虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

ブロック講座 2日目  (基本を自分で発展させる方法いろいろ)

2012-10-25 14:49:35 | 初めてお越しの方

 

 

11月の追加募集の結果は明日か明後日に発表しますね。

今日のブロック講座には2歳3カ月~4歳1ヶ月までの4名が参加してくれました。

今日、参加してくれている子はたまたま3名までが

教室のグループレッスンにも参加してくれている子だったため(別の日は新規の方が多いです)、

基本のブロックの組み方や動かし方を教えると、

すぐさま試行錯誤しながら(お母さんに手伝ってもらいながらしている子もいました)発展させていく姿が

あって面白かったです。

 

教えると、それを使って自分なりに発展させていく

能動的な姿が頼もしかったです。

 

上の写真は4歳1ヶ月の☆ちゃん。

「エレベーターの見本」と

「間に障害物を挟んで物が落ちるのを堰き止めておいて、障害物を取り除くと

物が落ちる見本」を見せると

食らいつくように見ていて、その後、それらを複合させて自分なりのアイデアで遊びだしました。

 

☆ちゃんが「こうしたい」と考えたアイデアは、

「ハムスターを1匹ずつエレベーターに乗せて

堰き止めてある板の上に降し、板を引っぱってハムスターを動く歩道の上に降ろして、

歩道を動かす」というもの。

途中でエレベーターを2つ接続して、2段式のエレベーターも作っていました。

 

学んだことを発展させていく方法に次のようなふたつがあります。

 

①基本で学んだものをたくさん作って

同じものを合体させて作っていく。

 

②基本で学んだものと別の基本で学んだものを

複合させることで、それまでにない新しい機能を生み出す。

 

☆ちゃんは、自分の「こうしたい」という目的をイメージし、

②の方法を駆使して、物を作りだすことができる力が育っているようです。

また、ストーリー性を持たせているところも素敵です。

 

3歳5カ月の●ちゃんのお母さんとの共同作品。

基本の輪ゴムの働きを使ってブロックを動かすアイデアを応用して、

ハムスターの空中ブランコ風のおもちゃを作っていました。

シンプルな巻いた輪ゴムがもとに戻ろうとする力を利用して

ぶらさがったハムスターたちが、縦にぶらさがった状態から横にぶらさがった状態になって

まるでUFOがまわっている時のようなナベブタ状の形を作りだすことができていました。

ハムスターに働いている遠心力を見ることができる

面白い作品でした。

 

この●ちゃんの発展のさせ方は、(ブロックから離れちゃいましたが)

 

物の性質を理解して、それがどのような動きを生み出すのか知った上で、

応用させて作品を作る

 

という発展のさせ方です。

3歳4カ月の★ちゃんの作品です。

ペットボトルを使って水族館用のシャチを移動させる車の作り方を教えたところ、

半透明のコップを使って中身が見える移動車を作っていました。

 

★ちゃんは、

作り方を同じにして、似ている素材を使って作る

 

という応用の仕方で発展させています。

 

発展のさせ方は、この他に「次元」を上げていく(2次元を3次元に3次元を4次元に)

といった方法や、

ストーリー性を持たせる、

自分が作ってみたいものを、学んだ内容を使って表現してみる、

などさまざまな方法があります。



日常体験と学習

2012-10-25 07:24:04 | 通常レッスン

(過去記事です)

 

日常の体験に豊かさがあると、

自然にしっかりと考えるようになります。

でも、「どうしたら日常の体験が豊かになるのかわからない……難しいです」という

声もたびたび耳にします。

そこで、年中さんと年長さんのレッスンのひとこまから、

ヒントになるシーンをいくつか紹介させていただきますね。

 

生活のどんなことも学習です。

子どもは、ちょっと目新しいことには、すぐに飛びついて

やりたがるものですよね。

↑は鳥の餌を準備しているところです。

入れるときに、傾け方や注ぎ口にする位置によって

こぼれやすかったり、うまく餌が出てこなかったりします。

こぼれた餌を拾いながら、「これ、ムギ?」とたずねていた子がいました。

鳥の餌はどこでどうやって取ってくるんだろう?

鳥の餌の1つぶの重さは?

さまざまな疑問が湧きました。

 

人気のザリガニのザリ子さん。

教室で飼うようになって1年以上経ちました。

最近、水草についていたタニシが大量発生し、

タニシと人気を二分しています。

タニシって、見れば見るほど不思議な生き物なのです。

「中身の身体が大きくなると、貝まで大きくなるの?」

「どうして浮かぶの?(ザリガニの餌を浮き袋のようにして、水に浮いている

タニシが不思議です)」

「タニシは何を食べているの?」

「タニシって触角があるけど、後は何があるの?目?口?」

「卵から生まれるとき、どんな風なの?」

子どもたちの間から謎が次々生まれますが、

わたしもよくわからないことが多いです。

グループのひとりの子が小学校受験に合格したので、

ままごとで合格のお祝いのパーティーをしました。

「おめでとう」とうそっこのプレゼントを渡しました。

パーティーの準備をしているとき、3つのグラスを友だちの前においていた子が、

「あっ、奈緒美先生のコップがないわ」と言って、

もうひとつグラスを探しにきました。

この子がかなり年上のお兄ちゃんがきょうだいにいる子で

いろいろなことによく気づく子です。

でも、そのグラスはもともと3つしかなかったのです。

そこで、紙コップを渡して、「先生のはこれにしてね」と言うと、その子は少し

考えてから、「だったら、わたしが紙コップでいいわ。先生、このコップを使ってね」と

自分のグラスを差し出してくれました。

それを見ていたお友だちふたりは

ニコニコしながら、そうすればいいのか~と感心した様子で

その子の行動を眺めていました。

お友だちの言動からも、いろいろと学ぶことがあるようです。

 


火山の噴火   (ブロックの洗浄も兼ねて)

2012-10-24 13:18:27 | レゴ デュプロ ブロック

2、3歳児さんたちのグループレッスンで、

ブロックを使って火山が噴火する瞬間を再現して遊びました。

ブロックで火山を作った後で、山頂に置いている小さな容器に重曹とクエン酸を入れました。

スポイドで水を落とすとぶくぶくと噴火開始。

子どもたちははしゃぎ過ぎて、これまで見たことがないほど

大笑いしていました。

↓100円ショップで購入。

実験の後で水をかけてブロック全体を洗浄することにしました。

1石2鳥ですね。

ブロックをリモコンの車に装着して遊んでいます。

算数やゲームの時間もとても楽しかったようです。

 


ブロック講座  お手本を見せても子どもが好き勝手に作ろうとする時、どうやって教えたらいい?

2012-10-24 08:25:35 | レゴ デュプロ ブロック
 
 
 
 
昨日のブロック講座にこんなうれしいコメントをいただきました。
子どもが意欲的に集中して物作りに取り組む姿を見るのは
とてもうれしいです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
参加させてもらって、すごく楽しかったです。
ありがとうございました。

KOUが家では中々取り組まないことも教室では
スイッチが入ったように集中していました。

色々な仕掛けのアイデアも教えてもらってとっても
面白かったです!!

これからお家でのブロックの時間に広がりが持てそうです。

次回も参加させてもらえるのを楽しみにしています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今までレゴだけで何か作るのしか思いつきませんでしたが、色々な小物を使って動きや変化を付けて遊べる事を教わり感動しました。家に帰るとすぐに息子が教室でした事を再現しだして、なんやかんやと2時間位遊びました。今まで、そんなに深く集中して一つの遊びをすることが無かったので、本当に驚いてます。工作的な要素や動きが入って一気に興味を持ったようです。私自身もレゴはあまり好きでは無かったのですが、今日で好きになりました。病み上がりの中レッスンありがとうございました。また工作や実験のレッスンの機会があれば是非お願いします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ブロック講座で上の写真のような「輪ゴムを使って連結した電車を作るお手本」を見せていた時、
3歳3カ月の●くんはすぐに自分も真似して作ろうとしました。

でも「輪ゴム」をかけるのが難しい上、輪ゴムをはさんだ状態でピッタリ上下同じ形に組み合わせるのは
今の●くんにはよくわからないことのようでした。
それでわごむを適当に乗せた状態で、思うままにブロックを重ねていって、
正しいお手本と自分の作品との違いについては気にとめない様子で遊んでいました。

そこで●くんのお母さんから
「わかるように少し手伝いながら教えていったらいいのでしょうか?」といった内容の
質問をいただきました。

わたしは

もし子どもが

「お手本通りに作りたいという思いを強く持っている場合」や

「自分の作ったものと、先のお手本の
違うところがよくわかっている場合」や

「ゴムをかけたり、ブロックをピッタリ重ねる作業を楽しめるくらいに指先の巧緻性が高い場合」には、

適度にサポートしてあげながらお手本通り作れるように付き合ってあげることが大切だと思いました。
 
 
具体的には、短いわかりやすい手順で、ゆっくり手本を見せること。
本人にとって難しい部分だけそっと手伝ってあげること。
言葉かけなどで、ワーキングメモリーを助けて、最後まで作れたという達成感を味あわせてあげること、などです。
 
でも今回、●くんは、わたしが作る手本に興味をそそられて
真似し始めたものの、見る力の面でも、巧緻性の面でも
まだ自力でこの作品を作るのは難しいようでした。
(もっとも1月もたたない間にらくらくできるようになりそうでもありましたが)
 
ですから、大人の手本に対するそうした子どものフィードバックを受けたら、
今度は手本の方を子どもの能力や興味に沿わせて
少し変更する番のように思います。
 
 
「首に巻きつかない程度の長さのひもを用意して、
ブロックの上に乗せて、挟んでいくだけで、
連結電車ができるようにする」くらいの課題に変更することで、
興味や意欲を失わずに集中して作ろうとするのではないでしょうか?
 
子どもに教える時には、
教えたけれど、子どもがさっぱり理解していないように見えて、
好き勝手にやろうとする時には、
 
子どもがうんざりしたり、自分に自信を失うほど教え込もうとしたり、
終いに大人が手伝ってしまってでも完成におだわるよりも、
 
教えたことに対する子どもの反応に合わせて、教える内容を変更するようにした方が
子どもの自発的なやる気を育てることにつながりやすいです。
 


高機能自閉症の子に「教えて」と助けを求めて教わる力をつけていくべき? 

2012-10-24 05:02:44 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

発達障がいがあるけれど学校の成績は良い子の注意点と伸ばし方 2

の記事に次のような質問をいただきました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

はじめまして。
発達障害のお子さんに関わる仕事をしている者です。いつも他ではなかなか手には入らない話を書いてくださるので、楽しみに読んでいます。

難しい課題を避けたり、うまくいかないと怒って物にあたったり、すねたりして表現してくる子、特に高機能の子たちを見て、一人でがんばって考えて、でもうまくできないときは、おしえて、と言ったり助けを求める力をつけさせていく必要があると思ってきたのですが、

今回の記事を読んで、教わることが苦手な子に助けを求める力をつけて、教わる状況を作っても、あまり意味はないのか?もしくはそれはこちらの勝手なのか?と思ってきました…。

先生のご意見、聞かせていただけるとうれしいです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

コメントをいただきありがとうございます。

その子の能力や対人関係でのこだわり具合や教える内容によっては

「教えて」と助けを求める力をつけてあげることが必要な場合もあると思います。

 

ただ難しい課題を避けたり、うまくいかないと怒って物にあたったり、すねたりして表現してくる高機能の子たちに

安易に「教えて」と助けを求める術を教えると、

また新しい別の困り感を増やす原因になるかもしれません。

 

教えてもらうということは、「相手の説明を手がかりにして自分で理解することだ」という暗黙の了解がわからなくて、

「教えて」という言葉が、

まるで自分で考えなくてはなくてはならない不快な問題にぶつかった時に

それを瞬時に他人の力で取り除いてもらうスイッチボタンのようなものと捉えるのもそのひとつです。

 

相手の説明を理解するのではなくて、

相手に答えを言ってもらって、そのままそれをコピーして答えを書いていこう、

という態度が身に着くことがあるのです。

 

また、「教えて」「教えて」という連呼が、「教わりたい」という気持ちから発せられるのではなく

問題がわからない緊張感や

どのように会話をつなげたらいいのかわからない不安感を、自分は何も考えなくても、

「教えて」「教えて」と頼んで、相手側にしゃべり続けさせておくと

まぎらわすことができるのを体感して、

ちょっとしたこだわり行動になってしまうことも考えられます。

 

「教えて」と助けを求めることを教える時、

誰に何をどれくらいたずねたらいいのかや

「教えて」とたずねる側には、相手の言葉を理解しようとする責任が伴うことを

同時に理解させていくことは難しいです。

 

わたしはパート先などで、こんな困り感を抱えた方に会ったことが幾度かあります。

 

「教えて」と言いさえすれば、相手は自分に教える義務がある、自分は教えてもらう権利を得る、と捉えて「教えて」病のようになった方が、

「教えてもらいたい内容」もないのに

上司や同僚に向かって、相手の言葉尻を捉えては「教えて」「教えて」と繰り返していました。

 

またボランティア先では、寂しい時やかまってほしい時に、教えてほしいこともないのに

「教えて、教えて」と連呼して、結果的に相手からうっとうしがられてしまい、ひとりぼっちになって傷ついている

学生に会ったこともあります。

 

 

それならば「わからない」「わからない」とかんしゃくを起こすような子にどのような対応をすればいいのかというと、

まず、高ぶっている気持ちを落ち着かせる方法を子どもと見つけていく必要があるのでしょう。

 

またその子がどのような筋道で理解に至るのか、

その子にとって理解しやすい方法を探る必要があるかもしれません。

言葉で伝えただけではわかりづらく

物を手で操作してみてはじめてわかる子もいるはずです。

ワーキングメモリーの弱さを助けてくれる小道具があると

安心して考えられる子もいるかもしれません。

「どこがわからないのか」「何がわからないのか」が絞れない子には、

重要部に線を引いたり、不必要な情報を見えなくしたりすることで

自分で考えようという気持ちになるかもしれません。

全部教えてもらうよりも、ちょっとした誘導やヒントが必要なのかもしれません。

 

それでは高機能の子へのヒントではないのですが、

教える際に、

その子のわからない部分とどのような教え方ならわかるのかを見極めて、

本人が自分で理解していける筋道を見つけたり、

教える時の指針にする方法について説明しますね。

 

写真は知的障がいの子とお金と3ケタまでの数について学んでいるところです。

100円ショップで買ってきたキッチン用の敷物を10×10のサイズにカットして

100を体感してもらうのに使っています。

500円玉、100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉を用意して、

シートを見ながら、下にお金を置いていってもらう課題をしています。

 

写真でしたら、100円玉2つと10円6個を置いていくと正解です。

 

最初に「1,2,3,4,5、~10でしょ。10、20、30~」とシートの玉を指でなぞりながら、

手と目で100を確認した上でお金を選びだしたので、100円を選ぶことは

スムーズにできました。

 

が、60のシートを見て、

玉を2個ずつ押さえながら、実際に数の確認とは関係ない儀式的な動作をした後で、

500円玉を選んでその下に置きました。

 

まず、ここでこの子のわからないのは、

「たくさんある時の数の数え方」ですよね。

こういう時に「わからないわからない」と子どもが言い出したからといって、

「教えて」と助けを求めることを教えてしまうと、

数え方が間違っているのに

本人は、お金の中からどれを選べばいいかだけ教わればいいと感じていまうかもしれません。

 

そこで、「玉をいっしょに数えてみること」や「一列が10である時、それが6列ある時は、10、20、30~」と数えていけること」などを

復習しました。

 

この子は、「100円が2個の時200円と習って、それなら3つならどうかな?」といった問いに

長い間、「6?」「19?」といったでたらめな答えをどんどん言う状態から、

ようやく、規則性に気づいて「300円」と答えることができるようになっています。

また以前は、一度間違えた答えを言うと、

調子ずいたように、全くその場とは関係ない答えを次々言い続ける姿があったのですが、

最近になって、間違えた後で、少し落ち着いて、正しい答えを選びなおす、ということができるようにも

なっています。

最初の答えこそとんでもないこじつけが多いのですが、間違えた後では、同じ間違えるにしても

答えに近い間違い方をするようになってきています。

 

「間違えたか」「正しいか」だけでなく、

こうした

間違えた後の態度の成長や

間違いの度合い(正しい答えに近い間違いかどうか)なども

注意深く見ていて、その子に何をどれくらい教えればいいのか、

調整していくことが大事と思っています。

 

でもそこで「教えて」と言うことを

先にやらせてしまうと、子どもは考えることを相手に丸投げして依存してくるかもしれませんよね。

 

ですから、教えているんですけれども、本人は自分で考えていると思うくらいか、

教えてもらううちにいつのまにか自分でできるようになっていた、というくらいの

一時的な補助輪の役割の教え方が大事かと思っています。

 

この後、この子は自分から10円玉を触りだし、でも結局、1円玉や100円玉などを

60円のシートの前に置いていました。

 

わたしはこういうシーンを目にした時は、本人の中であやふやながら

正解に近付いた点を強調して、

勇気づけながら自分で正しさに気づくのを支えるようにしています。

 

どういうことかというと、

最終的に間違ったからと言って、「ちがうよ」と言って、

本人の自信を揺らがせるのではなく、

間違った事実には触れず、

「さっき、自分で10円を触ってたよね。いいところに気付いたね。

先生は教えないのに自分でわかってたよ。

ほら、もう一回、数えてみると、10、20~60だよね」と確認する作業は見せて、

もし本人に少しでも動きがあればそれ以上は何も教えません。

 

この子も、「あっそうだ、わかった!」と自分の力で10円6枚を選びだして、

並べてみて、先に置いたものといっしょに「260円」と告げてうれしそうでした。

 

 


ブロック講座 と その後で

2012-10-23 20:36:21 | レゴ デュプロ ブロック

3歳0カ月~3歳3カ月の子たちのブロック講座の様子です。

光の当て方で、パカパカ動くきりんさん。

今日参加した子たちは、科学を取り入れたブロック遊びに夢中になって

長い時間取り組む姿がありました。

おばけ屋敷(通路のようなもの)を作っておばけを映しだしたり、

テレビを作って映すのもとても人気がありました。

 

 

今日のレッスンでは次のようなことを親子で学んでいただきました。

 

風、光、磁石、ゴムの働きを利用したさまざまなブロックでの遊び方。

 

幼い子が自分でブロックを作るようになるための働きかけのコツと、

ブロックの世界を広げるコツ。

 

滑車やてこの働きを利用した作品の作り方。

 

「転がる」「巻きあげる」「ジャンプさせる」「開閉」「前後にスライドさせる」「ビー玉の重さで動かす」

「回転させる」などの動きを作りだすポイント。(3歳児でも簡単にできて理解できるレベルで)

 

 

アヒルで数遊びをした後でブロックで作る数の階段パズルにチャレンジ。

どの子も興味しんしんで取り組んでいました。

駅などにある両開きのエレベーター。

 

こうして3歳児さんたちが帰った後で教室に来た小学2年の●くんが

残してあったこのエレベーターの基本をもとにして

面白い作品を作ってくれました。

エレベーターの高さをもっと高くして、出入り口の窓の上部に達する階段を取り付けています。

そして、何を見せてくれるのかと思いきや、

「消しゴムくんとブロックくんがエレベーターに乗りま~す」とのこと。

その後、反対側の窓からのぞいていると、

スルスル上って行ったエレベーターから黄色いブロックくんだけが見えた時点で

ブロックくんをおろし、

さらにスルスルエレベーターを巻きあげて、窓の上部で消しゴムくんだけを降しました。

階段は、滑り台なのだそうで、最上階まで行き着いた消しゴムくんは、

ブロックの滑り台を滑り降りてきました。

 

消しゴムくんとブロックくんが重なり合ってエレベーターに乗っていたのには

そんな理由があったとは……。

●くんの演出で、ちょっとしたショーを見ているようでした。


発達障がいがあるけれど学校の成績は良い子の注意点と伸ばし方 2

2012-10-22 21:22:21 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

発達障がい(or疑い)のある子は、

一般的な子と比べると、

他人の説明で理解することが極端に苦手な場合がよくあります。

先生に習っていても、そちらに注意を向けること自体が難しい子も多いです。

 

わたしは、そうした特性を持っている子たちには、

自分で学んだり、自分で分からないものを調べたり、自分で問題を解決したりする方法を

しっかり身につけさせてあげる必要があると感じています。

 

ワーキングメモリーを超える問題は、

線分図や図形を描いて整理しながら解いていくことや、

解答の解説が自分にとってわかりやすい問題集を選んで

わからない問題にぶつかった時は解説を読みながら自分で納得するといったことです。

 

IQが高い子の場合、自分が「できる」と判断するものは、

他人から教わらなくても自然にできてしまいます。

 

でも、いずれパッと直感的に解ける問題より難しいものにぶつかる日はきます。

少しでも頭を使って考えなければならないものを避けてきた子は、

たとえどんなに知能が高くても

お手上げ状態に陥ってしまうはずです。そこで他人が無理やり教えようとすると、

問題の理解が難しいのではなくて、

他人から教わることに頭がついていけなくて、「できない、もうしない」と

勉強を放棄してしまうことにもつながりがちです。

 

といっても、もともと他人から教わったり、

他人の指示に従って何かすることが苦手な発達障がい(or疑い)のある子に

線分図や絵図を描いていくことを教えることや

自学自習する手段を教えていくことは至難の業です。

 

頭は非常に良い子で工作などでは緻密な作品を作り上げるにも関わらず、

ちょっとしたイメージを四角や線で表したり

立方体を描いたりしようとすると、全く描けなかったり、線が極端に歪んだり重なりあったり

する子がいるのです。

 

また、図形等を描くことを教えていると、

角度と線と平面の違いをあいまいに捉えていて、

説明してもいつまでもピンとこないこともよくあります。

 

そんな風に、簡単なことではありませんから

あまり躍起にならずに

それでも今はどの問題もパッと見で解けているような時期から、

「いずれ自分の手に負えない問題にぶつかった時も

自分で解決する術を持っている」というビジョンを抱いて

サポートしてあげる必要があるかもしれません。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

発達障がいがあるけれど学校の成績は良く、

友だちとの関わりもそこそこうまくいっている子の場合、

そもそも発達障がいなのかどうか、そう呼ぶべきかどうか、親御さんも迷うことと思います。

 

でも、幼児期に発達障がいの診断を受けていたり、発達障がいのチェックリストにたくさん引っかかることがある場合、

今現在困っていることがあまりなくても、「うちの子はそうではなかった」「うちの子は個性の範囲」と、

発達障がいに関する情報を全て遮断してしまうことはしない方がいいように感じています。


私がそうすることが大切と感じる理由は、

『決定権を誤解する子
理由を言えない子』 湯汲英史 小倉尚子 かもがわ出版

という著書の中で集約されています。

「集団への適応」という点で、ほとんど問題がないように見える発達障がい(or疑い)の子の多くが、

非常に表面的な適応で綱を渡るように生活していて、

さまざまな物事に誤解を抱いたまま成長してしまうことはよくあるのです。


この本の中に、Dくんという広汎性発達障がいの男の子の話が載っています。

発達障がいのあるDくんは、「学校で何をして遊ぶのが好き?」と聞くと、
「わかんない」と答えます。
コミュニケーション能力に問題があるのか、
自信がないのかと思っていると、こんな別の理由がありました。
「サッカー」と言えば、そのあとに「どうしてなの?」と聞かれる
可能性があるからです。
この子は、「どうして~ですか?」と聞くと、
その答えは的外れなことが多く、ほかの人には、
理解できない理由でした。
答えのピントのズレを周りの子たちからからかわれていたためか防衛的に
「わかんない」と言うようにしていたそうなのです。

この男の子のような「わかんない」……
発達障がいなのかどうなのかわからないレベルのグレーゾーンの子たちも
よく口にするのを耳にするのです。

私が思うに先の著書の中心的な内容の
「相手に通じる理由が言えない」困難を抱えている子は、

そうした子のなかにかなりたくさんいます。授業中うろうろするか……

勉強についていけているか……だけが大人の注目を集めがちで、

そうした目だったところのない子は発達障がいがあってもそう捉えることすら無意味だと考えられたりします。


そうした困難があることすら気づかれずに、本人にすれば生きづらさを抱え、

大切な生活技術を教えてもらえないまま成長していきます。

先の著書に次のような実例が載っています。

中1のSくんは、ADHDと診断されています。知的能力は非常に高く、学校の成績はトップクラスです。
そのSくんが、友だちのキーホルダーを黙って持ってかえってきました。
ショックを受けたお母さんが「他人のものを盗ったら友だちにどう思われるか」や「盗みをすると警察につかまること」など、盗みがいけない理由をこんこんと諭しました。
しかし一ヶ月も経たないうちに、今度は友だちのゲームソフトを盗んでしまいました。
学校の先生は深い理由があるのでは?何かのしかえしなのでは?と考えて、理由をたずねました。
Sくんの答えは「欲しかったから」でした。

Sくんのように言葉の能力が発達している子は、

「理由を説明すればわかるはず」と誤解されやすいのですが、幼い頃、多動が激しく、

次々興味が移っていたSくんは、幼児期に理由の意味や役割が学べていなかったようなのです。

知能が高くても、理由をもとに行動することが苦手な発達障がいの子には、
周囲の大人が、幼児期学べなかった課題も根気よく教えていってあげる義務が
あります。
何を教えてあげればよいのか……その指針となるのが、
これまで蓄積されてきた『発達障がい』についての情報です。


ひとことで発達障がいの情報といっても

情報の渦に飲み込まれてわけがわからなくなるかもしれません。

この記事で取り上げたような

「発達障がいかどうなのか」を迷うような子たちには、


『決定権を誤解する子
理由を言えない子』 湯汲英史 小倉尚子 かもがわ出版

 

が良い指針になるんじゃないかな、と思っています。

 


発達障がいがあるけれど学校の成績は良い子の注意点と伸ばし方 1

2012-10-22 13:47:03 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

体調がすっかり元に戻りましたので、今日までブログを休む予定でしたが記事をアップしますね。

前回の記事(消してしまったものです)にコメントをくださった方ありがとうございます。

今後、ブログを訪れる方に余計な心配をかけてもいけないので削除しておきました。

 

発達障がい(or 疑い)の診断を受けている子たちの中には、

IQが高い子たちもけっこういます。

また人懐っこい性質で、友だち関係もけっこううまくこなせる子もいます。

そうして普通級での生活をスムーズに送る姿を見ていると、

本当に発達障がいなのか、ただの個性ではないのか、と

迷う親御さんもいらっしゃるでしょうし、

診断をくだす医師によっても発達障碍か否かで意見が分かれることと思います。

 

わたしは、こうしう状態の子に「発達障がい」というレッテルを貼るのはどうかと思う一方で、

やはり困り感を抱えている子として、

ある種のサポートを必要としているのを感じています。

 

ひとつは、「内言の発達」が弱いことからくる

危さを持っている点です。

 

プリント上であれば論理的に考えなくてはならないかなり複雑な問題が解けているにも関わらず、

遊びの場面では、全て友だちのしゃべることをハイテンションで、

コピーしているだけだったり、(それが場になじんでいて人気者であることも多々あります)

道徳的な判断や自分なりの意見といったものが小学校中学年、高学年になっても

3、4歳の頃のままだったりすることがよくあるのです。

 

 

親御さんにしても、何かたずねると常に高めのテンションで

単語で返事が返ってくるので、

何を考えているのか、さまざまな物事にどのような判断をしているのか

わが子ながら正確に分かりかねるのではないでしょうか。

 

それでも学校に適応できているし、成績はいいのだから……と

これといったサポートをすることもなく

うやむやになってしまうようです。

 

こうした子たちに、言葉、論理、数、知覚、記憶に関わるIQのテストの問題をしてもらうと、

どの分野もひと目見ただけで、素早く答えを言っていくのでびっくりすることがあります。

ところが、ちょっと困った特徴もあります。

1瞬見て、「苦手だ」とか「知らない」と判断すると、

よく読んで少し考えてみようとせずに、その問題自体を切り捨ててしまうように

次に移っていくのです。

 

そうした時に、発達に気がかりなところのある子は、「他人の意見を聞いて理解する」ということが

すごく苦手ですから、

興味を持たせるように解説しても、本人が理解しやすい形に問題を変化させても聞く耳持ちません。

それで苦手なところが苦手なまま、

「嫌い」と感じた問題がわからないままでいつまでも残ってしまうのです。

 

これは算数や国語の学習をしている時も同じです。

もともとIQが高い子たちの場合、小学校低学年や中学年の問題は、先生の説明など聞かなくても

自分の判断でどんどん解けてしまうでしょうから、

そうした学び方の偏りは気づかれにくいです。

 

次回に続きます。

 


4~6歳 真剣に集中する時

2012-10-20 08:50:17 | 国語

年少さんの★くん、☆くん。

「自分のしていることに本気で関わって、真剣に集中する」

という時期の真っ最中。

書き順通り文字を書くためのお手本カード(100円グッズ)を見ながら

何枚か字を書いた後で、「これは、できん」「これ難しい」とよけていた

「え」と「よ」のカード。

後から、それだけ取り出して、

難しい部分に全神経を集中して

書く練習をしたところ、ふたりで相談しながら

真剣に取り組んでいました。

「ここが、うまくいかない」と、「え」の字の

途中から曲がる部分について話し合っています。

 

そこで、わたしがお手本。

「すべりだいをスーっとすべってね、すべった先からまた

すべりだいをのぼっていくのよね。

途中まで。

このすべった後で、同じとこの少し横を上にいくところが難しいね」

ふたりとも何度もそこを書いてみます。

でも、すべりだいをすべった後で、脱走したような字になったり、

上まで登り過ぎて、「ひ」みたいになったり……。

書いた後で、自分の字とお手本のどこがどう違うか、

一生懸命、見比べています。

こういう時期って、字を覚えていたらいいわけでも、

たくさん書けたらいいわけでもなく、

 

★真剣に集中すること

★微細な違いに気づく力がつくこと

★目的を持って努力できること

 

などが、自分で自発的に始めた活動を通して

徐々に身についていくことが大事なのだと思っています。

この時期の子は、小さな作業にも全力投球します。

 

 

↑自分で考えた『抽選マシーン』作りをしました。

 

「サンタさんの帽子が作りたい」とふたり。

平面が立体の円すい形に変わることが

不思議で面白く感じたようです。


自閉っ子と対話能力の発達

2012-10-19 16:45:41 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

自閉っ子が急に成長する時

の記事で登場してもらった●くんと☆くんの1ヶ月ぶりのレッスンです。

 

 

☆くんはいつも可愛がってもらっている叔母さんに手伝ってもらって作ったという

切符の券売機を持ってきてくれました。

券売機のボタンは、しょうゆなどの剥がすタイプの内側の蓋です。☆くんは

何年も前に教室でした工作を覚えていて、これをボタンにすることを思いついたそうです。

 手書きの切符には、一枚一枚、☆くんの大好きな路線名と駅名が書かれています。
☆くんの要望をひとつひとつ聞いて、応えてくれている叔母さんの姿が目に浮かびます。
 
カッターで切ったり、字を書く部分はほとんど手伝ってもらったようですが、
デザインや作り方や貼り合わせは、全て☆くんがしたようです。
 
「作る時はね、牛乳パックの上のところを、こうやって折って、こうやって折って、それからガムテープで
貼り合わせるんだよ」と☆くんは夢中になって説明してくれました。

 

少し遅れて●くんが教室に着いた時、とても驚いたことがありました。

●くんは質問されたことに応えるのは何とかできるものの

筋の通った自然な会話を維持することは非常に難しい子です。

2ヶ月前のレッスンで、こんな出来事がありました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

帰り際、「ぼくの靴はかっこいいんだよ」という☆くんと

「ほんとだぁ」と返す●くんの間に自然な会話が成り立っていたことに

親御さんたちもわたしもとてもびっくりしてしまいました。

各々の手に、☆くん手作りのハリセンを持って

うれしそうに帰っていきました。

 

●くんのお母さんから感想をいただきました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今月もレッスンありがとうございました。
そういえば、エコラリアや独り言が本当に少なかったですね。ひとりで遊んでいるように見えて、周りをものすごく意識していたということでしょうか。
靴の会話は本当に嬉しかった!よく考えたら子供だけでの筋が通った会話は聞いたことがなかったかもしれません。ゆったりとあたたかい学び(遊び)の場から得られるものは大きいですね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

●くんのお母さんが、「靴の会話は本当に嬉しかった!

よく考えたら子供だけでの筋が通った会話は聞いたことがなかったかもしれません。」

という感想をくださったほど、それまで●くんにとってお互いに会話のキャッチボールをしていることは難しいことだったのです。


ところが、今回、☆くんの作品を目にした●くんは、

「それ、作ったの?

すごいね」

「どうやって作ったの?」など質問を投げかけ、☆くんが返す返事に対して、

「そうなの?~はこうでしょ」など、自然な会話を続けていました。

●くんのお母さんは、今回もとても驚いておられて、「本当にびっくりしました」と

繰り返していました。

お友だちの力、すごいです。

↑ 心の世界の豊かさや成長が感じられた

●くんのブロック作品。

ブロックの「お肉」のパーツを見つけて、それを線路の切り替えスイッチの部分に取り付けて、

「お肉電車」と命名した●くんは、

自分のアイデアが嬉しくてたまらなかった様子です。

わたしが「お肉電車用に」と言って集めてきた

「お肉」に関わるようなグッズ(恐竜や茶色い電車)を手渡すと、

ワァ~ッと飛びあがらんばかりの喜びようで、作品に手を加えていました。

「きりんの動物園」と「お肉電車」だそうです。

 

線路をつないでいた☆くん。

電車の横には柵を並べていました。

公園を作っていた☆くん。

☆くんは何か作ると、とてもていねいに

どうやって作ったのか、それが何で、どんな風に使うのか説明してくれます。

 

 

お互いのすることに興味しんしんで、まだ平行遊びながら

時折、会話を交わしながら楽しく遊べるようになった●くんと☆くん。

でも、途中でぶつかり合うシーンもありました。

●くんが作ったブロックのインターホン。

 

人形の家のドアの隣にテープで貼ってあげると、

☆くんが「ぼくにも押させてよ」と言うのに、●くんは無視していました。

ふたりは険悪な雰囲気に。

思わず気持ちが高ぶった●くんは、軽くはたくように

☆くんの手をぱちぱちと叩きました。

これまでだったら怒り狂って応酬していた☆くんですが、

不機嫌そうにしながらもグッと我慢していました。

「☆くん、叩かれたら嫌な気持ちになった?嫌だね」とたずねると、

「嫌だった。叩くのは悪い人だよ」と言いながらも、

我慢しています。

わたしと☆くんのやり取りを聞いていた●くんは、自分から「ごめんね」

と言いました。

そんな風にぶつかり合うのも、解決するのも上手になってきた●くんと☆くん。

帰りに靴を履く時には、「その靴、かっこいいねぇ」「みて、ぼくの靴」「すごいね」と

言葉を交わし合いながら、(以前と同じ会話ですが、今回はより活発にいきいきと

交わされていました)

ニコニコしていました。