虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

ハンディーキャップのある子たちと 『ピッケのつくるえほん』で創作活動や学習をする時のポイント

2014-10-21 14:20:28 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

自閉っ子や知的な面でゆっくり成長している子らと

『ピッケのつくるえほん』を通して関わる時のアイデアを紹介します。

 

幼い子やハンディーキャップのある子たちが

最初の覚えて面白がるのが、画面上の小物を押さえて、そのまま指でスライドさせる

「ドラック」という動作です。

子どもたちは、上のパレットにある絵をどんどんどんどん

画面にスライドさせていったり、

画面に置いたものを外にスライドさせて捨てていくことを繰り返す時があります。

無駄な遊びのように見えますが、

「ドラック」という操作に慣れて、扱うのが上手になるので、

たっぷりやらせてあげています。

 

そうやって画面にいくつも人形を置いていくと、上の写真のように

重なった妙な絵になってしまいます。

そんな時に、「うしろにかくれているのだあれ?」という

文字を打ち込むと、面白いクイズ絵本になります。

 

そんなふうにいたずら半分にしていた行為が意味のあるものに変わると、

「手であれこれ触って遊ぶ」ことから、「誰かに見てもらいたい作品作り」へ

気持ちが移っていくことがあります。

 

どんどんどんどん絵を出して重ねていく動作を楽しんだあとで、

画面の左下あたりにある「鍵のボタン」の扱いを教えてあげるのもいいです。

 

このボタンを押して鍵を開けると、手で触った絵が前面に出てきます。

「かさねじゅんをかえる」というハンディーのある子たちには

難しい操作ですが、

鍵を開けたりはずしたりして、絵を前にしたり後ろにしたりする遊びを

一緒にしていると覚えてしまいます。

 

遊びの幅が狭く会話やコミュニケーションが困難なAくん。

自分の思いを言葉にして伝えることが上手にできないので、

自己表現のツールのひとつとして『ピッケのつくるえほん』と親しんでもらいたいと

考えていました。

 

Aくんはプラレールが大好きです。

『ピッケのつくるえほん』の汽車の絵を見つけると、

それをドラックして画面に置きました。

汽車をドラックすると、上の写真の右にある絵が現れて、

それを押すと汽車が別の絵柄に変わります。

Aくんは、連結させる後ろの車両に変えて、最初の汽車の後ろにつけました。

 

3台目の汽車も他の絵に変えて……。

 

Aくんは、作るのに何手順もかかる連結した汽車作りが

とても気に入ったようでした。

何度も作りなおして、連結させる部分をすべて同じ色にしたり、

どれも異なる色にしたりしていました。

 

Aくんの物事と関わりは、最初はある一部分だけ、ワンシーンだけを

しつこいほど繰り返すことから始まります。

お気に入りの『しんかんくん うちにくる』の絵本も、

しんかんくんが電車の上に乗って、「こらこらだめだろう」と叱られるシーンと

しんかんくんが街中に出て、道路標識を踏んずけてしまったシーンばかり

うんざりするくらい見たがっていました。

『ピッケのつくるえほん』でバス停の標識を見つけて、

「しんかんくん、踏んだねぇ」と大喜びのAくん。

 

イラストをドラックさせると、拡大縮小ボタンと一緒に

それを回転させるボタンがでてきます。

標識をドラックさせたあとで、回転させて

しんかんくんに踏まれた場面を再現するのを楽しみました。

 

こんなふうに、自分でストーリーを考えるのが難しい子とは

お気に入りの絵本の一シーンを再現するのもいいです。

 

 

ドラックすることが楽しい時、「これは仲間か仲間じゃないか、関係があるものか

関係がないものかといったおしゃべりを楽しめます。

言葉で伝えるのが困難な子も

画面に絵を置きまがらだと比較的話しやすいのです。

「気球と飛行機と月は仲間。みんな空にあるから」とのこと。

 

「りんごとぶどうとばななといちごはくだものの仲間。カスタネットは楽器の仲間」。

 

「かにが3びきいました」

 

(一匹のかにの上に家をドラックさせて……)

「お家に帰ってしまったかにがいるよ。何匹、お家にかには

帰ったのかな?」

 

答えあわせ。

 

 

小学生の知的なゆっくりさんの女の子は、

『ピッケのつくるえほん』に打ち込みながら

学習すると、それまでなかなか覚えることができなかった概念も

理解できるようになりました。

 

 


ピッケのつくる絵本のワークショップ 1

2014-10-20 15:40:15 | 工作 ワークショップ

『ピッケのつくるえほん』というアプリケーション開発者の朝倉民枝さんと一緒に

絵本作りのワークショップを開きました。

 

「絵本作りを通して、自分の内面にある世界を表現したり、言葉に親しんだり、

物語を生みだす喜びを感じたりしてほしい」という思いで、スタートした企画。

ワークショップでは、ただ絵本を作るだけではなく、これまで虹色教室で

大事にしてきたものをいろいろなシーンで盛り込むようにしました。

 

「大事なこと」の一つは、一人ひとりの子が発見したアイデアや使い方や

ストーリー展開やデザインにおける個性的なセンスを

その場にいるみんなで共有するということです。

制作中、何度かそうした学習時間を設けることで、お友だちが見つけたことや

新しい方法から学んで自分の作品作りに活かすようになります。

 

共有する際には、子ども自らみんなに言葉で説明します。

 

たとえば、上と下のりすの画像は年中のAちゃんの作品です。

りすが自分のしっぽをまくらにして寝ている姿を表現しています。

最初からそうしたリスのイラストがあるわけではなく、

りすの絵を「長押し」して、身体のパーツをくるくる動かす操作を

使って作っています。

また、りすのサイズを縮小拡大ボタンで調整しています。

 

りすが昼寝をしている花畑を上手に作っていたので、

Aちゃんにどうやって作ったのか教えてもらうことにしました。

すると、集まったみんなにこんなふうに説明していました。

 

「(パレットにある)お花の絵をこうやって(指で画面に)たくさん持ってきておいて、

それから一つずつ置いていくの」とのこと。

 

「たくさん同じものを並べることで、何かを作りだす」という表現を

さっそく試している子がいました。

 

Aちゃんは、「りすの寝ているポーズを作る」ことを発展させて、

たくさんのりすがお泊りして寝ている話を作っていました。

 

ベッドの向きを変える方法は、一方を二度、指でタップすることです。

寝かせたりすたちがどの子も寝ている顔になるように表情を選んでいます。

絵本を作る上で、「サイズ」「向き」「数」など、

さまざまなことに注意を向けています。

 

小学2年生のBちゃんの作品からも

学ぶところがたくさんあります。

 

↑ どこがどのように違うのでしょう?

どんな工夫をすれば、こうした表現ができるのでしょう?

 

 「ふしぎなおともだち」という登場人物があらわれると、

どんな話になるのかとドキドキワクワクしますね。

帽子をかぶしてみるだけで、「ふしぎなおともだち」だとわかるから不思議です。

 

ふしぎなおともだちは、ドアの向こうを海の中に変えてしまいます。

 

美しいですね。どんな工夫をしているから、海の中だとわかるのでしょう?

 

文字を打つ際、「っ ゅ ょ のような小さな文字」が入っている文字だけ

打ってみる時間を設けました。

 

 

発表の時間。

最年少で参加していた3歳の女の子は、自分の作品を紹介する時に

キャラクターを動かすことができる編集画面を使って、

滑り台を滑るシーンを実演していました。


折り紙で正八角形を折る方法 と 小学校受験問題

2014-10-19 21:14:40 | 通常レッスン

 

『ニュートン 別冊 図形に強くなる』を参考に、折り紙で正八角形を作ってみました。

この雑誌には、ほかにさまざまな正多角形を描く方法やピタゴラスの定理を証明できる

パズルの作り方などが紹介されているのですが、

子どもたちが数人集まった時に作り方の一つを教えると、

4人くらいのうち一人くらいはこういうものが強く響く子がいて、

「もっともっと教えて!もっとこういうの作りたい」というのです。面白いです。

そうした子ほど夢中にならなくても、

たいていの子は、折り紙を通して図形に親しむのを喜んでいます。

 

 

折り紙を2枚用意します。

一枚目の折り紙を、上の写真のように折って、正方形を作ります。

 

もう一枚の折り紙は写真のように対角線で三角に折ります。

 

 

二枚の折り紙の、折り線を重ねます。

 

はみ出した部分を折り返したら、正八角形のできあがり。

 

年中と年長さんたちのグループで、『四方からの観察』の問題を

解きました。

物の四方に椅子を置いて、それぞれの椅子から

どのように見えるか推理して、絵を選びました。

答えあわせの時に、その椅子のところに立って確かめると

「ああ、そうか!」と、納得するようです。

 

積んだ積み木が四方からどんなふうに見えるかや、

ふたつに並んだものが、反対側からどんなふうに見えるかなどを確かめました。

 

何人かの子が間違えた鏡や水面に物がどんな風に映るか

推測する問題。

 

水を使った科学手品をいくつか作りました。

 

光の屈折を利用しています。

透明の袋に絵を描いて入れます。

透明の袋に油性マジックで絵を描き加えます。

水につけると、紙に描いた部分が消えて見えなくなります。

 

 

不思議な棒の作り方はまたの機会に紹介しますね。


2,3歳の子にどんな人的環境と物的環境を与えるとよく自分の頭を使うようになるか

2014-10-17 20:36:16 | 幼児教育の基本

人的環境と物的環境といった人と物、2種類の環境次第で、

2、3歳児の知力や好奇心や意欲や根気といったものが

ずいぶん違ってくるように思います。

もちろんその後の知的な成長にも大きな影響を及ぼします。

 

でも「何をさせたらいいのかわからない」「考えさせようと思って

質問してもどこかに行ってしまうので、何もしない方がいいのかなと思います」

「教えすぎちゃうので、これはいけないと放っておいたら、

放りっぱなしになっています」といった声をよく伺います。

 

そこで2歳8カ月の★くんと3歳0カ月の●くんのレッスンを例にして、

どのような働きかけをし、どんな環境を用意したら

子どもが自ら考え、物事にしっかり関わるようになってくるのか

書いていくことにしますね。

 

2、3歳の子たちがよく考え、考えたことをていねいに表現し、

自分が関わりだしたことに最後まで責任を持って関わるようになるには、

次の3つのことがとても重要だと感じています。

 

一つ目は、 子どもが自分で気づいたり、ひらめいたり、思い出したり、

考えを口にしたりした場合の大人の反応がとてもいいことです。

子どもから発したものがよく響く大人であること。

子どもの知的好奇心を高揚させるようなフィードバックを返すこと。

(大人がさせたいことをさせるのではなく、

子どもの知的な欲求によく気づき、ひと手間かけてあげるようにします)

 

たとえ、子どもが無言のままで、目や表情から何かに気づいいたことが

わかるような時にも、

大人がそれをすばやくキャッチして、

それを認め、面白がり、広げたり膨らませたりする手助けをしていると、

子どもは自分の頭の中に浮かんだどんな小さなことも

外の世界に影響を与えること体感します。

すると、どんどんひらめきを口にし、問題にぶつかれば解決法を言うようになります。

 

たとえば、2歳8カ月の★くんと3歳0カ月の●くんは、これまで虹色教室で遊んだ

経験を頼りに、まず最初に「こういうふうにしたい」と言葉にしたあとで、

「そういうふうにしたいんじゃなくて、これこれこんなふうにしたい」と

自分がどのようにしたいのかより細かく解説し、うまくいかない部分を目にして、

「こうしたらいいんじゃない?」「こうすれば?」と自分なりの工夫を口にする場面が

たくさんありました。

★くん●くんとわたしの間に、「ぼくたちが言ったことはきちんと聞いてもらえる」

という信頼関係ができはじめているのです。

 

★くんは警察署とお家を並べて、2階同士で行き来できるようにさせたい、

と言いました。

でも警察署についている梯子はお家に引っ掛かりません。

そこでひもで吊らす作戦に出ました。

それを見ていた●くんは、「電車のエレベーターが作りたい」と言い、

ひもで吊らすとできる、といったことを言いました。

 

 

線路や車庫を作っていた時もこんなことがありました。

最初は積み木で線路を作っていたのですが、電車を動かそうとすると崩れてしまいます。

そこで、「ブロックなら動かない」ということになりました。

そこでブロックで長い線路を作っていくと、

★くんは自分はトラックを入れるところ(車庫)が作りたいと言いました。

  

「トラックは大きい。だから大きなプレートがいるね」とブロックの大判の板を

用意してあげると、自分でトラックの向きをずっと考えていて、

「こっち向きにして、ここから入る」と決めていました。

 

トラック用の車庫に入ったパトカー。

●くん作の車庫はぐるりをブロックで囲っていたため、

「出られないから、ここをはずそ」という★くんと

「だめ、このまま」という●くんの間にもめごと発生。

2歳半くらいまではすぐにつかみ合いのけんかになっていたシーンですが、

お互いに自分の意見を出し合ったあとで、どちらの方法も採用して遊んでいました。

 

●くんは、車が向きを変える仕組みになっていることや連結部分が磁石になっていること

などにとても興味があります。

なぜ動くのか、のぞきこんでいろいろ試しています。

 

ひもに磁石を付けて、巻き取り式の車を引っ張る道具を作ってあげたり、

向きを変えることができる車の車輪部分にひもを取り付けて、

操作できるようにしてあげるととても喜んで、

それについてさまざまな考えを言葉にしていました。

 

2、3歳の子たちがよく考え、考えたことをていねいに表現し、

自分が関わりだしたことに最後まで責任を持って関わるようになるために

大切な2つ目のことは、

「目で考えることができる」ような環境を整えることです。

 

大人に知識を教わって、それを記憶していく学び方は

学校へ通うような年になってからの子の学び方だと思います。

 

2、3歳児の場合、自分の目で見て、手で操作してみて、

正しいのか、間違っているのか、

成功したのか、失敗したのかがわかるような環境が大切です。

 

好奇心からいろんなものに触れてみて、うまくいく方法だけでなく

うまくいかない方法もたくさん体験する必要があります。

 

もし、大人が「こうしてごらん」とか、「こうやるのよ」と横から口だししては、

子どもが効率的に物を扱えるようになるよう手助けしたとすると、

その子は失敗することなく他の子より早くそれができるようになるかもしれません。

 

でも一方では、その体験から

物の性質を学びとったり、形や数について理解したり、結果から規則性を見つけ出したり

することがなくなってしまうかもしれません。

 

「目で考えることができる環境」とは、

教具をそろえることを意味しているわけではありません。

身近にあるものとか、自然の葉っぱや石ころとか、

ブロックやビー玉といったおもちゃ(ビー玉は口に入れないように注意が必要です)

で十分です。

 

子どもが「エレベーター作りたい」とか「車、動かないよ」とかいう時に、

ひもを使えば動きが生み出せることを見せてあげると、

子どもは自分の目を通してさまざまなことを学びますよね。

自分で引っ張ってみると、さらに多くの発見があるでしょうし、目ざとい子たちは、

たちまち新しい何かにそれを応用します。

 

こうした目で学んだ体験の蓄積から、どんな創造的な新しいアイデアが生れてくるのか、

東大パパさんのブログで、

幼稚園児の娘さんのきょーちゃんが作ったブロックの設計図の記事

がまさにそういうものだな、と感じました。

そういえば教室にも1年生の子が自分でひらめいて、

折り紙のテキストを作ってきてくれたことがありました。

 

東大パパさんの記事に、コメントを入れさせてもらったのですが、

今回の記事とも関連があるので紹介させてください。

 

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きょーちゃん大発見ですね。

こういう発想、子どもの側からゼロのベースから出てくるから不思議ですね。

わたしも娘や息子が幼稚園の頃、

何の前触れもなく「さいころ作れるよ」と展開図を描いてさいころを作りだしたり、

大人も触ってなかったハイパーカード(当時はマックでした)を勝手にいじって

簡易のプログラミング法を発見してゲームを作ったのを見て、

ただただびっくりした経験があります。

インプットして出てきたというものではなく、その子の生得的なものと、

体験の蓄積を応用させたものが混ざり合って、

驚くような創造的な発想が生れてくるんでしょうね。

模倣を超えていると思われる創造性を見せる子どもたちは教室にもたくさんいます。

そうした子はたいてい知的なものを吸収できる環境にありながら、

知的なインプットをあまり受けておらず、自由に自分のやり方で何かをする時間と、

他の人とお互いのアイデア響かせ合うことができるような環境に育っているな、

と感じています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

わたしが、2、3歳の子たちがよく考え、考えたことをていねいに表現し、

自分が関わりだしたことに最後まで責任を持って関わるようになるために

大切だと考える3つ目のことは、

レッジョ・エミリアの幼児教育実践の内容や方法や、

環境に関わる特徴と重なる部分が大きいです。

 

「子どもにとって意味のある」ことから「子どもの学び」を創る

という視点です。

 

「子どもの関心」から出発して、

子どもの学びを意識的に作り出すようにするのです。

 

レッジョ・エミリア教育についてマラグッツィは

「子どもの内面世界をもっと知ろうとすることが保育」という立場で

次のように語っています。

 

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子どもとともにあるということは

3分の1は確実なことであり、3分の2は不確実なことや

はじめて出会うものであるという状態で働くことであると、私たちは理解しています。

3分の1の確かな事柄は、私たちの(子どもに対する)理解を創りだし、

さらに理解を深めたいという試みを促します。

……幼児の学校が、準備の行き届いたものでなくてはならず、

小学校との連続性を提供しなくてはならなくなったら、

その時すでに私たち教師は、(広いところから)狭いところへ子どもを押し込める

(のが保育の終点目標であるという)いまわしいモデルの虜になっているのです。

……幼児の学校は子どもに応答しなくてはならないとだけ言えばそれで十分です。

 

            ——『学びの物語の保育実践』大宮勇雄/ひとなる書房

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

レッジョ・エミリアの教師たちは、

子どもの抽象的概念を扱う能力について予断となるような限界を設けていないため、

現実生活の中でさまざまな謎や不思議に対して果敢にチャレンジし、

抽象的な概念も自ら扱おうとする子どもの姿をたくさん記録しておられます。

 

前回の記事で、東大パパさんへのコメントでわたしが、

 

「模倣を超えていると思われる創造性を見せる子どもたちは教室にもたくさんいます。

そうした子はたいてい知的なものを吸収できる環境にありながら、

知的なインプットをあまり受けておらず、自由に自分のやり方で何かをする時間と、

他の人とお互いのアイデア響かせ合うことができるような環境に育っているな、

と感じています。」

 

と書いた内容にも通じるのですが、

最初から予断となるような限界を設けておらず、教え込まれるのでなく

応答は質の高いものが保障されている場では、子どもは大人が思っている何十倍、

何百倍という賢さと個性に応じた広くて深い好奇心に駆り立てらます。

 

2、3歳の子に……というタイトルから少しはずれるかもしれませんが、

子どもの興味からスタートし、予断となる限界を設けず、

「3分の1は確実さと、3分の2は不確実さ」で子どもに接するようにすることで、

子どもの内面から生じてくるアイデアとエネルギーの豊かさを感じさせてくれる子の

活動を紹介します。

 

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虹色教室で恐竜に興味を持った、

★くんの年長さん~小1の時に自分で思いついた遊びにしても

周囲の大人が誰も想像もしなかったようなものでした。

「レッスンではこういうことを教る、こういう活動をする」という決まりが

固定されていたら、

★くんのこうした興味の広がりを見ることができなかったかもしれません。

 

 
年長さんの★くんが、恐竜の分布図を作ってきてくれました。
 
骨の絵も描いてきてくれました。
 
恐竜に夢中の★くんは、カナダに発掘に行きたいので、
 
カナダだけのくわしい地図が欲しいそうです。

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小学1年生の★くんのレッスンで、

スチロールカッター(発泡スチロールを溶かして切る道具)を見せたところ、

「それを使って恐竜の地図が作りたい!」と言いました。

★くんは恐竜マニアです。

 

白亜紀の地図を慣れた様子で描いています。

 

スチロールカッターを使うのを初めてですが、

器用な★くんは、細かい凸凹も ていねいに切り抜いていきます。

そこで、★くんがすごくいいアイデアを思いつきました。

目をキラキラさせて、

「そうだ!これを水に浮かべて、大陸が移動していくのやってみたら?」と言うのです。

それはいいアイデアです。さっそくトレイに水を入れて浮かべてみました。

 

★くん、次なるアイデアを思いついた様子です。

「台風もしたいから、ストローちょうだい」と言うと、

ストローで水面を吹いて、台風が移動する様子を実演していました。

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恐竜が大好きな小学1年生の●くんのレッスン。

冬休みの間に壮大な恐竜の生きていた時代の地形の変化を絵に描いてきてくれました。

 

教室用にアメリカで買ってきた恐竜の頭蓋骨の見本を見せると、

さすが●くん、骨を見ただけで恐竜の名前を言っていくだけでなく、

自分で作った地図のどの時代のどの地区に生息していた恐竜か

説明していってくれました。

 

 

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記事の補足です。

東大パパさんの記事にわたしがしたコメントに次のような返事をいただきました。

とさっ子サロンについての記事が面白そうだったので

宣伝の意味もかねて載せさせていただきますね。

 

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>>奈緒美さん
虹色教室通信の記事を読みました。

子ども達の中からいつの間にか湧き出てきた遊びは、どれも驚くべきものですね。

恐竜好きの子どもの話なんて、これはもう本当にびっくり!

奈緒美さんがおっしゃる「予断となる限界を設けない」ことは

とても大切だと思います。

そのために一番大切なのは、失敗を恐れない姿勢ですよね。

このブログの記事にも、私が遊びの試行錯誤をしてみて、

失敗に終わるというエピソードを意識的に盛り込んでいます。

子どもと一緒に遊ぶ中で親がチャレンジして、結果失敗するという姿を、

どんどん見せるべきです。

奈緒美さんがよくたしなめている、「子どもに効率的な学びを与えなければ」

という姿勢だと、親が失敗するなんてとんでもないことでしょうね。

遊びの場を設計するに当たって、

設計者の想定を遙かに超えた遊びが自然発生することこそが、設計者の喜びですね。


詰将棋に似た数学的な『ニュートリーコ』 とサイコロに見えない面を推理する教具

2014-10-17 13:55:22 | 教材作り

過去記事です。

簡単に作ることができる、

詰将棋に似た数学的な『ニュートリーコ』というボードゲームの作り方を

紹介します。

 

写真のように5×5のマスと

色の異なるコマを3つずつ作るとできあがり。

 

<ルール>

最初に↑の写真のようにコマをセットします。

赤チーム、緑チームで、自分の色のコマを

タテ・ヨコ・斜めに真っすぐ、3つ並べた方が勝ちです。

★ コマの動かし方に特徴があります。

順番に自分の色のコマをタテかヨコかナナメに動かします。

その時、相手のコマの手前かボードの壁まで止まることができません。

どこまでも滑っていくようにコマを動かします。

 

自分の好きな場所で止まることができないため、3つ並べるには、

何手順も先のコマの動きを読んでいかなくてはなりません。

 

幼児や小学校低学年の子が将棋をすると、コマの動かし方を覚えることに

気を取られて、先を読むことまでできないものです。

このゲームは、シンプルな作りのため、幼い子たちも

自然に先を予測しながら遊ぶようになっていきます。

 

ネットで、『ニュートリーコ』で検索すると

オンラインゲームを楽しむこともできますよ。

 

 

クリスマスとお正月用に手作りゲームを作った1年生の子たち。

算数の学習もきちんとできていました。

 

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<サイコロの見えない面を推理する教具>

サイコロの見えない面を推理するための教具を作りました。

100円ショップの半透明のプレゼント用の小箱と

ドッツシールを使っています。

 

向かい合う面の関係に気づきやすいように同じ色のシールを

貼っています。

半透明の箱を使うと、見えない面に対する推理力が

働きやすくなりました。

 

今、教室では、クリスマスやお正月に家族で遊ぶための

ゲーム作りが流行中です。

 

詰将棋のように先を読みながら勝負するゲーム

『ニュートリーコ』。

 

裏面には、同じこのマス目を使って、

それぞれの子が自由に自分で考えたゲームを作りました。

 

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サイコロをいくつか重ねて、

見えない面の数を当てるゲームをしています。

 

サイコロの見える面の数から見えない面の数を

推理する力は、中学入試でも出題されています。

こんなふうに、実際のサイコロを見ながら、面の数を当てて

遊ぶうちに、推理するコツがわかってきて、

こうした問題を考えるのが大好きになっていくはずですよ。

 

 


小学生の子どもたちの算数学習の様子です。

2014-10-17 13:52:18 | 算数

 

小学生の子たち(主に1~3年生の子らです)と算数を学んでいるときの様子を

いくつか紹介します。

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 <帯分数や分母の異なる分数が分かるようになる『分数ゲーム』>

小学1年生の子らと分数ゲームを作りをしました。

 

紙皿を2つに切り分けたもの、3つに切り分けたもの、4つに切り分けたものを

数枚分ずつ作って、ケーキやピザの絵を描いたらできあがり。

サイコロにシールを貼って、2と3と4の数字を書きます。

(サイコロを加工するのがめんどうなときは、普通のサイコロのままで遊んで、

2と3と4以外が目が出た時に振りなおすのでもOKです)

 

<遊び方>

サイコロを振って、3が出たら3分の1のピース、

2が出たら2分の1のピースを取っていき、

1枚のケーキ(ピザ)を作った方が勝ちです。

 

↑ 勝った人は、【1と2分の1】と書いた手作りカードを手にして、

1と2分の1を目指してゲームを続けます。

 

 

↑ 写真は、勝った子が2を目標にしてゲームを続けているところです。

 

帯分数は習ったときに、できるようになっていても、

しばらくすると、どうやって仮分数に直すのか忘れてしまう子が多いです。

こうしたゲームをしていると、

直観的に2分の1+4分の2=1といった

計算がわかるようになってきます。

また分数の理解が進み、分数のたし算、ひき算、かけ算、割り算などが

できるようになっていきます。

 

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<表に整理すること と 規則を見つけだすこと>

小学2、3年生の科学クラブのレッスンで。

メンバーのひとりの☆ちゃんが、「お家でしたけれどわからなかった」という問題を

持ってきてくれました。

小学2年生用の問題集(『スーパーエリート問題集』)に載っているものだとはいえ、

東京学芸大附世田谷中の入試に出た過去問でなかなか難しい規則性の問題でした。

ちょうど科学クラブの子たちは、実験のデーターを表に整理することや、

表から規則的なルールを読みとることを大切にレッスンをしていますから、

実験後の学習タイムにみんなで取り組んでみることにしました。

まず、大きな紙に図を描きなおして、並んでいる奇数に番号を打ちました。

 

 

それぞれの番号にある数を書き込んでから、

どのように数が変化しているのか、

その数を求めるためにはどんな式を作ればいいのか

アイデアを出し合いました。

 

科学クラブの子らはどの子もこうしたルールを見つけだすのが

とても得意なので、「できるからやらせて!」「ぼくがやりたい!」「わたしが!」と

難なく書き込んでいました。

が、わたしがいじわるにいきなり、「それなら、100番目はどう?」と

たずねると、1+2×(100-1)のところを、1+2×(101-1)と

間違えていました。数が大きくなるというだけで、

何となくこんがらがりますね。

 

 

その後、1列目、2列目、3列目それぞれの一番最初の数に

つけた番号を調べて、その番号の求め方の規則についても考えました。

 

 

↑ ■くんは、30列目の1番最初の数についている番号を

当てることができてうれしそうでした。

答えは、1+2+3+4+5………+29+1 で求まります。

 

 

プログラムロボットで遊んでいます。(左端の円柱形のおもちゃです)

一度壊れてから、子どもたちが線をつなぎなおしているので、

元の形と異なります。

ロボットで紙コップを倒すコースを作っていたのですが、

良い写真が残っていません。

 

 

■くんがブロックで作ったゲームで■くんと☆ちゃんが遊んでいたのですが、

「ルール違反をした」とか「こんな小さなスペースで試合の仕様がない」とか

「そんなルール聞いていない」とか「サッカーでの罰則は、

このゲームでもあたり前に守るべき」とかでひと揉め。

 

そこへ●くんが、「何揉めてるの?」と仲裁に入り、

どうすれば解決するかいっしょに考えてあげていました。

ルールをもう一度確認しあい、ゲームのサイズを大きく作りなおして

一件落着です。

 

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<2年生の子らと規則性>

小学2年生の女の子たちのレッスンで。

数ヶ月前から算数の力がしっかりついてきた女の子ふたり。

文章題なら最レベの3年生の複雑な問題もスムーズに解けるようです。

ひとりの子が、「でも、これはさーっぱりわからなかった」と言いながら持ってきてくれたのが、

中学入試用の規則性の問題が載っている問題集です。

三角形が積み重ねてあって、「三角形が81枚になるときは、

何段目の時か?」といった問題です。

こうした規則性の問題は確かに難しいけれど、一方では

いくつの子がチャレンジしても、

パズルやゲームに似た解く楽しさを満喫できる問題だとも言えるのです。

足し算さえできたら、後は紙に書きだしていく方法さえ工夫すれば

答えにたどりつけるのですから。

 

そういえば、息子が

「難問を解くということは、

汎用性の高い基礎的な事柄をしっかり身につけることでもあるよ」と

つぶやいていたのを思いだしました。

 

こうも言っていました。

「難しい問題を解いても意味がない、易しい問題をたくさん解くべきだって言う人は多いけどね。

でも東大や京大の数学の問題のように難解だと思われている問題は、

実際には、数の世界の基本中の基本を扱っているというか、

数学のそれぞれの問題の本質的な意味を理解しているかどうかを問うているところが

あるよ。だから、センターの問題は小学生に解かせても意味がないけれど、

東大の問題なら小学生の解かせてみたたら楽しめるんじゃないかって問題がけっこうあるよ。

体系的な知識の積み重ねや訓練で解くのではなく

直観的な洞察力を使って解くものが主だから。

遊びの要素が濃いのかな。

といっても、しっかり解けるようになっておくには、勘だけじゃ無理で

時間はいるな。ある程度の時間、それに関わるのは避けられないけど。もうちょっと時間が欲しいな」

超のんびり屋の息子も、

受験日が近づくとさすがに時間の大切さを実感している模様です。

 

 

話を2年生の子らのレッスンに戻しますね。

規則性の問題を理解するために

ブロックで規則的に大きくなっていく形を作りました。

最初は小さなサイズで作るつもりが、

女の子ふたりとも、どんどん三角を大きくすることが楽しくてたまらなくなって

巨大な三角形をこしらえていました。

 

 

表を作って気づいたことやわかったことを話しあうと

どんどん面白い意見が出ました。

ブロックのパーツのひとつひとつに上から

番号をつけていくと、(左から右)

3段目なら、5,6,7,8、9の番号になります。

そのように番号をつけていく時、4段目の一番小さな数はいくつで、

一番大きな数はいくつか、

10段目の一番小さな数はいくつで、一番大きな数はいくつかといった

問題も考えました。

ブロックでさんざん遊んでいた子らは、ブロックを指さしながら、

「一番小さい数って前の段の最後の数よりひとつ大きくなるだけだから

そんなの簡単だ」と言っていました。

 

 

↑自分なりに数のきまりについて

書いて考えていました。

 

 

規則性の問題を子どもと楽しみたいという方は

写真のようなブロックの山を作りながら、

「この三角の山に隠れている秘密を探り出そう!」と提案して、

思いつく限りのルールを自由に言い合うといいかもしれません。

規則性の問題の解き方を教えるのではなくて、物をよく観察して、

「いくつずつ増えているか」とか「こういう表を作ってみたら面白そう」といった

自由なアイデアを出しあって、紙に書いて検証しあうのです。

計算してみて、面白いルールを見つけたらそれも発表しあいます。

算数の世界がとても好きになりますよ。

 

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<どうして低学年の子に植木算や旅人算などを教えているの?>

 

虹色教室では、小学校低学年の子らにも

植木算や旅人算といった中学入試向けの算数の問題に触れる機会を

たくさん設けています。

 

でも「どうして?いくら何でもそんな先取り必要なの?」と感じている

方がいらっしゃるかもしれませんね。

 

実際に、とても有利にはなるでしょうが、

中学入試に有利だから、という理由でそんなことをしているわけでは

ありません。

 

さまざまな理由がありますが、

一番の理由は、算数が実生活でどのように役立つのか、

今練習している計算訓練は、何のためにあるのか、

問題を通じて自然に理解することができるからなのです。

 

算数の本当の面白さや、頭を使うことの楽しさにも気づけます。

 

植木を道路に植えていくということ、

自分が見慣れている都市の景観にどれほど算数が深くかかわっているのか、

そうしたことを知っていると、

「算数が将来なんの役に立つんだ?」何て疑問に縛られて、やる気を失うこともありませんよね。

野球の試合も見せずに、野球を知らない子に、

素振りばかり練習させても、上達させるのは難しいはずです。

算数だって同じです。

 

植木を端から端まで3メートルおきに植えていくとき、

2本植えたら、端から端までは何メートルで、

3本植えたら何メートルかという植木算の基本的な問題は、

指を折って、簡単な足し算ができるようになった子ならすぐできます。

そこで、絵を描いて考えてみることを学ぶと、

たちまち応用がきくようになってきます。

 

子どもの頃、わたしは団地や学校の階段で、

じゃんけんしては「グーリーコ」「チヨコレイト」「パイナップル」と言いながら、

段を上り下がりする遊びをしていました。

そこで起こっていることは、

旅人算について考える上で描く線分図の上で起こっていることとよく似ています。

幼い幼児にしても、グリコばかり続くよりも、

パイナップルばかり続いた方が相手より先に進めることを体感で理解しているはずです。

こうした生活に溶け込んでいる算数の概念に、好奇心をくすぐられる感性を持っている

からこそ、これが子どもを惹きつける遊びになるんですよね。

 

虹色教室の幼児さんたちは、物を規則的に並べていくことが大好きだし、

ブロックでピラミッドのような形を作ることを喜びます。

そうしたときに、算数の規則性の概念への気づきにつながるような

問いかけをしていると、

算数がとても好きになっていきます。

 

計算のタイムを縮めるために計算プリントをこなすのでなく、

そこに勉強の動機があるのではなくて、

植木を植えるために計算する……というのは、

意味を実感しやすい体験です。

そこでミスをして、自分の盲点となっていることに気づくことは、

その子が抱かされてきたイリュージョンを揺るがせて、素直に世界を

眺めることができるようになるきっかけを作ってくれます。

 

なぜ算数を学ぶの?

 

という問いは、小さな本作りをしてみるだけでも

すぐに理由を理解することができます。

たてとよこの長さを無視すれば、

絵が貼れないとか、本の形にならないとか何らかの

不都合が生まれてくるのです。

基礎的な知識をためたり、

計算を訓練したりすることは大事です。

 

でも、実際の暮らしのなかで、どう算数が使われているのか知り、

自分も算数を使って何かしてみて、

それから訓練に戻る、

訓練からまた、どうして算数が必要なの?という疑問を探る

活動に戻る、

という行きつ戻りつする学びの時間を、作ってあげたいと感じています。

 


相談 「子どもといっしょにするごっこ遊びがワンパターンになってしまいます」 

2014-10-16 14:22:07 | 通常レッスン

「家ではいつもごっこ遊びをしています。

毎回、遊びがワンパターンになってしまいます。

どうやって遊びを広げたらいいでしょうか?」という相談をいただきました。

そこで、2歳0ヶ月のAちゃん、2歳2ヶ月のBくん、2歳3ヶ月Cちゃん、

3歳2ヶ月のDくんのレッスンの様子を例に、

遊び発展のさせ方のヒントを紹介していきますね。

 

2歳~3歳の数や秩序に敏感になっていく時期の子たちには、

同じものをいくつか用意してあげると、いいおもちゃになります。

特にオススメなのは、100円ショップで売っている折り紙より少し大きいくらいの

サイズの無地のタオルハンカチです。

しわにならず、たたみやすくて、場所を取りません。

三角に折っておにぎりやサンドイッチを作ったり、

折ってからくるくる巻いてケーキを作ったりできます。

プレゼントやお弁当を包んだり、赤ちゃんごっこの時はおむつやおくるみにしたり、

ふとんや病院ごっこの包帯、人形をお風呂やプールに入れる時のバスタオル、

テント、触って当てるゲームでかぶせる布などにも使えます。

 

 写真は、お人形たちにかけぶとんをかけて寝かしつけているところです。

一人ひとりにふとんをかけてあげながら、「いやだ、いやだ!ねたくないよ」と

ぐずるストーリーで遊んでいます。

 

「えほんを読んであげるから寝ようね」と言って、

小さな絵本を読んで聞かせる真似をすると、

Aちゃんが喜んで遊びだしました。Bちゃん、Cちゃん、Dくんの3人も

絵本を読んで聞かせるシーンに強く惹かれたようでした。

 

ただお人形を寝かせるだけの遊びとはいえ、

この中に幼い子たちと遊びを魅力的なものにするヒントが3つ含まれています。

 

一つ目は、一対一対応がわかりはじめる数に敏感な時期の子たちは、

何体ものお人形の一体一体にふとんをかけてあげるとか、椅子に座らせてあげるとか、

食べ物を与えるとか、お風呂に入れてあげることが

楽しい遊びになるということです。

 

二つ目は、遊びの最中に「いやだいやだ寝ないよ」と人形に言わせることで

問題を解決する楽しさを作ることです。

お風呂に人形を入れてあげる時に、「シャンプーが目にしみたよ」と

お人形に言わせたり、

病院ごっこをする際、人形に「苦いお薬は飲みたくないよ」と言わせたりするのです。

 

みっつ目は、「絵本の読み聞かせ」のように

子どもの日常の体験をごっこに盛り込むことです。

ここで小さなサイズの絵本を使うと、他の子らも前のめりになって

遊びを覗きこんでいました。

でも、こういった小物はわざわざ購入する必要はないと思っています。

今回のレッスンでは、お家で使っていただくために

色画用紙を折って小さい絵本を作りましたが、

手を使って、絵本を開く真似をするだけでも十分楽しめると思います。

  

ごっこ遊びの中で、その子が熱心にやりたがるレベルの

手作業を用意してあげるのもいいです。

上の写真は、木片とひもを使ったアイス作り。

Dくんは、くるくるひもを巻きとってテープでとめる作業を

心から楽しんでいました。

 

この日、Dくんは、電車がぴったりおさまる駅や高いビルを作り、

その後、駅の屋根の部分にブロックを何重にも敷き詰めていく作業に夢中でした。

 

お家でたまごを割る体験をしてから、

卵の中に小物を入れておいて、カチカチ卵を打ち付けて、フライパンの上でカパッと

割る作業がDくんのお気に入りです。

 

ままごと中のAちゃんとCちゃんとメニュー表を作りました。

食べ物の絵を描いて、字を添えています。注文して遊びます。

写真はAちゃんが綿棒で、綿を伸ばしているところです。

 

写真は木片を三つつなげて作ったおにぎり型です。段ボールなどでも

すぐ作れます。

 

ラップを乗せて、黒い折り紙と赤い玉を入れて、

綿を押し込んでおにぎりを作っています。

遊びの中にこうした手間のかかる作業があることを

子どもはとても喜びます。綿を入れるのを手伝うところかはじめて、

全部自分でできるようになるととても喜びます。

 

同様の作り方でプリンもできます。

 

 

Bくんはトラックやゴミ収集車に物を入れるのを楽しんでいました。

そこで、お家に帰ってからも同様の遊びができるように

ブロックに装着する形の荷台を作りました。

箱を切って、輪ゴムを貼っただけです。

 

Bくんは動く仕掛けにとても興味がある子です。

ゴミ収集車のボタンを押すと、

ゴミが入っている部分が傾いて、中に入れたものが

ザーッと落ちてくることに興味を持っていました。

そこで、さきほどの荷台の部分に自動的に傾く機能をつけることにしました。

箱の下に木片を貼って補強してから、写真のように傾いた状態になるように

輪ゴムで引っ張っておきます。

それから、輪ゴムを引いて、ブロックの一部に引っかけて、

写真のように元の状態になるようにします。

引っかけているゴムをはずすと、傾きます。

 

Cちゃんが音のなる玉と鈴を振りながら音の違いを楽しんでいました。

音に敏感な時期のようです。

 

そこで、ヨーグルトのカップにいろいろなものを入れて

振って音を聞き分けるおもちゃを作りました。

Cちゃんは大喜び。

 

Dくんは、自分で全行程をやってみせて、とても得意そうでした。


ヘリコプターの基地 と車用エレベーター

2014-10-15 21:55:30 | 通常レッスン

年長のAくん、Bくん、Cくんのレッスンの様子です。

Aくんが作ったヘリコプターの基地。隣の建物とつながっている通路、エレベーター、

船と作り足すうちに大きな作品に。

ヘリコプターは輪ゴムで回る仕掛けです。(回転させるために、羽根と土台の間に

大きめのビーズをかませるのが作るコツです)

 

ざくざく切って作りながら、切り過ぎたところは紙で補修していくのが

Aくん流の作り方です。ちょっと大雑把な出来ではあるけれど、

失敗知らずのこの方法のおかげで

自分の頭の中のイメージを自在に形にしていくことができるようです。

 

Bくんの車のエレベーター。

 

エレベーターで上がった後、外の通路に出て、滑り台で下に降りて行くことが

できます。

 

Cくんは、バッティングマシーンを作ったあとで、ピッケのつくるえほんで

長いお話を作りました。

 

算数の時間。

『11ぴきのねことあほうどり』の絵本を読んだあとで問題です。

 

「11ぴきのあほうどりに2こずつコロッケをあげるとしたら、ぜんぶで

なんこコロッケがいるでしょう?」

 

最初は間違えていたのですが、少しすると全員正解しました。

『ウラパン・オコサ』という数遊びの絵本も見ました。

 

「下から1段目の右」「下から3段目の左」と位置を指定して

好きなカードを集めた後で、カードでじゃんけん勝負をしました。

 

ゲームの後で、「グーは1点、ちょきは2点、パーは3点」というルールで

得点計算をしました。どの子も正しく計算できました。

 


やんちゃくんをどうしつけたらいいでしょう?

2014-10-15 14:28:25 | 教育論 読者の方からのQ&A
声が大きい、自己主張が激しい、剣を振り回したり鉄砲のおもちゃで
 
遊ぶのが好き、お友達からすぐ物を取り上げる、年中けんかしている、
 
親に言い返す、物を取ったあと「●ちゃんのだよ。ちょうだいって
 
取ってもいいのかな?」とたずねると、
 
躊躇なく「いいの!」と答える。
 
誰にでも話しかけていき、主張して、結局みんなからちやほやされがち。
 
といったやんちゃタイプの子も、虹色教室にはたくさんいます。
 
私との相性が比較的いいので、虹色教室ではこのタイプの子の問題は
 
ほとんど起こりませんが、
 
親御さんのそうしたやんちゃくんへの対応には「問題あり」と
 
感じることが大いにあります。

私とその子で過している限り、快活さ、リーダーシップ、決断力、
 
強い意志、やりぬくエネルギー、何にでも食いついてくる好奇心、
 
疲れ知らず、機敏、集中力、潔さ、といったそうしたやんちゃタイプの
 
子の良いところが全面に出ているのに、お母さんかもしくは
 
ほかの大人たちのいるところでは、
 
わがままさ、自己コントロールができない、乱暴、大人への反抗、無視。
 
強がり、かんしゃく、しつこさ、その場の快楽的な楽しみばかり追う
 
暴力的な遊びばかり好む、あまのじゃく、といったやんちゃくんの
 
負の部分がどんどん引き出されてくることがよくあるのです。

どうして、同じひとりの外向型のやんちゃなタイプの子が、
 
こんなにも良い子であったり困った子であったりするのでしょう?


私は現在の日本のお母さん、お父さんのこのやんちゃタイプの子に
 
対する対応の仕方が、ほかのタイプの子の子育ての中でもきわだって
 
まずい場合が、よ~くあるからだと思っています。

やんちゃくんを相手するとき、周囲の大人がしめす必要がある態度は、

快活さ、リーダーシップ、決断力、強い意志、
 
やりぬくエネルギー、好奇心、疲れ知らず、機敏、集中力、潔さ
 
といった態度だと思っています。
 
やんちゃくんって親が、どうしようかな~と迷いのある態度で、
 
叱っていると、相手の許容範囲の限界まで……時にはそれを超えて、
 
自分の我を通してくるものです。
 
大人がハキハキしない決断できない態度だと、その隙を見つけて
 
ワガママの限りをつくしてきます。
 
けれども意志がはっきりしていて、ぶれたり揺れたりしない相手には、
 
気持ちがいいほど「潔い」態度で返してきます。

日本は、集団の色によって子どもに求める態度がコロコロ変わるので、
 
このやんちゃくんタイプの子が親から見れば最低最悪の態度を、
 
一番得した、うまくいった方法と誤解して、習得していきます。
 
「やめなさい」と言っても、しつこく悪さを繰り返すときは
 
「●と○とどちらがいいの?」と質問して、子どもに選ばせて、子どもが
 
選んだ方をぐずぐずせずに実行します。
 
そうしたとき、できるだけ創造的でユーモアのある解決法も一つ
 
用意しておくと、子どものかたくなになった心がほぐれて、
 
気持ちを切り替えて良い選択をしやすくなります。
 
日本風子育てでまずいな~と思うのは、こうしたとき、子どもが
 
大人がすすめる方法じゃないものを選んで、最終的に悲しい損した気持ちに
 
なっているときに、「ほら、お母さんが言った通りでしょう?」などと、
 
いやみっぽく潔い態度から程遠い言葉を吐いてしまうことです。
 
これだと、「どっちにする?」という質問の答えは、お母さんの気持ちや
 
判断によってきまるもの……と教え込んでいくことになりますよね。

また、遊びのあとで、たくさんもめたけれど
 
子どもなりに我慢もした時間のあとで、
 
「は~ぁ~」やれやれ……といった、ため息のような
 
今日もあなたのせいで疲れたわ~というメッセージを送ってしまうことです。
 
それよりも、ちょっとでも我慢できたのならそこにスポットを当てて
 
自分のイメージを作っていきやすいように、終わりには
 
「きちんと良い判断ができたね。~のときは、お兄さんだったね」
 
と誇らしい気持ちになれるような言葉をかけます。

そうしたときは私は、2つの視点でその子に接します。

たとえば、おもちゃを投げてふざけることを繰り返す場合、

投げるのをやめて楽しくおもちゃで遊ぶか、子どもにはつまらない
 
地味な遊び道具と交換するかを選ばせる……など、まず子どもに自分で
 
自分の態度を選んでコントロールできるような選択をさせて、
 
悪いことが及ぼす悪い結果を体感させて、学ばせます。そのかわり、
 
いやみを言ったり、普段から実行しない脅し文句は使いません。

また、投げてふざけるには、
 
やんちゃくんの体力にすれば、遊ぶスペースが室内で狭すぎたり、
 
運動不足だったりすることがありますから、
 
その子にとって必要な環境が整うようにします。

また、大きな声を出す、投げるなど一つひとつのことが、
 
より上手になって、上手にコントロールできるように教えます。

たとえば、剣やゴムでっぽうなどの使い方を教えて
 
危なくないように意識を集中して扱えるようにしていきます。

乱暴だから……とこうしたおもちゃを与えないでいると、
 
いつまでも力をコントロールできずに、めちゃめちゃで破壊的な
 
遊び方ばかりしてしまいます。
 
そうではなく、遊びでも、スポーツでも極めさせて、自尊心を高めて、
 
自分の強い力を無駄に使うことのばかばかしさを教えるのです。

何かが上手になると、それまでのワガママな態度は
 
子どもにとってたちまち赤ちゃんぽい魅力の薄いものに感じられてきます。

強いエネルギーを抑えるのではなく、
 
磨きをかけて上手に扱う方法を教えるのです。

こうしたことは、方法ばかりにとらわれても
 
親がその「本質的なこと」を体得できないうちは
 
うまく子どもに伝わらないと思います。

やんちゃくんというのは、スーパーヒーローに育てる可能性と
 
悪のヒーローに育てる可能性の二つを持った子です。

もし大人が想像力を豊かにして、

子どもの中にスーパーヒーローの
 
性質のいくつかを見出して、それが育つスペースを与えずに、

悪のヒーローの部分ばかり指摘して、子どもをそちらに導いていくなら
 
そのようにしか「なりようがない」ですよね。

もし親御さんが「わたしは素直でかわいいあかちゃんと、
 
言うことをきくペットと、優しいお父さんとお母さんが登場する
 
「ままごとあそびの世界」が好きだから、
 
ヒーロー物は私の世界の登場人物として認めない!」という
 
態度でこのやんちゃくんに接したなら、やんちゃくんはこの
 
「ままごと世界をぶっつぶしにくる悪のヒーロー」にしか
 
なりようがありません。

現代は、日本中の大人が、ガキ大将も、
 
やんちゃな子ども軍団も、汚れてどろんこの子も、
 
けんかばかりして次第に人の気持ちがわかってくる子も、
 
挫折して根気を学んでいく子も
 
「子ども」というイメージから、追い出し抹消して、

CMに出てくるキラキラ光る夢の世界の子ども
 
大人の話をワクワクして聞く子、素直でてきぱきした子だけしか
 
認めませんというルールを、お家でも公園でも幼稚園でも小学校でも
 
勝手に作り上げて子どもに押し付けがちです。

でもそれって、
 
日本にはウルトラマンもスーパーマンもいらない、「ママ」の言葉に
 
有無を言わずに従う子だけが必要です。

と子どもたちにメッセージを伝えていることにはならないでしょうか?

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「愛情の次にたいせつな子育てのルール」(主婦の友社)によると、
 
子どもに接する態度で親がミスを犯すと、

子どもが「親の関心をひくための戦い」に夢中になって、
 
何を言っても聞く耳持たない状況に陥ってしまうことが
 
あるそうなのです。

そこで、してはならない子育てのミスを紹介しますね。

愚痴をこぼす親(子どもの態度が悪いと文句ばかり言う親)

子どもは愚痴を言われるたびに、
 
「ママはぼく(私)のことがいやなんだ。もっと悪いことをして、
 
ママの注意をひかなくては…」となるそうです。

 
「なぜ、こんなことをするの?」と聞く親。
 
親の怒りを感じた子は「自分は受け入れられていない」と思い、
 
親が困っていると感じた子は「自分の方が優位な立場だ」と
 
思うそうです。

 
お願いをする親

子どもがやってもやらなくても同じ結果になる指示を出す親
 
「☆ちゃん。片付けなさい!」
 
☆ちゃん、無視。
 
「☆ちゃん、片付けなさい」
 
☆ちゃん、無視。
 
といった子どもに指示を出し、子どもが従わないことを容認していると、
 
「親が自分に要求することはあまり重要なことではない」と思うそうです。
 
徹底しない指示や要求を繰り返すと、子どもは親の言うことを
 
まったくきかなくなる危険性があるそうです。
 

予告を実行しない親

おどすけれど、おどしておしまい。
 
予告の乱用は、「親の言うことを聞くべきではない、と教え込む」
 
のと同じだそうです。
 
 
無視する親
 
問題行動を見て見ぬふりをするのは、
 
子どもの行動だけでなく人格を無視することにもつながります。
 

子どもを非難する親
 
脅かす親 罰する親。体罰は親子の信頼関係を破壊します。
 

こうしてミスを並べていると、ならどうすれば良いの…?と
 
悩んでしまう方もいますよね。
 
↑の間違いを、「受容」や「愛情」と間違って捉えている方も
 
いるかもしれません。

今回はくわしく、正しいルールのしるし方を紹介できないのですが、
 
簡単に言うと…

子育ての基本は「愛情」と「手本」をしるすことなのだそうです。
 
でも、それだけでは子どもは言うことを聞きません。
 
そこで必要なのが、「しつけのテクニック」です。

こうした子育て技術を具体的に伝えていける子ども向けの施設が
 
できたらよいな♪と思っています。



発達の凹凸のある子たちの思考力と社会性を育む関わり 4

2014-10-14 21:49:07 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

発達に凹凸がある子たちは、

苦手な課題を前にした時や

新しいことに取り組む時、何をしたらいいのか漠然としていてわからない時、

失敗したり負けたりしそうな時などに、ふざけたり、騒いだり、うろうろしたり、

誰かを攻撃したりしがちです。

心が浮遊しているかのように、ボーッとしたまま固まってしまう子もいます。

 

教室での勉強は、負荷をかけると不安定になるからとレベルを下げるのではなくて、

その子にすると「ちょっと難しくて、やったことのない新しい概念が含まれていて、

不安感に負けてパニックを起こしそう」くらいのレベルで問題を出しています。

 

普段そうした問題をするのを勧めるわけではなく、

「お家でする課題は、本人がやりなれている易しいものを」と親御さんに伝えています。

 でも、いつも易しいものばかりしていると、見慣れないものを目にするたびに、

「習っていない!できない!」と騒ぐ癖がついたり、

自分の頭で「うーん」とよく考えを練ってみるという経験が

できなくなったりするのです。

 それで、教室では、本人にするとちょっと苦しいレベルにして、

心がざわざわして爆発しそうな時にどうやって自分をなだめるのか、

長い文章を読みながら問題を解く時、どうやって整理して、どう解いていったらいいのか

教える機会を作っています。

 

そうするうちに、ほとんどの子が、

苦手や新しいものや、あいまいなものとどう関わるか身につけて、次第に落ち着いて

問題と向き合うようになっていくし、一時期パニックを起こすことがあっても、

それを機に受容できるものの範囲を大きく広げていきます。

 そんなわけで、体験的に、パニックを起こしそうになることに対しても、

「実際に成功体験を積ませること」「具体的な方法を繰り返し言葉で教えていくこと」

は重要だと考えています。

 

といっても、ただちょっと難しい課題を出して慣れさせていったら上手くいく、

というわけでもないので、誤解を避けるにはどう書けばいいのか悩んでいます。

 

過敏な子が未知のものを受け入れる幅を広げたり、

少し負荷がかかってもそれに耐えて新しいことをやり抜いたりするようになるには、

「自分を自由にありのままに表現できて、

そこで自分の好みを受容されているし、資質を認められてもいる」という場や時間を

親以外の人との関わりの中で持てているかが大事なんだろう、と感じています。


毎月、教室に通ってくれているAくんという4年生のグレーゾーンの男の子がいます。

想像力や類推する力に弱さのある子なので、教室に来始めた頃は、

見たことがない問題や少しでも考えなくてはならない問題にぶつかると、

顔面蒼白になってボーッとして固まったまんま、

時間が過ぎるのを待っているだけでした。

うんともすんとも言わないので、問題を読んでいるのかすら不明でした。

 

Aくんは、Aくん以外はみんな女の子という4人グループに属しています。

このグループは、スタート時こそ、「発達に少し気がかりがある子」という名目で

集まってもらっていたのですが、どの子も社会性の面でも知力の面でも申し分なく

成長してきたので、

今は「中学入試向けの少し難しい問題に取り組んでいるグループ」というくくりで

レッスンをしています。

このグループの子たちは、初めのころ、ミニチュアの小物を並べてドールハウスで

遊ぶのが好きで、部屋中に小物を敷きつめるようにしてミニチュアワールドを満喫

していました。が、いつしか女の子たちは工作や実験に興じるようになっていました。

 

そんな中、Aくんだけは毎回、毎回、ドールハウスにミニチュアを設置していくことに

こだわっていました。でも、ずっと同じレベルの活動を繰り返しているわけではなく、

回を重ねるごとに、飾り付けに独創的なアイデアが盛り込まれるようになり、

美しい映画の一場面を見るような「あっ」と目を引くものになってきました。

たとえば、ミニチュア家具を絶妙な重ね方で置くことで、

見る人にそれが「物置き」なんだとわかるようにしたり、

部屋の内部の物の置き方で住んでいる人の年齢や性格まで伝わるようにしているのです。

レストランは、それがどんなコンセプトでどんなメニューをそろえている店か

わかるような内装でした。

 

ミニチュアを並べるのなんてわざわざ教室に来てしなくても家でいくらでも

できることなんですけど、自分の作った世界を眺める人や

そこで表現されたものの価値を認める人がいることがAくんにとって大事なんだろう

と思えました。

 

というのも、そうやってどこまでも自分の興味を追いかけながら、同時に

外に向けて自分を表現することを続けるうちに、Aくんは手も足も出ないような

課題にぶつかっても、何とか理解しようと真剣に取り組んで、

一つひとつ苦手を克服していくようになったのです。

そんなAくんの強さと柔軟性がどこから生じてきたのかというと、

先にも書いた「自分を自由にありのままに表現できて、

そこで自分の好みを受容されているし、資質を認められてもいる」場と時間

からなのでしょう。