虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

教育する上での危機管理能力 と 予見する力 1

2011-08-03 08:48:16 | 教育論 読者の方からのQ&A
学力が気がかりな子たちのグループレッスン 4
の記事内容に、次のようなコメントをいただきました。
(かろーらさんへ、ラーニングスタイルとエニアグラムについてのお返事は時間があるときに記事にさせていただきますね)

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「学力が気がかりな子~」の中で、
指導者が、適切な課題設定、そして、それが、いつまでにできるかという予測ができること。

このような、教えのプロを通学できる範囲で探すに、膨大な時間がかかりました。(自分が教えられないため。)

塾の先生ではなく、お医者さまに通っている感覚になりました。

予見する力は、最近の災害等の、危機管理能力
など、あらゆる分野に必要で、それは、教育界でも同じなのですね。
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コメントの「危機管理能力」と「予見する力」というのは、
発達に気がかりがある子を育てる上で、
身近にいる大人が急所を押さえて、配慮しておかなければならない点だと思っています。

またごく一般的な子であっても、
楽しいことが好きで、周囲の雰囲気に同調して
何事も表面的に理解しているだけのように見える子や、
自分の心の中の言葉や自分の意志のようなものを持っていないかのように見える子には、
同様の注意が必要だと感じています。

私立小学校に通っている
ある時期までは他の子より発達が良く、知能の面でも社会性の面でも問題がないように
見える子でも、
3年生くらいになると一定の比率で極端な成績不振に陥る子たちがいると聞きます。

私が先々の学習でのつまずきを予防するために
注意している点を紹介しますね。


↓のような場合、ちょっと気がかりなので、一対一でていねいに対応する時間を増やし、
子どもに合った課題を設定して、ひとつひとつ克服していくことが大切だと思います。


<3~4歳>

● 極端に不器用。

● 身体の使う大きな動きがぎこちなかったり、常にフニャフニャしている。

● 声をかけても聞こえていないような行動を取ることが多い。

● 指を折って、1~5くらいまでの数を表すことができない。

● 「○○を取ってきてといった指示を実行する最中に、他のことをしはじめたり、
頼まれたことがわかっていないように見えることが多い。

● 簡単な物の名前が言えない。

● 絵本を読んでもらうのを嫌がる。

<4~5歳>

● 「これをしよう」と決めて、ひとつのことに集中することがほとんどない。 

● 極端に不器用で、ななめの線が描けない、人物画の出来が幼すぎるように見えるなど、
気になる点が多い。水を移し替えるとき、必ずこぼす。

● 数を数えるとき、5までの数を物を指しながら数えることができない。

● 折り紙を折るのを嫌がる。

● ルールを理解してするゲームがほとんどできない。じゃんけんが
できるようにならない。
● 語彙力の弱さを感じる。

● 絵本の絵を見て、ストーリーについて質問すると、
でたらめな答えが返ってくる。

● 想像力を使うごっこ遊びなどの仕方が幼い。

● 一方的に自分の主張を繰り返して、相手の話を聞かない。

● 4つのおもちゃをテーブルに置いて、記憶させておいて、
ひとつ隠して、何がなくなったかたずねると、
テーブルの上にあるものを答えるなど、「あれっ?」と思うほど見えないものへの推理力が弱い。

<5~6歳>

● 質問に対して、返ってくる答えが、何だかずれていると思われる場合が多い。

● 絵を極端に描きたがらない。

● 身体の使い方、道具の使い方が、不器用すぎる。

● 好奇心が薄く、しらけた態度を取ることが多い。

● よく疲れて寝転がっている。

● 物を分ける作業などのお手伝いをさせると、
指示を理解していないように見える 

● 間違いさがしが、3つ以上できない。 

● できないとすぐに投げ出す。

● 幼児向けの知能ワークや小学校受験問題などを、やりたがらないか、
でたらめな解答が目立つ。

● 積み木を6つほど積んで数をたずねると、見えているところだけ数えて答える。

● 原因と結果の推測が年齢にしては幼すぎる気がする。

● 動物の顔と尻尾を選んだり、果物を切った図を選んだりする問題で、
「えっ?」と思う答えを選び、
日ごろの観察力に気がかりなものを感じる。

● 気持ちを切り替えるのが苦手。
新しいことを始めるときは必ずぐずぐず言う。やっていることを終わらせるときには、たびたびトラブルになる。

● 他の子の位置から物がどのように見えると思うかたずねると、(できれば絵で選ばせる)
自分から見えているものと同じものを選ぶ。

<6~7歳>

● 二つ指示を聞くと、一つしか実行できない。

● 身体の使い方、道具の使い方が、不器用すぎる。

● 言葉の理解に、間違いが多い。

● 人の話を集中して聞けない。

● 「読むと同時に理解する」ということができていないように見える。

● 問題を解いていて、わからなくなったとき、
確認するために問題を見直すことができなくて、すぐ大人に頼る。

● ため息をついてしらけた態度を取る。よく寝転がる。

● 考えていく持久力が極端に短い気がする。

● 字を読むとき、よく読み飛ばす。

● 責任感や向上心が年齢より幼い気がする。(何でも「ママが……」と言うなど)

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幼稚園では問題なく過ごせている、学校での勉強はきちんとついていっている(計算や漢字は先取りもできている)
という場合でも、上のような気になる点があるときは、
先の困難を予防するために
ていねいに対応していく必要があると思います。

できないところや弱い点を見つけたから、
訓練させて克服するという発想よりも、

問題点をできるだけ正確に把握した上で、
子どもの長所や得意なところを見つけて、それを突破口にして
全体の能力を引き上げることで、弱点もいっしょに底上げしていくような発想が
必要だと感じています。

弱い面は簡単に修正できるようなものでは
ないのです。
長いスパンで子どもを支援する姿勢が大切だと思います。

注意が必要なのは、
学校の成績などを、子どもの能力の指針にして、
極端に弱い面を「ないもの」のように扱って、無視してしまうことです。

学校で、一ケタの足し算で、同じ点を取ってきたふたりの子がいたとしても、

ひとりの子は「120円の買い物をするのに、100円と10円2枚を出してもいいし、100円と50円を出したり、200円を出しておつりをもらうのでもいい」とわかっている子で、

もうひとりは、「120円って、100円と10円2枚のこと。それ以外に買い物することなんかできない」と思い込むタイプの子だった場合、同じ能力だと判断してしまうには問題がありますよね。

親は、日常の一コマで、子どもの能力を把握して、子どもに必要な働きかけに気づけるようになる
感性を少しずつ磨くといいかもしれません。



レッスンの時間が近づいたので、
子どもの姿に上のような気がかりを感じたときの対応法を
次回に書きますね。

事務Kより連絡【9月5日イベ】

2011-08-03 01:57:19 | 連絡事項
こんばんみ~
眠気眼で書いてます。

さて、本題。
とうとう夏休み本番ですね。
日帰りレッスンはほぼ終わり
お泊りレッスンが本格始動します。

そこで、今まで長らくお待たせしました…
9月5日~6日のご参加者様にメールを
本日送らせて頂きました。

送ったと思い込んでおりましたorz

大失敗〈(TдT)〉

これにて全てのイベントの連絡が
終了となります。

暫くはお休み出来るのかな…

今年の夏も予定は真っ白…
寂しい夏です。

大きな事は無いですが、毎日の
小さな事に楽しみを見出していけたら
良いなぁ(´ω`)ムフン♪

と思い馳せながら本日はこれにて…
梅茶ヽ(^^)

線分図を学ぶ 

2011-08-02 17:31:31 | 算数
小学1年生や2年生の子たちと、
線分図で遊んでいます。



「自分と妹の年齢」とか、
「自分とお友だちの持っているポケモンカードの数」とか、
を、2本の線で表して、比べます。

わかっている数値を書きこんだらできあがり。

低学年のうちは、線分図で表すよりも、まず文章題を自分でイメージする絵にしてみて、
考えていくことの方が重要です。
何でも遠回りが大切ですから。

でも、一方で、こうした線分で表す方法にも親しんでいって、
文章に書かれている内容をシンプルな線の中に
読み落とすことなく整理していくことができるようになると、
「中学入試で学ぶ●●算とか○○算というのは、線で整理すれば同じような問題だったんだ」と
基礎的な内容を自分で応用させて、さまざまな問題が解けるようになってきます。




線分で表したものを見ながら、
具体的に操作できるものを使って、施行錯誤しながら
解いていくことも、
考える力を鍛えます。

考えるための練習問題 (分ける) 4歳~7歳

2011-08-02 16:12:02 | 算数


お皿と分けるための小物を用意すると、
さまざまな「分ける」問題にチャレンジできます。

<4歳くらい>

① 6個のいちごを3人で同じ数ずつに分けます。
 

<5歳くらい>


① 9個のいちごと6本のペンを3人で同じ数ずつに分けます。

② みちるちゃんと、たろうくんが7個のいちごを分けます。
みちるちゃんの方がたろうくんより1個多くなるように分けることができますか。


<6歳くらい>

① 9個のいちごを あきらくんとみちこちゃんとゆうちゃんの3人で
のこらず分けます。 
あきらくんとみちこちゃんは、同じ数ずつもらうことにしました。
あきらくんが、いちごを2個もらうとき、
みちこちゃんとゆうくんはいくつずつになりますか。



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分ける問題は他にもいろんなパターンがあります。
少し集中して考えると解けるレベルの問題を
いろいろ試してみてくださいね。







100円グッズや身近な物で教材作り

2011-08-02 14:04:46 | 100均グッズで学ぶ
100円グッズで2歳児の教具


「お勉強イヤ!」の電車好きくんが喜ぶガチャポン教材


ポケモンチップゲーム 作り方 遊び方


<夏の自由研究アイデア  お出かけのあとで~1
/a>

100円グッズで 『つるかめ算パズル』


100円グッズで、傾いて物が落ちる教材を作りました♪


お菓子の空き箱で、算数パズル♪

時期がくると がんばるようになるやんちゃくんたち

2011-08-01 12:31:07 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

多動が激しかった★くん。
あまりにめまぐるしく動き回って、一時も集中していないものですから、
最初の頃は本人に何かさせるのは諦めて、
大人が工作やブロック制作や折り紙をしてみせて
「見せるだけ」からスタートしました。

初めのうちは遊びも成り立たない状態だったのに、
いつの間にか上手に工作するようになってきました。

先日はレゴ選手権をテレビで見て、ムクムクと創作意欲が膨らんだそうで、
ブロックで大きな恐竜を作って喜んでいたそうです。

★くんは、病院での知能検査で空間認知の力の弱さが指摘されていました。
そこで、空間認知の力をつけるために、
レッスンでは工作やブロック遊びを大切にしてきました。

すると、いつの間にか、箱をちゃっちゃと切って、自分の思う形を作りだすほどの
工作上手になって、空間認知の力とともに、集中力がついてきました。




★くんが、あっという間に作った恐竜。
自分でティッシュ箱をななめに切って組み合わせ、
ギザギザの歯も上手に切り抜いていました。

★くんは、あと半年ほどで、小学校に入学します。
これまではワークなどへの拒絶が強かったため、文字を書かせずにクイズ形式にして、
学習時間を持つことに慣れていきました。

今日、お母さんと小学校に入ってからのことを相談していると、★くんが横から、
「ぼく、全部聞こえちゃっているんですけど!」と、
どうせ、ぼくの悪口でも言ってるんでしょ、と言いたげな口調で不満をもらしました。

そこで、★くんに、
「★くん、今、お母さんと★くんが小学校に入って
お友だちといっしょにしっかりがんばれたらいいな、
お友だちと仲良く遊んだり勉強したりできるように、
お母さんや先生にどんな★くんのお手伝いができるかなって話あっていたのよ。
★くんの大事な話だから、いっしょに聞いてね」と告げました。

少し前まで、気にいらないことがあると激しい癇癪を起していた★くんですが、
神妙な顔で聞いていて、
私が、「そろそろ、学校に行く準備のお勉強を始めようね。
えんぴつで書いてする勉強を、毎日、ちょっとずつ続けていこうね」と話すと、
納得したようにテーブルの前に座りました。

そして、最レベ1年生の国語のワークを、つっかえながらも読んで、
課題の最後まで、なんとかやりきって、満足そうなため息をついていました。

そして、これから毎日、就学準備のための文字や計算の練習をすることを
約束して帰りました。

どの子も、その子の発達のペースを持っていて、時期がくると
ちゃんとがんばるようになってくるものです。


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話は変わって、小学2年生の●くんは、外遊びと電子工作が大好きなやんちゃくんです。
小さな頃からエネルギーがありあまっていて、パワフル過ぎて、周囲を振り回すところがありました。

頭の回転はいいのだけど、
お母さんの言うことをなかなか聞かないもんですから、
勉強するしないに、大きなムラがありました。

ただ創作活動を通して、
好きなことをするときにはいくらでもエネルギーが湧いてくるほど、
自分がしっかり育っていて、
やんちゃで反抗する力もしっかりあるので、
「夏の間、少し塾にやってみようと思うのですがどうでしょう?」と相談をお受けしたときに、
「●くんくらい我が強くて、エネルギッシュな子なら、
そのくらいの負荷がかかるのもちょうどいいんじゃないですか?」とお返事していました。

それで、この夏、近くの個人塾の夏期講習に入れてみたそうです。
すると高学年のお兄ちゃんたちにまじって親御さんも驚くほど、
バリバリ勉強しているそうです。

小さいころから、やんちゃでやんちゃで……というパワフルな子は、
こういういい面があるなぁと、頼もしく感じました。






発達障害のグレーゾーンの子にも、「隙」が必要と思われますか?

2011-08-01 07:34:31 | 教育論 読者の方からのQ&A


子どもの性格タイプについて考えることで どんないいことがあるの? 8
の記事に次のような質問をいただきました。

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娘は発達障害のグレーゾーンなのですが、その場合でも「隙」が必要と思われますか?

何事もしっかりとした道筋を叩き込まないと対応できない娘。
そのため、私はいつも先回りしてうるさい位に関わっているように思います。娘の良さを殺しているようにも感じ、そうしないと本人が戸惑うことも多いように感じ・・・難しいのです。

また健常児であろう下の子にも悪影響を与えてるように自覚しているのですが、年が近く生活もほぼ同じなので個々に対応するのが上手くできません。(←私の力不足ですが)

何度か先生に実際にお会いしたことがあるのですが、個人的に子どもを見ていただいていないので子どもたちのタイプもいまいち把握できないままでいます。(これも私の力不足ですね・・・)

個々によって違うとは思うのですが、発達障害児(アスペ傾向?)でもタイプを分けることができるのでしょうか?
できそうでできない?できなさそうでできる?読みにくいグレーちゃんなだけに接し方に本当に悩んでいます。

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必要だと思います。

でも、この場合、必要な「隙」は一般的な子に対するものとはちょっと異なるのではないでしょうか。

発達障害のある子の困り感を減らす配慮を十分した上で、
支援する大人が、

そうした配慮ができなくなるような小さなハプニングを、
「こういう経験もたまにはいいか」と快く受け入れるようなもの

と言ったらいいかもしれません。


また、「絶対パニックを起こさせないようにしよう」「失敗して恥をかかせないようにしよう」
と過剰なほどに子どもの環境をコントロールするのをやめて、
子どもが失敗するたびに、親まで罪悪感を抱くことがないようにする
のも大事だと思います。


「一般的な子に対するものとちょっと異なる……」とわざわざ書いたのは、

いくら子育てはリラックスして心に余裕を持ってした方がいいし、
ちょっと隙があるくらいでいいといっても、

そうしたハンディーを持っていない側が
発達障害を持っている子の困り感を
自己流に「軽いもの」として捉えてしまってはいけないと
思っているからです。
「いろんな子がいる」とか「いずれ子どもは成長する」といった言葉で自分を納得させて、
困り感などないもののように扱う
「隙だらけ」の子育ては、グレーゾーンの子たちに深い傷を残すことも多々あると思います。



何をするのも、徹底的に叩き込まないとマスターできない子、先回りして口うるさく関わっていかないと
動けない子を育てていくのは大変ですね。
子どもによっては、親がちょっと手を抜いたり、特別な場合を設けると、
たちまち悪い習慣が身についてしまう困った子もいるはずです。

「他人に迷惑をかけてはいけない」「集団生活についていけるようにしなくてはならない」と、
いつも緊迫したせわしない気分にとらわれて、
疲れ果ててしまいますよね。

グレーゾーンの子たちを育てるのは、日々、本当に大変なことだと思います。

まず、

「誰がしたとしても、たとえ専門家がこの子を育てたとしても、
現実にこうしたタイプの子を育てるのは本当に大変なんだ。
自分は難しい子育てを、一生懸命がんばっている。
将来、困ることがないように、しっかり手もかけている。毎日、よくやっている」

と自分を十分ねぎらうことが大切だと思います。

そうした上で、「いつもうるさく言い過ぎている」といった罪悪観を持つことなく、

おんなじことを何遍も言い続けなくてはならないグレーゾーンの子たちへのしつけや教育に
ちょっぴり「ユーモア」を交えて行うといいかもしれません。

それが今回は、「隙」という言葉に合うかもしれません。

また、子どもの顔が喜びで輝く内容に通じておいて……

電車マニア、動物マニア、恐竜マニア、ポケモンマニア……といろいろあるでしょうが、
子どもの心を満たす活動もいろいろ工夫して、
「子どもの笑顔からエネルギーをもらっちゃおう!」という自分が何かを得る方向に
物事を捉えなおすことも、
「隙」を作るきっかけとなるかもしれません。

具体的な対応については、また近いうちに記事に書きますね。

コメントで取り上げていただいたので、
過去記事のリンクを貼っておきます。

子育ての悩みと問題は、こんがらがってくるほど多種多様 4


学力が気がかりな子たちのグループレッスン 4