虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

ややこしい9、10歳の子 と 9歳の壁 

2015-12-25 06:31:05 | 教育論 読者の方からのQ&A

4年生の子をお持ちの知人が、

近い学年の子を育てている数人の幼馴染と雑談していた時のこと。

勉強の話になると、みな一様に、

「この頃、ややこしいことばっかり言って、先に進まないのよね。

あーだこーだ言ってないで、早く勉強やっちゃいなさいっていうの!」と

9歳を超えて、もうじき高学年を足を突っ込もうかという年代の子たちの

減らず口っぷりへの不満であふれかえっていたそうです。

 

3年生までは、黙々と計算ドリルをこなしていた子たちが、

「割り算の筆算って、どうしてこんな変な形なの?」とか、

「何で、1㎝は10㎜なのに、1mは100㎝なの?1時間が60分ってのも

おかしいし!」などと、どうでもいいような質問をくり返しては

勉強を脱線するものだから、10分ドリルに30分も1時間もかかるらしい。

 

「大きくなるにつれて反抗的になって困っちゃう」

「どうして何も言わずにさっさとできないのかしら?」

「悪知恵ばっかりついて……」と笑いながら愚痴るお母さんたちの言葉を耳にしながら、

教育関連の仕事をしている知人は、その年代の子のややこしさを別の視点から

捉えていたようでした。

 

「この年代の子たちって、それまで意味について考えずに取り組めていたものにも、

どうして?という疑問を抱くようになるんですよね。

時間の無駄のようにも感じても、そこで、そうした疑問に『面白いね、ほんと、

どうしてだろう?』って親もいっしょになって考えをめぐらせるのと、

つまらないことばっかり言って怠けていないで早くやっちゃいなさいと一喝するのとで、

その後、その子が算数や数学が好きで得意になっていくかの分かれ目になっていくと

思うんですよ。

9歳の壁って、そういう面でのできるかできないかの分かれ道でもあるのかも」

といったことをおっしゃいました。

 

「そういえば、そうだな~」と共感しました。

抽象的な思考の入り口に立とうとする子らの言葉は、どうでもいい御託を並べて、

物事を混ぜ返して中断しているようにしか見えないものです。

 

でもそうした思考の種を拾い上げて、

ていねいに良い土壌に埋めて、水や肥料を与えるか、ただの種だからとゴミ扱いするか、

それは子どもの勉強との関わり方を大きく左右するものだと思われました。

 

子どもの思考の種を大切に扱うためには、

近視眼的な成果を見過ぎないことが大事なのかな、とも感じ、

先週のレッスンでのこんな出来事を思い出しました。

 

ひとつひとつできることが増えていく喜び

という年長さんと1年生の子らのレッスンでの出来事です。

 

 

「サーカスの舞台を作りたい」という子らのために

ネットで検索したサーカスの画像のひとつに

下の写真のような二等辺三角形の旗が吊下がっている写真がありました。

これは、子どもたちの心を引きつけて、「作ってみたい」という子が数人いました。

 

そこで、折り紙を用意して、「どうしたらこんな旗がたくさんできるのか」という

話し合いをしました。

 

年長さんと1年生の子とはいえ、工作に慣れているので、二等辺三角形を作ることには

長けています。

いくつか折り紙を重ねて、半分に折れば、たくさん二等辺三角形ができることを

承知していました。

 

切った後で、上の写真のような二等辺三角形と直角三角形に分かれた時に、

「できるだけ折り紙を無駄遣いしたくない」

「二等辺三角形を切った残りの直角三角形から

二等辺三角形は作れないだろうか?」と考えた時に、

「答えがわからないから徒労に終わるかもしれないけれど、

うまく二等辺三角形が作れたら折り紙を有効利用できるし、面白いなぁ」という課題が

生じました。

 

「サーカスを作る」という目的のもとでは、

その一部である旗の切り方に試行錯誤するなんて時間の無駄でしかありません。

いろいろやったあげく、ひとつもいい考えが浮かばない可能性だってあります。

それでも、それぞれの子が、

「こうしたらどうかな?」「わかった!できるよきっと!」と

そこに関心を集中させて、いろいろなアイデアを出していると、

折り紙としてはあたり前の、「折ると、三角形ができました」というような

上の写真のようなアイデアでも、子どもの理解の度合いによっては、

二等辺三角形とは何なのか、補助線を引く時にどこに注目すればいいのか……

といったことが見えてくるような体験となるのです。

 

そうやって小さい二等辺三角形を切りとると、そのあまりは二等辺三角形になります。

図形の性質に気づく瞬間ですね。

 

 

 

ややこしい9、10歳の子 と 9歳の壁 2

 


子鉄くんたちと駅弁作り

2015-12-24 20:23:26 | 工作 ワークショップ

子鉄くんたち5人のループレッスンで。

お母さんといっしょに新幹線や阪急電車などの駅弁を作りました。

 

他の子のお母さんの折り方を見て、「こうやって折るんでしょ?」と自分から

真似し始めた3歳4ヶ月の★くん。空間を認識する力が優れている子のようです。

 

お魚好きの●くんはお魚プレート。

 

●くんは3歳9ヶ月。↑の水族館も作っていました。

レッスンに来た当初は「ママ作って~」「わからない」と作業をすぐに投げ出す姿が

目立っていたのですが、レッスンの回を重ねるに連れて、頭を使いながら集中して

取り組めるようになってきました。

水族館作りでは水槽を作ってから、内部に青いブロックを敷き詰めて、

隣にもう少し小さいサイズの水槽も作っていました。

中に入れる魚の大きさに合わせて水槽の大きさを決めたそうです。

 

今回、工作と理科遊びのテーマは『空気の働き』で飛び出すロケットや空気砲などの

作り方を学んだり、写真のような大きな空気の入った人形を作ったりしました。

ポンポン投げ上げて大喜びです。

 

算数遊びの時間には、「あわせて4ひきだよ。こっちの手には1ぴき。

もう一方の手には何びきいるかな?」とあてる問題をしました。

3歳9ヶ月の●くんにとって、この課題はたまらなく面白かったようです。

数に関する興味がとても高まっています。

真剣に何度もトライしては間違って、答えを確かめて、それからまた再び挑戦していました。

 


プログラミングロボットについて

2015-12-24 14:23:27 | 虹色教室の教具 おもちゃ

教室で遊んでいるプログラミングロボットについて質問をいただいたので

簡単に紹介させていただきます。

 

これまで購入したのは

KOROBOという5000円台の車の形をしたものと、

大人の科学のふろくだったものと、

アーテックの商品です。

子どもが自分で組みかえられるので、アーテックの商品がおすすめですが

最初は安価で扱いやすいものから購入した方がいい(プログラミングロボで

2000円台のもの)のではないかと思っています。

子どもの手にあまるものは、おもちゃとして遊ぶだけで終わってしまうので、

シンプルで機能が限られているものと十分に関わってから

次のレベルのものの購入を決めるといいですよ)

 


最終問題まで解き切った笑顔

2015-12-23 21:38:20 | 通常レッスン

小5のお姉ちゃんたちのレッスンにいっしょについてきていた小1のAくん。

「LASER MAZE」という頭脳パズルで初めて遊びました。

 

このパズル、ジュニア向けとはいえ、大人も悩ませるかなり難易度が高いもの。

お姉ちゃんたちふたりが15問目でリタイアしてからも、

Aくんはこのパズルと格闘し続けていました。

 

パズルをするうちに、Aくんは最終地点から遡って、

何手も前を予測するようになっていました。

それから、決め手をなる2方向に分かれる鏡をどこに置くのが最適かを

よく考えるようになっていました。

 

Aくんは、いきあたりばったりに鏡を置いて、レーザーで正誤を確かめる方法ではなく、

先に、紙の問題の上に鏡を置いてみて、

レーザーが進む経路を予測していくという解き方をしていました。

お姉ちゃんたちが学習している間も、パズルを解き続けていたAくんは、

なんと、最後の40番の問題まで解き終えていました。

最初の写真は、満面の笑顔でピースするAくん。

  


早期教育のメリットは?デメリットは? どこにどのような問題があるのでしょう 

2015-12-23 07:23:51 | 教育論 読者の方からのQ&A


保育士おとーちゃんの子育て日記というブログの「早期教育」というカテゴリーに、

一般的な早期教育をすることによって起こってくる発達のゆがみについて

具体的な例を挙げて紹介されています。

 

そこに書かれているひとことひとことが、虹色教室で子どもたちに接する中で、

日々、目の当たりにし、実感していることもであるので、

その言葉の真実味に心を揺さぶられました。

 

虹色教室には、1~2ヶ月に一度、虹色教室にだけ通っていて、

お家ではこれといった知的なインプットやプリント等はしていないという子と、

他の早期教育の教室や習い事にも通っていて、家庭でも知的な働きかけを熱心に

受けているという子のどちらも教室の通っています。

 

知的な能力の差という面ではどちらもあまり変わらないように見えます。

特に9歳くらいまでは。

 

でも、モチベーションや精神面での成長、責任感、意欲、知的な好奇心の広がり方、

自分で問題を解決する能力などは、子どもの個性や能力の違いを差し引いても

早期教育色の強い働きかけが多いお家の子は、そうでない子たちに比べて

かなり弱かったり低かったりするように感じています。

 

想像力、創造力、自発性、自分で判断する力、メタ認知力なども、

知力に対してアンバランスなほど弱弱しさを感じることが多いです。

 

ただし、ここで言う早期教育色の濃い薄いは、単純に、

何歳からどんな習いごとをさせたから……とか、

何歳からどのような知的な教材をさせたから……という表面的なものではありません。

 

0歳の頃からあれこれやれることは全てしているというお家であっても

早期教育色がほとんど感じられないこともありますから。

一方で、外遊びをさせ、積み木やブロックで遊ばせ、絵本の読み聞かせをし、

のびのび育てているというお家でも、わたしには、子どもの可能性を狭めてしまうような

早期教育色の強さのようなものを感じる時もあります。

 

それについては後からもう少しくわしく説明しますね。

 

虹色教室にいらっしゃっている親御さんたちは、

何かを教えこんだり、結果をださせる教育については、子どもの中からそうした意欲が

高まるまで待つ姿勢で関わるという方が多いです。

 

そうした早期教育はしていないと思われる方々であっても、

数の敏感期には数と触れ合う機会を設け、指先を使いたがる時期には存分に工作をさせ、

好奇心を広げるためにさまざまな体験を用意し、生活の中で、推理したり考えたり

するのを楽しめるような活動を大切にしておられる方がほとんどです。

 

ですから、今回書かせていただくのは、

一般的な「早期教育をされて育った子」と「早期教育なしで育った子」という比較とは

異なることをご了解ください。

 

早期教育のメリットは?デメリットは? どこにどのような問題があるのでしょう  2

早期教育のメリットは?デメリットは? どこにどのような問題があるのでしょう  3

 

早期教育のメリットは?デメリットは? どこにどのような問題があるのでしょう  4

早期教育のメリットは?デメリットは? どこにどのような問題があるのでしょう  5

 

 

早期教育のメリットは?デメリットは? どこにどのような問題があるのでしょう  6

早期教育のメリットは?デメリットは? どこにどのような問題があるのでしょう  7

 

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ブロックでピタゴラ装置作り

2015-12-22 16:12:50 | 工作 ワークショップ

 

ブロック遊びにレールや磁石、レンズ、モーター類などを加える遊び方を紹介します。

 

上の写真は、ブロックで作った塔にピタゴラスイッチのような仕掛けや、

巻き取り式のエレベーターを取りつけて遊んでいるところです。

科学への興味を育み、考える力を高めます。

 

↑ モーターをブロックに装着するのに輪ゴムを使っています。

電池とモーターに輪ゴムを貼り付けているだけですが、ブロックで作った世界に

観覧車や風力発電、色混ぜ実験の道具、ヘリコプターなど加えたい時に役立ちます。

3歳と4歳の○くんと●くんは、このモーターの工作に夢中でした。

2歳の妹さんも、自分で回転させては大はしゃぎでした。

 

飛ばし道具、鈴、振動でメロディーが流れるゴール用の小道具などを

使って遊び中。


子どもの成長に合わせて 親の働きかけを変えていくことについて

2015-12-22 09:46:36 | 連絡事項
子どもは常に成長していきます。ある時期、子どもにとって必要だった働きかけも、
子どもの成長に応じて、変化させていかなくてはなりません。
 
どんな場合 変えた方がいいのかというと、親子でひとつのパターンが定着して、
子どもがそれに依存しはじめた時です。
 
たとえば、子どもが問題を解くたびに「お母さん、あってる?」とたずねて、自分では答えがあっているかどうか見直す素振りがないとします。
たいていの場合 親御さんは 子どもが間違いを直して正しい答えを覚えることに気持がいっています。
ですから「あってるわよ」とか「そこちがうわよ」といったコメントを返して終わってしまいます。

でも、注意が必要なのは、そうした質問をする子は、『解いた問題をチェックするのはお母さん』というパターンに慣れてしまって、自分のしていることを少し高い視点から眺めて、解いた答えがあっているかどうか確かめようとするメタ認知の働きが弱くなっているのです。
 
そんな場合は、まず、答えが正しいかどうか確かめる方法を、ポイント、ポイントに注意してていねいに教えてから、「解き終わったら、お母さんあってる?ってたずねる前に、こうやって自分で
あってるかな?って確かめるのよ」と説明して、少しずつ少しずつ親側が手を抜いていくようにした方がいいです。

写真は「見本どおり積めるかな?」という積み木の問題。
「1階、2階、屋根 OK!」とひとつひとつ指差しして確認すると答えが正しいかどうか自分でも確かめられますね。

課題にチャレンジしている場合以外でも、親子でできてしまった同じパターンの繰り返しが、子どもの成長の邪魔をしているケースがよくあります。

たとえば、「これ何?」「これ何?」としじゅう子どもにテストをするような声かけをしていたり、「これは赤よ」「これは『あ』って読むのよ」などと何かを教える声かけばかりしている親御さんの子どもで、会話をする能力にかなりの遅れが見られることがあるのです。


会話というのは、決められた質問にワンパターンの答えを返していくだけでは育ちにくいのです。子どもが自発的にあれこれ話すのに、大人がちょうどいいフィードバックを返してあげていると、上達していきます。

悪いパターンは、大人の視点が子どもの「できる」「できない」にだけ向けられているときに、つきやすいです。
子どもに働きかけるときに、子どもを見ることに夢中になるのではなくて、自分自身の言動と、子どもと自分の間で交わされている言葉や気持のキャッチボールの内容に気を配るようにすると、
子どもはできなかったことを次々自分で乗り越えていきます。

おみくじ(お正月が近いのでこんな工作はいかが?)

2015-12-20 21:22:40 | 工作 ワークショップ
小1の★くんがお家で『おみくじ』を作ってきてくれました。
(文の内容の記憶が正確でないのですが……)

【大吉】なにをしてもせいこうします。ねがいごとがなんでもかないます。
りょこうにいくとよいでしょう

【凶】 ともだちとけんかになりそうになったら、ぐっとがまんしてやさしい
きもちでせっしましょう。どうぶつをかわいがるといいことがあります。

など、ひとつひとつにていねいなアドバイスが書いてあります。
『いわぬがはな』などのことわざや慣用句も書いてありました。

★くんは、
「お母さんが引けばいいな」と言いながら、

【凶】あかんことをしてもすぐにおこらないようにしましょう。
『たんきはそんき』

というおみくじを作ったそうです。

おませな3歳の妹さんにいつもとっちめられているので、
「妹が引けばいいな」と言いながら、
「2、3さいのときから、わるいことばづかいをしないようにしましょう」
というおみくじも作っていました。

「おみくじの箱は6角柱ね。どうやって作ったの?」とたずねると、
お菓子の箱をばらして、その展開図を参考にして作ったそうです。
いいアイデアですね。

トミカのスーパーオートトミカビルがうらやましかったので、こんなものを作ってみました♪

2015-12-20 21:06:42 | 工作 ワークショップ

トミカのスーパーオートトミカビルにスクリューの原理が使われているのを見て、

「これで遊ばせてあげたら、子どもたちがアルキメデスの原理に親しみが持てるように

なるだろうな。欲しいな~」と思ったものの……。

値段の問題もあるけど、これ以上、狭い教室内におもちゃを増やすわけにもいかない

ので、手近にあるものでこんなものを作ってみました。

 

1分工作です。

うまくいくのか半信半疑で試してみたら、下から入ったビー玉が

筒をねじると、どんどん上へ押し上げられていき、上から出てきました。

 

材料は、ペットボトル、キッチンペーパーの芯、もこもこモール、両面テープです。

 

写真では下に穴を開けているのですが、開けずに回転させたときの方が、

原理が体感しやすかったです。

 

ペットボトルはカッターで切り、切り口をセロテープで覆います。

ビー玉コースターのスターターとしても使えそうです。