虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

算数記事のまとめ

2013-08-19 09:57:28 | 初めてお越しの方

2日前にユースホステルから戻ってきたばかりなのですが、

今日の午後から再びユースホステルのレッスンに行ってきます。

今日、明日とブログの記事の更新をお休みさせていただきます。

 

 

☆アルゴカードの幼児にもできる遊び方♪

☆100円 グッズで時計の学習♪

☆文章題が得意になる幼児期の遊び♪

☆絵本を見ながら文章題の練習♪

☆3~4歳児用 算数検定ガリレオの準備

☆レンタカー貸し出し中♪

☆「パーキング」と小学2~3年用 ぴぐまりおん

☆割り算を学ぶ遊び

 




☆お菓子の空き箱で、算数パズル♪


☆ピグマリオン2~3年生用の問題から、折り紙パズルを作りました。

☆ピグマリオン2~3年生用の問題から、折り紙パズルを作りました。2

☆色の違いに敏感になるパズルを作りました♪ (3歳10ヶ月の☆くんのレッスンから 7)

 

 


動物の解剖図

2013-08-18 20:12:14 | 通常レッスン

  (↑ ★くんの作品)

東京に引っ越していった小3の★くんと弟の年中さんの●くんが、

1年ぶりに教室に遊びに来てくれました。

 

昨年、教室に来てくれた際に恐竜の解剖図を作ったことが

すごく楽しかったという★くん(その日のレッスンは『大好きなことばかり、ずっと続けてきた』という記事にしています)

が、今回は「動物の解剖図を作りたい」と言いました。

 ★くんは恐竜の化石を掘りにカナダに行きたいという夢を幼稚園の頃から持ち続けていて、

恐竜の骨の発掘への興味が、恐竜や動物の身体の内部を表す解剖図作りへの関心につながったようです。

 

心臓や肺や肝臓などは、風船に綿をつめて作っています。

骨は綿棒やストロー、白い色のモールを使っています。

 

★くんが教室で解剖図を作るのは3度目です。

初めて作った時は、作り方の見本を見せたり、一部をわたしが作ってあげたりしましたが、

2度目は、全て自分で作っていました。

今回は、「立体的にしたい」ということだったので、土台などの一部を作ってあげましたが、

それ以外は★くんが作りました。

 

 

 

弟の●くんは、毎日、工作をしない日がないほど物作りが大好きになったそうで、

お兄ちゃんの作る解剖図を見ながら、自分なりのアイデアをたくさん加えて

全て自分で作っていました。

 

腸を表現するのに、バルーンアート用の細長い風船にモールを入れています。

 

腸を作っていた時、★くんと「犬のおしっこが出てくるところと、フンが出てくるところはずいぶん

離れているね」という話をしていました。

すると、それを耳にした●くんが、即座にストローで、おしっこの出る部分とフンの出る部分の

ふたつを作って、腸の先に貼りつけていました。

「思いついたら即実行!」の●くん。

とにかく仕事がはやいです。

お兄ちゃんの★くんが犬の解剖図を作っている間に

犬とサメの解剖図を作り、ブロックで恐竜の世界まで作っていました。

 (↑●くんの作品)

サメの解剖図の口には、本物のサメの歯を貼りました。

恐竜好きに始まって、科学、考古学、宇宙、生き物と

さまざまなジャンルのドキュメンタリー番組を夢中になって見ているという★くん。

現在、博物館の近くに住んでいるので、自分ひとりでも自転車で通いつめているそうです。

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算数タイムに『トップクラス問題集3年生』のこんな問題をしました。

 

6年生の30人が初級問題、中級問題、上級問題をそれぞれ1題、合計3台の

クイズ遊びをしました。クイズの答えが正解の場合の得点は、初級が1点、中級が2点、上級が3点で、満点が6点になります。

クイズ遊びの得点結果を表にすると、次のようになりました。

また合計点は105点でした。

6点満点の人は何人いますか。

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小3の問題集に載っている問題とはいえ、筑波大付属中の入試問題でもあるので、なかなか難しいです。

図鑑をよく読んでいる★くんは「難しい漢字でも読める、大丈夫」ということだったので、

まずはヒントなどは与えずにどのように解いていくのか見守ることにしました。

 

すると、表を書き写して、その下にそれぞれの得点を書きだして整理していました。

残念ながら「5点以上」の下に5点が10人いたとして計算して50点と書きこんでいたのですが、

「5点以上」という部分に注意をうながすと、

すぐに間違いに気づいたようで、そこは空白にして、105点から

それぞれ書きだした点数を引くところまでして、54という数字を見つめて考え込んでいました。

 

こちらが解き方を教えてわからせるのではなく

できれば自分で解法に気づいた瞬間のワクワクする気持ちを味あわせてあげたいので、

「ブロックを54個用意して、5点がいくつで6点がいくつになるのか

考えてみたら?」 とたずねると、

★くんは54個のブロックを並べて、どうしたらいいのか困っていました。

 

そこで、少しだけヒントを。

「10人の子だったね。この子は5点、5点……どの子が6点かなっと考えていくと

どうなる?」とたずねると、

察しのいい★くんは、5の棒を6本と6の棒を4本作ってから、

「4人」という答えを書き込みに行っていました。

 


自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 6

2013-08-18 10:12:27 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

頭もいいし、「こんなことがしたい、あんなことがしたい」というアイデアを次々思いつくけれど、

他の子らが自分の意見をどのように受け止めているのか

察するのが難しく、

アイデアを実行していく力も弱い子がいます。

 

思いつく力や考えを言葉にする力の高さに対して、

状況を理解したり、手順を積んで何かを実行したりする力との

凹凸が大きくバランスが悪いのです。

 

そうした子はせっかくいろいろと面白いことを思いつき、

考えることも得意なのに、

他の子の気持ちを無視して、

「みんな、こうしようよ!ああしたら?」と自分の意見だけで遊びを進めようとするので

他の子らが相手にしないことがよくあります。

 

「こういうことやろうよ」と言った割に、

自分自身がそれをやり始めたとたん、次々と新しいやりたいことに手を出したり、

自分が言葉にしていることからずれた遊び方をしたりするので、

最初はいっしょに遊んでいた子もいつの間にかどこかに行ってしまうことが起こりがちです。

 

こんな風に遊びが成り立ちにくいと、

(何となく友だちに合わせてふざけて過ごすような遊びは成り立つでしょうが……)

自分の能力を友だちの中で発揮する機会が失われてしまいます。

すると、やらないから成長しない、体験が少ないからできない、という2次的な問題まで生じてきます。

 

そこで、教室では、そうした子が「こうしたい、ああしたい」とアイデアを出す時に、

適度に介入して、その子のアイデアでみんなが楽しく遊べるように

手助けしています。

 

 

 次回に続きます。

 


自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 5

2013-08-17 20:46:14 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

 

一方通行に自分の考えは告げるけれど、会話をつなげていくことは

難しいという子がいます。

 

会話がつながりにくいと、友だちと親しくなるきっかけがつかみにくかったり、

いっしょにする遊びが広がりにくかったりします。

そんな時は適度に介入して、相互に交流する時間が持続するように

手助けしています。

 

 

たとえば、夏の発達の凹凸がある小学生の子たちのレッスンで

こんな場面がありました。

 

★くんにレオナルド・ダ・ウ゛ィンチのスウィングブリッジという動く橋を見せて、

「橋が横に動くと……川が渡れなくなってしまうね。

どうして渡れなくするのかな?」と問いかけました。

★くんはたちまちこの動く橋に心を奪われた様子で、面白そうに動かして遊んでいましたが

わたしの質問はピンとこなかったようなので、

「ほらっ、悪い敵が来ても、橋をこうして動かすと渡れないね」とヒントを出しました。

 

すると、★くんは、小さな渡し舟を動かして、

「舟で渡れるよ、舟で渡れるよ」と高い声で言いました。

「ほんと、舟で渡れるね。そうよね。橋で渡れなくなっても舟で渡れるね」と感心すると、

うれしくてたまらない様子で、「橋がなくても……舟で渡れるよ」と繰り返していました。

 

★くんは、面白いと感じたことがあると、

同じ言葉を繰り返してしまうようです。

同じ言葉を言い続けていると、同年代の子らは

★くんの言葉に耳をとめず、いつの間にかどこかへ行ってしまっていました。

★くんがか細い声で「ぼくの話も聞いてください、ぼくの話も聞いてください」 と訴える姿もありました。

 

せっかく★くんが楽しい気持ちで何か言いたいと感じているのですから、

ひとつのチャンスでもあります。

 

他の子らにスウィングブリッジを見せて、

「ほら、見て。この橋、動くでしょ。

こうやって動いても、川を渡っていけるいい方法を★くんが考えたのよ。わかる?」と声をかけると、

面白そうに橋を触りながら、考えこんでいます。

「★くん、★くん。どんなアイデアか教えてあげて」と言うと、

★くんはとてもうれしそうに説明していました。

 

そうやってうまく関われたな、と思う場面があった時は、

何度も他のお友だちとの間でもそうした会話が展開し、

慣れるにつれて、会話がより持続するように

手助けしていくようにしています。

 

次回に続きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


広汎性発達障害と診断されたり、広汎性発達障害の疑いを指摘されたら 

2013-08-16 09:21:49 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

今日からユースホステルのレッスンに行ってきます。今日と明日の記事の更新はお休みさせていただきます。

 

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 1

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 2

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 3

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 4

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 5

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 6

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 7

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 8

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 9

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 10

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 11

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 12

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 13

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 14

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 15

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 16

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 17

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 18

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 19

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 20

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 21

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 22

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 23

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 24

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 25

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 26

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 27

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 28

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 29

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 30

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 31

 

 


青い布の海 と ブロックの船

2013-08-15 22:52:19 | レゴ デュプロ ブロック

青い布を海ということにして

ブロックで船を作って遊んでいるところです。

船に向かって、陸から空中を移動する乗り物を作っていました。

船のサイズをどんどん大きくして、いろいろな飾り付けをした後で、

しまいに巨大な建物まで船に乗せていました。


自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 4

2013-08-15 19:50:14 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

前回、「自閉っ子と他の子らとの関わりが生じやすい

場面をたくさん作っていく」

と書きました。

この夏のレッスンであった場面をいくつか紹介させていただきますね。

 

虹色教室では、「エレベーターを作り」という遊びがとても人気があります。

ティッシュ箱などにひもを貼って、天井に取り付けてあるフックに引っかけて

ひもを引っぱって引きあげるのです。

興味の幅がとても狭い自閉症の子も

手作りのエレベーターが上がり始めたとたん、大はしゃぎしたり、自分でひもを引っぱりたがることが

度々あります。

ですから、自閉っ子が参加している場合、ユースホステルのレッスン等で天井にフックがない時も

窓にあるひねるタイプの鍵を利用したり、鴨居を利用したりして、エレベーターを吊り下げる遊びを

よくします。

引っぱるだけでなく、エレベーターのボタンを押す真似をしたり、

人形を乗せたり、降ろしたり、

いっしょにエレベーターを作ったりして遊びます。

先に書いたように、「ほら、お人形を乗せてごらん」と子どもを操作するのでなく、

こちらがお手本として人形を乗せたのに、自閉っ子がガムテープをはがしてひもを引きぬいてしまったような時は、

「大事、大事」と大切にすることをそっと伝えながらも、

「修理屋さん、来てください!」と電話をする真似をしたり、呼びかけたりして、

「エレベーターが故障してしまったのよ。直してね」と他の子を遊びに引きいれて、

そうしたアクシデントからも関わり遊びが生まれてくるようにしています。

そのようにアクシデントが楽しい遊びにつながるようにしていると、

遊びというより壊すことや友だちの物を取り上げること以外に遊びが成り立ちにくかった子の近くにも

遊び上手の子たちが興味を抱いて集まってきます。

すると、衝動的に振舞っていた子も、少しずつ手加減や関わる間を覚えていき

創造的な遊びに加わりだすことが起こりやすくなります。

 

自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 1で紹介しているレッスンでのこと。 エレベーター遊びをしていた時、

●くんが、時計にガムテープを貼って、エレベーターのように吊り下げたいと言いました。

紙箱のひもを貼っているのを見て、

自分なりに応用しているところは感心なのですが、

テープで貼っただけの時計を高い位置まで吊り上げるのは落ちてきた時とても危険です。

そこで、「自分で考えたのね。いい考えね」と言ってから、

戸棚の取っ手にひもを引っかけて

ケーブルカーにすることを提案しました。

すると、その展開に●くんはとても喜んでいました。

 

 

 

写真のような水風船と風船用の空気入れ(100円ショップ等で売っています)

も好きな子が多いです。

最初のうちは、空気入れの先に風船をかぶせるだけでも難しいかもしれないし、

大人に膨らませてもらうのを見るだけかもしれません。

もし自閉っ子が風船を袋から取り出してバラバラにして、「赤、赤」と色にこだわって探すような

作業ばかりしているようなら、

「★くんは赤が好きね。★くんは赤が好き。」と言い、

他の子に、「☆くんは何色がいいの?」と他の子も自閉っ子がこだわっている部分に興味がいくようにしています。

 

自閉っ子を大人の思うように操作するのではなくて、

自閉っ子のこだわっている物事に他の子らが興味を抱いたり、

遊びに取り入れたり、真似したがるような場面を作るようにするのです。

自分の世界に閉じこもりがちな子も

自分の好きなことや面白がっていることを、

自分と同じようにやりたがる他の子らに対して興味を抱く場合がよくあります。

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 3

2013-08-14 22:02:02 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

「言葉かけを控える」ということを書きました。

これは自閉っ子に言葉をかけない方がいいということではないし、

ただ見守って放っておくということでもありません。

 

子どもの心が動いている最中に

大人のかける言葉によって気が逸れないように、

声をかけるタイミングや量に注意するということです。

 

わたしはそっと背中を支えたり、衝動的に振舞ってお友だちと衝突が起こらないように

少しだけ手助けしたり、子どもの興味を盛り上げていくような

擬音語や擬態語をたくさん使った言葉を使うようにしています。

 

自閉っ子は敏感すぎるくらい敏感な子が多い上、一度嫌な思いをすると

いつまでも記憶していて、それを避けようとすることが多いです。

ですから、他の子らと関わる場ではできるだけ慎重に

本人の自発的な興味を出発点にして、

少しずつ無理のない形でいっしょにする活動が持続するように

サポートしていくことが大切だと感じています。

 

といっても周囲で起こっていることに無関心な子が

自発的に他の子と関わろうとするのを待っているだけでは

いつまでたっても関わりが生まれてこないかもしれません。

 

そこで、自閉っ子を大人の思いで動かすような言動は控えながらも、

自閉っ子と他の子らとの関わりが生じやすい

場面をたくさん作っていく必要があると思っています。

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 


子どもの脳は知識を詰め込まれるだけでは発達できない

2013-08-14 18:18:37 | 教育論 読者の方からのQ&A
「子どもの脳が学ぶとき」戸塚滝登 高陵社書店からの引用です。(ぜひ、読んでみてくださいね。)
戸塚氏のお話を要約すると、

子どもの脳というのは、ひとつの閉じられた世界で、
外部から調整スイッチをいじくるように親が自在に調整したり、
教師が意のままに調律したりすることなど
不可能なつくりになっています。

不思議なことに、この小さな閉じられた世界からは創造性や好奇心が
いつの間にか生まれ、すばらしい能力が自然に目覚めてきます。

子どもの脳内では、ニューロンが絶え間なくつなげられ、再配線されます。
構造は変化を続け、自在に機能が調整されます。
プルーニング、チューニング、自己組織化、可塑性などの働きが営まれているのです。

子どもの脳には、単純な反応しかしない(「数を数える」とか「ひとつ前の結果に戻る」「高さを見る」「広さを見る」といった微小な集まりが考えられます。
それらのひとつひとつは単能的な機能しか持っていませんが、
無数につながりあい、リンクしあうと、
複雑な思考や感情が生まれてくるそうなのです。


前回の記事に書きましたが、幼い子の単能的な機能を外部の刺激による偏った形で育てすぎてはいけませんね。それが結局、複雑なことは考えられない脳を作ってしまったりしますから…。

数学者のシーモア・パパートは
「子どもの脳は単に知識を詰め込まれるだけでは発達できず、
その知識を使うための知識(より良い方法を見つけたり、発展させたりする体験などの知識)を
与えられない限り、うまく成長できない」と考えているそうです。
『パパートの原理』と
呼ばれるそうです。

自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 2

2013-08-13 18:35:25 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

前回の記事に、

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遊びの幅が狭かったり、他の子と同じ活動をするのが難しかったりする子に

「みんなといっしょに何かをすることは面白い、楽しい」という体験をさせるには、

ちょっとしたコツがあります。

コツについては次回の記事にできるだけ具体的に書かせていただきますね。

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と書きました。

 

子どもたちを集めてさまざまな活動をしている間、

自閉っ子たちを

他の子らへや活動への興味から遠ざけてしまいがちなのは、

親御さんの言動だと感じています。

 

どのような言動に問題を感じるのかというと、

「ほら、あそこで○○しているよ」

「~してごらん」

「~見て!こうやって……」と子どもの注意や気持ちを大人の思う方向に動かそうとしたり、

指示を与えて子どもを動かそうとすることです。

 

まだ幼い自閉症の子が、周囲で起こっていることに気づいていないように見えたり

他の子らの活動に参加していないのを目にすると、

そうした言葉かけが頻繁に行われているのを目にします。

 

教室では、言葉かけをいったん控えていただき、

子どもの視線の動きや自発的に何かをしようとする行動のひとつひとつを受け止めながらも

見守ることと支えることを中心に接するようにしています。

 

自閉症の子を大人の手で動かそうとすると、

たいてい言われるがままに動きながら、自分の見ているものやしていることに全く無関心になってしまうか、

動かされることへの抵抗が、

活動への興味を奪ってしまうことになります。

 

そうした子の中には、耳で聞くことと目で見ることを同時に行うのが苦手な子もいます。

また、耳で聞いたことを実行に移そうとすると、何かに好奇心を向けたり、

何かへの関心を保ったりできなくなる子がいます。

 

そうした困り感を持っている子たちも

他の子のしている活動や他の子の持っているおもちゃなどに

興味を抱く瞬間は何度もありますし、

一瞬の興味をいっしょに何かをする活動に導いて行くのは

それほど難しくありません。

 

でも、急いだり焦ったりするのは、絶対によくないと感じています。

 

最初のうちは、その子が誰のどのような活動に関心を向けているのか

こちらが知ることだけでも十分なのです。

「この子は風船を吹きあげるような時は、他の子のしていることでも面白そうに見ているな」

「折り紙を折るような静かな活動は、じっと他の子の手元を見ている時があるな」

などと知るだけで、

それ以上は何もせずに、そっとしておくことが、次の活動へつながっていくことは

よくあるのです。

 

次回に続きます。