今日から2日間、この夏、最後のユースホステルでのレッスンに行ってきます。
記事の更新を2日間お休みします。(書きたい記事が溜まっているので、もしかして明日の帰宅後に記事をアップするかもしれません)
シングルフォーカス と 学習困難 (シングルフォーカスの特性を持つ子への指導の仕方)1
シングルフォーカス と 学習困難 (シングルフォーカスの特性を持つ子への指導の仕方)2
食べることやドライブや音楽が好きな子をやりとり遊びに誘う方法
今日から2日間、この夏、最後のユースホステルでのレッスンに行ってきます。
記事の更新を2日間お休みします。(書きたい記事が溜まっているので、もしかして明日の帰宅後に記事をアップするかもしれません)
シングルフォーカス と 学習困難 (シングルフォーカスの特性を持つ子への指導の仕方)1
シングルフォーカス と 学習困難 (シングルフォーカスの特性を持つ子への指導の仕方)2
食べることやドライブや音楽が好きな子をやりとり遊びに誘う方法
ユースホステルでお友だちが持ってきていた海の中の生き物を探すゲームが面白かったという
小1の☆ちゃんが、一匹一匹の生き物をていねいに描いて
ゲームを作ったそうです。
とってもすてきな絵。ルールは、絵カードに描かれている生き物と
同じものをシートの中から探すというシンプルなもの。
☆ちゃん手作りのゲームで、他の子らも夢中で遊んでいました。
☆ちゃん、工夫してランドセルも作ったそうです。
箱に赤い色画用紙を貼って、箱の裏にひもをつけています。
とてもすばらしい作品ですね。
1年生の女の子たちのレッスンで、紙コップとポコポコカラーモール(40本入りが100円)で
オカメインコを作りました。
ポコポコカラーモールは、膨らんでいるところや細いところがあるモールです。
簡単にかわいらしく作れるので、みんな大喜び。
魔法使い、王様、騎士、お姫様、警察、酔っぱらい……など
いろいろなオカメインコを作っていました。
作った後で、魔法使いや王様やお姫様が出てくる物語を演じたり、
トントンずもうをして遊んだりしていました。
オカメインコの悪者を閉じ込める牢屋を作っているところです。
見本用に作っていたオカメインコを見て、
別の1年生のグループの子たちもオカメインコ作りをしていました。
魔法の杖やキューピッドの弓矢を持たせるなど、小物作りにも凝っていました。
子どもは何を望んでいるのか? 子どもの成長に必要な環境とは? 1の続きです。
写真は、小学4年生の子たちを中心にしたユースホステルのレッスンで、水を使った実験遊びをした後で
溶解度の表を見て、計算問題を解いているところです。
実験といっても自分たちが試してことを見つけて、自由にやってみることを
主にした遊びに近いものではあるのですが、
水という溶媒に、塩や砂糖などを限界まで溶かしていくと、
ある量を超えると、底に溜まっていくことや、温度を変えるともっと溶けるようになること
と……いった扱っているものの性質への理解は進んでいました。
また興味や親しみも高まっていたので、
次のような問題にチャレンジしてもらいました。
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右の表(表は省略します)は50gの水にとける食塩とホウ酸の限度の量です。50℃の水50gに食塩を
限界まで溶かした水溶液を10℃にすると、食塩の個体が何g出てきますか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて聞く言葉、これまで知らなかった概念、解いたことがない問題
とはいえ、みんな手をあげては、われこそは……と取り組んでいました。
ミスしながらも、自力で何とか解決したいという気持ちが伝わってきました。
こんな風に、教わったり学んだりする前に
「どうしても自力で解きたい」「謎を解明したい」という思いで自分の知力を総動員して取り組む体験をすると、
後から正しい解き方を学習する際の理解の深さが違います。
達成感やワクワク感、次のチャレンジへの意欲にも大きな差が出てくるのを実感しています。
少し話が脱線するのですが、先日、娘とジュンク堂に寄った際、
デウ゛ィット・ボームの『創造性について 新しい知覚術を求めて』
(大槻葉子訳 大野純一 監訳 渡辺充 監修 発行 星雲社)を購入しました。
作者も確認せずに立ち読みするうちに内容に感動てし、
「絶対、買いたい!作者は……?」と確認したら、デウ゛ィット・ボームという懐かしい名前が
飛び込んできました。
懐かしいというのは、以前、夢中になってマイケル・タルボットの『投影された宇宙』や関連本の中で
何度も目にした名前だったからです。
ちょうど1週間ほど前、(調べてみると、2013年8月15日の読売新聞でした。)
息子が、「東大で量子テレポーレーションが成功したらしいね。実用化にはまだ時間が
かかるんだろうけど、量子コンピューター実現したら、革命的な変化が起こるんだろうね」とつぶやくのを耳にして、
「最近の理論物理学の世界、どんな仮説が飛び交っているのかな……」と心に引っかかっていました。
とはいえ、本屋ではそんなことはすっかり忘れていたのですが、偶然にも、
ボームの本を買って帰ることになりました。
『創造性について 新しい知覚術を求めて』の中で、興味をひかれたのは
独創性について書かれた次の部分です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(アインシュタインとアインシュタインよりも数学が得意で、もっと物理学を知っていた多くの科学者たち
との違いは、アインシュタインがある種の『独創性』を持っていた点にある、
といった内容の文章に続きます。↓ )
独創性の必要条件の一つは、明らかに、当人がありのままに見ているものとしての事実に
自分の先入見や偏見を押しつけようと思ってはならないということです。
むしろ、彼は何か新しいことを学び取ることができなければなりませんーーーーたとえ
それによって、彼にとっては満足のいく、貴重な着想や観念が覆されるかもしれないことを意味していると
しても。
が、このようにして学習する能力は全人類に共通の原則なのです。
例えば、子どもは単に何かを実際に試し、そして何が起こるかを見、それから実際に起こったことに
従って自分が行うこと(または考えること)
を修正することによって、歩くこと、話すこと、そして自分の周囲の世界を知ることを学ぶ、
ということはよく知られています。
このようにして彼は、最初の数年間を驚嘆するほど創造的な仕方で過ごし、
彼にとって新しいあらゆることを発見していきます。
ですから人々は自分の子ども時代を回顧するとき、それを一種の゛失われた楽園゛として思い描くのです。
しかし子どもが成長するにつれて、学習はより狭い意味を帯びてきます。
学校では、教師の歓心を買い、試験に合格するために、復習して知識を積み重ねることによって学ぶようになります。
職場では同様にして生計を得るため、また他のなんらかの功利的な目的のために学び、ですから主として
学ぶという行為自体を大事にするためではなくなります。
このようにして、彼に備わっていた何か新しい、独創的なものを見る能力は徐々に弱まっていきます。
が、この能力なしには、そこから何かが育つことができるいかなる基盤も明らかにないのです。
(『創造性について』 デウ゛ィット・ボーム
大槻葉子訳 大野純一 監訳 渡辺充 監修 発行 星雲社) P6
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ボーム は、
「すべての学習は、何であれ自分が何かを実際に試し、そして何が起こるかを見ることを含んでいる。
もし人が間違いを犯すことはないだろうと請け負われるまで実際に試そうとしなければ、決して新しいことを学び取ることはできない」
とも言っています。
「間違いを犯すことへの恐れが、
先入観や偏見による機械的な知覚習慣と、特定の功利的な目的のためだけにする学びに加わる」とも。
そうしたボームの言葉に触れながら、
現在、日本では早期教育や小学校受験の名目で
幼い子の生活にまで大人の意図が含まれている
機械的な知覚習慣が当たり前になりつつあることが危惧されました。
ユースホステルでのレッスンでは、子ども自身が自分で試し、結果を見、何かを発見していく
機会を大事にしています。
時間、空間、ルール、大人の見守り方、接し方に
余裕とか余白といったものを設けるようにしているのです。
子どもの心に響くような体験を用意しながらも、常に、未知の部分や変更可能な部分を残しておいて、
子どもが自分の創造性を十分発揮できるように気を配っているのです。
そうして何かを実際に試して、何が起こるのかを見て、
自分の行動や考え方を変化させていく過程で、
子どもはまるで水を得た魚のようにいきいきとしています。
表情が輝いているのです。
それを目にするにつけ、
子どもは何を望んでいるのか? 子どもの成長に必要な環境とはどのようなものなのか?
ということについて
考えさせられます。
3歳~5歳の子どもたちの夏の算数クラブで、さまざまなゲームを楽しみました。
一番人気があったゲームを紹介します。
トーマスのカード(トーマスの仲間たちの写真の横にサイコロの目がついているカードです。
お家にある絵カードの横にサイコロの絵を描いたり、シールなどを貼って手作りして
遊ぶこともできます。
<遊び方>
サイコロの目を振って、5が出たら、5のカードか「2と3」や「1と1と3」など合わせると5に
なるカードを集めます。
カードが多い方が勝ちといった勝ち負けはないのですが、
子どもの好みで、たくさんカードを集めたい子は
足し算してその数になるように工夫し始めます。
今回も4歳2ヶ月の★くんが、少しすると、「6が出たから、3と3のカードで取る!」といった
工夫を始めました。
このゲーム、子どもたちはすごく気に入って、「ずっとやめたくない」「もっとやりたい」という声が
あがっていました。
そこで、お家に帰ってからも遊べるように
このゲームを手作りすることにしました。
☆くんも★くんも、やや一方的に友だちを遊びに誘う姿はあるものの
遊び始めると、ひとり遊びに興じていて、他の子らに無関心なようにも見えました。
それが、このアクシデントのおかげで、☆くんと★くんは
お互いを意識して遊ぶようになっていました。
とはいえ、ふたりで遊び始めたからといって、放っておいてもいいかというと
そういうわけでもありませんでした。
☆くんは★くんに親切にしたくてたまらない様子。
「ここを使えばいいよ。これあげるよ。こうしようよ。こうしたら?」と矢継ぎ早に話しかけていました。
★くんは☆くんに頼りつつも、
☆くんに「ありがとう」を言うことはありませんでした。
☆くんにしても、「こうしたら、ああしたら?」と助言する間、
★くんが繰り返し「ぼくの意見も聞いてください、ぼくの意見も聞いてください」と言っていたのを
聞き逃していました。しまいに、「誰もぼくの話を聞いてくれない。だれもぼくの話を聞いてくれない」と
★くんがぶつぶつこぼし出しても、★くんの声が小さすぎたころもあって☆くんは気づいていませんでした。
どちらも悪気はないのですが、相手に関心を払ったり、
相手の気持ちを読み取ったり、相手の話に耳を傾けるのが
苦手なのです。
友だち同士の関係ですから、「ありがとうは?お礼は?」とか、
「ぼくの意見も聞いてくださいって言ってるから、聞いてあげなさい」などと
注意するのは避けて、
わたしが代わりに、「声をかけてくれてありがとう。それと、自分で見つけたものなのに
分けてくれて本当にありがとう!助かるわ。」と具体的にていないなお礼を言ったり、
「どんな意見? 聞きたいわ。ぜひ教えてちょうだい。」としっかり話を聞きとったりするようにしています。
そうして対人スキルの手本を見せながら、
「こういう場面で、こういう風に言うと、相手はこんな気持ちになって、こんないいことがあるね」と後から、
ひとりごとのように、会話シーンを振り返ってみせるようにしています。
そうするうちに、少し時間はかかりますが
適切な対人スキルを身に着けていく子は少なくありません。
ユースホステルでのレッスンのように
勉強以外の食事や遊びなどの時間にじっくり子どもたちと関わる時には
対人スキルの問題を抱えた子たちが飛躍的に成長する姿を目にすることも多々あります。
「ぼくの意見を聞いてください!」と繰り返していた★くんの意見というのは、
「紙にどんな風に作りたいのか、絵で描いてみたらどうかな?」という意見でした。
「紙に絵を描くのはいいね。それなら、何が必要なの?
コピー用紙と鉛筆でいいの?」とたずねると、
★くんはうれしそうにうなずいて、上の写真のような絵を描いて、
「ビー玉が落ちると、くるくる回るようになればいいんだ」と言いました。
「ああ。水車みたいな形なの?」
「水車じゃない。水はいらないから」
「水車は水で動くけれど、★くんのは、ビー玉がコツンってこの板みたいな部分に
当たって動くんでしょ。水遊びの道具の中にそれに似た形のものがあるから出してあげるわ。
☆くんといっしょに選んだらどう?」とたずねると、とても喜んでいました。
★くんは、「紙にアイデアを描く」ことを思いついても、わたしに「アイデア描きたいから
紙と鉛筆をちょうだい」と頼むことが難しいのです。
自分に考えがあっても、お友だちに向かって、「ぼくの意見を聞いてください」と訴えたり、
「だれもぼくの話を聞いてくれない!」と嘆いたりするだけで終始してしまうのです。
取りあえず、★くんの意見をきちんと聞いてみて、意見を実際に実現してみて、
それがお友だちの間で認められて活かされるように後推しすると、
その後、「★くん、いい考えだった。みんな★くんの話を聞いてくれたよ。
紙に描いた絵もわかりやすいね。
だれもぼくの話を聞いてくれないってプンプンしなかったらよかったね。小さい声だったから、
みんなは聞こえなかったのよ。次からは、いいことを思いついたら、それをするのに何が必要かなって
考えて、先生、あれとこれとありますか?って聞いたらいいね」と言うと、
素直にうなずいていました。
自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 4 の記事で
「アクシデントからも関わり遊びが生まれてくるようにしています。」
といったことを書きました。
☆くんが他の子らとビー玉コースター作りをしていた時も
いくつかのアクシデントが起こりました。
そして、それらのアクシデントを通して、お互いの親しみが増し、
いっしょに協力しながら遊ぶようになっていきました。
ひとことで発達の凹凸のある子たちのグループといっても、
今、発達の段階も、直面している課題も、それぞれ異なります。
普段のレッスンでは、共通する課題を持っている発達段階の近い子たちで
グループになってもらうことが多いのですが、
夏のレッスンは初めて参加する子も多いので、発達段階や課題に大きな開きがある子たちが
集うこともあります。
そうした場はアクシデントがたくさん起きがちではありますが、
そうしたアクシデントからみんなが学び、新しいものが生まれることもよくあります。
わたしが、どんなピタゴラ装置が作りたいのか一生懸命説明している☆くんの話に耳を傾けて、それらが
ただのおしゃべりで終わらずに、目に見える形で実現するように手助けしている間、
★くんはボランティアのお姉さんに手伝ってもらいながら、
ボールを飛ばす道具やくねくねした通路やクーゲルバーンの通路を組み合わせたコースター作りをしていました。
★くんは、こうしたシンプルな遊びであっても、自分ひとりで根気よく取り組んでいくことには
困難があるようでした。どんなことがしたいかイメージし、そのための材料を集めて、何をしていったらいいか判断して、
順序よく取りかかっていくことが難しいのです。
でも、部分ごとになら関われるし、それを評価することもできていました。
手伝ってもらいながらコースターが完成した時、★くんは喜びで声が裏返るほどでした。
「先生、先生。聞いてください。先生、聞いてください。
ここにビー玉が転がってくるようにしたらどうですか?レールを置いて、こうやってころころ転がってきて、
滑るようにしたらどうですか?」とていねいな口調で言いました。
おそらく、少し前にわたしが☆くんのに向かって、
「ここがゴールになるように、レールをおいて、ビー玉が転がってくるようにしたらどう?」と
たずねていたのを耳にしていたからでしょう。
「★くん。それはすごくいい考え。すごくすてきなコースターが完成しているし、そこに向かって長いレールをつなげたら、
ビー玉がきっと勢いよく転がるわね」と言うと、それを聞きつけた☆くんが、
「そういう時は身近にあるものを、いろいろ工夫して使ってみたらいいんだよ。工夫して!」と口を挟みました。
「☆くん。たとえば、どんな風に工夫するの?」とたずねると、
「ほら、ここにジョウゴがあるでしょう?それとホースを引っつけたら、転がって行くし、
テープで椅子に貼っておいたら、ちゃんとこっちが高くなるんだよ」と言いました。
「でも☆くん、ジョウゴもホースも☆くんが自分のビー玉コースターにつなげようと
思って見つけたものでしょう?それを★くんにあげてもいいの?」と聞くと、
☆くんはニコニコしながら、「いいのいいの。ぼくはさ、また身近にあるものを、いろいろと工夫してみれば
いいんだから」と返してきました。
その時、それまでエレベーターを吊り上げて遊んでいた■くんが、★くんが作ったコースターで遊びたがりました。
少し不服そうにしながらも、貸してあげる★くん。
が、その後、困ったことが起こりました。
★くんが自分のビー玉コースターにジョウゴとホースで作った延長コースを接続しようとしたとたん、
★くんのコースターを借りていた■くんが、
「ダメ。つけたら、ダメ。」と強い口調で言い張ったのです。
■くんは★くんのビー玉コースターがとても気に入ったようなのです。
でもそれは★くんの作ったものだから返さなくてはならないし、★くんがそれにホースをつなげてもいいんだ、
ということを理解するのは難しいようでした。
■くんは、まだようやく他の子といっしょに何かすることに
興味が出始めたばかりの段階にある子なのです。
といっても、★くんにしても、■くんの状態を把握したり、
自分の作ったものを、誰かに譲ってあげたりするほどの余裕がある
子ではありません。
突然のアクシデントに半べそをかきながら、
「ぼくのだよ、ぼくのだよ。どうしてホースをつけたらダメなの?」と
■くんに言いつのっていました。
■くんは、★くんのビー玉コースターを抱え込んで、
断固として渡さない、という態度を決め込んでいました。
■くんに言ってきかせて取り上げることもできるでしょうが、
それよりも、こうしたアクシデントを利用して、
ごっこ遊びの世界をそれまでとは別の方向に展開していった方が、
子どもの成長につながりやすいです。
そこで、わたしは、おもちゃの札束を出してきて、
「ここに、1万、2万、3万……と、全部で1億円あります。
どうか、★くんの作ったすばらしい作品を■くんに売ってください。
あれはこれまで見たことがないくらいすばらしい作品ですからね。
これを売れば億万長者になれますよ。
そうして、こっちの広い領土に、お城や遊園地のついたビー玉コースターを作りましょう!」
と映画などに出てくる商売人の口調で言いました。
それには、口をとがらせていた★くんも思わず顔をほころばせました。
そして、そのやりとりを面白そうに聞いていた☆くんに向かって、
「☆くん、☆くんの領土を★くんにも分けてくれる?いっしょにビー玉コースター作りをすれば
きっと手間が半分ですむわよ。めんどくさい仕事を手伝ってもらえるわ」と言いました。
すると気のいい☆くんは、★くん以上にこの展開を面白がって、札束を拾いあつめながら、
「いいよ。いいよ。ぼくのところにおいでよ。
いっしょに作ろうよ。
ジョウゴもホースもあげるしさ」と言いました。
次回に続きます。
の続きです。
夏の発達の凹凸のある子たちのレッスンに参加してくれていた5年生の☆くんも
思いつく力や考えを言葉にする能力と
状況を理解したり、手順を積んで何かを実行したりする能力の
開きが大きいようでした。
どんなことがやってみたいのか話し合う時間、
☆くんは、巨大なビー玉コースターを作って教室全体をビー玉がめぐっていくようにしたい
と言いました。
「それはいい考えね」と相槌を打つと、
☆くんは、それをしたらどんなに面白いか、どんな風にしたいのか、どんな仕掛けを作りたいのか、
熱弁をふるっていました。
ただ、他の子らが自分の話に興味を持っているかや
自分の言葉が伝わっているかには、無頓着でした。
☆くんのアイデアの数々はとても質が高いいい考えだったので、
それを実現するために、どこから作っていくのかを決めて、土台になるものを設置しなくてはいけない
ことを説明しました。
高さを作りだすために必要な道具や長いレールなどを見せて、
必要なものがないかたずねました。
が、☆くんは自分の意見をどんどん言うことは得意だけれど、
相手の言っていることに耳を傾けたり、理解したりすることは
苦手なようでした。
そのため、教室全体を使ってビー玉がグルッとめぐっていくようにしたい、と言い続けていたにも
関わらず、☆くんが着手したのは、教室の隅っこに積み木重ねて数十センチの距離をビー玉が転がって行く
コースター作りだけでした。
「この部分をゴールにできるかもね。ビー玉が転がってきて、この積み木のコースターを滑っていくようにしたら?」
と完成した部分を中心に作品作りを広げていってはどうかと勧めると、
☆くんの気持ちは全く別の次の計画に移っていたようで、
新しいアイデアを口にし始めました。
そうしたアイデアのひとつひとつが、言うだけで終わらず、少しでも
現実の活動につながるように手助けし、
☆くんのする遊びに他の子らも引きこむようにしていると、
☆くんは目を輝かせ、満面の笑みを浮かべていました。
「☆くん、☆くんはいつもは友だちとどんなことをして遊んでいるの?ビー玉コースターを作ったりしているの?」
とたずねると、
「一度もないよ!」と語彙を強めて☆くんが答えました。
「いつもはそんなんじゃないんだ。そんな風に遊んだりしないんだ。
ぼくがこんなことやろうって誘っても、誰も乗ってくれないんだから。
今日みたいに、ぼくが考えたことでみんなで遊んだのは初めてだよ!
すごくすごく面白い。今日のピタゴラ作りは最高に面白い!」
と言いながら、
その日仲良くなった★くんといっしょに
ビー玉コースター作りに熱中していました。
いくつかのユースホステルでの出来事をいっしょに紹介しますね。
( ↑ 口の中に宝物を入れている恐竜。輪ゴムの力で宝を取ろうとすると
パクッとかみつかれそうになります。)
年中さんの●くん。うれしくてたまらない様子で、一日中、自分の作った恐竜を抱えて
遊んでいました。
ユースホステルのレッスンで、子どもたちが心の底から幸せそうに笑いあう姿や
人と関わりながら成長していく姿、
物事に真剣に取り組む姿を見る度に、
子どもが本当に望んでいるものは何か、求めているものは何か、
子どもの成長に必要な環境は何かとという問いへの答えに出会ったような気になります。
ユースホステルでは、異なる年齢の子同士で、
憧れたり、憧れられたりする関係が生まれやすいです。
小3の★くんと中1の◆くんも数年越しでそうした関係を育んできました。
勉強ができて精神的な面でもとてもしっかりしている◆くんへの憧れをきっかけに、
★くんはまじめに一生懸命勉強に取り組むようになり、知的な好奇心の広がりも多岐に渡るように
なってきました。
最近は、将棋やチェスや麻雀の点数計算や歴史上の逸話や武将の家系図などに
夢中になっているようです。
今回、◆くんは用事があって泊ることができなかったのですが、
★くんに会いに1日目のレッスンに参加しに来てくれていました。
もちろん、★くんは大喜び。
◆くんが帰った後で、小1の☆くんが★くんと行動を共にしていました。
翌日の朝食前にこんな出来事がありました。
食堂に先に着いた★くんが
誰に指示されるでもなく率先して
みんなのご飯をついで、朝食の準備をしていました。
すると、★くんに引っ付いて行動していた☆くんが、両手に氷水の入ったコップを持って
テキパキと朝食の準備を手伝っていました。
まだ大人が誰も食堂に着いていない時から、ふたりで
協力して準備をしておこうと思ったようです。
★くんと☆くんのきびきびした働きぶりを見て
気持ちがスッキリしました。
↑ 自分からお手伝いを始める子たち。
ゲームに夢中。
次回に続きます。