虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

最近接領域に注目して伸ばす  (自閉っ子 と 言葉のない5歳の子) 2

2013-04-27 17:03:31 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

最近接領域に注目して伸ばす  (自閉っ子 と 言葉のない5歳の子) 1

の続きです。

★くんと☆ちゃんの最近接領域について書かせていただきますね。まず★くんから。

 

★くんとわたしが出会ったのは半年ほど前に遡ります。

★くんは五歳になるこれまで言葉のない世界で暮らしてきたために、

「犬はどれ?猫はどれ?」「どっちが赤色?どっちが青色?」といった易しい質問をして

絵カードを識別するのも難しい状態でした。

 

その一方で、欲しいものがあると他人の手を引っぱって行って、指さししながら、

「あーあー」と要求したり、

言われていることを理解して、簡単な指示に従ったりすることはできました。

また、ピタゴラスイッチのようなビー玉転がしの遊びでは、「穴にビー玉が入らない」「傾きがないので、転がらない」

といった問題を自分で解決することができました。

人と関わることが好きで、たいていの活動に

嫌がらずに参加することもできました。

 

★くんは赤ちゃん時代、舌が喉の入り口付近をふさいでしまって息ができなくなる症状を抱えていたため、

本能的に、舌を前に突き出した状態で息をする通路を確保する習慣が

身についていたそうです。

非常に長い間、命の危険から身を守るためについた習慣のせいで、

身体の成長とともに、そうした危険はなくなっても、

いまだに舌を動かすことに強い抵抗があるようです。

 

★くんは積極的で好奇心が強い性質で、行動する姿からは

知恵や理解力が感じられる子です。

でも、そうした身体の機能の問題で言葉の発達がとまっているので、

それが原因で、二次的な問題で、発達が止まっている、できないままになっている、と思われることが

たくさんありました。

 

★くんが耳で聞く力や言われていることを理解する力は、

2語文の段階を十分超えているように見えます。

また、「こういうことがしたい」「これが面白い」などと世界を感じ取って、自分から働きかけていこうとする内容も、

2語文の段階を超えているように思われます。

 

でも、話し言葉というツールがないために、

こっちに来て欲しい時に、相手の背中をトントンして、服を引っぱったり、

「あれとって」と指さししたり、嫌がって首を振ったり、興味を抱いて、

あれこれいじってみる、という一語文の段階で相手に何か伝えようとすることから

一歩も外に出れずにいました。

わたしが、★くんにまず学んでもらいたいと感じていたのは、

何か取ってもらいたい時や、振り向いて欲しい時や、自分の方に来てもらいたい時に、

誰かの背中をトントン叩いたり、服を引っぱったりして知らせる方法を、

他のもっと問題のない伝達方法で表現することです。。

 

というのは、★くんは人が大好きで、

初めて会った人でも、背中をトントンしたり、手を引っぱったりして、

コミュニケーションを取ろうとするし、

お友だちを呼ぶ時に、「こっちを向いて」のつもりで

叩いてびっくりさせることがよくあるからです。

 

「他人の身体は触らない」ということを教えようにも、

それ以外に自分の要求を伝える手段がない今、

それを禁じるだけでは無理があるのです。

 

こうした初対面の人の背中を叩いたり、服を引っぱったりする癖は、

これから★くんが成長するにつれ、

大きな問題になりそうです。

 

そこで、★くんに上の写真のような絵カードを作って、

★くんが☆ちゃんに自分の方に来てもらいたがって、トントン背中を叩こうとするたびに、

バツが描いてあるカードを見せて、「叩いてはダメ。ブッブー、バツ」と大きな

バツを手で作ってみせ、

もう一枚の「きて」のカードを出して、来てもらうように教えました。

 

すると、覚えのいい★くんは、

たちまち、カードを出して、相手に来てもらうことを

マスターしました。

 

といっても、こちらが注意して、★くんの行動を見守っている間はカードを出しますが、

ちょっと大人たちの気が緩むと、たちまち、トントン叩いて呼んだり、服の袖を引っぱったり

していました。

 

★くんが誰かに来てもらいたい、と思う時に、「きて」のカードを出すのは、

 

「大人がほんの少し手伝ってあげたらできるけれども、

まだ自分ひとりでは達成できない」という最近接領域にあたる課題ではないかと思われます。

 

次回に続きます。

 


デュプロブロックで、コインを入れるとお菓子が出てくる自動販売機を作りました ♪ 2

2013-04-26 20:57:13 | レゴ デュプロ ブロック

 

自販機の周りを囲っていく★くん。デザインにもこだわっています。

ある程度まで作ったところで、重大なミスに気づいた★くん。

正面部分の一部を壊して、きれいに作り直していました。

かなり大きなサイズになってきたので、途中でテーブルの上から床に

抱えて移動させました。

★くんは、コインの投入口から入ったコインがコップの中に落ちるように

するのに苦労していました。

 

その間、☆くんは、コップの底の一部に穴を開けて、

お金が入った時にお菓子を落とした後で、

お金がコップから出て、最初の状態に戻るしくみを作ろうと

がんばっていました。

ビー玉を貼りつけて重りを利用したり、切り口を工夫したりしていましたが

うまくいかず断念。

 

諦めて、★くんの外枠作りを手伝って、ラストスパートをかけました。

投入口から内部を撮った★くんの写真。

完成です!

「500円玉を入れると、お菓子が出てくる」という

自販機!

★くんと☆くんが帰宅した後で、少しだけ内部をいじると、

「10円玉を入れると、お菓子が出てくる」ようになりました。

 

この頃、勉強態度がとっても真面目な★くん、☆くん。

でも、そうやって周囲の期待に応えるようにがんばってばかりいると、

だんだん何のために学んでいるのかわからなくなったり、

覇気がなくなってきたりするものです。

自分たちでやってみたいと思ったものに

全力投球していると、心の底からがんばるエネルギーが湧いてくるようです。

一致団結していきいきと取り組む姿は

とても輝いていました。

 


デュプロブロックで、コインを入れるとお菓子が出てくる自動販売機を作りました ♪ 1

2013-04-26 19:49:00 | レゴ デュプロ ブロック

小4の★くんと☆くんのレッスンで、コインを入れると出てくる自動販売機を作りました。

 

きっかけは、ふたつ。

ひとつは、同じ小1の女の子が作ってきてくれたレゴの自動販売機がすてきだったこと。

もうひとつは、このてんびんのしかけ。

このしかけ、先日、デュプロブロックと工作で幼い子たちでも簡単に作れるような

「お金を投入すると

お菓子が出てくる『自動販売機』のしかけ」を考えていた時、

息子がアイデアを出してくれたものです。

 

この頃、うちの子たちもわたしもそれぞれが忙しくて、会話をする機会があまりないのですが、

こうした物作りで試行錯誤していると、誰かしら寄ってきて、

「こうしたら?」「ああしたら?」とアドバイスを

くれることがよくあるのです。

 

写真は子どもにわかりやすくするための基本の基本のしかけなのですが、

お金が左のコップの中に入ると、てんびんが傾いて

もう一方の切り込みを入れてある方のコップが傾いて、お菓子が落ちるようになっています。

 

作ってもらっている間、わたしは息子に向かって、こんなことを言いました。

「テレビで、定規を使って線を引いて、言葉を目で見えるイメージに変換する方法を

教えている小学校を取り上げててね、そうすると、割合の問題にミスが減って、

総合テストだったかの点数がとても伸びたらしいのよ。

確かに実際に、手を使って、目で見える形にアウトプットする力を養うと、公式を勘違いして

解くなんてことはなくなっていくのはわかるわ。

集団の場だからしょうがないけど、定規を使ってって部分だけにフォーカスしていたのは

惜しい気もしたわ。

自由な物作りなんかをたっぷり楽しんでいるというバックがあって、

そこに定規に慣れて、数学の世界のイメージ操作を身につけていくのなら

もっといいんだけど」

それから、あれこれと雑談した後で、小学生の間、工作小僧だった息子が

工作について、

こんなことを言っていたのが印象的でした。

 

「工作は、ほんと、いいもんなぁ。

工作を子どもの頃にするといい理由って、作ったとたん、

それから後の物の見え方が劇的に変わるってことだと思うよ。

 

自販機を一回作るとするじゃん。そしたら、それからはどこに出かけても

機械を目にする度に、「きっと中は、こういう仕組みになっているんじゃないかな?」と感じたり、

理科の本で見た原理が浮かんだりするようになるからね。

小学生の頃にあれこれ工作したけど、作る度に、

見え方や考え方がそれまでと違うより高度なものになっていたからね」

 

息子いわく、しかけは最初、この「てんびん」くらい

シンプルで力の働き方がわかりやすいものの方が、

汎用性があって、いろいろな方面に知恵を絞って改良していきやすいということでした。

 

 

この「てんびん」の基本をもとに、

どうやったら、自動販売機のようにお金を投入する側と商品が出てくる側が同じになるようにできるのか、

入ったお金が傾いた後で自然に落ちるようになるのか、

小型化できるのか、といったことを子どもたちに考えてもらおうと予定していました。

 

すると、今日レッスンにきた小4の★くんと☆くんが、「やる!やる!」と

自動販売機作りの話に飛びつきました。

 

わりばしの先に写真のように紙コップがついているだけのしかけ。

 最初の状態では、お菓子がお金の投入口側の反対に落ちるので

それを改善することになりました。

途中で板を渡して空洞を作り、滑り台を取りつけると、

反対側に落ちたお菓子が手前に滑り降りてきます。

 

次回に続きます。


最近接領域に注目して伸ばす  (自閉っ子 と 言葉のない5歳の子) 1

2013-04-26 15:11:18 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

未熟児で生まれた後遺症から

さまざまな面で発達に遅れがあり言葉のない世界で暮らしている5歳の★くん

と自閉症の診断を受けている3歳の☆ちゃんのレッスンの様子です。

 

ハンディーキャップのない子たちの場合、「どこに注目して伸ばすか」という

アプローチはあまり必要ないと思っています。

大人側が子どもの能力を系統学習に添って伸ばしたいと思うあまり、

決まった課題に執着することは、かえって子どもの成長を損ねることにもなるかもしれません。

 

けれども、子どもが何らかのハンディーを持っているとしたら、

身近な人がその子の課題のひとつを絞り込んで、

「その一点を伸ばしていこう」

「この課題がスムーズにおこなえるまで付き合おう」

「それを乗り越えられるように、しばらくそれを意識して生活しよう」

と考えることは重要なんじゃないか、

と思っています。

 

だとすると、「どこに注目し何を伸ばすのか 」という

現在、焦点を当てるべき課題を

どうやって見つければいいでしょう?

 

わたしは子どもとの遊びや物作りなどの場面で、

「これがこの子の最近接領域」という部分に注目し、

それをお家に帰ってからの課題として、

「これこれこのような形で繰り返しそれをやってみるようにしてみたら?」と

親御さんに伝えています。

 

最近接領域とは、「大人がほんの少し手伝ってあげたらできるけれども、

まだ自分ひとりでは達成できない」という課題です。

 

たとえば、今回レッスンに来ていた★くんと☆ちゃんでしたら、

こんな最近接領域が見つかりました。

 

途中ですが、次回に続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 


学ぶことが好きでたまらなくなる「気持ち」の作り方

2013-04-26 08:29:14 | 幼児教育の基本
(過去記事です。記事中のグループレッスンの写真は一番下のものです)
今日は新年長さん、年中さんのグループレッスンでした。
それぞれどの子も課題に取り組むのが
楽しくてたまらない様子で、「はい!」「はい!」と進んで
手を挙げます。

この学ぶことが楽しくてたまらなくなる「気持ち」って、
ちゃんと正しい作り方があるように
思います。

ベストセラー作家のスーザン・ジェファーズの言葉に
次のようなものがあります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
人は完璧になるために生まれたのではない。
学び、少しずつ大きくなり、なにかを愛し、創り出し、楽しむ。
そのために生まれたのだ。
完璧を求めることは無益であり、
時間の無駄だと考えよう。

達成感や満足感は完璧を目指して得られるものでない。
完璧でない自分を認められながら、一歩一歩を歩み続けることによって、
得られるものだ。

たえまない競争は、私たちを不安に陥れる。そして気持ちをすり減らしてしまうもの。
自分なりの意味と目的を理解し、納得して行動すれば、
自分をより高めることができる。
自分なりの意味と目的によって行動するときこそ、私たちはすばらしい結果を手にすることができるのです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スーザン・ジェファーズの語る言葉を
頭ではわかっていても、
実際、これから人生のスタート地点に立っている幼い子を見ると、
今から、少しでも早くから始めれば、
さまざまな競争に勝ち抜けるかもしれない……
落ちこぼれる不安からのがれられるかもしれない……
と思いがちですよね。

とにかく何かさせなくちゃ!

とあせってしまいます。

でも、学ぶことが楽しくてたまらなくなる「気持ち」が
子どもの中で生まれて、ずっと消えない火のように燃え続けるためには、
そうした大人のあせりは禁物だと思います。

「学び、少しずつ大きくなり、なにかを愛し、創り出し、楽しむ。」

それを心の底から実感すること。
お友だちと共感しあうこと。

「自分なりの意味と目的を理解し、納得して行動すること。」

ティシュ箱で作ったゴミ収集車も、子どもは自分でティシュを丸めてゴミを作り、想像力を働かせて遊ぶなら、
そこにはその子にとって大事な意味や目的があります。
また、それを通して次の意味や目的も生まれます。
「次は、コンクリートミキサー車が作りたい」「次は、トラックが作りたい」
「他の形の箱で作ったらどうなるだろう?」
「メロディーがなるようにするにはどうすればいいんだろう?」
「タイヤをつけたい」「タイヤは何個いるの?」「はさみが使えるようになりたい」などなど。

工作だけでなく、どろあそびでも、なわとびでも、ままごとでも
何でもいいのです。
それを通して何かを学ぶことで、
少しずつ自分の力が増してきて、自分が大きく感じられるようになり、
自分のしている活動と自分自身を愛し、
創り出し、楽しむほど、
子ども時代の価値を高めてくれることはないはずです。

「完璧でない自分を認められながら、一歩一歩を歩み続けること」を許されるなら、
子どもはどの子も、学ぶことが楽しくてたまらなくなる「気持ち」を
自分の中に作りだします。


ままごと好きの年中さんのレッスン

2013-04-25 12:56:06 | 通常レッスン

お料理に強い興味がある年中さんの☆くん。

教室に着くなりおままごとのキッチンに直行して、チャーハンを作る真似をし始めました。

 

てんびんを使ってお金を投入するとお菓子が出てくる仕掛けを作って見せてあげるものの

「待って!待って!まずはお料理がしたいから」と気もそぞろです。

そこで、今回はたまたまひとりでのレッスンだったので

☆くんの好きなままごとやお料理にたっぷりつきあうことにしました。

 

ごっこ遊びとはいえ、裏庭でネギを取ってきたり、(取ってくるフリです)

切り刻んだり、「あ~洗うの忘れていた」と慌てたり、

トウガラシを丸まま投入して辛くしすぎたり、

はちみつの隠し味を加えたり、お客さんの「あちち~」の声にフーフーと

息を吹きかけて冷ましてあげたりと……

本気です。

 

そんなままごとをもっと楽しいものにするために、

いくつか簡単な工作を提案しました。

お皿で丸を描いて、半分に切ってから

円すい形に丸めます。

ソフトクリームのコーンを作るのです。

子どもにはこのコーンの巻き方が難しいです。

☆くんもうまくいかなくて戸惑っていたので、折り紙のように折ってから

中を広げる方法を教えると

自分でできて喜んでいました。

綿を入れてソフトクリームのできあがり。

綿は子どもが扱いやすくて何度も繰り返し使える工作素材ですが、

何でも口に入れる幼い子がいる家庭では扱いに注意してくださいね。

ティッシュペーパーや新聞紙でも十分楽しめます。

 

綿を使っておにぎりやお弁当も作りました。

☆くんはが我慢が苦手で、かんしゃくを爆発させることが多い子だったのですが、

物作りを始めるようになって、急に落ち着いてきました。

以前は、絶えずお母さんにかまってもらいたがっていたのですが、ひとりで集中して

机に向かうことも増えてきたそうです。

 

皿で丸を描く方法でピザも作りました。

☆くんお得意の糸電話も作り、ピザ屋の電話注文を待つこととなりました。

 

とぅるるるる~

「はい」「もしもし、ピザ屋さんですか?」

「はい、そうです」

「チーズとベーコンのピザをください」といったやり取りの後で、

☆くんはピザをオーブンに入れて焼いてから

届けてくれます。

本物すぎるおもちゃよりも、自分の想像力で

「オーブンがあるつもり」でスイッチを押したり

温度調節したり、時間を設定したりすると楽しいですね。

「あ~何度にしようかな?180度だと熱すぎてこげちゃうかしら?」と椅子の下をのぞきこむとか、

「あっオーブンが動かない!」とボタンを押しまくってあせる真似をしてから

修理屋さんに電話して呼んでみたり。

修理屋さんというのは、もちろん☆くんです。

 

ソフトクリームの機械(テーブルの脇)の故障にかけつけた修理屋さん。

ドライバーとトンカチ(げんこつ)で修理中。

 

 

「もしもし、ピザ屋さんですか?

あの~

今日はお外にピクニックに行こうと思っているんですけど、

ピザだけだとお腹がすいちゃうと思うんですよ。

何かお弁当のようなものも届けてくれますか?」とか、

「あの~ピザって熱いですよね。ピザを食べた後で

冷たいものが食べたくなったら、

食べられるようなものって売っていますか?」といったりして、

☆くんが自分の知恵を使って楽しめるような

注文を出しています。

 

こうしたままごと遊びをたっぷりした後で、手やテーブル周りを除菌して、

本物のパンケーキ作りもしました。

 

作り方をよく読みます。

☆くん、以前、グループの子のひとりのお別れ会をした際に

お絵かきグミランドというお菓子をお友だちと作ったことがあります。

その時、パッケージ裏の説明に耳を傾けた経験が

よほど心に響いたらしく、その後、同様の知育菓子を買ってお家で作った時も、

「箱の裏に説明が書いてあるんだよね。それを読んでから作るんだよね」と言って

聞き分けよく作業をしていたそうです。

 

今回もパンケーキミックスの説明をよく見て、手順通りに作っていました。

☆くん、いろいろな料理のレシピを見ながら

自分でお料理できるようになりたいようです。

 

3分ほどで完成!ひとくちだけ食べて、後は包んで帰りました。

 

工作で作った操り人形を人形劇に舞台で動かして以来、

この人形劇場が大のお気に入り。

今回は、お互いに即席で物語を作って遊びました。

 

わたしが演じたのは、「だれが一番、怖いの?」という話。

カバやひょうやおばけや恐竜が次々表われて、「ぼくが世界で一番怖い!」と自慢します。

最後にみんなは大げんか。

☆くんが舞台に向かって、「けんかしゃちゃだめ」と注意すると、

人形たちがびびって、「☆くんが一番、怖い!」となるお話です。

 

☆くんも物語を作って、劇に挑戦。

お話はわたしが演じたのと同じ「だれが一番怖いか」というお話でした。

お話のレパートリーを広げるために

絵本で読んだ話などを劇のストーリーに取り入れていくといいかも

しれませんね。

算数タイムには、駅名が書いてあるトランプを

1から順番に並べていったり、

数のクイズに答えたりして遊びました。

 


個性と才能を伸ばすタイミング

2013-04-25 09:13:38 | 工作 ワークショップ

 

巨大な自動販売機を作って持って帰った★くんの1年前の様子を記事にしたものがあったので、

ちょっと懐かしいのでアップします。

★くん、1年でずいぶん成長しました。

ブロックあそびが大好きな4歳8ヶ月の★くん。

お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんに目に入れてもいたくないほどの

可愛がられようで大切に育てられてきたこともあって、

ちょっと動くたびにシャワーのようにたくさんの言葉を浴びて過ごしていました。

そうした言葉かけに素直に従う一方で、創作物や遊び方からは

思考力の高さがうかがえるのに、自分から発する言葉がすくないことが

気になっていました。

そこで、極力、大人から発する言葉を減らしていただいて、

★くんの発するものをしっかり受信するように努めていただいていました。

 

今回のレッスンでいっしょに遊ぶうちに、★くんの口にする言葉も

アイデアの質も他人の意見を取り入れる柔軟性も問題解決能力も

前回までのレッスンでは考えられないほどしっかりしたものになってきていることに

気づきました。

それを付き添いで来られていた伝えると、★くんのお父さんも

それを実感していたそうで、

たくさん声をかけ過ぎるのをやめただけで、こんなにも

しっかりと自分の意見を言い、考えを展開していくようになるのかと

驚いていたそうなのです。

もちろん、それには、★くんの頭脳活動を好み、

細部にまで気を配るという本人の才能によるところもあります。

でも、そうした個性的なものが芽をだしはじめるのは、

大人が子どもを自分の好きなように動かすのを控えた時でもあるのです。

★くんは電車の駅作りに励んでいました。

電車の長さに合わせて、ていねいに駅を作りながら、

自分の作った駅がどのようなサイクルで運営されているのか

説明してくれます。

自分の考えをしっかり表現する力がついてきた★くんですから、

今、身近な大人が★くんにどんな見本を見せてあげると、

★くんの世界が広がるのかというと、次の2点だと思いました。

 

①図鑑や本の知識を自分の活動に取り入れるためのお手本をしめす。

●自分のしている活動をより広く多角的な視点から見えるように

●問題解決の方法を身につける

 

②★くんの今の敏感期に気づいて、それに適した活動が

行いやすいようにサポートする。

 

★くんが、駅を作っていたので、

自分の作品作りに新しいアイデアを取り入れるために図鑑を見る時の

コツを教えることにしました。

 

まず、どんな図鑑を見るかです。

大図解のように機械などの内部の仕組みがくわしい図鑑、

駅のなかのさまざまなものが載っている図鑑など、

いろいろなものがありますね。

子どもと大きな本屋や図書館で選ぶのも楽しいです。

 

★くんは、駅のイラストの階段を目にしたとたん、

自分の作っている駅を地下にする設定が浮かんだようで、

テーブルの上に切符売り場や改札口があって、

そこから階段を下りてきて、地下が駅になっていて、地下にもさらに下に行くための階段

があるんだ、と説明しました。

そしてユニークな構造の作品を作りだしました。

 

★くんは自分で考えて行動に移すことが好きな

子です。几帳面で完璧主義の性質ため、

一度やりはじめたことは、細部に至るまで自分のイメージ通りになるように

根気よくていねいに関わります。

 

そのように自発的に活動することができる長所の反面、

他人の意見に耳を傾けず、自己流のやり方にこだわるため

遊びも学びもワンパターンに陥りやすいきらいもあります。

 

わたしは★くんの個性に配慮して、

自分で新しい知識やアイデアを開拓していけるような

本や図鑑との関わり方を身に付けさせたいと思いました。

 

子どもに何かを教えるには、「タイミング」というのが

重要だと感じています。

幼児というのは、いつも一生に通じるような技能を習得するための

敏感期にいるものですから。

今、その子が何の敏感期であるのか、

よく把握した上で、適切なタイミングで教えるのでなければ、

何も教えない方がまし……だと感じています。

子どもは放っておいても自分で学びますし、子どもの自発的な行動は

敏感期によるものがほとんどだからです。

この日、★くんの2歳1ヶ月の妹さんも教室に来ていたのですが、

この子はちょうど数の敏感期に入りかけているところらしくて、

ひたすら椅子を並べたり、重ねたり、数を1対1対応させることに

熱中していました。

★くんは、がんばればできそうなレベルの

「ふたつ」のことに同時に注意を向けながら、

完璧にできているかどうか確かめられて

達成感が味わえる活動に

対して非常に敏感な時期にあるようでした。

文字でしたら、「はみださないでなぞること」と「書き順通りにすること」の

ふたつに注意して作業をすることに

面白さを感じる時期ということです。

こうした敏感期のあらわれは、子どものありのままの姿を認めて

自然な成長を大切にすればするほど、はっきりと出てくるものだと実感しています。

「2歳の子に字の書き方を教えよう」「書き順にも注意させよう」といった

敏感期を無視した大人主導の教え方をしていると、

敏感期と思われるものがほとんどなく、何事にも自信がないか、

攻撃的なほどのがんばり方をするかのどちらかで、最終的に無気力になるか

過剰に他人の評価にこだわる性質になりがちだと思います。

(図鑑との関わりの教え方については次回に)

 

算数の学習では、「じゃんけんをする」

「勝ったらマスに色を塗る」

「折り紙の16マスを塗り終えたら、それぞれの色の数を

数えて勝ち負けを確かめる」という3つの作業をきちんとこなすことが要求されている活動を

心から楽しんでいました。

こうした学習も、カリキュラムだから……とさせるのではなくて、

その子の敏感期によるタイミングと好みの個性に配慮した上で誘うのがいいと思います。

図鑑の話に戻りますね。

★くんは自分の頭のなかのイメージだけで繰り返し

同じことがしたいタイプです。

ですから、まずは自分でしたい活動を存分にやって、

ちょっと手持ちぶたさしたあたりで、それまでしていた活動に広がりや意味を持たせてくれる

ような図鑑を見せてあげるといいのかもしれません。

 

★くんといっしょに見たのは『はっけんずかん のりもの』と『大図解 21世紀こども百科』でした。

『はっけんずかん のりもの』は乗り物の内部の様子を、ポップアップ絵本のように

めくることで見ることができます。

 

工作で乗り物内部を作りたがる子に適しています。

★くんは駅の様子を作りたがっていたので、図鑑の駅の絵を、

「作ったら面白そうなものはないかな?」「いいアイデアはないかな?」

と言いながら、眺めました。

 

★くんは階段の絵を見つけて、最初、自分の作っている駅は階段はつけられない

と言っていました。

確かに、写真の状態の時には1階だけの平面しか

イメージできないですね。

でも、そこで、テーブルを利用することを提案すると、たちまち、★くんの想像の世界は

上にも下にも広がりだしたようです。

作っている駅を地下鉄ということにして、テーブルの上に切符売り場や改札口があって

地下に向けて階段が続いている様子がどんどん浮かんできたようなのです。

地下からさらに見えない地面の下に向けての階段も

作っていました。

 

わたしは、さらに新しく取り入れるアイデアはないか

図鑑の絵を眺めてみるようにうながしました。

吊ってある丸い時計があります。

「時計があるね。作れないかな?」とたずねると、

★くんは、「無理!無理!作れないよ」と興味なさそうに駅の屋根の続きを作りはじめていたのですが、

「でも、ほら、テーブルのところから吊り下げたらどう?」とさらに言うと、

「そうだ、セロテープで吊ったらいい!」とすっかり乗り気になって、いっしょに時計作りをすることに

なりました。

紙コップの底をはさみで切り取って、針や数字を書いて、

駅の時計に。

★くん、すっかりこの作業に夢中になって、帰宅する時間が来ても、

「もう1個!もう1個!」とコップの底を切り抜いて、好きな絵柄を描いて

遊んでいました。

この作業は、最初に力を入れて紙コップに切り込みを入れなくてはならないのですが、

その力加減が大人でもむずかしいのです。

 

ちょっとはちゃめちゃな遊び方をする動きがダイナミックな子たちは、

こうした作業をすることに躊躇しないのですが、★くんのように

几帳面で完璧主義の子にはハードルが高いものです。

 

でも、子どもって、そんな風に自分にとって限界すれすれにあるような作業を

「えいっ」とばあkりにやってみて、うまくできた時、

「もっと!もっと!」としつこいほど夢中になることがあるのです。

 

★くんにとって大事なタイミングですから、

「紙コップがもったいない」などと思わず、

本人がやりたがるだけ切らせてあげることにしました。

 

★くん、自分の頭で考えて、自分の力で作りながら、

適度に他人のアドバイスを受け入れたり、

図鑑などから新しいアイデアを取り入れていくことが

できはじめているようです。

 


遊んで育つというのは、基本的に普段の遊びのレベルが高い場合 ?!

2013-04-24 20:45:11 | 幼児教育の基本

KID´Sいわき・ぱふ代表、にほんこどもの発達研究所の岩城敏之氏が

『子どもの遊びをたかめる大人のかかわり』という著書のなかで、

「遊んで育つというのは、基本的には普段の遊びのレベルの高さです」

とおっしゃっています。

岩城氏はこんな例を挙げて説明しておられます。

 

大人が子どもたちに鶴の折り方を教えたとします。

上手な子はパパッと折って、下手な子は手伝ってもらいながら

作ります。もっと折りたいという子もいれば、

もうこりごりという子もいるはずです。

 

そこで、もっと折りたいと思うときに折れる状況が大事で、折り紙コーナーが

きちんとあるという環境を設定します。

教わった折り紙が面白かった子は、そこに集まって自分たちでどんどん勝手に遊びますし、

もしひとりも集まらなかったとしたら、そこが幼稚園や保育園の場合、教えていた先生だけが

面白くて、子どもは先生が真剣だからお付き合いしていただけということです。

 

それも悪くはないけど、遊んで育つという考え方からすると、それは遊ばなかったということ

と同じ。

つまり技術も身についていないし、習熟しないということです。

 

岩城氏の文章を引用させていただくと、次のような遊びと育ちの関係があるのです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

何回も何回も「もう一つ作ろう、もう一つ作ろう、こんなんも作ろう、あんなんも作ってみよう」

と思って遊んで、はじめて子どもは育つわけです。

遊んで育つということは、こういうくりかえしが大切です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

たとえば、父の日に園でお父さんの絵を描くのはいいけれど、

普段から家族の絵を描いたり、ままごとコーナーにお父さんごっこがどれだけ盛り上がるような

仕掛けが置いてあるか、新聞とかたばことかお酒など……。

そういうことが

本当の意味で子どもの成長を育む

「普段の遊びのレベルを上げる」ということだ、とおっしゃっているのです。

 


ナンプレパズルの『イロトリドリ』  能力に合わせた遊び方

2013-04-24 16:51:22 | 虹色教室の教具 おもちゃ

 

虹色教室では、同じゲームや頭脳パズルを1、2歳児の子らから小学校高学年の子たちまで

使い回すことがよくあります。

 

年齢や能力によって

楽しいと感じるポイントも理解できるルールも取り組ませたい課題も

異なります。

 

そうしたさまざまな年齢や能力の子たちが、ルールを理解して

楽しく遊べるように教室でしている工夫について、「イロトリドリ」という

ナンプレゲームを例に挙げて紹介しますね。

 

「ナンプレをしたことがない」「ナンプレを家で教えてもらったけど、苦手。きらい。」と

いう子たちも、これで遊ぶうちに

推理の仕方をマスターして

ナンプレ好きになっていきます。

 

ナンプレとは、盤面に配置されているヒント数字をもとに、

空いているマスに数字を埋めていくパズルです。

1~9の数字を一度ずつ使い、同じタテ、ヨコの列、3x3の各Boxに配置し、

盤面上のマスがすべて埋めていきます。

 

イロトリドリの場合、この1~9が色になっていますが、後はナンプレと同じルールです。

小4くらいの算数やパズルが好きな子たちは、このイロトリドリについている問題集通りに

写真のようにコマを置いて解いていく、という従来の遊び方で

真剣に遊んでいます。

「算数やパズルは苦手。ナンプレはしたことがない」という子には

まず、答えの絵図を見ながら

コマを置いていく遊びをしてもらいます。

そうして答え通りに置きおわったら、横一列のコマのうちひとつだけを

はずして、「この1列にない色のコマがここよ。何かわかる?」

といった問題を出しながらルールを学んでもらいます。

最初に全て置いた状態から

何個か取り除く方法だと、それぞの子が楽しめるレベルの

問題が簡単に作れます。

100円ショップの粘土で

お家に持って帰るためのイロトリドリのゲームを作ったところです。

この後、9×9マスも作りました。

幼い子や発達に凹凸のある子たちの場合、

写真のように9つのマスを使って、

「それぞれ違う色のコマを置くとすると空いたマスに入るのはどれ?」

という問題が楽しいかもしれません。

写真のような折り紙の9マスのシートを2枚作れば、

1枚のシートには課題としてコマを置いておき、

もう一枚に子どもが位置と色を合わせて置いていくという問題になります。

年長さんくらいだと、鏡に写ったところを推理して

コマを置いていくのも楽しめます。

上の写真は算数タイムにイロトリドリを教具代わりに使っているところです。

 

「何人かの子どもが公園で遊んでいました。夕方になったので、

3人の子がお家に帰っていきました。

今、公園に残っているのは、5人です。最初に公園で遊んでいたのは

何人でしょう?」という問題を考えています。


折り紙で学ぶ角度

2013-04-24 11:08:04 | 算数

 

 



● 三角定規の角度は、<90度、45度、45度> 
<90度、60度、30度>ということ。

● 三角形の内角の和は180度ということ。

● 分度器の使い方

上の3つを、丸暗記するのではなくて、
本当の意味で理解して、
物作りの場で、自由自在に使いこなせる知識にしておくと、
図形問題がとても得意になってきます。

教え込むのではなく、「自分で気づく」ような
体験をたくさんさせています。

たとえば、折り紙を渡して、「90度探し」ごっこ。
「あった、あった、4つもあった」と子どもたちは、角を指して喜びます。

そこで、「本当に90度なのー??」と疑って、
分度器で測ってみたり、
地面に対して垂直に立っている物に当ててみたりします。

そうすると、90度というものが、
どんなものなのか、子どもは少しずつ理解を深めていきます。

そこで、「45度作り」をします。

折り紙を半分に折ると、作れますね。
折り紙を半分に折った形は、三角定規のひとつと同じ形です。
直角二等辺三角形。

自分で、三角定規のそっくりさんたちを量産できるので、
折った三角形に名前を付けてみたり、(さんかくちゃんとか、おにぎりちゃんとか、ほっぺたちゃんとか、二トくんなど……)
大きいものと小さいものを作って、親と子にしたりして、
楽しめます。
大きいものと小さいものを作ると、相似な形に気づけますね。


30度を学ぶためのクレープ作り。



算数の図形を学ぶにしても、分数を学ぶにしても、
文章題を解くために線分図や面積図を学ぶにしても、
簡単な物作りの体験をしたことがあるかどうかで
理解する力に大きな差が出ます。

折り紙をしたことがある子は、90度の角を見ると、
30度ごとに分ける補助線をイメージすることは簡単です。

また、分数の3分の1が6分の2にあたることを
理解するのは簡単です。

折り紙の技術とすれば、2度か3度折れば、できる形だからです。

そのように、普段から物作りになれている子には易しい概念も、
実体験が少ない子には、
イメージするのが難しい内容です。
教える際に工夫して、折り紙を使ったらわかるのかというと、
それがやはり難しいのです。

たとえば、自転車に乗るのにしても、一度乗れるようになった人は、
身体が乗り方を体得していますから、
自転車に乗るのなんて簡単なことだと思いますよね。
でも、乗ったことのない人は、
いくら上手に教えられても、簡単に乗れるようにはならないはずです。
体感で学ぶものは、年齢が高い方が覚えるのが簡単……
というわけにいかないのです。

折るイメージ、切るイメージ、貼るイメージのあるなしは、算数や数学を解いていく力に直結していますが、
それは少しの時間で身につくものではないのです。
立派な工作作品を作る必要はありませんが、
物を作る習慣が生活の中に溶け込んでいると、
考える力と理解力が格段にアップします。