虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

『地層』作り 経過報告

2011-03-19 21:29:52 | 理科 科学クラブ
『地層』作り
ここまでできました。今年2年生になる☆ちゃんががんばりました。
後は、化石を作るとできあがりです♪


↑断層です。

この『地層』作り……粘土を伸ばしたり、砂を削ったり、粉類を混ぜ合わせたり……
と、どれも子どもたちが大喜びする作業でした。
作業に参加した子たちは全員、「もっとやりたい!」とのこと。

それで もう少したくさん粘土を買ってきて、
別の地層の見本もいろいろ作ってみようかと思っています。

プログラミング と パソコンに慣れる

2011-03-19 13:49:39 | 幼児教育の基本
小1~2年の算数クラブの子どもたちとパソコンで遊びました。
教室の子どもたちをパソコンと親しませるために
どんな環境を用意したらいいか悩んでいて、
息子に相談したところ、
「『C言語』で数遊びのゲームを作ったり、
『フラッシュ』でじゃんけんゲームや短いアニメを作ったりするのが、あれこれソフトを買って教えるより案外いいよ。
実際自分で何か作ってみることで直感的にわかってくるから」という返事でした。
相談ついでに、文字を打ったら遊べる状態にセッティングしてもらいました。

今回は、子どもたちは、かな入力で文字部分を書きかえたり、数字部分を書きかえたりするのが主だったのですが、
たったそれだけの作業でも、ミスするたびにいろんなことを学んでいきました。

たとえば、『Enter』のボタンを押さずに先に進めたばかりに
書いた文字が何度も消えてしまったのですが、おかげで どういう時にどのキーを押すのか注意深くなってきました。

「次は、にんげんって10回繰り返すようにしよう」などと言いながら、
ゲラゲラ笑いあって打っているうちに、濁点を打つために『Shift』キーを押すとか、数字を打つために『半角/全角』キーを押すといった
プログラミング以前の内容とはいえ、
キーの使い方を自然にマスターしていたので、こういうことってやっぱり『習うより慣れろ』だなぁと感じました。

こうして遊ぶうちに、C言語についても、ものすご~く微々たるものですがわかってきました。

printf(プリントエフ)と打ち込んでから、お願い事をするとか、
;(セミコロン)は、日本語の文章の終わりにつく『。』のようなものだとか。

意味を教えたのでなくて、一度打ち込んだ文字を消すときに、;まで消してしまったり、printfのfまで消しちゃったりして、
「あれ、動かない!!」というトラブルにぶつかるうち、
この記号はどのように機能しているのかということが何となくわかってきたのです。

子どもたちに、こうした学校で習うこと以外の体験をさせるときに、
私が目指している目標は、
子どもが「それについてもう少し深く学んでみたい」と思ったときに、
どういう準備をして、どういう本を調べて、どういう努力をすればいいのか
『それについての自学自習のスタイルが具体的にイメージできるようになる』というところまでです。

何かをマスターさせるという点ではたいしたことはできないのですが、
子どもの知的好奇心がさまざまな方向に枝を広げていくお手伝いができればいいなと思っています。

今日の算数は、計算の工夫の仕方と分数の基本を学びました。


阪神大震災の記憶 と 東北地方太平洋沖地震

2011-03-18 11:41:44 | 日々思うこと 雑感
もう15年以上経ったというのに、
阪神・淡路大震災の日の記憶は脳裏に刷り込まれています。
東北地方太平洋沖地震で被災されている方々に命をつなぐ物資も十分届いていない今、そんな昔の話を語っている場合ではないのですが、
過去の震災から学んだもろもろのことを、今どうしても言葉にしておきたくなりました。

わが家は大阪府なので、震源地からは少し離れていたのですが、
埋め立てて作った地盤がゆるい土地が多い地区なので、
建物が半壊したり、道路が壊れたりする惨事となりました。

この地震の発生時刻は午前5時46分だったので、ダンナも子どもたちも2階でぐっすり寝ていました。
私だけが1階でガサゴソしていました。
コンビニの早朝バイトに行くための支度をしていたのです。
というのも、
当時、バブル崩壊の煽りを受けて、建築関係だったダンナの仕事は大打撃……
給料未払いのまま離職……という経済的に苦しい時期で、
朝が弱い私も5時起きでバイトに出ていたのです。

準備して、さぁ出勤という段になって、家中がとても立っていられないような激しさでグワングワン揺れはじめ、
メリメリバリバリと壁が壊れていくような恐ろしい音がしました。
私は悲鳴をあげながら階段を駆け上がりました。

火事場の底力のようなものなんでしょうけど、
本当は動けるような状態じゃないくらいの揺れが続いている最中に、
子どものことが心配で心配で、取り乱してわめきながら2階に向かっていました。
すると、子どもの布団の上に照明器具は降ってくるし、
戸棚は倒れるし、
もし地震の発生がもう1時間遅かったら、起きてきた子どもの頭に照明器具や戸棚が直撃していたかもしれないと思うと震え上がりました。
冬場だったので厚い布団に守られて、
ダンナも子どもも無事でした。

地震後は、神戸からふらふらになりながら歩いてくる方々がいました。
わが家にも「水を求めて神戸から来ました」という方がたずねてきて、あわてて近所の豆腐屋さんで豆乳を入れる容器を分けてもらって、水を持って帰っていただきました。
そんな折、小学生だった事務Kちゃん(当時の生徒)がお友だちといっしょに道端に落ちている茶封筒を拾いました。
なんと、中身は100万円。
びっくりした親御さんが慌てて警察に届けたところ、
落とし主は神戸で被災した方でした。
地震でさまざまなものを失った後で、何とか関西で生活を立て直そうと用立てたなけなしのお金を茶封筒のまま落としてしまい、途方に暮れていたのです。
拾った額が100万円ですから、本来なら謝礼金もたいした額になるのですが、
事務Kちゃんの親御さんは、「被災して困っておられる方からお礼をいただくなんてとんでもない」ときっぱり断っておられました。

阪神・淡路大震災後からこれまでを振り返ると、
いろんな反省があります。

震災直後は誰もが互いに助け合って、
気丈にがんばれるけれど、
その後、半年、一年と経って世間の関心が薄れてきたときにも
まだ苦しい生活から抜け出せずにいる方々がいたのです。
多くの方々が、生きる意欲を失いかけて、本当に辛いときには他人に頼るに頼れない状況だったのです。
大きな地震の影響は、周辺地域の経済にひどい打撃を与えます。
そうして、長期間経済が低迷すると、誰もが他人に気遣うどころではなくなって心がギスギスしてきます。
そうなると弱っている人を助けるどころか、攻撃したり邪魔者扱いしたりする人も出てくるのです。
そういうときにこそ、愚痴を言わずに働いて、一生懸命生きて、そっと困っている人を支えられるような強い心を持っていたいと実感しました。



テレビの画面から流れてくる東北地方太平洋沖地震の被災地の惨状は、
あまりにもむごいものです。地震により被害を受けられた方々に、心よりお見舞い申し上げます。また1日も早い復旧をお祈り申し上げます。


家族で地震の中継を見ていたとき、うちの子たちは、
家族を失って茫然自失となっている方や、
はぐれた家族を探して、壊れた街をさまよい歩く方々にマイクを向けて、
まだ被災した方の心が受け止めきれていない……まだ言葉にしたくないようなことを、ズケズケと問いただす様子が我慢ならないようでした。

マスコミの報道のおかげで、全国から支援が集まるわけで、
良い面も十分わかるけれど、
報道のあり方について考えてしまいました。

またこういう事態に誰かが不謹慎な発言をすると、
それは確かに「言うべきでないこと」だったり、「わざわざ言わなくていいこと」だったりするものの、
それがネットで取り上げられて猛攻撃にさらされる様子も、
(ネットが生活の一部である)平成っ子のうちの子どもたちにとって「何とかならないのだろうか……」と悩むテーマだったようです。

「わが子が流されたとか、身体が不自由な家族のひとりが犠牲になったとかいう事実を、命を落としたのは自分の責任じゃないか……って苦しんでいる最中の人に無造作にマイクを向けるのって、どうなのかな……。
今はそっとしておいてあげた方がいいという人間的な判断は、
テレビ局では難しいのかな……?」
と私がつぶやくと、息子からこんな感想がありました。

「マスコミの報道、ひどすぎる、頭が悪すぎるって批判をよく目にするよ。
みんながみんな頭が悪いわけじゃないのに、頭が悪いように見える発言をしてしまう理由は、結論を急ぎすぎるからじゃないかな?
みんなから叩かれるような言葉を口にしてしまう人も、それを責める人たちも、
その場で解決しようのないことを、今その場で、結論付けようと躍起になっているからね。」

「そうして結論を急いで、少し経つと、そんな問題などなかったように話題が切り替わって、無関心になってしまうのが怖いわね。
これから先、経済的な苦しみのような形で、震災の被害が被災しなかった人々にも現実の問題として降りかかってきたときにも、
暗い現状に呑まれることなく、忍耐強く生きて生きたいし、今のような緊急事態と同じように支えあう気持や人への優しさを失いたくないわ。
未来が悲惨に見えても、創造力を使って難題を乗り越えていきたい」と私。

「今、こういう事態で、本気で考えていかなきゃならないのは、働けない人々にどのような働く場を作っていくかってことだよね。
今まで未解決のままだった部分の問題解決に、
さまざまな分野の人が知恵を出して、力を出し合って取り組まなきゃいけないんだと思う。創造力が必要だよ」と息子。


広汎性発達障害の子の学びと遊び 1

2011-03-17 13:07:53 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

今日は以前、
共同注視を誘う遊び方 1
共同注視を誘う遊び方 2
共同注視を誘う遊び方 3
で遊ぶ様子を記事にさせていただいた4歳0ヶ月の★くんと、
2歳9ヶ月の●くんのレッスンでした。
★くんは前回の3ヶ月前のレッスンまでは、
他の人と視線を共有する「共同注視」ができず、
相手の目や表情を見るということもほとんどありませんでした。レッスン中も、他人を避けるように移動して、ひとり遊びをしていました。

それでも、前回、心と心が通じ合えた、気持が通い合えたという瞬間があったのだから、そうした時間を少しでも広げていけたら……そう考えていました。

それが、私からすると一瞬の出来事だったものは、★くんにはとても大きな転機だったようです。

久しぶりに会った★くんは、まるで別人のようでした。
「この人と遊ぶのは楽しい」「この人といっしょにだったらいろんな物を自分も作れる」「この人となら学習課題に取り組める」という
外からもわかる強い信頼感を私に示してくれました。

これまではどの遊びに誘っても、知らん振りだったのに、
2~3回に1回は、「うん、いいよ~それしよう」と乗ってきます。

写真は、★くんといっしょに作った『ほうき』と『掃除機』です。
作るきっかけはこうでした。
★くんがドールハウスで遊びたがったので、家を棚から下ろしてあげて、
「家具がバラバラよ。お掃除しなくちゃ」と言いながら、家具をいったん取り出して、部屋に設置する遊びに誘いました。
すると、★くんは、「だめだよ」と私に注意してから、「掃除しなくちゃダメだから」とつけたしながら、ドールハウスの中を掃くまねをしました。
そこで、「じゃあ、ほうき作ろうか?」と誘うと、
これまでは誘いかけを無視するか、拒絶していた★くんが、
「うん、する~」と乗ってきました。
ポリひもとストローでほうきを作った後で、「掃除機もいるよ」と★くん。
紙コップと、曲がるストローを用意すると積極的に作っていました。

その後、「ブロックでエレベーターを作ろうか?」という誘いにも
素直に乗ってきて、(その前に、ブロックの巨大な塊をバラバラに崩していましたが……)
エレベーターの乗り口をブロックで埋めようとするので、窓枠をそこにおいて出入りできるようにしてはどうか提案すると、
「いいよ~」と納得していました。

★くんは「音がうるさい」「ぼくは今これをしているの!(だからそれはしたくない)」など、思ったことをはっきり主張する一方で、

こちらの誘いや提案を快く受け入れる姿が目立ってきました。
また、「いっしょにしよう」と立体パズルや楽器を取ってきて、私を遊びに誘う姿も出てきました。

ブロックを好きなように積んでいた★くんは、動物園の柵のパーツの上にブロックをはめて、それがグラグラするのを面白がっていました。
何度乗せてもグラグラして、しまいに落ちてブロックがバラバラになると笑っています。
そのグラグラ遊びに私も参加すると、★くんは大はしゃぎで、ブロックが落ちるたびに爆笑していました。
「★くんのグラグラガシャーンの本、作ってみる?」と誘うと、こっくりします。

そこで、画用紙を折って、『ぐらぐら』 と『がしゃーん』の文字と
適当な絵を描いた絵本を作ったところ、それは喜んで、
いっしょに読んでは爆笑していました。
背表紙をつけて本の形に整え、『★くんのグラグラガシャーンの本』というタイトルを書くと、「お家に持って帰る」と大事そうに抱えていました。


↑自分でも「グラグラ ガシャーン」と言いながら描いています。

こうした本作りは、文字の読みや書きに親しませるためと、
今後、ソーシャルスキルを教えるときに、教えやすい型を作っておくために、
子どもの心が「面白い!楽しい!」とワクワクしている瞬間に
作ってあげるようにしています。
★くんは、本当にうれしかったようで、
その後は、より積極的に、自分から私を遊びに誘う姿がありました。

↑★くんがチャレンジしたがった教具。
使い方の説明を落ち着いて聞くことができました。

いっしょに過していた●くんは、最初の頃の★くんのように、自分の世界で
ひとり遊びを続けていたのですが、少しずつ★くんのすることに
興味を持ち始めていました。
ブロック遊びも、教具も、途中からいっしょに参加していました。



算数クラブ 見て 触れて 考える と『地層』作り

2011-03-14 13:19:49 | 算数
地震お見舞い申し上げます。

小1(もうすぐ2年生)の女の子の算数クラブでのレッスンです。

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8人がけのいすに、 せいとがぜんいん すわっていくと、
いすが6きゃく いりました。

せいとが一番 多い 場合 何人だと 考えられますか。

一番少ない場合で 何人だと 考えられますか。

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という問題です。

子どもたちは、最初、8×6=48と即答し、自分の答えに自信を持っていました。
そこで、上の写真のように1脚に8匹ずつハムスターを座らせていって、
「みんな、入学式って出たことある?」とたずねました。
「そりゃぁ、あるよ」と子どもたち。
みんな小学生ですから……

そこで、5脚までハムスターを座らせて、「もし8×5=40 のハムスターなら、いすは5脚しかいらないわね」と言ってから、
1匹のハムスターを持って、「先生~私の座るところがありませ~ん!」と言うところを演じてみせました。

「そうだ、座れないから椅子がいるね。」と言って、
もう1脚足し、1匹だけのハムスターを座らせました。
それから、42匹の場合どうだろう? 43匹は?
と具体的に見本を見せて、
最初の問いについてもう一度考えてみるよううながしました。

「一番 多い場合は、48匹
一番 少ない場合、41匹」と正しい答えがすぐにわかった子はいたのですが、
「8匹と1匹」とか、「26匹」とか珍解答も……。

そうした間違いをする子は、考えるのが苦手というより、
作業をしている最中に、問われているのは何だったのか忘れてしまったり、
問題の全貌を俯瞰して眺める習慣がないだけだったりします。

それで、解けるようになること以上に、
問題を考える上での、取り組み方の構えを学ばせています。

こうした問題は小1の子たちにすれば難易度が高めなのですが、
これくらいの内容でないと、
こうした思考の経路を学びにくいし、
考える楽しみが実感できないのです。

5分もすると全員、理解して、
きちんと解ける状態になっていました。

今回もこうした問題の他に『4×12の解き方』や『植木算』など、
公式ではなく、
自分の知恵で解いてみて、自分の言葉で考えを説明することをしました。

今日のレッスンでは、算数の問題を解く前に、ブロック遊びと工作をしました。
こうした手を使ってする体験は、しっかりとした算数の理解力に
つながるなぁと感じています。
もちろん、そうした目的のために制作活動をしているのではないのですが、
『創る楽しさ』についてくる『おまけ』は大きいです。

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小1の算数クラブの女の子たち。


半分崩してある『ノアの箱舟』を見せて、
「スタジアムとか劇場とかいろんなものができそうに見えるでしょう。
どう? 作ってみる?」とたずねると、2人は「する!する!」と言ってブロックを崩し始め、
後のひとりは「工作がしたい」と言いました。
それで新しく買ってきた『巨大高層建築の謎』という本を見せて、
「これジオデシックドーム構造っていうのよ。きれいでしょう?綿棒や楊枝を使って似たものが作れるけど、どう?」とたずねました。

すると、「私、そういうのは作りたくない~」とばっさり。
別のグループの子らはタワーとかドームを作るのが好きなのですが、
(そうした子たちに、より本格的なものを作らせてあげようよ
この本を買ってきたのですが……)
今回のグループのメンバーはどの子も、液体を混ぜ合わせてどろどろした物質を作るような遊びが大好きなのです。(化学もどき?)

それで、『大図解 21世紀こども百科』を渡して、作りたいものを選ばせると、『地層』の見本のページを開いて「これがいい!」と言いました。

さっそく制作開始。最初は発泡スチロールをななめにカットして
地層の土台を作ろうとしたのですが、スチロールカッターが壊れているので断念。
粘土を麺棒で平たくしてから、カッターで切ったものを土台にすることにしました。
上は『断層』です。

この工作でポイントになるのは、色や質感の異なる砂が何種類かいるということです。
そこで、『発掘おもちゃ』の砂をけずり、それに色が付きそうなもの(色鉛筆の芯を削ったものやコーヒーなど)を混ぜていくことにしました。

その作業はかなり魅力的だったらしく、ブロックをしたがっていた子たちも
「やっぱり工作がしたい!」と
いっしょになって作り始めました。




こうした工作をしている最中も、
算数の学習と同じで、今している作業に夢中になりすぎて、
最終目的を忘れてとんでもないミスを犯してしまうことがあります。

いろんな色の土を作っていたのは、地層の色分けのためなのですが、
どの砂にも同じように色の粉を混ぜて、
どれもこれもいっしょにしてしまいそうになったのです。



「今していることを ていねいにするのも大事だけど、
最終的にどんな目的のために今の作業があるのか
頭で理解してしなくてはだめよ」と注意すると、
次からは何となくするのでなく、仕事の意味を考えながら
動くようになってきました。

写真はないのですが、地層に埋め込む化石類は、鳥のおやつ用のイカの甲羅を削って作ることになりました。
途中で算数の学習時間が来たので、
「この続き、別のグループにバトンタッチする?
それとも次回、自分たちで仕上げる?」とたずねると、
「置いておいて。私たちで全部したいから」という返事でした。




自閉症スペクトラムの子の学習 と 才能開発

2011-03-13 22:01:12 | 通常レッスン
★くんは、年少のときに重度の自閉症の診断を受けている男の子です。
年中の頃には、療育での様子について報告を受けた
病院の先生が「中度くらいになってきたのかな」とおっしゃったそうです。

年長(もうすぐ新1年生)となった現在、
私の目から見ると、高機能自閉症や
アスペルガー症候群の子の印象があるのですが
診断は変わっていません。

★くんは記号を見分けるのがとても上手で、字を読むのも速いです。

そこで、『電子ブロック』にチャレンジしてみることにしました。
するとたちまち気に入って、
細かいアルファベットや線が描いてある電子ブロックのピースを
見分けては適切な位置に置くという作業をマスターしました。
『ウソ発見器』の回路を自分で組んでとても満足していました。

この『電子ブロック』のようなおもちゃを気に入る自閉症スペクトラムの小学生はけっこういます。
(そうでない子もいます)
自閉症スペクトラムの子たちは、
想像力や弱くて、意味を考えることは苦手ですが、
一度覚えた方法をねばり強く繰り返したり、
細かい違いを見分けて、正しい位置に置いていくことが得意な場合がよくあるのです。
得意と不得意の開きが大きいのです。
不得意を補う工夫もいりますが、
得意に磨きをかけるために、いろんなことにチャレンジさせてあげることも
大切だと感じています。
★くんにはいずれプログラミングにも挑戦させてあげたいと思っています。

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★くんは就学に向けて自宅で計算や漢字の練習を積んでいます。

就学前に先取り学習をさせるのには賛否両論があるでしょうが、
集団に向けて発せられる指示が通りにくい★くんが、
授業中に立ち歩いたり、そわそわしたりせずに過すためには、
やるべきことが一度頭に入っている必要があるのです。


★くんは 自宅学習のおかげで、機械的に筆算するのなら二桁の足し算、引き算もできるようになっています。
ただ数の意味を本当に理解しているかというと怪しくて、
『10枚の1円玉は10円硬貨1枚と交換できる』ということが
よくわかっていません。

視覚からくる情報で判断をくだすので、10円二枚と1円2枚だと、
「4だ」という感覚から抜けにくいのです。
それでも訓練すると、22円と言えるようになり、
他の組み合わせでも正しい答えを言えはするのですが、
やはり理解しているのとは少しちがうようです。

それで、できるだけ具体物を操作しながら考えさせるように教えています。

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あめが18個ありました。5個、妹にあげて、姉から
7個もらいました。
あめはいくつになったでしょう?
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といった問題を解いています。

★くんはこうした文章題を解く時、順番に解かずに、後から出てきた数字にだけ注目して、この問題でしたら18+7=25 としてしまいます。
でも、ブロックを操作しながら考えるうちに、
順番に解いていくということが少しわかってきました。


写真はブロック遊びの様子です。
「動物園が作りたい」と言うので、ブロックの基礎板を何枚か渡すと
囲いを作って喜んでいました。
「どうして囲いがあるのかな?」とたずねると、
困っています。
そこで、囲いにすき間を作って、動物が逃げる様子を演じると、
「動物が逃げないように囲いがあるんだ」と言い、
今度は何をたずねても……
「象さんの囲いの中は、きりんさんの囲いの中より広いね。どうして広いのかな?」といった質問にも「動物が逃げないため!」という
返事が返ってきました。

このように★くんは想像力に弱さはありますが、
ひとつひとつ具体的に教えていけば、パターンとして覚えていくことができます。

今後は、ていねいにハンディーを補ってもらいながら、
さまざまな可能性の芽を伸ばしていってほしいです。
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虹色教室には病院で広汎性発達障害の診断を受けている子が
何名か通っています。
こうした子たちは『みんな』ですることに合わせるのがとても苦手です。
集団の場では、わがままに見えたり、頑固で意地悪に見えたり、周囲の子より能力が劣って見えたりします。

でも、その子ひとりとじっくり関わっていると、
心が透き通るようにピュアで本当に可愛らしい子たちです。
また、それぞれが独自の個性的な才能を持っています。
もちろん数値で評価できるような才能ばかりではないのですが……。


広汎性発達障害の年少さんの●くんが初めて教室に来たとき、
こんなことがありました。
最初は自分ひとりの世界に閉じこもって遊んでいたのですが、
からくりのある木の玩具で遊んだり、
紙コップでエレベーターを作ってビー球を上げ下げしたりするうちに
次第に打ち解けて、
帰り際には、自分から不器用に私の肩を抱く格好をして、
よしよしと手で軽くたたく真似をして、(おそらく親御さんか園の先生にしてもらっているのでしょう)「また、遊ぼうね」と学者さんのような口調で言いました。
本人は真面目そのものなのですが、私も親御さんも思わず吹き出してしまいました。

●くんは、私の絵の絵画展にも来てくれました。
展示場に据えつけてあったテレビを見せてあげるために抱き上げて、
といってもテレビはついていないのですが、
「これ、何かな? 何かな?」と画面を指差すと、
「おじさんとおねえさん」と答えます。
「テレビ」と返ってくるものと思っていた私は驚いて、電源が入っていないテレビの画面に目をこらしました。
すると、画面には確かに、ガラス戸の向こうで歩道を行き来する
おじさんやおねえさんの姿が映っていたのです。
「こんなの消えているテレビじゃないか」などという先入観抜きに、
独自の感受性で物を眺めている●くんの瞳には、私には言われるまで見えなかったものが見えていたのです。
●くんは、私が教えることを、「うん、うん」とこっくりしながら学んでくれるし、
私も●くんにいろんなことを教えてもらいます。

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自閉症の子どもたちにオススメのパソコンソフトを紹介します。
こども脳機能バランサー
とてもすばらしい内容です。さまざまな能力アップに役立つと思います。
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地震お見舞い申し上げます

2011-03-12 22:01:18 | 日々思うこと 雑感
今回の地震で被害に遭われた皆様、ご家族の皆様、地震お見舞い申し上げます。
被害がまだ拡大している中、当地の皆様の安否を大変心配しております。

つきましてはスタッフ会議の結果、
3月15日に予定しておりました『虹色オンライン教材』の販売開始日を
2週間ほど延期することにしました。
楽しみ待っていただいていた方々 申し訳ありません。







2、3歳児 けんかも大事な学習です♪

2011-03-11 18:03:30 | 日々思うこと 雑感
過去記事です。
3歳になったばかりの☆ちゃん、★ちゃんのレッスンです。
2歳のころはけんかばかりしていた☆ちゃん、★ちゃん。お母さんたちの協力で
十分感情を外に表現できる環境(泣いたり、わがままを言ったりすることをしっかりできるようにさせること)を用意して見守ってきました。

そうして、3歳になった☆ちゃん★ちゃん、
創造的に協力し合って遊ぶ姿は目を見張るものがあります。
自己主張をきちんと受け入れてもらってきたため、
『自分』がしっかり育ってきていて、自分とは異なる意識を持つお友だちをきちんと理解しています。
ごっこ遊び、創作遊びと自分の頭で考えて
内面からキラキラするものがあふれてくるように
遊びます。

今興味があるのは引っ付くものと引っ付かないもの。
じしゃくやテープで引っ付く引っ付かないを試すことに夢中です。
写真はかばん作り、ボタンや糸のコラージュを相談しながらしているところです。作り方はこれまでの経験から、全て自分たちで考えたんですよ。

本当に仲良く上手に遊べるふたりですが、疲れたり、お気に入りが重なると
けんかをはじめます。

今日は白いネコのぬいぐるみを取り合っていました。
「それなら、ぬいぐるみさんたちに誰と遊びたいか決めてもらおう!」と提案して、フラミンゴやトトロバスや白いネコのぬいぐるみを
抱えて「遊びたい子に、遊ぼうよって相談してごらん」と言いました。
ふたりともけんか気分はどこかにいっしまって、いきいきした表情になりました。

☆ちゃんが、フラミンゴに「遊ぼうよ」と声をかけます。
「いいけど…おなかがすいているのよ。おいしいものを食べさせてくれる?」
「いいよ。食べさせてあげる」フラミンゴが納得して☆ちゃんにだっこされます。
★ちゃんは、白いネコに「遊ぼうよ」と声をかけます。
「え~眠いんだけどな~どうしようかな……。だっこしてゆらゆらしてくれる?」
「いいよ。」白いネコは★ちゃんのところに。

2、3歳の子は、絵本の中のようなイメージの世界を生きています。
絵本の世界で起こるような問題の解決法が大好きで納得します。
とてもユーモアがあって、不思議で優しい気持ちになるる解決法が好きなんです。

牛乳のおもちゃの取り合いの時も、近くにあったブランケットを
ぐりとぐらの作ったような大きなホットケーキを焼くお話の世界に導くと、
たちまち仲良く牛乳をそれにそそいで、ホットケーキを焼き始めました。

子どもがけんかを始めたとき、楽しくユーモアのある解決を提案していると、
大きくなるにつれて、友達同士でとても上手に問題を解決するように
なってきますよ。

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3歳児のグループレッスンです。
4人ともお互いのすることに興味津々です。だからこそ、
他の子が見つけたものが欲しい!
他の子がしていることがやりたい!
となります。
それに、自分のものと他人のものがわかってきて、自己主張がはっきりしてくる時期ですから、自分が選んだものは簡単に渡したくないのです。

こうした2、3歳児の、他人の物が欲しい!自分のは貸さない!の気持ち……
とても大切なものだと感じています。
ですから、そうした取り合いが起こったときは、
それぞれの気持ちをそのまま説明しています。

Aちゃん「かして~それちょうだい!」に、
Bちゃん「だめ~」が返事の場合……
「今、遊んでるからね。貸したくないんだって」Aちゃんに伝えます。
貸したくなくてかたくなになっている子には、
貸したくない気持ちを十分認めた上で、
別の道具を出してきたり、方法を提案したりすると、
しばらく考え込んでから、突然あっさり「貸してあげる~」と言うものです。

私と子どもたちだけで過しているとき、お茶犬のおふとんの取り合いになりました。Rくんが、青とピンクのおふとんを手に遊んでいると、
Rくんのすることが気になってしかたがないNちゃんが、「青とピンクのおふとんちょうだい~」と。
Rくんは、ピンクは渡したけれど、青は握ったままです。
Nちゃん、くりかえし「青も~」と要求します。

Rくんが、ちょっとイーッとなって、青いふとんを握りしめたところで、
私がフエルトの小さなお布団をいくつか渡すと、Rくんの緊張が取れて、
「これさ~みんなに配ってあげようか?はい!はい!」と配りだし、Nちゃんも楽しそうに手伝っていました。
その後は、青いおふとんも貸してあげて楽しく遊べました。

子どもが自分で考えてみたり反省する間も与えずに、
「謝りなさい!」「貸してあげなさい!」「こっちにあるでしょう!」と
大人の言葉で操作するといけないなと感じています。

けんかも取り合いも仲良くなるため、上手にコミュニケーションが取れるように
なるための大切な学習です。
「貸したくない」というお友だちの心を知ることも
ひとつの勉強です。

誰から学ぶ? どこで学ぶ? 2

2011-03-11 14:20:21 | 日々思うこと 雑感
虹色教室をする前、中学生や高校生の知人のお子さんの勉強を見ていたことがあります。
教えるというより勉強の見張り役程度の仕事なのですが、
休憩時間に思春期まっただ中の子どもたちと、ああだこうだと話をするのは面白かったです。
それぞれが自分なりの考えや社会への不満や将来への希望や悩みを持っていて、
「へぇ~」とか「そうなの?」とか「どうして?」と相づちを打って聞いていると、いくらでもしゃべっていたものです。

その子たちがわが家の即席教室を卒業して、
アルバイトや正規の仕事に就くようになっても、
たまにフラッと立ち寄って、
「おばちゃん、大変なのよ、聞いてよ。今、ふたつもバイトを掛け持ちすることになって……」とか、
「バイトするうち資格を取るよう勧められたから、自分のお金で専門学校に行くことになって……」
などと報告に来てくれるのがうれしかったです。


自分が高校生だった頃のことを振り返ると、
当時の高校はのんびりしたもので、空部屋があると、
暇そうにしている先生の周りを数名の同じく暇な生徒が囲んでおしゃべりを楽しんでいたものでした。
阪大を目指している子がけっこういる関西圏の進学校だったのですが、
勉強は自分でがんばるものという意識があったのでしょう。
学校は、のんびりと人と人が交流するための空間でした。

そうした場で、人と話すことで学ぶこともたくさんあったのですが、
今はどうしてそういう機会が、こうも減ってしまったのでしょう?
社会が『目に見えないものの価値』に対する感性を
急速に失っているのかもしれませんね。

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外食中、子育てや教育の話からスタートした息子と私の会話は、
途中からいつも通り『ものづくり』の話になっていきました。

息子 「ゲーム制作の現場では、より美しい画像にして キャラクターをよりスームーズに動かすために、多くの人とよりたくさんの予算を使う方向に進んでいるよ。
ゲームじゃなくて、まるで映画制作のようなんだ。
そうやって何億もの制作費用をかけたら、必ず良いものができて ヒットしているかというとそんなことはないよ。

案外、個人で何もかもやって作ったようなこじんまりとした作品がヒットして、海外まで行くってこともあるんだ。

もっともっとと……すばらしい技術を追いかけても、
何だか物足りない仕上がりになるのって、
絵とか映画とか他のいろんな ものづくりの世界でも起こるよね。」


私 「そうよね。最近の壮大なスケールの映画は、感動が すぐに心からすり抜けてしまうわ」


息子 「どんなに絵の技量を上げて、どんなに質のいい画材を使って、現在の絵に関する知識を総動員して描いても、
『モナリザ』の絵と同じ魅力は、なかなか生まれないよね。

多くの人がどうして『モナリザ』の絵に魅了されるのかといえば、
『モナリザ』の絵には、絵の技量の他に、
そこに哲学や数学のようなものが含まれていて、独自の深さを持っているからだと思うんだよ。

プログラミングのようなものでも、すごいものになると、
そうした技術を超えたものとのつながりが感じられるんだ。

そうした価値は、より予算を高くしていく方向では生まれないよ。」


私  「★(息子)が一番したいのは、IT関連の仕事なんでしょ?」


息子  「そうだよ。
ぼくがこれから進みたいのはIT関連の世界で、
将来は ずっとプログラミングに明け暮れるんだろうけど、
希望とすれば、同じプログラミングでも作業として易しいソースコードを黙々と打ち込むような仕事ではなく、
難しい頭脳を使う創造的な仕事をしていきたいな。

音楽とか芸術的な面で……いや芸術的な分野にこだわるわけじゃないけど、
プログラミングの世界でも職人的な技に通じるようなもので、5~10年かけて、何かひとつ卓越した力を身につけたくてさ。

ITの世界は、今アイデア勝負でどんどん新しいものが作られているよね。
でも、ぼくはそれに乗っかるのは嫌だな。
アイデアだけでヒットを狙うんじゃ、自分が成長しないよ。それにそれはいずれすぐに真似られて終わってしまう。
表面的な良さばかり追求した売れるものではなくて、
内部に職人技のようなものがきちんとある……
本当の意味で質のいいものが作れるようになりたいからね。

まずひとつの分野で、特にまだそれほど開発されていないところで、
他の人が到達できないくらい卓越することが必要だよ。
そのためには、何を学び、どこで働くのか
選び方も重要なんだろうな。」