虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもの興味を深めるために

2016-06-26 20:12:17 | 通常レッスン

年長さんの★くんに、「今日は何がしたい?」とたずねると、

「ゴミ処理場が作りたい」と即答。

ゴミ処理場の見学に行ったそうです。

教室では、ゴミ収集車のおもちゃが2,3歳児さんたちの間で大人気で、

毎回、取り合いになっているのですが、

ゴミ処理場が作りたいと言ったのは、★くんが初めてです。

ネットでゴミ処理場のしくみを調べて、さっそく処理場作り。

処理場に到着したゴミは、ゴミピットという1週間分のゴミを溜める

場所におろされるそうです。

おろすシーンを作るために、高い位置にゴミ収集車が入っている場所を作っています。

小さめのドミノをゴミにしています。

ゴミクレーンは、空き箱で作りました。

引っぱると開くしくみです。

★くんが焼却場の雰囲気を出すために

プラズマボールを取ってきました。

手前のホースがついたものは、有毒ガスの除去装置のつもりです。

算数の時間は、しっかり集中して取り組めていました。


年中さんグループ の算数レッスンのひとこま

2016-06-26 07:27:07 | 算数

年中のAちゃん、Bちゃん、Cちゃん。

工作用のティッシュの箱にビー玉をたくさん詰め込むいたずらをしていました。

 

いくつ入っているか数えることにしました。

「10より多いかな?」とたずねると、3人とも興味しんしんです。

 

10のくぼみのある製氷皿に、「1,2,3……」と数えながら入れていくと……。

 

トレイのくぼみが全て埋まっても、まだまだあります。

そこで、「10はAちゃん持っていてね」とトレイのビー玉をAちゃんの手の中に

預けて、11から先を数えていくことにしました。

「11,12、13……20」まだあります。

 

「21,22,23……」みんな2ケタの数も上手に数えています。

 

「30」までトレイに入れてから、ティッシュ箱を振ると、

カラコロ小さい音がしました。隙間からひとつだけビー玉が見えます。

「あっ、31こだ!」とCちゃんがうれしそうに声をあげていました。

 

いっしょに空中浮遊という手品の道具を作っていた時のこと。

お人形を描いて、重りを仕込ませて作ります。

頭だけで人形をコップの縁に乗せて大喜びの子どもたち。

 

手品に刺激されて、Cちゃんが、

「あのねぇ、先生。わたし、手にカードとかペタッてできるよ」

と言いました。「すごいね。汗をかくからひっつくのかな?」と話していると、

「ほらーほらー」と金色のテープを乗せて実演。Cちゃん曰く、手品なのだそう。

 

手品かどうかは別にして、これは他の子たちに大受けで、

「見て―見てー先生!わたしもできるー」「はやく写真撮って」と

言いながらこの通り。

 

カニの迷路とお家を作って遊びました。

カニを放したところ、いっしょう懸命作った子のお家ではなく、

箱に穴を開けただけだったCちゃんのお家に何匹か集まって動かなくなりました。

「カニは、電気のついた家は嫌いなのね。

じめじめしていて、暗くて、お魚のにおいとかちくわのにおいがして

ちょっとくさいお家が好きなのかな?」といった話をすると、

子どもたち同士で「わたしは明るくてじめじめしてないお家が好きだけど、

カニは電気が消えているお家が好きなのよねぇ」といった話で盛り上がっていました。

 

Bちゃんが作ったブランコ。Bちゃんは2歳の時にブロックとブロックの間に

ストローをはさんで、「ラプンツェル作ったよ」と言っていました。

長いストローがラプンツェルの髪の毛に見えたようです。

それ以来、ストローを使ってさまざまなものを作るようになったBちゃん。

ブランコ、うんてい、牧場の柵、カギなど自在に作っていきます。


お城の石垣用や遺跡用に安価できれいな石を見つけました。

2016-06-25 07:33:45 | 工作 ワークショップ

お城の石垣作りは子どもたちが大好きな工作です。

石垣作りにとてもいい小石を見つけました。

 

ホームセンターで金魚の砂として売られている五色石です。

2キロで400円ほどです。工作には新五色石がお勧めです。

 


100円グッズで戦隊物のベルト作り

2016-06-25 07:33:10 | 工作 ワークショップ

戦隊物の変身グッズを作るときに便利な材料を紹介します。

 

100円ショップで売っている

自転車用の赤い点滅するライトです。

 

写真は、赤いカバーの部分をはずしたところです。

横のボタンを押すと、赤い3つのライトが点滅します。

 

これを戦隊物の変身ベルトに取り付けると、

なかなかかっこいい代物になりますよ♪

自転車用のライトなので、背後にクリップのような引っ掛ける部分がついているので

作りやすいです。

子どもの腰に布のリボン等を巻いて、

このライトを引っ掛けるだけでも変身ベルトになります。


年中さんの算数レッスン たし算マシーン と ひき算マシーン

2016-06-24 13:34:53 | 算数

年中のAくんとBくんのレッスンの様子を算数の学習中心に紹介します。

「コードマスター(プログラミング ロジック ゲーム)」

の課題に挑戦しています。

このパズル、アメリカのお土産にいただいたもので、今、教室にくる男の子たちに

とても人気があります。

対象年齢は8歳~大人までとあるいるのですが、

AくんもBくんもすぐにルールを飲みこんで問題を解いていました。

 

↑ 写真のブロック作品を『たし算マシーン』ということにして問題を出して

遊びました。隙間にいくつか大きめのビーズを入れておきます。

 

「上から5このビーズを投入する場合、途中で3こと4この

ビーズが加わって出てくるとすると、下からいくつのビーズが出てくるでしょう?」

といった問題を考えます。

こうしたおもちゃで課題に取り組むよさは、

「正しい数を当てたい」「あっているかごうか確かめたい」

「もういっかいやりたい」という気持ちを引き出してくれることです。

 

ついでに引き算マシーンも作りました。

ジュースとお茶がでてくる機械と同じ作りかたです。

投入する数について、指で形を作ってしっかり確認します。

問題を出す側の子が一本だけブロックの棒を引き抜きます。残った数を見て、

下に落ちた数がいくつだったか当てます。

答える側の子は、残っているビーズの数を当てます。

 

間違えても楽しいし、何度も遊ぶうちに

5-2と6-2の違いにしても、答えを知識として知るのではなく、

計算式と答えの関係について勘を身につけながら理解を深めています。

 

AくんとBくんが競ってやりたがっていた二進法のおもちゃ。

幼い子たちには二進法の仕組みは難しいので、

レバーについている数を足したら、予想通りの数のポケットに玉が入るように

しています。

 

左の作品は、ひき算マシーンにBくんがブロックを足していって

『ひき算マシーンスーパーX』に進化させたものです。

右は、Aくんのひき算マシーンの進化形。

 

今回、創作好きのAくんのひき算マシーンはあまり凝った作りではありません。

実は、Bくんがひき算マシーンスーパーXを作っている間、

お城の石垣を作っていたから時間が足りなくなったのでした。

 

まだお城は建っていません。

 

算数タイムに5円で遊んでいます。5円がふたつ。5と5で十。

手を打って確認。

 

5円が4つ。

指で忍者になって、5円の上を渡ります。

「5~10~15~20」と数えながら。

大きな数を見て、64-4 や 78-8などを考え中。

 

AくんもBくんも数が大好きな子に成長しつつあります。


年少さんたちがフロー状態になりやすい工作 

2016-06-22 18:20:45 | 工作 ワークショップ

ずいぶん前になりますが、

ピタゴラスイッチ研究部とフローという記事を書いたことがあります。

その後、時折、「子どもがフロー状態になるような遊びってどのようなものですか?」

という質問をいただくことがありました。

子どもって、「その年齢の敏感期に合致していること」や

「その子にとって少しだけ難しいけれどがんばればできること」や

「その年齢の子の思考の仕方の発達と関わること」でやっていることに

のめりこむ状態になりやすいです。

 

 

年少さんたちの好きな物作りに、「空間を囲う」というものがあります。

その前の段階の子たちが何か作る時は、やたらと切り刻むとか、

紙を折りに折ったあげくテープで完全密封するとか、

空間とは無縁の隙のなさが感じられるのですが、

年少児になると、突然、何もない空間を物作りに取り入れだす子は多いです。

 

といって凝ったものではなく、

紙コップを半分くらいの高さに切ただけとか紙を折ると偶然四角い枠が

できたから「お風呂」と命名するような簡単なものですが……。

ぬいぐるみの人形や身体を覆って、帽子や靴や洋服などを作ったりする作業も、

この時期の子たちの専売特許です。

 

 

でも、簡単とはいえ、覆うべき中身にあたる部分を想定して、

その囲いや覆いや容器にあたる部分を作るという感覚は、

この時期の前の段階の子らには想像だにしないもののようで、

幼児の内面である能力が発達しつつあるのを目で確かめているような気になります。

 

うさぎ小屋をブロックで作っていた年少の3人。

ひたすら、囲っています。

 

 

年少さんたちは、プレ年少の子たちが好む「切り刻む作業」もまだまだブームです。

切りだすととまらなくなって、おそろしい勢いで溜まっていきます。

でも、プレ年少の子らと年少の子の違いは、

そうして切り刻んだもので遊ぶ際に、「うさぎが食べ過ぎたらいけないから、

月曜日、火曜日、水曜日……って、えさを分けておこうね」といった

アイデアが強く響くところです。

こういう秩序のあることや分けることに惹かれます。

 

くるっと回すとお塩が出てくる仕掛け。

 

牛乳パックのジュースサーバー。

 

レジで遊ぶ時、おりがみ等で「さいふ」を作り、お金を出し入れするのも好きです。

商品に「はいっ」と購入済みのシールを貼るのをセロテープで代用するのをとても

喜んでいました。

 

100円と50円の自動販売機。

折り紙を半分に折ったものをくるっと丸めると

3、4歳児にちょうどできるレベルの缶ジュースになります。

100円のジュースと50円のジュースはサイズを変えます。

 

手動の自動販売機は、お金を見て、ジュースを出す機械の役も楽しいです。

 

年少のAくんが夢中になっていた落とし穴作り。

囲いの上にティッシュを乗せて、上からブロックで囲います。

 

ティッシュにお金をくり抜いた残りの折り紙を貼ってブロックの囲いに取りつけると、

本当に発掘できる発掘現場になりました。

大阪城内めぐりに参加していた2歳のBくんが、これを見て、「はっくつ!」と

思いだしてつぶやいていました。


就学前に何を学習したらよいか  心的パターンを創造するよう うながすには?続きの続き

2016-06-22 07:07:31 | 日々思うこと 雑感

『よみがえれ思考力』にある、子どもが心的パターンを創る過程を援助するための

ガイドラインの続きを書きますね。

 

<就学前の豊かな環境>

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★ 黒板やぬり絵、粘土や砂、小麦粉粘土、フィンガーペインティング、水、折り紙、

水、折り紙、糊、泥んこ等が、子どもの感覚受容系を構造化し、さらに精巧にさせる助けとなる

遊び素材である。

もし手足が汚れるということが気になったら、目を閉じて子どもの混沌とした頭の中で、

ニューロンの小さな樹状突起が絵だを広げていくさまを思い浮かべてほしい。

 

★ 遊びの感覚的な側面は言葉でつなぎとめることができる。

「それはどんなに見え、聞こえ、嗅い、味がし、感じがするかな?」

これは語彙を増やすにはよい機会である(たとえば、手触りがよい、

でこぼこしている、鋭い、おいしい)。

 

★ 数や文字などの作業レベルの学習課題を「教える」ようなワークブック、あるいはそれに類似した

市販の「学習」教材は避けること。

 

★ 子どもが大きくなるにしたがって、週ごとの遊びのトピックスを選ぶ。

たとえば、拡大鏡を出したり、ビンを集めたり、箱を並べたり、自然観察のための

図鑑を出したりする。

子どもの興味にそうようにすること。

           ( 『よみがえれ思考力』からの引用)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ママ友同士の情報では、実際に子どもの認知の発達を研究する人々が

追跡調査もして子どもの脳にとって良いと見なした環境と

正反対のものが持てはやされがちです。

 

子どもの脳内を覗くことはできませんから、

短い一時期、他の子より先に何かできるか、できないか、に目を

奪われてしまうのも仕方ありません。

 

でも、幼児期は2度とこないのですから、周囲の流行の話題に流されず、

何が重要なのかよく考えて子どもと過ごすことが大切ですね。

 

周囲に同調するといえば、

話が少し脱線しますが……『物理と対称性』という本の中に、こんな話がありました。

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(原子間の相互作用の話題の後で)

人間集団の場合も、隣の人が右を向いたらそれに見習って右をむく、隣人に「どうする?」と

相談し、「あなたがそうなら私もそう決めよう」という光景を見かけるだろう。

個人の行動が規制されていて、自由がない社会ほど、隣と同意見の方が安全だからである。

もちろん、このようなコミュニケーションがあっても、個人の活動エネルギーが、

隣との相互作用より大きければ、やはり勝手な方向を向く。

意見が揃うのは、主体性がないとも見えるが、逆に、他人の意見も聞かず自分勝手に行動するアナーキーな社会は、

社会と呼ぶのにふさわしくない。

個々の構成子が他の構成子に何の影響も与えずてんでばらばらな集団は、いつまでたってもてんでバラバラで、

世論の形成も統制された行動も起こらない。

個性が尊重され、自己の判断で左右を選択できる自由が保障されており、しかもコミュニケーションが盛んな社会も

ある。そこでは、自分たちの方向を、コミュニケーションを通じて選択するので、

社会の発展・進化が可能になる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

幼い子どもたちが過ごす場も、周囲と同調していないと安心できないような環境や、

それぞれが自分勝手にバラバラに振舞うような環境が増えているように

思います。

 

虹色教室でレッスンの流れを作る時、いつも、先の文にあった

「個性が尊重され、自己の判断で左右を選択できる自由が保障されていて、

しかもコミュニケーションが盛んであること」

「自分たちの方向をコミュニケーションを通して選択するので、個人としても集団としても

発展と進化が可能になること」

の2点に気をつけています。

 

↑ 「今日、何がしたいのか」「いくつかの選択肢の中からどれがしてみたいか」

みんなで話しあいます。

わたしは、活動の中で、それぞれの個性がいかせるように、

適度に手助けしています。

 

今日のレッスンで、こんなことがありました。

 

昨日の子どもたちの作品(清水寺)を飾っていたので、それを見た☆ちゃんが、

「わたしも世界遺産の建物が作りたい」と言いました。

図鑑を見て、「ピサの斜塔」を選んだ☆ちゃんに、レンガ積み木で作っては?と

アドバイスをしたのですが、清水寺と同じようにブロックで作りたいとのこと。

「でも、ピサの斜塔は、丸い形を作らないといけないでしょ?ブロックだときれいに

できるかな?」と相談に乗っていると、

以前、教室でブロックで曲線を作る方法を教えた時のことを覚えていたらしく、

「こういう風につないで、曲げるといい」と答えました。

 

子どもたちが何を使って、どんな活動をするのか、

最初からお膳立てされている環境では、自分の個性を表現しにくいし、

自分でアイデアを出したり、問題を解決したりする機会が限られます。

といっても、自由すぎる場では、言葉で話しあいながら自分の考えを整理したり、

模倣したり、教わったり、それらを発展させたりすることができません。

 

集団の場で、ひとりひとりの個性や意見が大切に扱いながら、

同時にお互いから学び合い、進歩していく状態を作るのには、

さまざまなコツがあります。

 

初めて集まった子たちが大勢いる場で工夫しているのは、こんなことです。

 

子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 1

子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 2

子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 3

子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 4

子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 5

子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 6

 

遊びの話し合いと発展の例

ジュース屋さんごっこ、レストランで実験遊び

子どもたちのやる気がない時

「煮干しの解剖」実習セット と カルマンの渦

 

他の子らも手伝って、製作中。最後に斜めにできるように、ブロックの基礎板を裏返して

土台にしています。



 


『レゴランド』で感じたさまざまなこと 2

2016-06-21 16:35:35 | 日々思うこと 雑感

前回の記事で、こんなことを書きました。

それについて、もう少しくわしく説明しますね。

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親はよりよいもの、より魅力的なものを子どもに与えたいと思うけれど、

すばらしさを受動的に受け取るだけでなく

能動的に環境と会話していける力を育むには、

何もかもが未完成で、常に自分自身の気持ちやイメージを最も重要なものと

扱えるような(扱ってもらえるような)場で十分な時間を過ごす必要もあるのです。

----------------------------------

現代の子どもたちは、「すでに完璧にできあがったもの」「完成されたもの」に

囲まれて暮らしています。

 

そうした完成度の高いものは、子どもが自分のアイデアを差しはさんだり、

自分で問題を解決したりする余白がありません。

あるとすれば、アイデアを出すにしろ、問題を解決するにしろ、

あらかじめ用意された答えのある課題として与えられる場合だけです。

 

それはそれで知能を高めてくれるでしょうが、

頭を使う際、自分の個性が関与することはないはずです。

身のまわりの世界が自分の関わり方次第で変化することや、

自分には未知の課題を発見する力があり、「課題そのもの」を作りだすことさえできる

ことに気づくことはないでしょう。

 

前回の記事で、「レゴランドの魅力に興じながら、普段、教室でしている地味な

活動の意味や真価に思い至りました」と書きました。

虹色教室は、子どもたちが、遊び、創作、科学実験、算数の学習などに

主体的に取り組めるようにサポートしている場です。

 

「主体的」という言葉は、聞こえはいいですが、実際には、

それぞれの子の個性やその時の発達段階や好みや感情やこだわりと付き合いつつ、

混沌としたその子の内面から目的意識願望意志自分を表現しようとする思い

現れてくるまで見守って初めて、出てくる態度です。

他者から学ぼうとする姿勢や

知的好奇心を抱いて積極的に環境に働きかけていく構えにしても、

それぞれの子が自分のネガティブで弱くてダメな一面とも

根気よくつきあっていけるように支え続けることで身に着くものです。

 

子どもたちのほとんどは、

完成された世界を享受し、子どもを進歩へと駆り立てるカリキュラムに管理されるうちに

自分で自分自身の畑を耕すのを忘れてしまっています。

 

虹色教室は、たいしたことをするわけではないけれど、

一貫して子どもが自分の内に潜在している宝ものを探し続ける手伝いをしたいと

考えています。

 

好きなもの。やっていてワクワクすること。得意なこと。

欠点のように見えるけど、磨けば長所に変わるもの。

発見したこと。あこがれること。達成したこと。

願い。自分のなかにくすぶっている聞いてもらいたい思い。

時間を忘れて熱中できること。「これは自分だ」って感じられること、など。


レゴランドにはあまり関係のない記事になっちゃいましたが……

子どもたちにとって完成度の高い世界が自分を喜ばせるために存在するのでなく

自ら能動的に働きかけていく対象となることを願いながら

レゴランドを後にしました。 


『レゴランド』で感じたさまざまなこと 1

2016-06-20 19:25:36 | 日々思うこと 雑感

アメリカからいらしている友人家族といっしょに

天保山の海遊館の近くにできた『レゴランド』に行ってきました。

全てレゴで作られた大阪の街は圧巻。

子どもたちが身体を使って全力で遊べる場や乗れる乗り物もいろいろあって

すばらしかったです。

写真を撮ってもいいコーナーが限られていたので十分お伝えできないのが残念です。

レゴ好きの子とはぜひ出かけてみてくださいね。

 

友だち家族は、アメリカのレゴランドに行ったことがあるそうです。

工作好きの息子のAくんは、作り方が決まっているレゴのキットよりも

自分でゼロからイメージして作るのが好きな子です。

前に行ったレゴランドのおみやげコーナーでも、

レゴのパーツを選んで袋詰めにするコーナーで

長い時間をかけてひとつひとつパーツを選んでいたそうです。

袋の中を見ると、珍しい特殊パーツばかり。

友人のSさんは「これは作品ができあがらないんじゃないか」と

思ったそうなのですが、家に帰ったAくんは、全てのパーツを使って船を

完成させたのだとか。

「ちゃんと、こういう風に作ろうとイメージして選んでたのね」と驚いたのだとか。

 

今回も、Aくんとレゴランド内をまわりながら、物を作ったことがある目で

こうしたアトラクションを眺めると、

「こんな面白いアイデアがあるのか」「こんな工夫をしたらいいんだな」

「この形はユニーク」「こんな仕組みで動いているのか」

と、数えきれないほどの学びを得ることができるんだな、と感じました。

一方、創造的な活動をしたことがない子がこうした刺激過多の場にくると、

ただただ気分を興奮させることを求めてうろうろして終わり……ということに

なるのかもしれません。

 

 

]

 

レゴランドの魅力に興じながら、

普段、教室でしている地味な活動の意味や真価に思い至りました。

 

レゴランドの作品は完成度が高いけれど、完成度の高さゆえに、創作初心者の子たちに

「真似して作りたい」という気持ちを生じさせるのは難しくもあります。

また、一足飛びに最も難しい作品を作りたいという思いを掻き立てて、

自分のできる範囲で創作に興じる心を萎えさせる場合もあります。

親はよりよいもの、より魅力的なものを子どもに与えたいと思うけれど、

すばらしさを受動的に受け取るだけでなく

能動的に環境と会話していける力を育むには、何もかもが未完成で、

常に自分自身の気持ちやイメージを最も重要なものと扱えるような(扱ってもらえる

ような)場で十分な時間を過ごす必要もあるのです。

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(おまけ)

レゴランドに出かける日の午前中、Aくんには

教室の1年生の男の子たちのレッスンにいっしょに参加してもらいました。

 

Aくんの作品です。ビー玉を押してスロープをのぼると、

ビー玉がかごの中に入ります。

ひもを引っぱるとかごが上がって行きブロックで作った塔の中に落ちます。

塔にはたくさんのストッパーがついていて、ひとつずつ引き抜くと、

ビー玉がだんだん下の段に降りていきます。

 

1年生のBくんが作った『ワシ』

 

Cくんが作った自動改札機。一方に切符を入れると、もう一方から出てきます。

 

Dくんが作った長い長い新幹線。長すぎて、写真におさまりませんでした。

 

算数タイムにしたアルバイト料の計算。

これはBくんがこの日一日で稼いだアルバイト料金です。

子どもたちはそれぞれ働きたい仕事と時給と働く時間を自分で決めています。

Bくんは鳥博士の仕事でこれだけお金を手にしました。 


就学前に何を学習したらよいか。心的パターンを創造するよう うながすには?(1〜5まとめ)

2016-06-20 07:41:58 | 幼児教育の基本

『よみがえれ思考力』の著者、ジェーン・ハーリーは、小中学校の教員、

読みと学習のスペシャリスト、大学教員、小学校校長などのキャリアを持つ、

国際的にも評価のある研究者です。

 

ジェーン・ハーリーは、子どもの学習について長年研究したのち、

パターンというものが知能にとっては鍵であると確信するようになったそうです。

情報をパターン化するということは、それまで発達している心的な留め金で

新しい情報を関連付け、まとめあげることです。

感覚レベルで入力された情報をまとめあげ、関係性を「見て取る」ことができる

子どもたちは、思考と考えをまとめあげるのに手間取りません。

 

わたしは虹色教室で自閉症の子たちと接することが多いのですが、

どの子も経験したことを意味へと落とし込めないために困っています。

学校での成績は抜群の一部のアスペルガー症候群の子らにしても、

経験から意味をつむぎだすのは、非常に苦手なようです。

 

ジェーン・ハーリーも、自閉症児のひきこもりや異常なこだわりは、

経験を意味のある形にまとめることができないことの障害から派生しており、

彼らは見たもの、聞いたもの、感じた物が混沌とした状態になっているのだと

多くの専門家が考えていることを指摘しています。

 

ジェーン・ハーリーによると、早期教育の弊害とは、

レベルの高い課題を、その脳の領域が発達する前にこなそうとすると、

低次の神経系を使ったり、自分で意味のパターンを創造するより、

言われたことをただ受け取るような「習慣」がつくことに原因があるようです。

 

就学前の子に何より大切なのは、

意味を探究し、自分で意味のパターンを創造するように援助することです。

 

虹色教室の活動でも、子どもが周りの世界を理解する方法を身につけること、

自ら心的パターンを創造していくよう助けることを一番大切にしています。

 

といっても、そうした言葉だけでは、具体的にどんな関わりをしたらいいのか

ピンとこないですよね。

『よみがえれ思考力』の中にも、ほかのさまざまな幼児の発達を研究する本の中にも、

ヒントやアドバイスが載ってはいますが、

実際にそれを実行するとなると、戸惑う方も多いのではないかと感じています。

 

そこで、教室で心的パターンを創造するために

どんな働きかけをしていて、子どもがどのように成長していったのか、

できるだけていねいに書いていこうと思っています。

 

 

幼児期の子どもが心的なパターンを創造していくには、どんな環境が必要なのか、

レッジョ・エミリアにしても、モンテッソーリにしても、

そのほかの幼児の認知の発達をていねいに研究している方々にしても、

さまざまな貴重な実践方法を提示しています。

 

そうした実践のひとつひとつに向き合ってみたら、どうだったのか。

上手くいかない場合、どのような工夫が必要だったのか。

 

自分の子らや虹色教室の子どもたちと過ごす中で発見したことを

順に整理していきたい、と目論んでいます。

 

とはいえ、あれもこれもと盛り込もうとすると、

読んでいる方々に混乱を与えてしまうでしょうから、

まず最初に、赤ちゃん期から青年期までの子どもに必要な働きかけと、

発達研究の成果をバランスよく伝えてくれる

『よみがえれ思考力(ジェーン・ハーリー著)』で取り上げられている

<就学前の子向けのガイドライン>をベースにして

教室で発見したことについて書いていこうと思います。

 

ここから下の赤い文字で書いている部分は、『よみがえれ思考力』からの引用です。

 

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★六歳以前の子どもの仕事は、周りの世界を理解する方法を学習することであり、

学習に関わる神経構造が関与しない意味のない教材を丸暗記させることでは

ないことに気をつける。


★心的パターンは感覚連合のネットワークの上に作られる。

感覚的な世界のパターンに注意を向かせるように子どもたちに仕向ける。たとえば、

「これはどんな味がする?」とか「それは何の形に似てる?」という問いかけをする。


★日常的な出来事の中で、子どもが関係や意味を理解できるように助けること。

たとえば、子どもがくどくど聞き続ける「なぜ」という質問は、

出来事のつながりをつけたいニードの表現法の一つである。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

上の3つのことは、幼児との関わりでとても大切なことですが、

親子関係でも園などの先生と子どもの間でも軽視されがちなことのように感じます。

幼児は、目で見ること、耳で聞くこと、手触りや匂い、味などに注意を向けて、

言葉で大人と共感しあう中で、感覚的な世界のパターンに気づいていきます。


幼児の暮らしが、「とにかく何かをしなくては」「できるようにならなくては」と

アウトプットをして周囲に評価されることを中心に回っていることはよくあります。


そんなふうに忙しくしていると、長い時間、何かを覗きこんでみたり、耳をすませたり、

砂や粘土の感触と戯れたり、匂いを嗅いだり味わったりしながら、大人とおしゃべりする

時間は、どれも無意味で無駄な時間のようにしか感じられないかもしれません。

でも、それは大きな間違いのようです。

 

幼児の心的パターンは、感覚連合のネットワークの上に築かれるのですから。

以前、こんな記事を書いたことがあります。具体的な方法を知りたい方は、

リンク先に飛んでくださいね。

 

★幼児が「よく考える」ようになるためのいくつかのステップ 1 <見る>

★幼児が「よく考える」ようになるためのいくつかのステップ 2 <見た後で>

★幼児が「よく考える」ようになるためのいくつかのステップ 3 <聞く>

★幼児が「よく考える」ようになるためのいくつかのステップ 4 <聞いた後で> 

★幼児が「よく考える」ようになるためのいくつかのステップ 5<感じる>

 

子どもが関係や意味を理解できるようになるために、子どもの体験するさまざまな

出来事をていねいに解説を添えたり、子どもが自分でやってみれるようにしたり、

子どもにもわかるレベルの間違った推理をして、「ちがうね~」と考えさせる機会を

作るようにしています。ちょっとした工作をするのも、役立ちます。

次のリンク先は、2歳6ヶ月の◆ちゃんのレッスンの様子です。

 

2歳6ヶ月の◆ちゃん 昼と夜が気になる

 

◆ちゃんの一つひとつの体験に、ゆったりていねいに付き合うことで、

◆ちゃんはさまざまなことに疑問を持ち、周囲の物事を関連づけ、

論理的に考えていく力を発展させていきました。この春、年中さんになりますが、

観察力、ゲームのルールや物語などの理解力、分析する力、言葉で表現する力、

エネルギッシュに物を作り出す力など、どれもしっかりと育っています。

 

 

これは、春休みの算数クラブに来た新年長さんたちの工作風景です。

ゴムで飛ばす鉄砲のようなものや弓矢のようなものを作って

得点ゲームを作っています。

ゴムが引っかからず、うまくいかないとき、「どうすればいいのかな?」と

一緒に作品を眺めていたら、

「そうだ、引っかけるところを作ればいいんだよ」と言いながら、

ハサミで逆三角形の切り込みを入れていました。

また、お友だちの作品と同じものを作ろうとして、

真似してストローを貼り付けたものの、実際、ゴムをかけてみると、

ゴムがストローと鉄砲の間に食い込んで飛びませんでした。

「どうしてだろう?」と、うまくいかない部分を観察していると、

「わかった、セロテープを真ん中らへんに貼ってるからだ。

だから、ゴムが入っちゃうんだ」とうれしそうに言っていました。

「こうよ」と教えるのではなく、「どうすればいいかな?」「どうしてだろう?」と

一緒に首をかしげながら、物をさまざまな視点から観察してみる体験は、

見る力の質的な変化をうながします。

 

『よみがえれ思考力』から、子どもが心的パターンを創る過程を援助するための

ガイドラインの続きです。

 

本にある順序は変えてあります。

なぜかというと、親御さんの多くが、「パズルや市販されている教材」とか

「何度も繰り返し練習」いったお金で購入できるものや、

子どもに強いることができるものを目にすると、それに気を取られるあまり、

もっと重要で基本的なことを無視してしまいがちだからです。

 

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★ 自分で遊ぶ時間を子どもに与えること。子どもにつきまとう母親は、自分自身で

心的パターンを形成するという能力の成長を邪魔している。


★ パズルや市販されている教材が視覚のパターン化に役立つだろう。

寄せ木細工のブロックやドミノ、万華鏡もよいだろう。

「この絵はどこがおかしいんだろう?」といった質問は認知の技能を結びつける

ことになる。

                    (『よみがえれ思考力』からの引用)

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一方で、不必要に子どもにつきまといながら、

他方で必要とされる教具を用意しても、

自ら意欲的にさまざまなものを吸収していこうとする態度につながりません。

 

とはいえ、「つきまとうのがよくない」と字義通りに解釈して放任しすぎたり、

孤独を感じさせるほど一人遊びを強いたりするのも問題です。

 

子どもが、就学後の学習に核となるような

心的パターンを形成するのを援助するには、

大人がちょうどよいバランス感覚を身につける必要があります。

 

            ↑ ポケモンチップで対戦中 

 

子どもが学習の基盤となる心的なパターンを形成していく上で、

それを援助し高めるのも、邪魔して押さえつけるのも、

身近にいる親の「感じ方」とのつながりを感じています。

 

春休み向けの算数クラブで、親御さんから、

「他人の話を聞きません」

「みんなが集まっているときに、一人だけ自分勝手に振舞っています」という

相談を受けることが何度かありました。

実際、算数をテーマにした遊びやクイズをするとき、子どもたちを呼び集めても、

席に着こうとしない子は何人かいます。

「これやってみたい子!作り方を教えて欲しい子はいる?」とたずねると、

「はい!」「はい!」と元気に手があがる中で、一人遊びに興じている子もいます。

お母さんが何かたずねたり、教えたりしているときに、今にもその場を逃げ出し

そうな雰囲気で気もそぞろになって、話を聞いている子もいます。

 

わたしは、そうした姿があるから、即、集団活動が苦手で他人の話を聞くのが

苦手な子だとは思いません。

わたしなりに、「この子は気がかりな子」「あまり心配はいらない子」という

判断の基準があるからです。

 

たとえば、こちらの目を見てよくニコニコ笑う子が

照れたり、恥ずかしがったり、少し我を張ったりして、

ほかの子らと一緒にする活動に参加しなかったり、こちらの話をきちんと聞かずに

うろうろする場合、あまり心配はいらないと思っています。

何度かレッスンに通ってもらえば、みんなでする活動を楽しむようになり、

大人の話に集中して耳を傾けるようになるはずですから。

表情、目の合い方、暗黙の了解の理解度、遊び方、おしゃべりする内容、

親子の関わり方の様子などから、気になる子もいます。

 

親御さんから、

「他人の話を聞きません」

「みんなが集まっているときに、一人だけ自分勝手に振舞っています」という相談を

受けるとき、子どもの様子には何の心配も感じられないけれど、

その子を見守る親御さんの言動が気になる、ということは結構あります。

 

前述に、

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親御さんから、

「他人の話を聞きません」

「みんなが集まっているときに、一人だけ自分勝手に振舞っています」という

相談を受けるとき、子どもの様子には何の心配も感じられないけれど、

その子を見守る親御さんの言動が気になる、ということは結構あります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

と書きました。

 

子どもが相手の話に熱心に耳を傾けるようになるには、

自分の話に、親愛を込めて、熱心に、耳を傾けてもらった経験が

たくさん必要です。

 

0~3歳の脳を形づくる環境がわかるスケール

という記事でも取り上げたのですが、

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① 世話をする人の情熱的、言語的な反応の仕方

子どもが声を出したときに、反応しないとか、単に動作を真似するという

レベルではなく、親愛を込めて、心のこもった言葉で応えているか。

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が、子どもの脳の発達に大きな影響を与えることが指摘されています。


「他人の話を聞かない」という子とお母さんの関わりを見ていると、

お母さんが子どもの話に相槌を打ったり、

うれしそうな表情で子どもが興味持っていることに共感を示したり、

子どもが始めた話で盛り上がったりする姿が少ないように見えることがよくあります。


その一方で、子どもの振舞いを心配そうに見つめたり、

「きちんと聞きなさい」と注意したり、

子どもが笑いながら話しかけるのに、さらっとした反応を返したり、

大人の説明に飽きて、半分腰を浮かしている子にくどくどと言って聞かせたりすることは

多いようです。

 

性格上、「情熱的」に相手の話を聞くのが苦手な方もいらっしゃるでしょうが、

幼い子にとって、親の自分に対する反応の質がいかに大切か、

どうか心に留めておいてくださいね。

↑ 大きな数を体感するための手作り教具です。


『よみがえれ思考力』にある、子どもが心的パターンを創る過程を援助するための

ガイドラインの続きを書きますね。

 

<就学前の豊かな環境>

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★ 黒板やぬり絵、粘土や砂、小麦粉粘土、フィンガーペインティング、水、折り紙、

糊、泥んこ等が、子どもの感覚受容系を構造化し、さらに精巧にさせる助けとなる

遊び素材である。

もし手足が汚れるということが気になったら、目を閉じて子どもの混沌とした頭の中で、

ニューロンの小さな樹状突起が枝を広げていくさまを思い浮かべてほしい。

 

★ 遊びの感覚的な側面は言葉でつなぎとめることができる。

「それはどんなに見え、聞こえ、嗅い、味がし、感じがするかな?」

これは語彙を増やすにはよい機会である(たとえば、手触りがよい、

でこぼこしている、鋭い、おいしい)。

 

★ 数や文字などの作業レベルの学習課題を「教える」ようなワークブック、

あるいはそれに類似した市販の「学習」教材は避けること。

 

★ 子どもが大きくなるにしたがって、週ごとの遊びのトピックスを選ぶ。

たとえば、拡大鏡を出したり、ビンを集めたり、箱を並べたり、自然観察のための

図鑑を出したりする。

子どもの興味にそうようにすること。

                     (『よみがえれ思考力』からの引用)

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 ママ友同士の情報では、実際に子どもの認知の発達を研究する人々が追跡調査もして

子どもの脳にとって良いと見なした環境と正反対のものが持てはやされがちです。

 

子どもの脳内を覗くことはできませんから、

短い一時期、他の子より先に何かできるか、できないか、に目を奪われてしまうのも

仕方ありません。

でも、幼児期は二度とこないのですから、周囲の流行の話題に流されず、

何が重要なのかよく考えて子どもと過ごすことが大切ですね。

 

周囲に同調するといえば、

話が少し脱線しますが……『物理と対称性』という本の中に、こんな話がありました。

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(原子間の相互作用の話題の後で)

人間集団の場合も、隣の人が右を向いたらそれに見習って右をむく、

隣人に「どうする?」と相談し、「あなたがそうなら私もそう決めよう」という光景を

見かけるだろう。

個人の行動が規制されていて、自由がない社会ほど、

隣と同意見の方が安全だからである。

もちろん、このようなコミュニケーションがあっても、個人の活動エネルギーが、

隣との相互作用より大きければ、やはり勝手な方向を向く。

意見が揃うのは、主体性がないとも見えるが、逆に、他人の意見も聞かず

自分勝手に行動するアナーキーな社会は、社会と呼ぶのにふさわしくない。

個々の構成子が他の構成子に何の影響も与えずてんでばらばらな集団は、

いつまでたってもてんでバラバラで、世論の形成も統制された行動も起こらない。

個性が尊重され、自己の判断で左右を選択できる自由が保障されており、

しかもコミュニケーションが盛んな社会もある。

そこでは、自分たちの方向を、コミュニケーションを通じて選択するので、

社会の発展・進化が可能になる。

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幼い子どもたちが過ごす場も、周囲と同調していないと安心できないような環境や、

それぞれが自分勝手にバラバラに振舞うような環境が増えているように

思います。

 

虹色教室でレッスンの流れを作るとき、いつも、先の文にあった

「個性が尊重され、自己の判断で左右を選択できる自由が保障されていて、

しかもコミュニケーションが盛んであること」

「自分たちの方向をコミュニケーションを通して選択するので、

個人としても集団としても発展と進化が可能になること」

の2点に気をつけています。

↑ 「今日、何がしたいのか」「いくつかの選択肢の中からどれがしてみたいか」

みんなで話しあいます。

わたしは、活動の中で、それぞれの個性がいかせるように、

適度に手助けしています。

 

今日のレッスンで、こんなことがありました。

 

昨日の子どもたちの作品・清水寺(↑写真)を飾っていたので、

それを見た☆ちゃんが、「わたしも世界遺産の建物が作りたい」と言いました。

図鑑を見て、「ピサの斜塔」を選んだ☆ちゃんに、レンガ積み木で作っては?と

アドバイスをしたのですが、清水寺と同じようにブロックで作りたいとのこと。

「でも、ピサの斜塔は、丸い形を作らないといけないでしょ?ブロックだときれいに

できるかな?」と相談に乗っていると、

以前、教室でブロックで曲線を作る方法を教えた時のことを覚えていたらしく、

「こういうふうにつないで、曲げるといい」と答えました。

 

 

子どもたちが何を使って、どんな活動をするのか、

最初からお膳立てされている環境では、自分の個性を表現しにくいし、

自分でアイデアを出したり、問題を解決したりする機会が限られます。

といっても、自由すぎる場では、言葉で話しあいながら自分の考えを整理したり、

模倣したり、教わったり、それらを発展させたりすることができません。

 

集団の場で、一人ひとりの個性や意見が大切に扱いながら、

同時にお互いから学び合い、進歩していく状態を作るのには、

さまざまなコツがあります。

 

初めて集まった子たちが大勢いる場で工夫しているのは、こんなことです。

子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 1

子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 2

子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 3

子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 4

子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 5

子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 6

 

遊びの話し合いと発展の例

ジュース屋さんごっこ、レストランで実験遊び

 

子どもたちのやる気がないとき

「煮干しの解剖」実習セット と カルマンの渦

 

ほかの子らも手伝って、製作中。

 

最後に斜めにできるように、ブロックの基礎板を裏返して土台にしています。