虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

自閉症スペクトラムの子と人間関係  だんだん親しくなっていく 1

2011-08-07 16:04:38 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

発達に気がかりなところのある小学生たちのためのユースホステルでのレッスンに行ってきました。

発達に気がかりなところある子たちというのは、
心がピュアで、
お友だちに対して、
何があっても裏切らないような
裏表のないまっすぐな優しさを示すことが多いです。

今回のレッスンに集まった子らは、どの子も初めて会った子ばかりです。

でも、たちまち仲良くなって、
協力し合って活動をしたり、
笑いあって遊んだりしていました。

「ちょっとしんどいな」というチャレンジにも、ほんの少し前に出会ったばかりのふたりが
手と手を取り合って、
「○○ちゃんが、いっしょならする」と言ってました。

ただ、そんな風にお互いずっと前からの友だち同士みたいに親しくなっていく子らに対して、
小学1年生の自閉症スペクトラムの☆くんだけは、
自分から子どもの集団に距離を置いていました。

創作活動や勉強への参加も
ひとりだけしぶって、
うろうろする姿が目立ちました。


それが、これがユースホステルでのレッスンの良いところで、私が「お泊りのレッスンを実現してみてよかったな~」と
感じている点なのですが、
配膳を手伝ったり、いっしょに食事を食べたり、お風呂に入ったり、眠ったり、
その間、工作したり、実験したり、自由に遊んだり、冒険したりして過ごすうちに、
どんなに距離があった子らも、だんだん親しくなっていくのが
感じられたのです。

☆くんも例外ではありません。本当にゆっくりゆっくりですが、
他の子たちとの距離が縮まってきました。

学校などで出かける旅行は、人数が多すぎて、
仲良しグループからはみだしている子は、
たいてい いつまでたっても排除されたままです。

でも、6人とか8人くらいまでの子ども集団で
ずっといっしょに過ごす場合、
異質な性質の子同士でも、心を開いておしゃべりしてみたり、

人と関わることが下手で、集団から浮いてしまいがちな子も、
いつのまにか家族の一員のように受け入れられて
遊びの輪に入っていることが多いのです。




↑☆くんは漢字などを見るだけで写真のように記憶する能力があります。

他の子たちがいっしょに手伝いあったり、真似し合ったりして
工作している間、☆くんは部屋の奥のテーブルで、☆くんのお母さんとお友だちのお母さんに見守られて
写真の日本地図を描いていました。

私は、☆くんを呼んで、日本地図上を磁石を貼りつけた人形が移動する仕組みを作ってあげようと
思いました。
けれど、持ってきた磁石は○くんが使ってしまっていて、交渉しても
もらうことはできませんでした。
○くんは、とても立派な合体ロボットを作っていたのです。


そこで、ちょうどそこにあった空き箱の切れ端とペットボトルのキャップで
飛ばし道具を作って、アルミ箔を丸めて磨いて作った玉を飛ばすゲームにする提案をしました。

☆くんはこのゲームがとても気に入ったようでした。
するとそれを見た○くんが、それをうらやましがって自分も遊びたがりました。
が、☆くんは「だめだよ。いや~」と強く拒否。




そんな風に頑なな態度を取ってはいても、自分の作ったものに興味を持ってもらってうれしかったのか、
☆くんはホワイトボードのところに行って、
一千億までの表をサラサラと描いて見せました。

お母さんの話では、☆くんは1年生なのでまだ簡単な足し算や引き算を習っているところなのですが、
大きな数はテレビの「お宝鑑定!」といった番組を見ている時に覚えてしまったそうなのです。
一か所の間違いもないところがすごいですね。

ちょうど、3年生の女の子も参加していたので、
「1億5千万になるように数字を書き込んでください」といった
算数クイズに使わせてもらいました。
☆くんにも問題を出すとちゃんとできていたので、漢字の配列だけでなく
数としても理解しているようです。

それには拒否しなかった☆くん。
みんなの注目が集まってちょっぴりうれしかったのか、
今度は、この部屋には側面にもホワイトボードがあったので、西と東の文字を書き、正面には北と書き、
後ろの壁には「南」の漢字を書きこんだ折り紙を貼りました。


次回に続きます。

夏満喫☆彡

2011-08-07 01:37:53 | その他
こんばんは~
事務Kです。

本日(正しくは、昨晩)は、こちら大阪では
有名な『淀川花火大会』でした。



これで上手く見れるのかな?
わっかんねぇやぁ…

虹色教室にお越しの皆さま…
暑中お見舞い申し上げますm(^^)m

日本各地にて様々な被害がありました。
多くの地域で『花火なんて…』と中止に
なっているそうです。

それでも、大阪…十三周辺は
頑張ってますね~

地元の寄付と見物席の売上で
頑張っているとTVで言ってました。

今年の花火では、ニコちゃんマーク(Peaceマーク)が
多かったあたりは意識してたんだろうな。

ドラえもんみたいな猫も平面に打ち上げられたりして
やっぱりテンションあがりましたね!

最後の追い込みの柳花火なんかも
好きなんですけどね~

写真に写らないorz

ほんの少しの光ですが
皆様の元に届くと良いですな♪

夏休みも中盤戦。
残りも楽しみながら乗り切るゾ(^ω^)

1歳児、2歳児への知能アップの記事

2011-08-06 11:19:31 | 初めてお越しの方
またまた、これからユースホステルでのレッスンです。次の更新は明日の午後以降になります。

1歳児の遊び方から見えてくる課題    (1歳1ヶ月★くんのレッスンから)



1歳5ヶ月~2歳6ヶ月  ベビーのレッスン  個性に合わせた数遊び 1


1歳5ヶ月~2歳6ヶ月  ベビーのレッスン  数の絵本 2


1~3歳児の能力を高める大切なステップ


1歳後半~2歳ちょうど 子どもを伸ばす活動 2


大きい 小さい と 「自分で課題を作る」

実体験と知識の間を埋める 3

2011-08-06 08:05:12 | 理科 科学クラブ
この記事を書き終えた時、e-子育て.comのスタッフの羊さんのブログで、
とても共感できる記事を目にしたのでリンクさせていただくことにしました。

あらかじめ整えられた世界と子ども

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ユースホステルでのレッスンに参加してくれていた科学クラブの●くん。
本が大好きでとても物知りの小学2年生です。
理科が好きということで、月に1度の科学クラブに
数ヶ月前から参加するようになりました。

参加しはじめた当初の●くんは
何年も前から科学クラブに参加している子たちと
噛み合わないことがたくさんありました。

けんかにまではならないけれど、
みんなが実験に興じているときも、「そんなの科学じゃないよ」と言って、
(●くんは、科学ショーのようなところで実演されるような手品のような実験だけが、
科学と呼べるものだと捉えていたのです)
参加せずに遠巻きに眺めていることがよくありました。

メンバーのひとりが思いついた疑問を試してみようとすると、
「それはこうなるんだよ。実験なんかしなくたって決まってるよ」と、
図鑑で読んだ知識を告げて、
「答えがわかっているのに、なんでわざわざ試すの?」と馬鹿にしたように言って、
気の強いメンバーのひとりから、
「いいんだよ、うるさいな。やってみないとわかんないだろ。ちょっとあっち行ってて!」
と言い返されていたときもありました。

虹色教室には、積み上げると子どもたちの背丈を超えるほど、
科学関連の本や理科実験の本があります。

そうした科学の本から、面白そうなページを探し出しては、「どれかやってみたい実験はある?」と
●くんにたずねるものの、
「いい」とつまらなそうに首を振るだけでした。「そんなの知ってるもん」とのこと。

そんな●くんでしたが、何度か科学クラブに参加するうちに、
他のメンバーとふざけたり、
いっしょにベタベタドロドロした物質を作りだしたり、
理科工作をするのが楽しくなってきました。

そうして参加し始めると、
知識は他のどの子よりもたっぷりある●くんが、
実際、自分の手を使った作業に入ると、表面的な面白さばかり求めて、
興味をとても短い間しか保っていられない姿が目立ちました。

そして、他の子が自分で疑問を抱いて、課題を設定して、
何かをし始めると、「それは○○だよ」と自分の知っている知識を言って、
「そんなのしなくても、わかっているのに~こうなるのに~」と、
どうなるかわかっているのに、やってみるなんてバカバカしい
という様子で口をはさんではうるさがられることが
たびたびありました。

私は、この新しいメンバーの●くんと、
いろいろ話をしたり 問いを投げかけたりするうちに、
この子は知識を丸暗記して口だけ達者になっているのではなく、
数学的なセンスに富んでいて、考える力が非常に高くて、
難しい単位の変換なども、自力で習ったことのない方法を見つけだすことができることがわかってきました。

それが、大人に教わったことや、本からの知識だけが正しいことだという思いが強すぎて、
自分の頭で考えたことを告げるときは、とても過敏になっていて、
誰かに少しでも疑問をさしはさまれると、
たちまちげんなりして自信なげな表情を浮かべていることに気付きました。

それは図鑑の知識を他の子に話すときのちょっと生意気に見えるほど
自信いっぱいの●くんの姿からすると
意外なものでした。

●くんは、自分の頭で考えたことを言うときには、
間違っていないかと緊張していて、
でもそれが認められると、自然に笑顔がこぼれていました。

ユースホステルでのレッスンで、
電流の流れ方について、●くんは、
「プラス極とマイナス極からいっしょに電流が流れていって、真ん中のここで
合流するんじゃない?」という持論を説明していました。

それを聞いた●くんのお母さんが、
ていねいな●くんがわかる言葉で正しい説明をして、
●くんの考えを修正させようとしました。
●くんのお母さんは説明上手で、教え上手な方なのです。

でも、それは「早くできるようにさせる」ためにはよくても、今の●くんにはよくないように思えました。

それで私は、●くんのお母さんに、

「●くんに 正しいこと を次々教えていくことと、急いで今の時間内に わからせてしまうこと は
もう少し成長するまで待ってください」とお願いしました。

●くんは、正しい知識を得る前に、
自分の考えを追及していくことに価値や自信を抱くことが
大事だと感じたからです。
たとえ、間違っても、自分で考えてみることはすばらしくて、
間違えることから深い理解を得ることを体感させたかったのです。

●くんの知識欲や記憶力はすばらしいし、今後もそれを否定せずに
大事にしていってあげなくてはまりません。
でも、それによって奪われている
たとえ稚拙でも、自分でやってみて、自分で目で見て、自分で理由を考えて、時には間違って、そこから学んだり、
心が強くなったりする体験を守ってあげることも
身近な大人のつとめだと感じたのです。

そうして自分でやってみることで、●くんが持っている思考力の高さが
じっくり磨かれていくよう待つのです。

ユースホステルで男の子同士じゃれて過ごすうちに、
●くんは、あうんの呼吸で友だちとわかりあい、いっしょに「あれしようよ」「いっしょに行こ!」と
駆けていくことがたびたびありました。
言葉のない世界で空気だけで友だちと共感しあえるようになってくると、
●くんの何となく口が滑って言っちゃった~という感じの発言が減って、
必要な場面で、真剣に自分で考えて発言するようになってきました。

実体験と知識の間に大きな開きがあるときには、
さらに知識を増やすことに努めるのではなく、
まず、その隙間を少しずつ縮めるような環境が大切だと感じました。



実体験と知識の間を埋める 2

2011-08-05 23:19:04 | 理科 科学クラブ


今回のユースホステルでのレッスンでの算数の学習テーマは、
「科学遊びの中の算数」と
「線分図を自分で描いて考えること」と
「体積」でした。

科学遊びの中の算数というのは、
実験に使う材料の重さが目分量でわかるようになることと、
使った量が、元の分量のどれだけにあたるのかを当ててもらいます。

3年生以下の子たちも、スライム作りをしながら、
糊を元の量の○分の○使ったのか(分数)、
小数だとどれだけにあたるのか、
割合だと何割や何パーセントくらいか、
元の重さから考えて使った量は、だいたいどれだけになると思うか
といったことを話題にしていると、すぐに暗算で答えるようになってきます。

今回は固めのスライムを作って「体積」について学び、
底面のたてが5センチで横が6センチ高さが4センチの直方体の体積と等しい
底面のたてが5センチで横が3センチの直方体の高さはどれだけになるか
という問題を出すと、だいたいの子が理解して解けていました。

7や9などの数をあてはめて、答えを出してみて、
その数の変化の様子から推測して、
「8センチ」と自力で答えを出した子もいました。

ペーパー上で習う算数が、実際、自分の生活の中のさまざまなことを
考えるのに役立つことを
あまり知らない子は多いです。

一緒にさまざまなことをして過ごしながら、実体験の中で考えることと、ワークで考えることを
バランス良くしていると、
数学的な感性が磨かれていきます。



たとえば、↑の写真の糊は使用前は750グラムでした。
減った量を目で確かめて、分数で言い表すと全体のどれくらい使って、どれくらい残っているのか、
約何グラムにあたるのか、などを考えました。

幼い子たちは、手に持たせて、「これが750グラム」と身体で重さを味あわせると
喜びます。


休憩時間に将棋で勝負。コマを並べている最中です。

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↑工作タイム。

材料が少ないので、あるものでどう工夫するのか
知恵を絞って作るのが面白かったです。
輪ゴムがなくて、ガックリきていた子のアイデア。

水風船を切って、ゴムの代わりに……。ナイスアイデア。確かに風船は伸び縮みしますね。


紙コップくらいしか材料がなかったのですが、飲んだ後のペットボトルを材料に加えたり、ひもを利用して動かす仕組みを加えたりしていました。






↑磁石で上下するエレベーターの作り方を教えていると、
それを改良して、
磁石の位置を横につけなおして、全面と背後の両方に開く
駅のエレベーターを作っていました。

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実体験と知識の間を埋める 1

2011-08-05 15:52:18 | 理科 科学クラブ

小学2~3年生のユースホステルでのレッスンに行ってきました。(幼児の弟くんたちも参加)

小学生の男の子たちのあまりのパワフルさに(驚異的な元気さに……)かなりバテました~♪
(小学生を育てている親御さんたち、夏休み、ご苦労様です

通常レッスンの科学クラブや算数クラブの子たちが主のお泊りだったので、
「やんちゃぞろいのこのメンバー。これはとんでもない騒ぎになりそうだ」と察した私は、
かつて虹色教室の生徒だった今は高校生のKくんにボランティアをお願いしたのですが……
これが大成功でした。

小学校2~3年生というと、自立心が芽生えてきて、男の子は男の子っぽさが出てくる時期。
高校生のお兄ちゃんといっしょに、いろいろな活動をするのは、とっても楽しかったようです。
晩遅くにKくんが帰宅する際には、じゃれて背後からKくんに飛びついて甘えている子もいました。




レッスンでは、私が持って行った工作素材や道具を使って、それぞれの子が、
自分でやってみたいことや、お友だちと協力して実現したいことをイメージして、
実験したり、工作をしたり、実験道具を自分で作りあげたりしました。


ビー玉を途中でジャンプさせて、目当ての場所に転がしていくコースを作っています。






ビー玉コースターを作り、内部を見えないようにしている積み木の箱を通って、その先にビー玉が落ちるようにしたいと
考えた2年生の◆くん。

ミリ単位のずれでも、途中でビー玉が止まってしまう作品のため
「みんな、気易く触らないで!」と、
木の反り方をけわしい表情で見つめる大工の棟梁みたいな雰囲気で、作業を続けていました。

◆くんが何か作るとき、どんどん楽しんで作っていくという形には満足できなくて、
自分の描いた最終目標を達成するまで、自分にも他人にも厳しいのです。

できあがった自慢のビー玉コースターを何度か試してみて、
「やったー。100パーセントの確率で転がるようになったぞ!」と喜んでいたので、
他の子たちが、「100パーセントの確率」という言葉の真偽のほどを
確かめに集まってきました。

それでは、実験開始……という時、私が、「じゃぁ、10回転がして、全てのビー玉がゴールに着くか
やってみようか?」と言うと、
科学や算数のうんちく好きの●くんが、
「だめだよ。100パーセントか調べるんだったら、100回やらなくちゃ」と
それだけでレッスン時間が終わってしまいそうな提案をしていました。

それから、私が、「ちっちゃい子たちにも、ビー玉転がす役をやらせてくれる?」と◆くんにたずねると、
「だめだよ。100パーセントの確率って言っても、それは同じ条件でしないと
うまくいかないんだから」とブーブー。

そんなピリピリした空気の中で、本当に100発100中、ビー玉がゴールまで行くのか実験開始。
それが、数回、転がしたところで、ビー玉が木箱の中で止まってしまいました。

この実験にのめりこんでいて男の子数名が、◆くんといっしょに箱のふたを開けて、ビー玉が止まった原因を言いあっていました。◆くんいわく、
「五回に1回くらいは、中の点検をして、動いた積み木を元通りに直すようにしないと、100パーセントにはならない」とのことでした。






電池やモーターを使った実験や工作を繰り返している子たちもいました。

単三電池一本で、モーターを2つ回して、同時に豆電球も点けることができるのか
や、何が電流を通すのか、いろいろ試していました。

途中で、「電流の力で風船が割れるのか試したい」という子が加わって、
風船に接触する部分で導線同士をつないで、むき出しになっている導線の部分に電流が流れる際に、
風船が割れないか試してみたいというもの。

これを見た他の子たちが、「風船は電流を通さないよ」と注意しました。
「わかっているよ。線と線はつないでいるんだよ。電流は流れるように。それで、風船にひっつくようにしているだけだよ」と実験主くんたち。

この実験、うまくいかなかったのですが、他にもいろいろ面白い実験をしてみて、
楽しめました。
ボランティアのKくんには、電池や豆電球を扱う際に、どんな使い方をすると危険なのか、
実体験をまじえて、みんなに指導してもらいました。(Kくん、電池のプラスとマイナス極を直接、導線でつないで、
熱が発生したことがあるそうです。
私も、子どもたちがいろいろと自分の発想を実験で試したがる幅が広がってきたので、
危険な実験と安全な実験の線引きの仕方や、
目新しいことを試す際には必ず大人にしていいかたずねるなどを、徹底するように気をつけています。




↑の写真は乾電池を直列つなぎにした時、
乾電池の数と豆電球の数を変えると、
豆電球を流れる電流の量を数値で表すとどのようになるかクイズをしているところです。

(乾電池が3個で豆電球が2個なら、「2分の3」など)
一生懸命考えていて、分数ということまではわかっているけど、
間違える子が多かったです。

電流の流れ方にしても、
子どもたちは、
プラス側とマイナス側から同時に流れ出して、電球のあたりで合流している……と考えていました。

今は、正しい答えを教え込んで、無理に納得させるのでなくて、
さまざまな意見を出させながら、
たくさん体験して本当の意味で納得するまで、
「本当はどうなんだろう?」と不思議に思う気持ちを共有しあうようにしています。

「図鑑を見れば正しい答えが載っている」と思うようになると、
自分で考えずにすぐに解答を見て、記憶した答えを言うことに固執するようになりがちです。

まず最初に、自分の目で見て、自分の頭で本気で考えを練っていく姿勢を育てることが
大切だと考えています。

次回に続きます。






子育てや愛着形成についての記事をまとめました♪

2011-08-04 08:57:53 | 記事のまとめ(リンク)
今日は午後からユースホステルでのレッスンです。 次の更新は明日の午後以降になります。





大阪に(日本に)こんな子供向けの教育施設が欲しい!!

大阪に(日本に)こんな子供向けの教育施設が欲しい!! 2







「愛着」の形成がうまくいかなくなってきた現代 1

「愛着」の形成がうまくいかなくなってきた現代 2

「愛着」の形成がうまくいかなくなってきた現代 3

「愛着」の形成がうまくいかなくなってきた現代 4

「愛着」の形成がうまくいかなくなってきた現代 5






国に求めたい子育て支援の形 1

国に求めたい子育て支援の形 2

国に求めたい子育て支援の形 3

国に求めたい子育て支援の形 4

国に求めたい子育て支援の形 5

国に求めたい子育て支援の形 6

国に求めたい子育て支援の形 7

国に求めたい子育て支援の形 8 (見守りについて)

国に求めたい子育て支援の形 9 (コミュニケーション能力と内言の発達について)








子育てで気をつけてきた3つのこと

子育てで迷ったら 一休さんの名裁き♪

子育ての矛盾


夏のおでかけアイデア

2011-08-04 08:52:53 | 理科 科学クラブ


「知的好奇心を拡げるにはどこに連れていってあげるといいでしょうか?」
という質問を受けることがよくあります。

「せっかく博物館や科学館に連れて行ったのに、
そこではしゃいで終わり……
あまり心に残っていないような……
まだ時期が早かったのでしょうか?」

という声も聞きます。

お出かけを、子どもの知的な好奇心を膨らますきっかにするには、
ちょっとしたコツがあります。

『子ども目線』の楽しみを大切にする

ということです。
あれもこれもと「すばらしい」何かを与えようとすると、
子どもにとっては、

味の濃すぎる料理を与えるのと同じで、

害はあっても、何も良いものは残りません。

子どもを博物館に連れて行く場合、
例えば、行き帰りの駅で、駅に置いてあるスタンプを押したり、
駅のエレベーターに乗ったりしたことが、
子どもにとっては最も楽しかった出来事として
残ったりします。
子どもの発達や個性に応じて、ちょうど良い興味の濃さや内容があるので、
そうしたささやかな体験こそ、
子どもの知的な好奇心の芽となることが多いのです。

駅のエレベーターが大好きな男の子は
ブロックでエレベーターを作る際、2つ扉を作り、
1階で乗るときは外に向かって開き、
モノレール乗り場である2階につくと、駅側の扉を開けるように
工夫していました。

駅のパンフレットを、子どもに「次にどこに行ってみたい?」と選ばせて、
お家でそれを貼って楽しんだり、ゆるきゃらに興味を持てば、
本当にその地にお出かけしてみたりするのも楽しいです。
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<駅でもらえるパンフレットで地域の絵本作り>
観光案内のパンフレットや
フリーペーパー
カラー写真満載ですね。

読み終わってポイッ!では
とても もったいないです。

おみやげや 観光名所 地図などを 
切り抜いて貼ると
りっぱな絵本になります。
また 自分で情報を整理し発表していく力を
伸ばします。


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<お出かけ先でゆるきゃらを見つけてこよう!>
以前、虹色教室では「ゆるキャラ」が
流行していた時期があります。
ゆるキャラ?

ご存知の方もいるかも知れませんが
地方自治体のPR用に作られた
ゆるゆるのキャラクター。

富士山の姿をした
静岡県の「ふじっぴー」や
岡山県のカブトガニの姿をした「カブニくん」
など地域の特徴や特産品が
そのほのぼのとした
かわいらしい姿からわかってしまう!!キャラクター。

こんな面白いものを 子どもの教育に生かさないわけには
いきませんね。
ちょっと遊べば 県名やら特産品が
それこそ ゆるゆる~と頭に入ってしまいます。

写真は 「ゆるキャラの本」(500円)と
それに載っている各県代表47体の
ゆるキャラを切り取ってお人形にしたものです。

「ゆるキャラの本」には
47体のキャラクターの写真が
どれも大人の手の平サイズでついています。

それを切り取ってダンボールに貼ってつくりました。
人形の裏には 県名 名前 くわしいDATAを
貼りました。

このゆるキャラ…一番初めに飛びついたのは
2,3歳の
あんぱんまん大好き世代。

「トリピーは 鳥取県でぇ、梨が好きなんだよ。」と
いった会話が 
教室のたびに なされていました。
少しお姉さんの幼稚園児は
帰省先の「ゆるキャラ」について
田舎での出来事とともに話してくれました。

その翌年は 「どこでもどらえもん 日本旅行ゲーム」がブームでした!
この人気は 年間を通して衰え知らず…。
定期的に出してきては
「金しゃちドラ(名古屋)」とか
「かぼすドラ(九州 沖縄)」「坊っちゃんドラ(愛媛県)」
のカードを使った遊びを
しています。

こうしたカード遊びは 工夫次第で
1、2歳くらいから楽しめます。
お家で ちょうどいい「赤ちゃんルール」を作って
遊んでくださいね。
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<お出かけ先での注意>

こういう活動も、親が主体になりすぎて、
子どもに「興味を持ってほしい」思いが強すぎると、
子どもの好奇心はかえって育ちません。

子どもは自分で見つけたもの、自分で決めたこと、自分で作ったもの、
自分の心が揺さぶられたものが好きです。

親が「してごらん」「みてごらん」としつこく言うと、
たちまち、興味が薄れてしまうのです。

夕べ息子が、こんなことを笑いながら言っていました。
「テレビゲームばかりやりたがる子にやめさせる簡単な方法があるよ。ゲームしなさいと言い続けたり、1日2日、好きなだけ、それこそ一晩中とかゲームをさせたら、みんなすぐに飽きるよ」
何でも、ちょっと飢餓感があるから魅力的なわけで、
周りから興味を持つことを期待されたり、好き放題できたりすると、
ちっとも面白くないんですよね。

子どもが知的なものに興味を拡げていく瞬間というのは、
本当に小さなささいな個人的な経験です。

ちょっと珍しい石を拾うことは、
●●博覧会に長蛇の列に並んで連れて行ってもらうよりも、
「子どもに図鑑で種類を調べてみたい」「どうして、石は丸いのかな?」という
気持ちを起させます。
「どうして?」「なぜ?」という言葉はなくても、
しつこく何かを覗き込んでいるとき、
好奇心が渦巻いていることがよくあります。

そうしたときに、濃い味の知的刺激のシャワーで、
それを洗い流してしまわず、
子ども目線でそうした子どもの発見に寄り添うことが、子どもの
知的好奇心を育むコツとなります。
(濃い味というのは、大人がアクションを起すのが早すぎたり、
結果を求めすぎたりすることも含まれます)


一万人の脳画像を解析した結果わかった「わが子の隠れた才能を見抜く方法」 

2011-08-03 23:11:34 | 教育論 読者の方からのQ&A


プレジデントFamily の2008年12月号に、

「一万人の脳画像を解析した結果を公表」
頭の良し悪しはどこで決まるか

という興味深い特集がくんであって、
さっそく購入してきました。(本に関しては、財布のひもがゆるいです~)

脳をさまざまな部分に区切って番号をつけた「脳番地」なる
図が載っていました。

4番、6番 運動系脳番地
3番    感覚系脳番地
39番、40番 超前頭野
9番、10番、11番  超前頭野
44番、45番 言語系脳番地
41番、42番 聴覚系脳番地
20番、37番、38番  超側頭野
17番、18番、19番  視覚系脳番地

幼児がぺらぺらおしゃべりしたり、字を覚えたり足し算ができたりすると、
周囲は「頭が良い子」と期待してしまいますが、
学校での成績では一喜一憂させられる事が多いようです。

本当に賢い子は「迂回脳」を持っているのだそうで、
それは計算力だけ、言語脳だけを鍛えるのでは
育っていかないようです。

暗算が得意なら前頭野の10番や右脳頭頂部の6番、
思考系脳番地の39,40番などが発達しているそうです。
美術や音楽が得意な子は、
視覚や聴覚といった感覚系の脳番地にくわえ、感情系の脳番地が発達しているそうです。

「脳の学校」代表 加藤俊徳先生は、↓のようにおっしゃっています。

個々の番地だけが発達している子は、テストの点が良くても心配です。
むしろ、いろいろな番地が上手くつながって、脳全体で
考えられる子のほうが
賢いと私は考えます。そして子どもの脳の育成にとって
最も大事なことは、なるべくいろいろな脳番地を
迂回して使えるようにすることだと思います。

本当に頭の回転の速い人、脳がうまく使える人は、
決まった答がない場合にも、
自分なりの答を見つけ出します。
言語系脳番地だけではなく、指を折ったり絵を描いたりして、
運動系や視覚系にシフトしたり、
感覚系や記憶系に飛ばして、発想を自由に広げることができる。
行き詰ったときに、いろいろな番地を迂回しながら、知識や体験を照らして、
自分の答を探し出せる。
それが「迂回脳」です。

虹色教室では、絵を描く、工作する、積み木を組む、身体で表現する、
実験する、ゲームする、ごっこ遊びをする、劇をする、暗唱する、記憶遊びをする、文章を創作する、科学館や博物館に行く、劇や音楽会に行く、ワークに取り組む、数学的パズルに取り組む、外国語に親しむ、料理をする、電子工作、検定、読書
など、子どもたちがが喜んで取り組めそうなさまざまなチャレンジを
用意して、それらが子どもにとって心地よい体験となるように
支援しています。
障害がある子も障害がない子も、同じようにそうしたさまざまな体験を通して
成長します。
学校の成績だけにしか興味のない親御さんには、
子どもの興味や関心にそって、体験の幅を広げていく教育は、
遠回りに思えるかもしれません。
しかし、本当の意味で賢い子を育てようと思うと、そうした遠回りこそが、一番の近道なのかもしれません。



プレジデントFamily の2008年12月号の記事にこんな文章が載っていました。(一部要約)

----------------------------------------------------------
親は目に見える結果から、子どもの素質や才能を判断しがちです。
絵が上手でないと、この子は絵の才能がないと思うし
楽器がうまく演奏できなければ、どうやら音楽の素質はなさそうとあきらめる。
学校の成績が悪ければ「この子は勉強に向かない」とあきらめてしまう。
しかし子どもの素質はそんなに簡単に見極められるものではありません。

情報を受け取る視覚映像系など入力系脳番地は発達しているのに
それを絵で表現する出力系の脳番地が未発達で上手に描けない子は、
いつの日か絵の才能を発揮する可能性があります。

音楽の才能も入力系の音感が優れていても、指先や口の動かし方などの
出力系脳番地が未発達ならうまく弾けないこともあります。
たとえ楽器が不得意でも、作詞作曲は得意かもしれない。

子どもの素質や才能を見極めるときは、アウトプットではなくインプット
に注目すべきです。
勉強が苦手という場合も、そのこがどんな情報を取ってきているか、
情報を五感のどこで取ってきているかを見てやって欲しいと思います。

子どもの情報の扱い方を分析すれば、素質や可能性は見えてきます。
あとは、その素質や才能が伸びるように脳環境を
整備する。

親ができるのは、現時点のアウトプットから短絡的に判断せず、
子どもが何を懸命にインプットしているのか、
どんな情報を取りに行っているのかを
よく観察すること。
そして親の過干渉で脳の成長を妨げないようにしながら、
取り入れたものを脳の中でできるだけ「迂回」させるように工夫することです。
そうしておけば前頭葉が成長して自我が育った時、
すばらしいアウトプットが出てきます。
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わが子が成長する中で、
現時点のアウトプットから短絡的に判断しない

ということの大切さを何度も何度も味わったことがあります。

息子は、虹色教室通信で紹介しているようなドッツ遊び(数のゲーム)が大好きな子で、
とにかく幼稚園のころは、いつもサイコロかトランプを手にして眺めたり
並べたりしていました。

が、それだけ好きでも、
アウトプットとしての効果は、
9歳頃までほとんどあらわれませんでした。
それまでは、小学校の算数も、計算ミスが多く、ゆっくり解いているため、
得意とは言いがたいものだったのです。
でも、9歳頃には、頭の中で数を自在に動かしたり、
立体を回転させたりすることはできていたようで、家では、
かなりややこしい関数や方程式を自分で考え出して、
ロールプレイングゲームを製作するゲームをしていったり、、
1~50までの足し算を関単に解く方法を考え出したりしていました。

音楽も絵も、聴くこと見ることは好きでも、
習い事はしたがらず、自分で練習もしないので、
好きなだけで少しも上達していませんでしたが、
ピアノはあるときから両手で上手に引くようになりましたし、
絵は高学年になるころには、絵の展覧会で賞をいただいたりするようになりました。

とにかく息子は自己肯定感が強い子なので、
今の自分がどうかという周囲の評価を気にせず、
(たとえビリでも)
大きな願望を抱き、好きなものを五感から
どんどん取り入れていくことができるようです。

娘も「○○ができるようになりたい」と自分の意志で言った場合、
その時点で、たとえそれが不可能に思えるようなことでも、
見たり聞いたりするときに好きだったものなら、
周囲を驚かすほど上達した…ということが何度もありました。

親自身が目に見える現時点のアウトプットに
まどわされないようにする…というのは、すごく大切だと思います。
親だって子どもの脳の中までは覗けないし、
どのような可能性を秘めた脳かわからないのですから…。

わが子達には、どんな学校を出たとか、どこに就職したかじゃなくて、
どこで何をしたとしても
自分の潜在能力をフルに発揮し続け、さらに育て続けながら、
思いっきり幸せに生きていって欲しいなぁ
と願っています。


家のなかで読書会? 1

2011-08-03 11:02:42 | 息子とおしゃべり(ときどき娘)



このところ、夏バテ気味でちょっと落ち着きがなくなっている うちの子どもたち。
気が散って集中できない時は、本を読んで気分転換を図っている様子です。

それで、娘と息子と私が顔を合わせると、
食事時も、お茶の時間も、読書会のような雰囲気で過ぎていくことがよくあります。

私の本の収集癖は、常にダンナの苦情の的になっているのですが、
児童文学から、心理学書、宇宙論、哲学書や経営・マネジメントの本まで、
興味の赴くままに集めに集めた本が、住居スペースを浸食している我が家……
娘と息子からは、「図書館より、いい本が揃っている」と絶賛されてます。
「何かいい本ない?」と相談されることもたびたび。

といっても、子どもたちは子どもたちで、
その時期ごとの自分のアンテナにひっかかるマイブームに従って本を求めますから、

「その分野は、ないな~」と答えることも多くて、

「じゃぁ、みんなで今夜にでも本屋に行く?」と誘うこととなり、増え続ける本を
どうするかという問題は、後回しになったままです。

先日、息子がこんなことを言っていました。

「以前、人間失格を読んだ時は、太宰治に対していい印象を抱いてなかったんだけど、
他の作品をいくつか読んでみたら、けっこう面白くてさ。明るくて健康的な作品もいろいろ書いているんだね。

小学生や中学生の時には嫌悪感しか抱かなかったようなものも、
今、この年齢になって読むと
これまで見えなかったさまざまな面が見てきて、楽しめるようになってくるもんだな。
最近、俗な物を読みたくないって
気負いをゆるめるようにしたら、
いろんな文章を楽しんで読めるように
なってきたってこともある。

ほら、以前、現国の問題にある現代の若者批判の文章に対して、

一方的に決めつけるような書き方で嫌だな、
昔は昔の若者で今と同じように問題があったんじゃない? ってこぼしていたら、

お母さんが、それはそうだけど、現代特有の若者の内面の変化があって、
善し悪しは判断できないけど、言葉にして整理しておきたい違いはあるんじゃないの?
って言ってたじゃん。

太宰治の文章を読んでいたら、そうした若者批判をしている人たちの言っている
ぼくやぼくの友だちの世代に
足りないとされているものの輪郭が、見えてきた気がしたよ。

今より昔の若者の方が、大人だったり、立派だったり、品行方正だったわけじゃないし、
幼稚で喧嘩っ早くて、嫌なことからすぐに逃避したりとダメな点も多いけれど……。

でも、太宰治の書くものにしても、当時の他の作家たちの文章にしても、
他人より上になってやろうってことより、
まず自分がすばらしい人間にならなくてはならないという思いが強く描かれているよね。

ある面、世の中がめちゃくちゃな時にも、
自分のことしか考えていないような自己中心的な 心の頑丈さ のようなものがあって、
他のことに心をかき回されずに、自分を向上させることに努めているんだよ。

そんな風に大きな理想を掲げながら、することはちっちゃかったりするけど、作家同士の悪口合戦になったりね。

そういう外から見える面の幼稚さがあっても、
個人が得る情報が知れていて、人生に未知の部分がたくさん残されていた時代の人の
まっすぐさというか、人間らしい心の健やかさみたいなものを感じたよ。

それこそ病的な面や人格障害があったんじゃないかなんて言われている作家が描く世界のなかにも、
その時代には、スポーツをするにしろ、書道をするにしろ、健康を考えるにしろ、健康道場なんてものが書かれるくらい
心を育てるという意味が大きなものを占めていたんだよね。

何が言いたいかっていえばさ、たとえば、学校に、先生を含めてそれぞれの個人が、自らいい人間になろうって
志向している空間は、自分も向上しようという気持ちを持ちやすいいい空間だと思うんだ。

でも、学校の先生が、自分自身の内面的なものには無関心で、子どもに向上心を持たせることにだけ
力を尽くしているとすると、
何だか嫌な感じがするんだよ。

今の時代は、そんな風に、自分の心は切り離して、道徳的な善を説く人が多すぎて
息がつまりそうだよ。

そういう点で、昔の作家たちの言葉には、こちらに素直な向上心、道徳的な意味でもね、を
起こさせてくれるところがあるなって思ったよ。自分も、どのように生きようかってね。

今の時代のぼくたちの世代の抱える閉塞感は、
何もかもが、学問や読書といった分野にいたるまで、小手先の技術の追求になりがちだから
なのかもしれない。
もちろん、そこでも本物を求め続けている少数派はいるんだろうけど。


そうして、当時の人々の内面にあるものから、
自分の内面について気づく上でも、いろんな日本文学が
読んでみたくなってさ。
何か面白かった本ってある?」

「面白い文学? あんまり読んでないから、
良いのが紹介できるかわからないけど、お母さんは梶井基次郎が好きよ。
大阪の作家だしね。

中勘助も好き。それから、
日本文学じゃないけど、ヘッセの『少年の日の思い出』とか『デミアン』とか、
ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は、昔、読んで、本当に感動したわ。」と私。

すると、息子は、すぐにでも梶井基次郎の作品が読んでみたいから……とネットで検索すると、
青空文庫で、『檸檬』を読み始めました。
そして、面白い、面白い、と大絶賛。
それを聞きつけた娘が、「私も読ませて」とじっくり目を通していました。

それから、「きれいな話ね。お母さんが好きそう。
ほら、言葉遊びの世界に終始するというか、
出来事としては、ほとんど何の進展もないのに、頭の中のイメージだけで、一巡して戻ってくる感じ」と
感想を言いました。

「○(娘)は、もう少し人間関係やストーリーの展開がはっきりしているものが好きかもね」
「そうそう」と娘がうなずくと、

「ぼくは、好きだな。梶井基次郎の文章。全部読んでいきたいな。」と絶賛していました。

それから、梶井基次郎の短編をいくつか読んだ息子はこんなことも言っていました。
「この人の文章って、自分の想像力を使わなくても、
目の前にはっきりと映像が浮かぶように描かれているね。
猫の耳にパンチで穴を開けたいなんて残酷な空想も、
不思議な国のアリスの世界で起こったことや
シュレディンガーの猫について想像するときのように感じられるな。
『栗鼠は籠にはいっている』が良かった」