは、
小学校中学年くらいをピークに、徐々にやる気が失せていくように見えます。非常に知能が高い子もそうなので、残念に感じます。
「繰り返すことで記憶を定着させようとする教材」は、
ある年齢に達した子にはよくても、脳の機能を育てている段階の幼児には
非常に危険なものかもしれません。


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★梅田の 紀伊国屋のアウトレット店を見つけました♪ 図鑑、子どもの本 安いです
で紹介したアウトレット店に昨日寄ったところ幼児向けの知育絵本が増えていました。
私は、また前回見つけた店で、ユングの関連本をたくさん買いあさり、古本屋のご主人に、「あ~あなた、前もユングをたくさん買ってた方ですね」と言われてしまいました。

私の一番のストレス解消法は、本を読むことで、
疲れがたまってくると、家事を中断して本を読みふけっています。
娘も息子も読書が大好きだけれど、
忙しすぎて、じっくり本を読む時間がない模様。
のんびり読書をする私の姿を見ると、
とてもうらやましいようです。

「あ~読みたい本はいっぱいあるんだけど、時間がないわ」と娘……
あっという間にバイトに行って消えていました。忙しい人です。

「時間を気にせず本が読みたいな」と息子。
受験勉強中なので家にいることの多い息子とは、
最近、会話することが増えました。
「今の高校生は7時間授業とか……拘束時間が長くて、読書もできないね。
大学生になったら、もう少し読書する時間も取れるんじゃない?」
と言うと、意外な返事が返ってきました。
「まぁ、受験勉強が読書の代わりにもなってていいんだけどさ。
現代文はもちろんだけど、地理にしても、英語にしても、どの勉強をとってもさ、大学入試の場合、中高の入試と違って、読書としても、けっこう面白いんだよ。」とのことでした。
最近、ポーカーにはまっている息子……

受験勉強にも、自分なりの楽しみを見つけているようでよかったです。

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写真はもうすぐ3歳の★くん。
ブロックを積み上げるうちに、「どれだけ高くできるか」という課題が生まれ、
夢中で積み上げているときの笑顔です。

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なぜ幼児に工作をさせると考える力がアップするの? 3

2010-06-14 12:44:20 | 工作 ワークショップ
ペダル式のゴミ箱の仕組みに興味を抱いて以来、
いつもお家で気づいたことを「大発見大発見!!」と意気込んで知らせてくれる
3歳のかいくん。
今回のレッスンで、かいくんが目を丸くして必死で説明してくれた大発見は、
「あのねぇ、ティッシュをねぇ、引っ張るとね~出てくるの。
もっともっとって。ティッシュを引っ張ると、ティッシュがぁ出てくるの」
という話でした。

「本当???それはすごいね~!!ティッシュ引っ張ったら、もっとティッシュが出てくるんだ。へぇ~」といっしょに感動を味わってから、
いっしょにテュッシュが次々出てくるしかけを作ってみました。

ティッシュの量が少なくなっている本物のティッシュ箱を使ってもできますよ。

ティッシュを取り出して、半分に折るとき次のティッシュをかませて折り、それを折るとき折るとき、次のティッシュをかませて折る……

と、交互にティッシュ引っかけた状態で折っていきます。
それを箱に入れたらできあがり。
(下から紙製のバネで押し上げる仕組みを作ると、取り出しやすいです)

これがティッシュが次々出てくる仕組みです。
この説明ではわからない……という方は、ティッシュ箱から
ある程度の束でティッシュを取り出して、どのようにして出てくるのか
観察してみてください。

おもしろかったのが、3歳の子たちがレッスンに来たとき、
「あのねぇ、ティッシュを引っ張るとねどうなるかわかる?」とたずねて
「わからない」と言うので、
「ティッシュを引っ張ると、次のティッシュが出てきて、それをまた引っ張ると次のティッシュが出てくるんだって!かいくんが見つけたんだって!」と
オーバーに言うと、
目をまん丸くして「ほんと?」「ほんと?」とびっくりするのです。
その後、本物のティッシュを引っ張って見せると、
「ふぅわぁぁ~!!」とため息をついて一同びっくりしていました。
(見たことあると思うのだけど、よく観察していなかったんですね。それにしてもこんなに驚くとは……!)

工作というと、
「学校でする図画工作の成績をアップさせるためにするもの」
「工作教室や工作イベントでするもの」と捉えていらっしゃる方も
たくさんいます。
幼稚園選びも工作が十分できるかをチェックする方はそれほどいないようです。
子育て中の方の意識の中で工作の価値はかなり低いのかもしれません。

そんな「ついで」感覚で扱われている工作ですが、
現実に幼児の工作に付き合ってみると、
(工作教室に連れて行くだけではあまり効果はないでしょうね。それならテレビのワクワクさんを見せる方が効果的かもしれません)
工作が
「難しい概念」を、「幼児が簡単に考えられるもの」に変えてしまう
まるで魔法のような力を持っていることに気づくはずです。

子どもというのは、
子ども特有の物の見方をしていて、長い短い、太い細い、深い浅い、厚い薄いなどを正確に捉えているわけではありません。
お人形用のお風呂に自分も入れると思って
足を突っ込もうとする1歳代の子の姿を見てもわかりますよね。
ですから、最初のうちは、子どもが工作をしている間中、
あれれ?と思うようなことがたくさんあるんです。
大きな箱一面に紙を貼りたいと言ってた子が、1センチくらいのちんまりした紙を切って貼ってから「小さい……」と言う……
貼りたい絵柄の面にノリを貼っては、「絵がなくなった」と不思議がるなど。
でもそれを繰り返した幼児は
小学生レベルの立体図形のイメージなんて全て頭に入っているように
きちん空間についての理解が進んでいます。

また、子どもにとっては電化製品も生活用品もおもちゃと同じように捉えていて、その機能についてきちんと把握していないことはよくあります。

たとえば、懐中電灯には「電池」を入れるけれど、「コード」がついていない
といった事実は、子どもがとてもびっくりするネタで、
工作をするとき、一番「力」が入る部分になったりするのです。

子どものこうした姿を見ていると、
工作とは、子どもが世界を知るため、理解するための手段であって、
工作することで、
観察する姿や考える力が変化してくることがわかるはずです。

それでも子どもが「映るテレビが作りたい」と言ってきたらどうしてあげたら
良いかわからないという方もいますよね。

まず、子どもといっしょにテレビを観察します。
電源を入れると明るくなって、消すと消えますね。
「何に似ているかな?」と子どもにたずねると、
「懐中電灯」と答えるかもしれませんね。

それなら、子どもの描いた絵。リモコンの絵。懐中電灯を用意して、
リモコンを押すと同時に子どもの描いた絵の背後から
懐中電灯を照らせば「テレビのスイッチオン!」
懐中電灯を消せば「消えた!」といったものができますよね。

それ以外にも、子どもと観察してみて、絵が動くから長い絵を描いて、輪にして箱の中で動かすというアイデアを思いつくかもしれません。

また鏡にテレビの枠を貼り付け、
マイクを持ってその枠の中に自分が写るようにするのでもいかもしれませんよね。

良いアイデアが浮かばないときは、
「何かいいアイデアないかな?」と家の中を探索するだけでも、
子どもはとても喜びますよ。
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なぜ幼児に工作をさせると考える力がアップするの? 2

2010-06-14 08:32:39 | 工作 ワークショップ
前々回の続きです。

3歳の●ちゃん、★ちゃん、4歳の☆ちゃんのレッスンの日。
●ちゃんと★ちゃんは、「ベビーカーを作りたい」と言い、
(☆ちゃんは自分で思いついた別のものを作ってました)
私が箱に
数箇所切り込みを入れてイス型のベビーカーのおおまかな形を作ってあげると、
布を貼ったり、リボンなどを飾りつけたり、折り紙で車輪を作ったりして
自由に仕上げていました。

ふだんよく工作をする★ちゃんは、物を観察する力が優れています。

それで、折り紙に小皿を当てて車輪を作るまでは自分でしたものの
「これはピラピラだから回らないの。ダンボールに貼り付けて」と言ってきました。
車輪って……飾りで貼る程度に考えていた私はちょっとびっくりしてしまいました。
「回るようにしたいの?」
「そう。真ん中に棒が入っててそれからくるくるってなるの。回すときビリッってなったらダメだから、堅い紙に貼るの」と★ちゃん。
そこで、折り紙を切り抜いた車輪をダンボールに貼り、ストローを通すのを★ちゃんといっしょにやってみました。
それから、ベビーカーに穴を空けて、そのストローをさして、くるくるまわして見せました。

これで満足するかと思うと……

「ちがうの、こうして、ベビーカーが動いたら、車輪がくるくるってしないと……
手で回すんじゃダメだもん。ここの車輪の下がもっと外に出てるのよ。これはちがうの」と言います。

車輪について、よく観察していますね……そうですよね。手で車輪を動かすベビーカーは確かにおかしい……。

そこで、穴の位置を下にずらして車輪が地面に触れて回るように改良しました。
すっかり満足した★ちゃん。

それを見ていた●ちゃん。
教室ではベビーカーに折り紙を切り抜いて作ったうさぎのシールを貼ることなどで忙しかったため、車輪は作りませんでした。
後日うかがったところ、
お家に帰ってから「車輪が作りたい!」と言い出したそうです。
そこでお母さんがいっしょに作ってあげたところ、
「ちがうの。ちゃんと回るやつ。こうなっていて~」と★ちゃんの作品の作りを一生懸命伝えようとし、
お母さんは「私にはできないわ~」と困ってしまったそうです。
確かに困ったでしょうね。でも、★ちゃんがそれだけ物事をていねいに捉えて考えるようになっている証拠なので、
出来る限り付き合ってもらったのだったらいいな~と思いました。


子どもに「工作で何が作りたい?」とたずねると、
「ちゃんとピカッて映って絵が動くテレビ作りたい!」「水に沈んで、沈んだままずっと進んでいく潜水艦が作りたい!」
「お友だちと本当におしゃべりできる電話が作りたい」といった返事が返ってくることがあります。

「そんなの無理よ」「作れないわ」「お母さんにはできないわ」
と即答する方がいます。
「そんな無茶ばかり言わないで!」
と、そうした子どもの言葉をクレームのように受け取る方もいます。

そうした親御さんの、考える前から、
「無理」「自分には出来ない」と決め付けてしまう態度は、
たちまち子どもに浸透します。

子どもの中に
工作だけでなく、どの学習科目にしても、少しでも考えなくてはならない場面にぶつかると、
「それは私には無理」「それは私にはできない」と決め付けたり、

めんどくさかったり、邪魔くさかったりすれば、「できない」と言いさえすれば、
それから逃れられると思う態度を育ててしまうかもしれません。

どんなに不可能と思えることも、
子どもが興味を持ったなら、即座に思考のスイッチをオフにしてしまわず、

観察してみる、イメージしてみる、考えてみる、会話を膨らます、推理してみる

くらいはしてもいいかもしれませんね。
とにかく子どもに、何でもかんでも、「できない」で片付ける姿を
見せていくのは、なるべく避けたいですね。

そこまで子どもの相手をしていられない。いちいち子どもの言葉にそこまで付き合っていたらきりがないと感じる方もいるでしょうね。でも、子どもって
自律と自立のための支えが必要な一時だけしか、大人に頼らないものです。
4歳の☆ちゃんなんかは、
素材を準備するところからイメージ通り再現することまで
全て自分でできるようになっているので、
私の手をわずらわすことなく
ひとりでモクモクと作業を続けているのです。
かなり前から、欲求や願望に十分つきあってあげていたので、自分で作業する力がしっかりついているのです。


次回に続きます。

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幼い子のための簡単理科実験

2010-06-13 22:25:48 | 理科 科学クラブ
幼い子たちと理科の実験をするとき、
手品のような
すごい科学実験より
ごくごく素朴で当たり前で、
大人にとってはそんなの実験と言えるの?
というくらいのものの方が、
物の科学的な性質がわかって喜ぶことがよくあります。

写真は氷と湯(お風呂の温度くらい)を使った実験です。
氷と湯(お風呂の温度くらい)が入った容器と
水に浸けられるおもちゃを用意します。

それだけ……です。

お湯につけた指を氷につけて感じる変化を楽しんだり、
お湯の中に氷を入れて、溶ける様子を観察したり
子どもはさまざまな実験をしてみるはずです。

「お湯だと氷がすぐ小さくなるね。水だとどうなるの?」
とたずねられたら、水の入った容器も用意してあげるといいですね。
氷に塩をかけたらもっと冷たくなるのは本当か試してみるのもいいです。

氷が溶けるのにどれくらい時間がかかるか調べてみると、
そんな単純な実験もその日の気温や氷のサイズや
氷の凍り具合などで異なることがわかるでしょう。

氷で遊んだ後は、
プリンの容器などに花びらや葉っぱと水を入れて
氷を作る実験も楽しいです。

氷が溶けること
水が凍ること

そんな小さなことでも、子どもは不思議で満たされるものです。

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なぜ幼児に工作をさせると考える力がアップするの? 1

2010-06-12 23:50:58 | 工作 ワークショップ
教室では2歳くらいから、自分のイメージを表現する手段を与えています。
それは、工作だったり、ブロック製作だったり、遊びの世界を展開していくことだったりします。

「知能を育む方法が、どうして工作なの?」
「どうしてブロックなの?」と質問を受けるときがあります。
幼児は目で見て、手を使って考えます。

幼児に頭の中だけで考えさせるのは、不可能とも言える事です。
ただ工作のように具体的に目で見える作業を通してなら、
幼児も自分のしていることの中に
意味や課題を見つけ出し、
秩序に気づき法則を見出したり、
自分のできることの可能性を感じ取って、集中的に作業ができるようになっていくのです。
また客観的に自分のしたことを振り返って
表現していくことも上手になっていきます。

そうした能力アップも魅力ですが、
幼児が自分で工作をするようになったとき、
何より周囲が驚くのは、ぐずりやワガママ、飽きっぽさ、感情の爆発などが
減っていき、
落ち着いてよく考えて行動するようになることです。
創造性が発揮されることが、
心の安定へとつながるのでしょう。

3歳、4歳の女の子3人のレッスンでの話です。
2歳くらいから教室に通ってくれている3歳の★ちゃん、4歳の☆ちゃんは、
とても工作が上手で、自分でさまざまなことを思いつき、
イメージしたものを即座にもりもり作っていく
子どもたちです。
想像力豊かで問題解決能力が高いため、
「欲しいものがあったけど買ってもらえなかった」といった状況でも、
「なら、紙と~で私たちで作っちゃおう!」と即座に切り替えて
毎日笑顔を溢れさせて生活しています。

一方、最近このグループに入ったばかりの●ちゃんは、
他の子が何か作ったり、楽しく遊んでいる間も、
教室のおもちゃを自分の物にしたがって泣いて、次々新しいおもちゃを出しては片付けるのは嫌で泣いて、みんな何かするときは「できない」の一点張りでした。
このように困ったちゃんとはいえ、
●ちゃんからは発達の問題はあまり考えられず、
知能も高い子であることは感じていました。
お母さんが迎えにくるとぐずぐずはさらに激しくなって、
●ちゃんのお母さんは、泣いたりわめいたりしはじめると止まらなくなるこの子にどう対応したらよいのかすっかり困惑しておられました。

★ちゃんのお母さんが●ちゃんのお母さんとお友だちであったため、
●ちゃんの愛着がきちんと育っていないことを気にかけて、
愛着の形成がきちんとできていくように手助けしていきました。
また教室では、工作や物作りを通して、
自分の内面にあるものを創造的に表現していく手立てを与えていました。

すると、少し前まで教室に来ると新しいおもちゃを引っ張り出しては
少しするとかんしゃくを爆発させていた●ちゃんが、
紙コップを指して
「これで、お人形さんの帽子が作れるんじゃない?」
「私ベビーカーが作りたいの。大きくてちゃんと押せるやつ。
丸い車輪もついているやつよ」などと、それまでには考えられなかったような
想像力を使った目的をもった発言が増えてきました。

●ちゃんは工作に興味を持ち、少しずつですが、
自分で作れるようになってきたのです。するとそうした具体物や
具体的な作業を通して
自分の考えを整理し、イメージの世界を言葉で表現できるようになってきたのです。


するともともと持っている利発で頑張り屋の性質が外に現われてきて、
こぐま会のワークからクイズのように問題を出す時間には、
いくつもいくつも問題を解きたがる姿がありました。
その表情の中には自信をみなぎり、
ニコニコと満面の笑みが広がっていました。



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小学校前にどういったことをすれば頭の固い子にならないのでしょうか? 

2010-06-12 15:20:18 | 教育論 読者の方からのQ&A
苦悩する「科学」  22人の最先端科学者が挑む ゛神の領域゜
       田近伸和著  ぶんか社

の中で理化学研究所脳科学総合研究センター
ブレインウェイグループのグループディレクターの松本元氏が、インタビューでこんなことをおっしゃっていました。
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脳は情報処理アルゴリズム(計算の処理方法)を自動的に獲得するシステムです。
情報処理のやり方を自分で作り出し、どんな情報を取捨選択するかも自分で決めます。
我々が研究開発に取り組んでいる脳型コンピューターは、
こうした脳の情報処理システムの原理に基づくものです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
脳は「価値」と「認知」という二重構造によって入力情報を選択しているとも言えます。脳はまず、その入力情報に「価値」があるかないかを
大ざっぱに判断する。そして、その後、より詳しい分析を、
「認知」機能によって行うというのだ。つまり、脳は価値がないと判断すれば不活性になってしまうのである。

「脳は意欲で働くコンピューターである」というゆえんである。
「好きこそものの上手なれ」というのは、脳の作動原理を見た場合、まさにいいえて妙なのである。

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松本元氏によると、
人間の脳とパソコンをはじめとする今のコンピューターを比べると、
目的と手段が逆転しているそうなのです。

人間の脳というのは、アルゴリズム(情報の計算方法)があらかじめ
決まっておらず、
情報処理のアルゴリズムを自動的に獲得するシステムなのです。

この話題をどうして、わざわざ取り上げたのかと言うと、
今さかんに行われている幼児教育や幼児への接し方が、

脳より性能の低い「今のコンピューター」へ
情報をインプットするような形で

行われているように感じているからです。

また、より優れた能力を育てたいという
外側の都合が、子ども本人の脳が、

「価値」と「認知」という二重構造によって入力情報を選択している

という事実を無視して、

あくまでも与える人が価値があると判断するものを与えようとする
行為になっている感じがするのです。

幼児を育てている人は、
幼児は「コンピューター」ではなく、
非常に高度な最先端技術でも追いつかないような機能をそなえた
「生き物」であることを知って育てるのが大事なのではないでしょうか?

幼児は、いろいろな現実や体験や問題に直接ぶつかったり、関わったりすることを通して、
それをするために必要なシステムそのものを自分の中に構築します。
ただ、大人が、子どもにやらせることを加工して、
「次はひらがなを教えたいな」「英語の次はピアノを習わせたいな」と、
まるで小さなコンピューターに情報をインプットしていくような
接し方をしていると、
偏った能力や技術は発達したとしても、
本来の人間の脳としての優れた機能を衰えさせてしまう気がするのです。
その学習をマスターするためのアルゴリズムは自分の中に作られていったとしても、
人の学習の基礎となる

能動的に自分でやることを見つけ出す能力
能動的に自分でやりたいことを決める能力 選ぶ能力
自分に適したものを判断する力 
自分の中から他人に伝えたいものを発想する力
問題にぶつかったとき、いくつかの解決法を発想する力
やりたいと思ったことを、最後までやりぬく力
自分にとっての価値がわかる
筋の通った考え方を組み立てていく力
自分の意見をわかりやすく相手に伝える力

といった親とさまざまな日常の体験をしたり
お友だちと遊んだりするなかで、
脳の中にそのアルゴリズムが幼児期に出来あがって来るはずのものが、

そうした能力がほとんど身に付かないまま
ピアノとか、漢字とか、計算とか、小学校受験問題といった情報を
処理する回路ばかり……
パソコンでも簡単にできるものばかりを
脳に教え込んでいくことは、脳が急成長する時期である
幼児期にすると
後々、どこかで頭を打つ原因を作ることになると思うのですよ。

写真は3歳の男の子ふたりのブロック作品です。
正面の電車用のエレベーターと、車庫2つ以外はほとんど
自分たちで仕上げました。

「飛行場が作りたい」と思った☆くんは、階段と飛行機を自分で作り、
「この列車がきちんと入るサイズの車庫が作りたい」と考えた★くんは、
車庫を作りました。車庫の横には、ワニの飼育小屋を作り、
かまれないようにエサをやるための窓も作りました。
アイデア何を作りたいか発想する作るための手段を考えるそれを発展させる振り返る
が、とても上手にできていました。


面白い動画を見つけました。
再生ボタンを押してから、右下の「ふきだし」のマークをクリックすると、
画面上の文字が消えて見やすくなりますよ。


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やどかりから学びの輪 2 ヤドカリ新聞と 算数の難問

2010-06-11 07:23:39 | 理科 科学クラブ
陸やどかりはとてもおだやかな性質で、子どもたちが遊んでいても
ほとんど危険がない生き物です。
でも、子どもたちが次から次へと触るので、ストレスになっていたんでしょうね。

昨日、小学生の☆ちゃんの手の平を
はさみで挟んで放さなくなりました。
洗濯バサミで小さくつままれたような痛さです。
引っ張っても、頑として放さないので、ドライヤーの熱を吹きかけて
無理矢理放させました。
やどかりは熱に弱いので、熱風からもすぐ逃げ出そうとするのです。

事件が一件落着すると、
小学生の☆ちゃんのお友だちたち○ちゃん、●ちゃんと、
やどかりのハサミでつままれていた本人(☆ちゃん)が、
今回の事件を教室の他の子たちに知らせるべく新聞の速報を出したい
と言い出しました。

『やどかり新聞』

お友だちの○ちゃんが大張り切りで記事を執筆する中、
「手のひらのこの赤くなってるとこの写真を、ここの部分に載せて~」と、
もうすっかり痛さを忘れて、それより一大スクープの被害者として注目をあびることにルンルンになっている☆ちゃんが、キャーキャー言いながら記事を書いていました。
新聞には、消毒薬の広告も載っています。

自分たちのやりたいことをしているとき、
それも自分のこれまで培ってきた能力をしっかり使って面白いことをしているときって、
子どもたちは何て楽しそうにいきいきしているんでしょう!!

この後、算数の問題を解いているとき、
とても驚くことがありました。
教室では、その子にちょうど良い易しい問題もしますが、
その子にとって難しいこれまで解いたことがない新しい概念がたくさん入った難問も解かせています。

まったく手も足も出ない状況で、
何から取り掛かればよいか、
何を糸口に解いていけばいいか探りながら、
それまでの経験を総動員して頭をひねりまくる機会を作っているのです。
教室に幼児から来ている子たちは
そうした問題にとても強くて、
先日もまだ習ったことのない面積に関わる難しい問題をすぐに解いてしまって
驚いたくらいなのですが、
小学生から学習をスタートさせた子たちは
理解力が高いのに頭が固くて、
教えた問題は解けても、見たことのない問題は何をしたら良いのかわからなくなったり、
トンチンカンな考え方をしたりするのです。

それが、
この新聞作りの後で、算数の問題を解いたところ、
難問となると、すぐに「わからん~解き方教えて~」と頼り気味だった○ちゃんが、
初めて見る問題を次々発展させて解いていきました。
えっ?
と驚いたものの、そういえば、このごろ○ちゃんは自分らしさや個性がはっきり外に溢れてきていて、自発的に行動する姿が多くなってきていたことに思い当たりました。
もともと理解力の高い頭の良い子ですから、
自発性や自分への自信が強まってきたので、
難しい問題も自分で考えればできることがわかってきたのかもしれません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日は午後から息子の懇談で外出しているので、
コメントの反映は晩になります♪

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絵を描きました♪ 2

2010-06-10 23:20:57 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)
アップにするとこんな感じ♪

他の絵も見てくださる方は、ブログ左上のホームページ
(未来奈緒美の詩、イラスト、エッセイ 童話のホームページ)のリンク先に
遊びに行ってみてくださいね

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やどかりから学びの輪 1

2010-06-10 19:21:48 | 理科 科学クラブ
虹色教室に陸やどかり(地上で生活するやどかりです)が来て以来、
たちまち No.1の人気者になりました。

なかなか目的を持った作品を作ろうとしない子も、
やどかりハウス作りや、やどかりの公園作りには大喜びで取り組みます。

たった380円のペットですが、
その頭の良さと、動きの面白さ、生態の不思議に
どの子も目を丸くして驚きます。

やどかりの数倍の高さの囲いを作って閉じ込めると、
仲間のやどかりの背中に乗った後で、貝殻からできる限り身体を出して
グーンと伸びをして、爪を塀に引っかけて登るのです。

また、一度、そこは登れなかったと学習すると、他を探索しはじめ、
次のチャレンジ時には、その記憶を活用して
逃げ出そうとします。

見ている間中、子どもたちは大フィーバー!!
「スゴイ!スゴイ!」
「そうだ!迷路を作ってみたらどうだろう?」
とアイデアが次々浮かびます。

きちんとデーターを取って、生態について
もっとくわしく調べてみたいです。

やどかりは手の平に乗せると、貝からにゅっと出てきて
とても可愛らしいのですが、
手の平の熱で
低温やけどしてしまうそうです。
ヤドカリを飼う方は、気をつけてくださいね。

すごく面白いのはセンサー付きのロボットみたいに、
少し離れた場所で手をかざすだけで、
方向を変えたり、貝のなかにもぐりこんだりすることです。

男の子はもちろん女の子たちにもとっても人気です♪


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