発達に気がかりなところのある小学生たちのためのユースホステルでのレッスンに行ってきました。
発達に気がかりなところある子たちというのは、
心がピュアで、
お友だちに対して、
何があっても裏切らないような
裏表のないまっすぐな優しさを示すことが多いです。
今回のレッスンに集まった子らは、どの子も初めて会った子ばかりです。
でも、たちまち仲良くなって、
協力し合って活動をしたり、
笑いあって遊んだりしていました。
「ちょっとしんどいな」というチャレンジにも、ほんの少し前に出会ったばかりのふたりが
手と手を取り合って、
「○○ちゃんが、いっしょならする」と言ってました。
ただ、そんな風にお互いずっと前からの友だち同士みたいに親しくなっていく子らに対して、
小学1年生の自閉症スペクトラムの☆くんだけは、
自分から子どもの集団に距離を置いていました。
創作活動や勉強への参加も
ひとりだけしぶって、
うろうろする姿が目立ちました。
それが、これがユースホステルでのレッスンの良いところで、私が「お泊りのレッスンを実現してみてよかったな~」と
感じている点なのですが、
配膳を手伝ったり、いっしょに食事を食べたり、お風呂に入ったり、眠ったり、
その間、工作したり、実験したり、自由に遊んだり、冒険したりして過ごすうちに、
どんなに距離があった子らも、だんだん親しくなっていくのが
感じられたのです。
☆くんも例外ではありません。本当にゆっくりゆっくりですが、
他の子たちとの距離が縮まってきました。
学校などで出かける旅行は、人数が多すぎて、
仲良しグループからはみだしている子は、
たいてい いつまでたっても排除されたままです。
でも、6人とか8人くらいまでの子ども集団で
ずっといっしょに過ごす場合、
異質な性質の子同士でも、心を開いておしゃべりしてみたり、
人と関わることが下手で、集団から浮いてしまいがちな子も、
いつのまにか家族の一員のように受け入れられて
遊びの輪に入っていることが多いのです。
↑☆くんは漢字などを見るだけで写真のように記憶する能力があります。
他の子たちがいっしょに手伝いあったり、真似し合ったりして
工作している間、☆くんは部屋の奥のテーブルで、☆くんのお母さんとお友だちのお母さんに見守られて
写真の日本地図を描いていました。
私は、☆くんを呼んで、日本地図上を磁石を貼りつけた人形が移動する仕組みを作ってあげようと
思いました。
けれど、持ってきた磁石は○くんが使ってしまっていて、交渉しても
もらうことはできませんでした。
○くんは、とても立派な合体ロボットを作っていたのです。
そこで、ちょうどそこにあった空き箱の切れ端とペットボトルのキャップで
飛ばし道具を作って、アルミ箔を丸めて磨いて作った玉を飛ばすゲームにする提案をしました。
☆くんはこのゲームがとても気に入ったようでした。
するとそれを見た○くんが、それをうらやましがって自分も遊びたがりました。
が、☆くんは「だめだよ。いや~」と強く拒否。
そんな風に頑なな態度を取ってはいても、自分の作ったものに興味を持ってもらってうれしかったのか、
☆くんはホワイトボードのところに行って、
一千億までの表をサラサラと描いて見せました。
お母さんの話では、☆くんは1年生なのでまだ簡単な足し算や引き算を習っているところなのですが、
大きな数はテレビの「お宝鑑定!」といった番組を見ている時に覚えてしまったそうなのです。
一か所の間違いもないところがすごいですね。
ちょうど、3年生の女の子も参加していたので、
「1億5千万になるように数字を書き込んでください」といった
算数クイズに使わせてもらいました。
☆くんにも問題を出すとちゃんとできていたので、漢字の配列だけでなく
数としても理解しているようです。
それには拒否しなかった☆くん。
みんなの注目が集まってちょっぴりうれしかったのか、
今度は、この部屋には側面にもホワイトボードがあったので、西と東の文字を書き、正面には北と書き、
後ろの壁には「南」の漢字を書きこんだ折り紙を貼りました。
次回に続きます。