虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

算数の教材作り

2011-07-24 16:29:23 | 算数

小学2、3年生の子らの算数クラブで、文章題を解くときの教具を作りました。
ちょっぴり不器用な男の子たちがメインで(ふざけながら)作ったキャンディーやドーナツ類。

何度も使いまわしたらいいものか、私が小ぶりな見栄えのいいものを作りなおそうか……と迷ったあげく、
「やっぱり、見た目が妙に整っちゃうと、勉強するときに
面白くないからな~」とこれを他のグループの学習にも使用させてもらうことにしました。

(教材にも、ぶちゃかわいい……という感性が必要なのかと……)

自分たちが作った作品だからか、
子どもたちは、大はしゃぎで算数の文章題にチャレンジしていました。

キャンディー、ドーナツなどに、60円、120円などの値段をつけて、
300円分の遠足のお菓子を買うパターンをいろいろ考える問題です。

この日の算数クラブでは、単位の変換について
いろいろと考えました。

「0.1時間は何分のことでしょう?」という問題を
時計の盤を見ながら考えるのが、一番難しかったようですが、
60分を10に分けてから考えていくことを理解すると、
分数で問いなおしてもしっかり解けていました。

算数クラブでも(このところの科学クラブと同様に)
固めのスライムを作ったのですが、これは切り分けやすくて、
容器に入れた後、個体のまま取り出せるので、
分数の勉強だけでなく、体積や容積や割合の学習にぴったりでした。


↑写真がないので、女の子たちのスライム作りの様子を……。



夏休みの自由研究

2011-07-24 12:39:52 | 理科 科学クラブ


過去記事で自由研究に関連あるものをまとめました。

☆個性にあわせた自由研究のテーマ選び(小学生)

☆自由研究のご質問にお答えします♪

☆4歳児の電子工作♪ 動くせんぷうき作り

☆ 2

☆ 3 

☆ 調べ学習にチャレンジ♪ と 「会話」の話
☆ 調べ学習にチャレンジ♪ と 「会話」の話 2




2歳児もわかる算数文章題 『基本の形』

2011-07-24 08:28:54 | 算数


☆2歳児もわかる算数文章題 『基本の形』

☆2歳児もわかる算数文章題 『基本の形』 2

☆2歳児もわかる算数 『基本の形』 3

☆幼児に2ケタの計算を教えるには? 1

☆幼児に2ケタの計算を教えるには? 2

☆幼児に2ケタの計算を教えるには? 3

☆幼児にくり下がりの引き算を教える方法 1
☆幼児にくり下がりの引き算を教える方法 2



娘とおしゃべり

2011-07-23 19:58:18 | 日々思うこと 雑感


娘と大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室
に行ってきました。

幼い子たちも美術に親しめるようにいろいろな工夫がしてあって面白かったです。
展示室なので、それほど広くないのですが、
お近くの方はぜひ! おススメです。
きっと子どもが美術の世界に興味を抱くようになりますよ。

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フットワークが軽い娘とは、
お互いの仕事や授業が終わる時間に待ち合わせて
美術や映画やきれいな風景を見に行くことがたびたびあります。

娘は幼いころから、何でも自分から動いてやってみて、
それからいろいろと学んだり、反省してみたり、考えを練ったり、
新しい目標を見つけだしたりするタイプでした。
とにかく、「はじめに、行動ありき」の子なのです。

「おそらく内向的感情直観寄りかな?」と思われる娘は、
人と関わっていく力は、とても繊細かつ鋭い感性の持ち主です。


とても愛情深く親密に付き合う一方で、
適度な距離感を保ち、境界線を維持する術に長けていて、
相手の意見を十分受け入れて、共感を示しつつ、
自分の言いたいことははっきりと伝えることができるという
人間関係の上級者?……楽しい子です。

私が性格タイプについて考えをめぐらすことが多いのは、
それぞれが持っている個性的な長所について、好奇心を抱きつつ、
より多面的なより深い気付きを
得たいと感じているからです。

人はどうしても自分の感性を通して、相手を眺めていますから、
どんなに先入観を抜きにして眺めようと努力しても、
わからない価値はわからないままだし、
相手にとっては長所であるものを、せいぜい
「嫌な面だけど目をつむっておいてあげよう」くらいに捉えていることが
よくあるのです。

といっても、性格タイプについて考えるときは、

人の個性の多様性に気づいて、
相手の言動に対して、自分なりの解釈で決めつけてしまいがちな態度を、
一歩後ろに下がってちょっと控えて、
客観的に眺めるための指針にする

程度がちょうどいいくらいに思っています。
性格への理解を広げるつもりが、自分の先入観の枠にあてはめてしまったのでは
元も子もありませんから。

わが子たちが幼かった頃、私は性格タイプについてなど知る由もなく、
ただ漫然と、
子育てしていました。
でも、それぞれの子のアンテナに引っかかるものに共感して、
やりたがる体験をたくさん提供し、それぞれの子が持っている弱点に足元をすくわれないように
ほどほどにフォローして育てていたら、
結局、後から思うと、娘も息子もそれぞれの性格タイプに沿った子育てになっていました。

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夕食後、娘が、
「これまでいろいろやってきて、失敗もいっぱいしてきたけど、
そのおかげでいろんな人から褒められることが多いし、
以前なら憧れていたようなことも、簡単に実現してしまうところがあるんだけど……。
でも、新しい良いことがあっても、ああこの先、こんな流れで進んで、最後はこうなるんだろうな、
なんて妙に先を読む癖がついて、
うれしいはずの出来事に
わくわくできないことがよくあるのよ」と言いました。

私 「確かに、☆(娘)は、思いたったら即実行で、とにかく始めないと気がすまない
ところがあるから、いろいろやってきているだけ、
☆の年齢の時の私に比べて、何倍もしっかりしているところがあるわ」

娘 「そう、できることは増えてるけど、それにつれて、
うまくいってても、あんまり感動もないのよね」

それを聞いて、子どもたちといっしょに出かけた本屋の帰りに、
「よくそれだけ次々読みたい本があっていいな~お母さんは飽きるとか、もう読みたい本がなくなったとかないの?
新しい分野とかどうやって見つけるの?」
と娘から、興味しんしん……という口調で読書で新しい興味を広げていく方法について
たずねられたことを思い出しました。

それで、「そうやって、いろいろできることも増えて、褒められることも多くなってきたのに、
あまりワクワクしないって言うのなら、
そろそろ自分にとって新境地って思われる世界に一歩踏み出す時なんじゃないの?
☆はさ、小さいときから、自分にとって心地いいかとか、楽しいかとか、
敏感に感じ取って、それを言葉で表したり、
迷うことなく実行に移す子だったけど……。

それは長所で、おかげで、いろんなことにチャレンジしてもきたのよ。
でも、同時に、自分でも今自分がしていることに限界を感じて、
もうそろそろ次の段階に移ったらいいって思っているときも、それを言葉にしつつも、
いったん自分にとって心地よくって楽しいなってなじんだことから
抜けられなくてくすぶっちゃうよね。
教室の子も、自分の気分をよくしてくれるものに目ざとくて、
はっきりと、自分の主観的な評価をする子って、そういうところがあって、
楽しそうだけど、困ってるときもあるわ」

娘  「それそれ!まさに、私の性格!
友だちが海外に留学するから、私も何かしたくって。英語をもっと勉強しようかと思ったけど、
それよりいっぱい本を読んだ方がいいのかなとも思ってるのよ。
その留学する友だちっていうのが、それは読書家で、日本の文学者の本なんかも
たいてい読んでいるの。それで、私も、何か自分を向上させることがしたいって思うのに、
つい、今、楽しいって方に流れちゃうのよね。
本っていっても、何から読み出せばいいのか迷うし、お母さんが買ってきた本
見せて」

娘は、私が買ってきた数冊の本から、内田樹先生の『最終講義』を見つけて、
「あっ、これ、私も買おうか迷ってたのよ」と手に取りました。
「その本は、読みやすいはずよ。ユングの読んでない本があったんで、どっちを買おうか
さんざん迷ってそれにしたけど、☆も読んでくれるならよかったわ」
私はそう言うと、
いつもダンナから、これ以上、本を買うな~2階の天井が抜ける~」とぶつくさ言われているもんですから
自分で自分に言いわけするように「娘や息子に回し読みして、私も何度も読み返すなら、本買ったっていいじゃない。一階に置くから……」と心の中でつぶやきました。






お絵かき から 実験へ と スライムの作り方

2011-07-23 17:14:47 | 理科 科学クラブ


夏休みの科学クラブで、「絵が描きたい」と言った子がいました。
テーマが「科学」の日なので、
「お絵かきをしてもいいけど、描き終わったら、その絵で実験か理科工作をしようね。」そう約束すると、
3人の女の子たちがお絵かきを始めました。

描き終えてから、「この絵を使ってどんな実験や理科しようか?」と、
磁石を使って絵を動かす案や、さまざまな色のスポットライトを当てて
光で色塗りする案などを提案したところ、
「水の中で消える絵」と「スポットライト作りに関心を寄せました。

絵をジッパー付きの透明の袋に入れて、
袋の上から絵の上にマジックで描き加えます。

水につけると、光の屈折で中の絵が消えます。



小1の女の子のオリジナルアイデアの
ハート型のスポットライト。




セロファンで色もつけました。



壊れている懐中電灯があったので、
子どもたちとばらしました。
どうして、豆電球の周りは、つるつるした銀色のジョウゴのような形のものを使っているのか
など、話合いました。

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砂鉄入りスライムも作りました。磁石を近づけると、磁石の方に盛り上がってきます。

<スライムの作り方>

① 水100ミリリットルとPVAのり50ミリリットルを混ぜあわせる。

② 別の容器に、水50ミリリットルとホウ砂2グラムを入れて、よく混ぜます。

①と②を混ぜ合わせたらできあがり。
固めのスライムが作りたい場合、もう少しのりを加えます。

<磁石で動くスライム>
スライムにホットカイロの中身を加えると、磁石で動きだす
スライムができます。




幼児期~小学校中学年に必要なこと (抽象的な概念を学ぶこと と 「わからない」を保つこと )3

2011-07-23 05:20:53 | 教育論 読者の方からのQ&A


中学入試に出てくる難解な国語の文章や言葉を目にすると、

「そんな難しい言葉が出てくるようになるのか」とびっくりして、

「それなら、早めに辞書を引く習慣を身につけさせておけばいいの?」

「幼いころから、難しい言葉の意味を教えていけばいいの?」

と感じた方がいらっしゃるかもしれません。

そうして、大人が知識を与えて、
それに自分の意見をはさまずに素直に吸収するほど、
幼いころは賢く見えるし、
学習を先に進めることができます。

でも、そうすればそうするほど、子どもは現実の世界で
自分が理解できないことにぶつかっても、
「大人が正しい答えを教えてくれるから、自分の頭を使って考える必要はない」という
態度を示すようになります。

それか、本に正しい答えが書いてあるから、
苦労して自分で「ああかな~こうかな~」と考えて、
間違えるくらいなら、
「何も考えないようにして、暗記した方が得」と感じるようになったりします。

子どもは子どもの脳の仕組みを使って
自己中心的に物事を考えていきますから、
正しいか正しくないかという大人の世界の尺度で測れば、
たいていでたらめで間違っています。

でも、そうやって、子どもが自分の頭で考え、
自分の言葉で練った内容というのは、
子どもが自由自在に自分の内面の世界を歩き回る際の
地図の役割を果たしてくれもいるのです。



たとえば、仲良しの友だちが別の子にいじわるされているのを見て、
「どうしたらいいのかな?」って自分の中でさんざん迷って、
勇気を出してお友だちを助けて
あげたという体験があるとします。

すると、子どもの内面には、「正義感」という言葉や「勇気」という言葉の概念を理解する
ために元となる体験がひとつ蓄積されたことになります。

でも、もし、大人が「こういうときは、こうするんですよ」と教えることを徹底しすぎて、
お友だちのいじめを見た子が反射的に
「先生~○○くんが悪いことしてる~」と言いつけて、
後は大人の仕事と考えて、すぐに自分の遊びに戻ったとすると、
同じ体験にぶつかっても何も残らないかもしれません。

もちろん、大人の助けを借りなければならない場面というのはあるのです。
いじめも早めに芽を摘んでおかなくてはならないものでしょう。

でも、そうして、子どもが直接体験して、自分で考える体験を奪ったら奪っただけ、
それ以外の場所では、
大人は一歩、控える必要があると思うのです。

何から何まで大人が口をはさんで、決めてしまったのでは、
いったいいつ、子どもは、
「正義感」とか「勇気」とか
「罪悪感」とか「憧れ」とか「欲求」とか「自覚する」といった言葉のもとになる体験を
自分の中にためていくのでしょう?

大きくなって、そうした言葉に出会ったとき、
「ああ、私がいつまでもごねていて、しまいに夕ご飯いらないって言ったときの気持ちが、
本の中の……自分の気持ちと折り合いがつけられなくて、わけもなく執拗に……って言葉が表わしているのといっしょかな?」
と察するためには、
それまで生活の中で、
感情を通して味わったさまざまな体験がたくさん必要なのです。

大人は、子どもに指示を与えたり、答えを教えたりするよりも、
一対一でじっくり会話をする時間を設けて、
子どもの話にじっくり耳を傾けるようにすると
より体験が子どもの中で深まるのではないでしょうか。


抽象的な概念を学ぶこと と 「わからない」を保つこと 2

2011-07-22 18:05:41 | 教育論 読者の方からのQ&A
『「プロ編集者による」文章上達<秘伝>スクール』という本に、
文章を書くということについて、次のように書かれています。
これって、文章を書くこと
だけでなく、抽象的な概念について考えを練っていくときも
こういうところがあるな~と思ったので引用させていただくことにしました。
 

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それでも文章に関心がない人っている。どうして、ものを書く人と書かない人が分かれる
かっていう疑問があるよね。
すごく根本的に言って、うまくいろんなことに適応しちゃっている人は
そんなに書く必要を感じていないのね。そもそも。
(略)
基本的にうまくいかないことを埋めていくために言葉って生まれていくんだけど。
で、どんどん自他が別れていくと、人間はいろいろ考えちゃうんだよ。

うまくいってる時には考えない。
例えば、ここにクーラーがついてればクーラーのことは忘れて、
ただ快適にいるわけだけど、クーラーが壊れていて暑かったら「クーラーどうしたの?」という
言葉が必要になってくるんだよね。
(略)

だから、自分の中でうまくいかないことを治療するために言葉ってのは
生まれてきてるんだよ。人の肉体が傷つくと血が出るでしょう。
それと同じように人がうまく世界とつながれないと、
そこに言葉が必要になってうまれてくるんだよ。

(『「プロ編集者による」文章上達<秘伝>スクール』 村松恒平
 メタ・ブレーンより)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

うまくいっている時には考えない……

確かにその通りなのでしょうが、
誰でもわが子が、悩んだり迷ったり、ミスして恥ずかしい思いをしたり、
欠如感を感じたりするような体験をさせないように
手を尽くしがちですよね。

その結果、子どもたちは、問題や障害物にぶつかること自体がほとんどなくて、
何となくいつの間にか、真剣に考えることも、
自分に足りないものに気付いて、強く欲することもなしに
日々をやりすごしているのかもしれません。

虹色教室でも、子どもたちが、真剣な表情で
「ああでもない~こうでもない~」と言葉をひねり出しながら
訴えてくるときは、
何か心に引っかかることがあって、納得していない時です。

前回の記事に出てきた☆ちゃんは、教室に着くなり、
「ねぇ、先生、聞いて聞いて。うちのクラスの~が……」と
学校の愚痴やら、何だか納得できない心に引っかかっていることやら、
これはおかしいんじゃない?と感じた出来事なんかを、
話出すことがよくあります。

それで、私は「へぇ~そうなの」とうなずきながら、よりくわしく説明してもらために、
「それはいつのこと?」「その時、どう思ったの?」
「それなら☆ちゃんが、運が悪いって言い方で表現するのは、カードゲームをするときに、悪い札が回ってくるとか、
くじびきをしたら外ればかり引くとかいうことなの?」といった質問をします。
すると、☆ちゃんからは、
「私は運が悪いけど、席替えのときに隣に座る子とか、友だちは良い子ばっかりだから、
そういう運はいいけど、でも、ゲームの時の運は悪いのよ」などと返してきます。

そうした時に、「なら、☆ちゃんの私は運が悪いって言葉は、遊びの中のゲームの一部にだけ限定して
言えることなの?」
「それなのに、私はいつも運が悪いと感じてしまうのは、事実ではなくて、
一部を全てのように錯覚して使っているんじゃないかしら?」
というように、「限定」とか「事実」とか「錯覚」といった
まだ☆ちゃんには少し難しいけれど、会話の中で使っていると自然にどのような意味かわかってくる
抽象的な言葉も使うようにしています。

こうした私と☆ちゃんの間で交わされるような話は、同じ時間に通ってくる★ちゃんと
交わすことはこれまであまりありませんでした。
★ちゃんは、お勉強のできるしっかりした子ではあるのですが、
会話が始まると、すぐに「そっか~」「うん、わかった」「そだね~(そうだね)」「そうそう、まあね~」と
うなずくだけで、
ニコニコしながら満足そうに話を終わらせてしまうところがあるのです。

子ども同士でけんかになりそうな時も、「じゃ、いいよ。私は今度でいい」と
すぐに譲ってしまって、何事もなかったかのように過ごします。
周囲の人がアドバイスすると、「うん、そうしとく」とふたつ返事で納得します。

★ちゃんのお母さんは、★ちゃんにさまざまな体験をさせるように
気を配っていますが、何をするにも★ちゃんは上機嫌でうれしそうにこなすものの、
強く心に響くということもないようです。

★ちゃんは、幼稚園の頃から先生の期待するものをそのまんま取りこんで、
自分がやりたいことなのか先生の望みなのかわからなくなるほど、
良い子に振舞うことがよくありました。


それが小学校に上がってもずっと続いてきたために、
文章は読めるし、文法も漢字もわかるのに、文章の中で描かれている
主人公の心の軌跡や、
抽象的な言葉が指している内容について、
どれほど具体的に説明されてもピンとこないところがあるのです。
あんまりものわかりのいい良い子も
ちょっぴり困ったところがあるものです。

算数の勉強の時も、「こういう問題はこのパターンで解けばいいのか~」といった
理解が早いので、根本的な問題の意味をつかまないうちに
解けるようになってしまうところが、
★ちゃんの親御さんが気にかけていた
「問題の表面をさらっていくような」解き方になってしまうということなのです。

私は、★ちゃんに、国語で出てきた抽象的な言葉について、
それが表わす具体的な例をいくつか挙げて、
「ね、さっき説明したような偽の正義感を振りかざすような人がいたら、今度教えてね。
あっ、こういうの、偽の正義感だ。
自分は道徳的に正しいことをしている態度を示しているけど、それって、何だかずるくないかな?って
ことを言ったりしたりする人がいないか、いろんな人を観察してきてね」
という宿題を出しました。

算数の勉強では、やったけどわからないから、その日はわからないまま置いておいて、
自分の頭のなかでじっくり考えてみることを大切にするように
伝えました。

★ちゃん、素直ですから、そんなややこしい課題にも、
「うん、わかった。やっとくねぇ~」と明るい返事でした。


抽象的な概念を学ぶこと と 「わからない」を保つこと 1

2011-07-21 22:03:00 | 教育論 読者の方からのQ&A


小5の★ちゃんが、中学入試をするというので、
志望校の国語の受験問題を解いてもらって、いっしょに答え合わせをしながら
解き方について会話を交わして、
理解を深めていく手助けをしています。

★ちゃんは理解力があって物覚えもいい子です。
素直で勉強に対する意欲もまずまずです。

読書家で、言葉についてよく知っている★ちゃんですが、
中学入試の国語問題で問われる抽象的な言葉は、
難しすぎるようで困惑していました。

先日も、「偽物の正義感」という言葉が表わす内容を抜き出す問題で、

「偽物」という言葉と、「正義感」という言葉の

辞書的な意味がわかった後にも、
文の中で表現されているどのような行為が、
「偽物の正義感」にあたるのか、ピンとこないようでした。

★ちゃんの志望校の国語の読解問題は、
大人向けの本の脳科学や生物の多様性の話題が取り上げられるなど、
難易度が高めです。

それでも、★ちゃんは、
国語の読解の際に、「肯定的なイメージで書かれている場所」と「否定的なイメージで書かれている場所」を

見分けて、文の内容がぼんやりとしかわからない時も

適切な答えを選んだり、
文を抜き出したりできるようになってきました。

こんな風に、試験で良い点を取るためのコツを
マスターするのが上手な★ちゃんですが、

★ちゃんのお母さんは、日常生活で、
何かに疑問をもつとか、納得できない事柄で悩むとか、

「わからない」ことを長い期間、保つようなことがほとんど見られない★ちゃんの様子を
少し気にかけておられて、次のようにおっしゃっていました。

「素直で要領がいいのはいいことではあるのですが、

いつも あまりにあっさりと相手の意見に同調してしまうし、

日常生活で問題が起こっても 
すぐに他人の意見を聞いて納得してしまうので心配です。

その場でぶつかった問題は、無理があっても、中途半端な理解でも、
その場、その場で終わらせたいようで、
問題を引きずるのが何よりきらいなようなのです。


そのおかげで、集団の場では協調性があるし、
確かに試験の成績は伸びてはいるのですが、
いいことばかりでもないのです。

こういう時はこんな風に解けばいいという方法を暗記して解くので、

どうしても問題の表面をさらっていくような解き方で、

ちょっと異なる問い方をされると、基本中の基本とも言える概念がわかっていないという
場合がほとんどなのです。

★は小さい頃から育てやすくて、何でもすぐにマスターする
教えやすい子でしたが、
今、その性質がネックになって、本当の理解に達するまで考えていく力が
失われているように感じます」


★ちゃんのお母さんの心配ごとは、優等生の子の親の贅沢な悩みのようにも聞こえるかも
しれません。

でも、「全く見過ごしていてもいい、放っておいてもいい」とも思えません。

現に、入試の国語で出てくる抽象的な言葉を学ぶとき、
これまでの★ちゃんのやり方が通用しなくなりつつあるのです。

というのも、抽象的な言葉が指すものは、「暗記したらおしまい」という
ひとつの意味と結ばれるわけではないからです。

同じ「正義感」という言葉も、こちらの文章では、
このような場面にこのような態度で発揮されていたけれど、
別の文章では、心の中に秘めている思いとして表現されていたり、
明るく肯定的な意見で使われていたかと思うと、皮肉っぽく自己卑下するような言葉の中で
使われていることもあるのです。(「ぼくの薄っぺらな正義感」など)

そうした複雑で多様でさまざまな意味を含んでいる抽象的な概念の理解は、

日常の暮らしのなかで、「悔しいな」って思ったり、納得できなくてもんもんとしたり、

悲しくて胸が張り裂けそうになったり、喜びで舞い上がりそうな気持ちになったりしながら、
自分の内面で言葉を練ることを通して
発達していきます。

勉強では、理解をするときや記憶するときには集中しても、
他の場面で、いつもその場に流れる空気に同調するだけで、自分の考えを持たないで過ごしていると、
「答えがひとつ」ではない問題を解く力が育ってこないのです。

★ちゃんは、ひとつ年下の☆ちゃんといっしょにレッスンしています。

☆ちゃんは、★ちゃんとは正反対ともいえる性質の子で、
本気で考えているわりに、すんなり「わかった!」という状態に至ることはめずらしく、
何ヶ月もわからないまま問題を置いていることがよくあります。

算数の文章題を解く際には、
少しでも納得できない点があると、「わからない」と言って考え続けているので、
なかなか先に進めないときがあります。

そんな風に☆ちゃんは、★ちゃんの「得意」としている素早く理解しマスターするという面で、「苦手」が
あります。
でも、それは悪いところばかりとは言えず、
「わからない」と言い張るには、自分の頭でしっかり考えているからとも言えて、
☆ちゃんが「あっ、なんだ。そうだったのか、わかった」と言うときには、
その概念の非常に深い意味まで☆ちゃんの内面で
消化されてもいるのです。

先日も、つるかめ算をベースにした買い物をする問題で、数ヶ月前にはでたらめな式を立てて、
間違えた答えを書きつづけていた☆ちゃんが、
自分の間違いを見直しながら、なぜ間違っているのか納得できないからと、
さんざんぶつくさこぼしていました。
が、見直しながら図を描いて考え込んでいた☆ちゃんが、「あーなんだ。そうか!
わかった、わかった」と言いだしたかと思うと、
同様のかなり難しい応用問題も解いてしまいました。

「ここが納得できない」「どうして、これがこうなるの?」「なぜ?」「わからない」と
さんざん「わからない」と格闘していた結果、
教わって、「こう解けばいいのか」と納得するよりずっと深い理解に達したのです。

もちろん、★ちゃんと☆ちゃんをくらべて、
☆ちゃんの方が★ちゃんより、できるとかできないとか、上とかしたとか言う話ではないのです。

どちらにも長所があって、
学習していく上で、一方に偏らず、どちらの良い面も少しずつ取り入れていく
工夫が必要だと感じているのです。

次回に続きます。

とってもきれいな科学実験

2011-07-21 13:52:59 | 理科 科学クラブ


今日の夏休みの科学クラブは
女の子たちばかりだったので、「きれい!」がテーマでした。

年少さんと年中さんの子どもたち、
尿素の結晶を見て、「作りたい!きれい!」と意欲を見せていました。
作らせてあげたいのは山々だったのですが、
結晶ができるまでに時間がかかるので、
いっしょにスライムを作って、
マジックボールで飾りつける遊びをすることにしました。



これも「きれい!!」と大満足。

こうした簡単な実験をしながら、
理由について、いろいろと考えてみる時間を設けました。

たとえば、マジックボールに水を入れると見えなくなるのですが、
「どうして見えなくなるのでしょう?」とたずねると、
「水だから!」とか、「見えないから!」といった
珍答もいくつか出ましたが、
「ボールは透明で、水も透明だから」というきちんとした
答えもでました。

水性ペンで色をにじませて遊んだり、
魔法の変身スティックも作りました。

光とレンズの実験箱を開けて、いろいろな観察もしました。

そうした実験や工作をしながら、
「なぜ、そうなるのか」という理由や
物の性質について、言葉にして考えるようにしました。


音に反応して歩くロボット 「メディーサ・ネオ」 と 子どもの科学

2011-07-21 13:38:39 | 理科 科学クラブ
小2の男の子たちが、
音に反応して歩くロボット の「メディーサ・ネオ」を作りました。(途中まで)

このMR-9602は、はんだ付けが済んでいるし、価格も2310円と
購入しやすい値段です。





小2の子たちは、勉強の時間がきたので、途中まででギブアップ。
小4の男の子に
続きを作ってもらいました。



完成です。

実は、ちょっとしたトラブルが……。

手をたたくと、音に反応して歩くはずが、動かず……。
小4の子に説明書を読み直して調べてもらったところ、
小2の子らがモーターを逆さまに設置していることが
明らかになりました。

作りなおすと、ちゃんと動きだしました♪




教室の子たちが読むためと実験の幅を広げるために
購入している『子どもの科学』

ちょっと難しい内容ですが、
置いていると、自然に興味を持って読み始める子もいます。