虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

愛情をかけて可愛がって育てているのに困った言動が増えてくる時 5

2016-11-18 07:33:51 | 日々思うこと 雑感

ユースホステルのレッスンには、子どもとの関わり方に悩んでいる親御さんが何人か来ておられました。

4歳の◎ちゃんのお母さんは、ちょっとしたことでしょっちゅうパニック状態に陥って感情を爆発させる、◎ちゃんへの接し方に戸惑っていました。

 

◎ちゃんはもともと感覚が過敏で、人に対する警戒心が強く、社会性の発達がゆっくりしている子です。

虹色教室に通いだした頃は同じ室内に他の人や子がいるだけで我慢ならなくて、部屋を布や段ボールで仕切って、他の子が絶対近づかないようにしていないと遊べませんでした。

それがこの1年ほどで、次第にお友だちやお友だちのお母さんに打ち解けてきて、自分から友だちを求めるようになってきました。

笑顔もたくさん見られるようになり、お母さんやわたしに「作って!」と頼むことも多いものの工作も楽しめています。

言葉遣いや表情にはまだ硬いところがありますが、「ごっこ遊び」のような想像力を必要とする遊びも上手になってきました。

 

今回のユースホステルのレッスンも本人が指折り数えて楽しみにしてくれていたのです。

 

◎ちゃんのちょっと育てにくい性質はおそらく生得的なもので、お母さんの育て方とは関係ないはずです。

とはいえ食事や遊びの場面でのお母さんの◎ちゃんへの関わり方を見ていると、改善した方がいいと思われる面がたくさんありました。

また晩の親のための勉強会でうかがった「お家でのお母さんと◎ちゃんの過ごし方」にしても軌道修正が必要そうでした。

ユースホステルの朝食はバイキング方式で、パンやソーセージやフルーツや魚など、好きなものを好きなだけ自分の皿に持って食べるスタイルでした。

2歳から6歳までの子どもたちは、氷水やジュースを取ってきたり、スプーンを並べたりして朝食の準備を手伝っていました。

 

◎ちゃんのお母さんは、席に着いて待っている◎ちゃんの前に、自分と◎ちゃん用にたっぷり盛った皿を置きました。

 

「いただきます」の後で、◎ちゃんのお母さんは、皿の上の料理を次々と◎ちゃんに勧めだしました。

その熱心さから、栄養のあるものを少しでもたくさん食べてもらいたいという気持ちが伝わってきます。

 

◎ちゃんは食が細い子です。

おまけに前の晩の食事量が多かったためか、お母さんが矢継ぎ早に「オレンジは?」「パンを一口食べてみる?」と勧めるごとに、口をへの字に曲げて、不機嫌そうなやぶにらみの顔を作って椅子にもたれかかっています。

それでもお母さんが、「1つだけ食べたら?」「ほらオレンジ。食べてみて!」と催促するので、「食べさせて!お母さんが食べさせて!」と口の中でもごもご言っていたかと思うと、

その後からは、「さぁ、食べなさい」「ソーセージは?」とお母さんが口をきくたびに、キレ気味のキンキンする声で、「食べさせて!お母さんが食べさせて!」と喚きはじめました。

 

お母さんの話では毎日、こうした食事風景が繰り広げられているそうで、いつもは根負けして、4歳の◎ちゃんに対して、まるで0,1歳の赤ちゃんにするようにお母さんが食べさせてあげることも多いようです。

 

しつこいほど「お母さんが食べさせて!」とごねている◎ちゃんは、外から見ると、大人からの誘いかけに「イヤ」と反発ばかりしているわがままな子のように映ることでしょう。

 

でもわたしは◎ちゃんのこうした荒れは、きちんとお母さんに対して「イヤ」が言えていないことに

原因のひとつがあるように感じました。

もちろん、言葉だけに注目すれば、◎ちゃん、口を開けば「イヤ」ばかりなのです。

 

でも、この食事シーンを含めてさまざまな場面で、実際には、◎ちゃんのお母さんの想定の中に◎ちゃんという個人が「OK」と「イヤ」のふたつの選択肢を持っている自立した存在だと感じられていないように見え、それが◎ちゃんの荒れた言動を引き出しているように思えることが、度々あったのです。

 

◎ちゃんとお母さんの関係の中で、◎ちゃんの「イヤ」という気持ちは、あってもないものとして、受信されないものとして、意味として認められないものとして扱われているように感じたのです。


磁石で遊びました♪

2016-11-17 18:31:18 | 理科 科学クラブ

年少のAくんとBくんのレッスンでの出来事。

恐竜の時代の海の中にいた爬虫類を作って、釣り遊びをすることにしました。

磁石をつけた釣り竿を作って、クリップをつけた爬虫類をつかまえます。

 

ふたりが磁石に夢中になっていたので、ずいぶん前に大阪市立科学館で購入した『磁石 と 自発的対称性のやぶれ』 という小冊子を出してきました。

 

これは200円くらいだったと思うのですが、とてもいい内容です。

上の表紙の写真は、「動物の群れに生じた自発的対称性のやぶれ」なのだそうです。

多くの動物は群れると向きをそろえるそうです。

「どこでもいいからそろう」という習性は物理用語では「対称性」と表現されるのだとか。

 

この小冊子の目玉は、1000個の方位磁石で作った磁石テーブルについての説明です。

これが現在の宇宙のヒッグス場とそっくりなのだそうです。

 

教室では、1000個の方位磁石はとても用意できないので、方位磁石を1個だけこの冊子とセットにして飾っています。

 

1こだけでもとても面白い方位磁石。

Bくんは磁石で方位磁石を回して大喜び。

 

磁石ついでで、こちらも科学館の磁石の花をまねた実験をしました。

 

切ったビニールタイが花のように咲きます。

しまいにビニールタイ釣りになっていましたが。

 

Bくんがブロックの袋の中に磁石のついた釣り糸をたらして釣れるかどうかためしていました。

そこで、「それは無理でしょって思うものも磁石につくことがあるよ」という話題になりました。

教室のお宝…?磁石にひっくつ石(山で取ってきてもらったもの)を出してきて、遊びました。(子どもたちは、鍾乳洞の鍾乳石を見て、「洞窟って何?」と不思議そうにしていました。

 

磁石でずいぶん盛り上がっていたので、最後に砂鉄を使った工作をしました。

変なおじさん。

 

砂鉄でひげやまゆげをつけます。

 

算数レッスンでは、5の合成と大きな数を学びました。

ふたりとも大笑いしながら数の世界を楽しんでいました。

 


愛情をかけて可愛がって育てているのに困った言動が増えてくる時 (ユースホステルのレッスンから) 4

2016-11-17 07:42:56 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

身体が求める要求世界としての「自我」の世界と、知性として育てた「第二の自我」の世界の間に生じる矛盾と、葛藤を生きている時期の子らを育てている親御さんたちのなかには、子どもが自分の力で時間をかけてそれらを克服していくのを待たずに、大人の力でそのどちらかを勝たせてしまう方がたくさんいます。

子どもをお客様のように扱って、楽しい刺激や面白い刺激をたっぷり与えるだけで、年相応の責任を果たさせたり、チャレンジを応援したりしなければ、「自我」ばかりが勝つことになってしまいます。

 

子どもの要求や気持ちを受け止めるより先に、しつけたいことや教育したいことを押しつけていけば、その子の核である「自我」が育たないままに「第二の自我」だけが肥大していくこととなります。

 『失速するよい子たち』 という小児科医の三好邦雄先生の著書では、「両親、祖父母に囲まれて宝物のように育った子」や母親から「この子は幼稚園の時に天才でした」と語られるような子が、成長するにつれ自分を見失い、学校に通えなくなったり、心身症になるケースがたくさん扱われています。

この本はわが子が幼い頃、読んだことがありますが、加藤繁美先生の文章でも取りあげられていて、この問題が年々、さらに深刻なものとなっているのを感じました。

そうした大人の要求に過剰に適応する子たちの問題は、また別の機会にくわしく書かせていただきますね。

 

『モンテッソーリの知恵』(ブラザー・ジョルダン社)という本に「しつけ」に関する次のような一文があります。

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本当のしつけとは、決まった時間にベッドに行かせることや、おもちゃを片付けさせるといった、指示したことを子どもにさせることではありません。

しつけとは、他人に対する敬意と自分の人生をコントロールする力(内面化)を持って、子どもが自立して育つのを助けることです。

しつけはまた、子どもが自制心を発達させることができるよう、自分自身に十分に自尊を与え、自分自身を理解させる社会性のある生活を「しつけ」と考えてください。

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★くんとわたしがペアになって過ごしている間、★くんはたびたびちょっと危なっかしいことをして得意気な顔をしていました。

危ないことをするといっても運動神経が優れていますから、転んだり、身体をどこかに打ちつけるようなことはありません。

★くんの表情は、「大人は危ない危ないって言うけど、ぼくは大丈夫なんだよ。ぼくはちゃんとできるから」という自信がみなぎっていました。

出窓に上ったり、エレベーターにスレスレまで近づいたり、スリッパを履いて駆けまわるようなことは、どんなに運動神経がよくてもやめさせなくてはなりませんが、

★くんの「ぼくは大丈夫なんだよ。ぼくはちゃんとできるから」という気持ちはきちんと受け取って、その思いを現実の世界で発揮するチャンスをたくさん与えてあげる必要を感じました。

 

実際、★くんはジュースがたっぷり入った重いピッチャーを集中して扱ったり、氷水が入ったおわんを運んだりといった、同じ年頃の子が「できない、無理、怖い」と言って避けるような活動には真剣な表情で取り組めました。

そんな★くんを見て、★くんのお母さんは、「家でも料理の手伝いなんかをしたがることはよくあるのですが、面倒なのもあってやらせていませんでした。でももっといろんなことをさせないとダメですね」とおっしゃっていました。

★くんは意欲が薄い子なのではなく、これまで自分の中から意欲が湧いてきた瞬間に、その思いを受け止めてもらって、やってみて、達成して、認められた、という体験が少なかったので、外から与えられた課題になかなかスイッチが入らなかっただけのようです。

 

★くんの目や表情から「やってみたい」という気持ちが見えた時に、「~してみる?」とたずねると、たいていいい返事が返ってくるようになりました。

 

工作をする時、★くんは身体に装備するドリルのようなものを作りたがりました。

戦隊物が大好きなようです。

男らしさや強さへのあこがれが高まっている時期のようです。

そうした精神的な面であこがれているものについても身近な大人がきちんと受け取って、それを現実世界で洗練させていけるように方向づけてあげる必要を感じました。

 

わがまま放題にさせて、その全てを受容するだけでは、「男らしく凛々しくなりたい」という望みに対して、自分がみじめでつまらなく感じられるだけですよね。

「男らしく凛々しくあれる」場面を見つけては、本人のチャレンジをそっとサポートしたり、言葉で★くんの勇気ある一面を認めていくことが大切ではないでしょうか。 


1歳の子たちが熱中する活動

2016-11-15 23:00:22 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

1歳6ヵ月のAちゃんと1歳7ヵ月のBちゃんのレッスンの様子です。

 

ドライヤーの冷風でゼリーのカップをぷかぷか浮かせる遊びに夢中でした。

 

ピンポン玉もふわふわ。最初に大きめのカップめんの容器を浮かせて遊んでいたのですが、小さい容器やピンポン玉を浮かせて、そろそろ終わりという段になって、Aちゃんが最初に遊んでいたカップめんの容器を自分で取ってきてドライヤーの上に乗せようとしていました。

そういえば、この時期(1歳半ば)の子たちは、2歳以降の子以上に、一度やったことをそのまんま繰り返したがることがあるな、と感じました。

AちゃんもBちゃんもドッツ遊びの時に、数の玉を見るたびに、前にやった数遊びを思い出してか、1本指をたてて(自分ではこちらと同じ数の指を作っているつもりのよう)、「3!」「5!」と声を出していました。

「5タッチー」というと、それだけはちゃんと5の手を作って、タッチしていました。

 

Bちゃんは、教室でハリガリというゲームをしたのをきっかけに(1歳用のなんちゃってゲームルールです)お家でハリガリを購入したところ、毎日のように出してきて、カードを出してはベルを鳴らすという行為をしているそうです。

Aちゃんも(お兄ちゃんがハリガリを持っているそうです)同じように、なんちゃってルールで何度もハリガリをやりたがるのだそうです。

 

おまんじゅうなどの空き箱のしきりは、1~2歳の子たちにとって魅力的なおもちゃです。

1つのくぼみにひとつのブロックを入れていきます。こうした作業は、2歳に近づくにつれて熱心になるのをよく見ます。

 

1対1対応になるように人形をねかしていく遊びも、AちゃんBちゃんともに引き付けられていました。

 

大きい子向けのゲームに入っていた色付きコインを1枚ずつ手渡して、1回ずつ「10円」と言ってもらいたいBちゃん。

こうした行為も2歳前後にひたすらやりたがる子が多いです。

(ミニカーを1台ずつ手渡して、それぞれの名前を言ってもらいたがるといった行為)

 

1歳の子たちとの遊び道具のひとつとして、お母さん方に折り紙の封筒の作り方を覚えてもらいました。

 

小さい折り紙に、文字や絵をひとつだけ書いて、ていねいに折って封筒に入れておきます。

1歳児さんは、封筒から手紙を取り出して開いてみるのが好きです。

文字を読んでもらうのも好きですが、たくさん児が並んでいる手紙だと、まだ「なんちゃって」の読んでいるふりなので、1文字だけ書いてあげると、形を覚えてしまって喜びます。

 

Aちゃんがはさみで手紙をはさみで切り始めました。

黒やぎさんたら読まずに食べた~♪の童謡を地でいく1歳児さん。

 

封筒から小さいものを指さきで取りだすのが好きなので、数字の封筒を作って、数の文だけ切り紙を入れておきました。

 

自分ではさみを入れた紙をびりびり。

 

レジが大好きなBちゃん。

数字を指で押して、数字を読んでもらうのを喜んでいます。

 

数遊びが始まると、一生懸命指を作っていました。

でもすべて1の指か5の指に。

 

Bちゃんは、パズル風のおもちゃに強く引き付けられる子です。

カードとできたものを見比べて、自分でぱちぱち手をたたいていました。


愛情をかけて可愛がって育てているのに困った言動が増えてくる時 (ユースホステルのレッスンから) 3

2016-11-15 09:35:03 | 日々思うこと 雑感

お母さんに離れていていただいて★くんと過ごすうちに、★くんのさまざまな面が見えてきました。

★くんは手洗い場でも窓辺でも少し高い位置に台があると腕の力だけでヒョイッと上ろうとし、危ないからやめるように注意しても聞こえないふりをする癖があります。

危険な場所でそれをすることや注意を無視するところは問題なのですが、身体の使い方はしっかりしていて機敏な上、注意力や集中力も申し分ないことが見て取れました。

つまり鉄棒などの器械運動の道具を使わせるとすると、注意力にしろ身体の動かし方にしろ、怪我をするような危なっかしいことはしないはずなのです。

また自分にちょうどいいチャレンジしがいのある課題を見つける力があるようだし、とても意欲的でもあるのです。

 

また★くんは「自分の頭で閃いた!」というアイデアを実行する時は、思いを言葉にしたり、頭で考えたりするのに熱心でした。

 

たとえば空気圧の水鉄砲を作った時も、その吹き方を工夫したり、吹き出した水で「けんけんぱ」の輪を描くアイデアを実行したりしていました。

★くんはおそらく外向直観型の感情寄りの子か外向感情型の直観寄りの子だと思われます。

普段は、頭を使うような場面を避けたがったり、言葉を使って表現するのをまどろっこしそうにする一方で、それまでにないアイデアを思いついた時には、目をキラキラさせて言いたいことがたくさんある様子なのです。

 

シャボン玉用のさまざまな道具を作って遊んでいた時も、「袋の端を切ってシャボン玉を作る道具にする」といった奇想天外なアイデアが★くんを惹きつけていました。

(写真は別のお友だち)

また食事の時には、珍しい仕掛けのマーガリンんとジャムの容器に大喜びで、「これをパキッと折るとマーガリンとジャムがいっしょに出てくるんだよ」と周囲の子に説明していました。

「本当?知らなかったわ。先生のもしてくれる?」とたのむと、誇らしそうに、わたしのマーガリンとジャムを出してくれました。

 

レッスン中の★くんは、他の子たちが熱中している課題に参加したがらず、わたしの問いに答えるのも嫌がっていました。

「どうして?」「どれがやりたい?」といった質問にも答えずに、会話が続かないことも多々ありました。

お母さんとの間でも、じっくりとひとつの興味を追うように会話を続けることはなく、要求だけ出して、お母さんの話は聞かない、という態度も多々ありました。

 

そうした★くんの態度を見ると、「自己内対話」をせずに、反射的に好き勝手に振舞っているように見えます。

が、★くんとわたしのふたりで過ごしている時、★くんは気にいらないことがあって、一度無視するようなことがあっても、こちらが黙って待っているだけで、自分で決意してきちんと自分のするべきことをやっていたのです。

ですから、★くんは、今まさに「自己内対話」を鍛えている真っ最中で、葛藤の渦中にあると言えるのでしょう。

 

ただ★くんのお母さんは、母親として★くんを受容して愛情を注ぐことに気を取られて、★くんの内面で「自我」と「第二の自我」が戦っている最中に即座に「自我」の要求を満たしてしまって、

★くんのなかで育ちつつある「規範的自我」や「理想的自我」を、親子で共有していく大切さに気づいておられないようにも見えました。

 

 ★くんのお母さんは、心をこめて、★くんの発するものを受け止めようとしています。

でも、受け止めると同時に方向づける、という点で、言葉の世界で「社会的存在として自分がどう行動すべきか」を★くんと共有していく過程を省略しがちなように見えました。


放射能管理区域

2016-11-14 20:36:36 | 通常レッスン

小1の男の子たちのレッスンでのこと。

時速カードでカードバトルをするうちに、Aくんが、距離カードの1種である「東京タワー」とか「通天閣」といった高い塔のカードを

ブロックで再現したいと言い出しました。

最初、通天閣を作る予定だった建物は、途中から「財宝タワー」というAくんオリジナルの建築物になっていました。

 

Aくんいはく、「この建物の財宝は盗まれないんだよ。」とのこと。

「セキュリティーシステム完備の建物なの?」とたずねると、「ううん、これ、放射能管理区域にあるから、だれも近づけないんだ」とのこと。

「そうだ、先生、マークの本ない?今朝、本で見たところなんだよ。放射能があるところに貼るマーク」と言いました。

なんでも、学習漫画の『原子力サバイバル』という本を読んだところなのだとか。

 

うちにある幼児向けのマーク図鑑には放射能のマークは載っていないので、ネットで探して、印刷しました。

Aくん、教室の中に貼りまくって上機嫌。

おかげでトイレに行く際に、防護服を着るふりをしなくてはならないことになりました。

 

Aくんといっしょに時速のカードバトルと身長体重のカードバトルに燃えていたBくん。

お家では将棋に熱中しているそうです。


年中さんのグループレッスン

2016-11-13 22:41:46 | 工作 ワークショップ

年中の女の子たちのグループレッスンで、Dちゃんがシンデレラの馬車の絵のトレーナーを着ているのをみて、「みんなで馬車を作ろう」ということになりました。

お弁当用の馬のおにぎり型(100円ショップ)を使って型をとって馬車の馬を作ります。

Aちゃん、Bちゃんはすぐに作り方を理解してちゃっちゃと作っていました。

Cちゃんは、「わたしは自分で馬がかけるよ」と言って馬の絵をかいて、厚紙を使って馬小屋を作っていました。

 

2歳のころからストローを使ってなんでも作ってしまうCちゃん。

馬小屋もびっくりな出来栄えでした。

 

らせん状のスロープが大好きなDちゃんに野菜がらせん状に切れる道具を使わせてあげると、急に、いいことをひらめいたようでした。

「先生、こうやって、こうやって、開いたり閉じたりするやつ作りたい。中のところが、じゃわじゃわってなっていて、伸びたり縮んだりするやつ」といいました。

「アコーディオンね」というと、うれしそうにうなずきました。

 

どうしても、大きいサイズのアコーディオンが作りたかったDちゃん。

大きいサイズの折り紙を貼り合わせて、長い紙を作ってじゃばらに折ることになりました。

 

なかなか迫力のある作品です。

 

工作が大好きなDちゃんは、工作にかかわるさまざまな言葉を使いこなすようになっていました。

わたしにティッシュ箱の一部を切ってほしいと頼む際、

「ティッシュ箱は固いから、まわりの紙が少し残るように先生、切って!箱と箱を貼って、お部屋みたいにしたいから、切る時は、片一方がそのまま底のところに行くまではさみで切っていって。箱の大きさがちょっと違うけど、少し隙間があいたところをドアにするから大丈夫よ」

と言うのには驚きました。

 


愛情をかけて可愛がって育てているのに困った言動が増えてくる時 (ユースホステルのレッスンから)2

2016-11-13 08:32:34 | 日々思うこと 雑感

★くんのお母さんもお父さんも★くんを心から可愛がっている方々です。

愛情をたっぷり注いで、しょっちゅうギューッと抱きしめています。

それにも関わらず、

 

「★くんがこれまで自分の言葉を十分に聴き取ってもらえず、自分の思いを受け止めてもらう心地よさを知らないから、荒れた行動をとっている」

 

という捉えるのは、親御さんたちに対して失礼にあたるかもしれません。

 

とはいえお母さんが近くにいる時の★くんは、まるで聞き分けのない2歳児のようにわがまま放題に振舞っているのも事実でした。

 

そこでいったんお母さんに離れておいていただいて、わたしと★くんがペアになって行動することにしました。

 

すると★くんは、「こういうことがやってみたい」というチャレンジ精神が薄いわけでも、大人の指示に素直に従えないわけでも、見たり聞いたりすることが苦手なわけでもないことが徐々にわかってきました。

もちろんふたりで過ごしだしたとたん、★くんの「困ったちゃんモード」が「いきいきしたしっかりさんモード」にコロッと切り替わったわけではありません。

 

でも、最初はこちらの声かけを無視したり、憎まれ口を返したりして対応していた★くんが、★くんの本当の気持ちに光を当てるうちに

自ら進んでお手伝いをしたり、一度は放りだした課題に再度取り組んだりするようになってきました。

 

そうするうちに★くんの内面には、個性的なさまざまな良い資質が潜在しているのにそれを発揮する機会がないために、わがまま放題な態度に終始しがちになっているのが見えてきました。

部屋を移動する時、わたしは★くんを呼びとめて、軽いけれどちょっとかさばる荷物のひとつを運ぶ手伝いを頼みました。

★くんは一瞬、驚いたような呆れたような表情をして固まっていましたが、少しすると苦虫をかみつぶしたような顔つきになって、「どうしておれが持たなきゃいけないんだよ!」と毒づきました。

 

わたしは他の荷物でふさがっている自分の両手を示しながら、こう静かにたずねました。

「★くん。★くんは、先生には弓矢のおもちゃちょうだい!あれちょうだい!これちょうだい!って頼んでばっかりで、先生がお願いすることは、どうしておれがしなくちゃいけないんだよって言うの?」

 

すると★くんはしばらく黙って突っ立っていましたが、急に決心したように、わたしの荷物に手をかけると運びはじめました。

「ありがとう」と言うと、黙ったままずんずん運んでいきます。

★くんはあまりしつこく言わなくても、自分でどうすべきかわかっている子だな、と感じました。

 

食堂でもこんなことがありました。

食事の準備を手伝うために手を洗うように言っても、★くんは聞こえないふりをしていました。

「食べ物にバイ菌がつくから、ハンドソープでていねいに手を洗ってね」

ともう一度だけ声をかけて様子を見ていると、むくれた表情で固まっていましたが、少しすると決心したように手洗い場に行って手を洗っていましたが、

洗い終わると濡れた手のまま水しぶきを飛ばしてふざけ始めました。

「洗面台の横に、手を拭くための紙タオルがあるでしょ。ちゃんと手を拭いて」と一度だけ言って様子を見ていると、そのまま知らんふりしてどこかへ行きかけたものの、急に決意した様子で紙タオルで手を拭きに行っていました。

 

★くんの内面では、指示に従うべきか無視するべきか、葛藤しているのがよくわかるのですが、その都度、しつこく言われなくてもより正しい態度を選べているようです。


愛情をかけて可愛がって育てているのに困った言動が増えてくる時 (ユースホステルのレッスンから) 1

2016-11-12 20:44:35 | 日々思うこと 雑感

親御さんはいつも優しく根気よく愛情をたっぷり注いで育てているのに、子どもの困ったちゃんぶりが日増しに強くなっていく場合があります。

前回のユースホステルのレッスンでも、今回のユースホステルのレッスンでも、そんなわが子の態度に戸惑う親御さんの姿がありました。

 

親御さんからの承諾を得て、5歳の★くんのケースを紹介します。

★くんはユースホステルの異年齢のレッスンにはじめて参加してくれました。

目がクリッとした茶目っ気のある男の子です。

運動神経がよくて活発な明るい子です。

 

発達面で気がかりなことはなさそうなのですが、わかっていても大人の声かけを無視することがたびたびあって、危険なことをしている時に注意しても知らんふりしていて制止がきかない様子は気になりました。

 

また本人に十分できるレベルの課題もいやがってやろうとしなかったり、質問を聞こうとしなかったりしました。

ちょっと考えなくてはならないような、知的な課題全般に耳を傾けることさえ拒否するような意欲のなさが目立ちました。

 

「聞く」こと自体を拒絶して、憎まれ口をたたいて逃げてしまうので、語彙の量や語彙の理解力などに問題がないか、お泊りレッスンの間、★くんの言葉に注意を傾けていました。

また「見る」作業中、たちまち落ち着きなく視線が泳ぎだすようだったので、見る力についても、何か問題が感じられないか注意していました。

 

★くんは人が好きな快活な子で、誰とでもすぐに仲良くなれる一方で、年上の力のありそうな子を足で蹴ってちょっかいをだしたり、友だちが集中して何かしていると邪魔したり、

理由もなくお母さんを叩いたりする、人との関わり方の幼さがありました。

 

★くんのお母さんもお父さんも温和で常識的で落ち着いた方々で、★くんにたっぷり愛情を注いで育てています。

 

次回に続きます。

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記事の内容とは関係がないのですが、ついでに今回のユースホステルでのレッスンの様子を紹介します。

 

↑1枚の紙に切り込みを入れるだけで立体があらわれる様子に4~6歳の子らはため息を漏らして感動していました。

さっそく見よう見真似で創り出す5歳の◎ちゃん。

 

↑◎ちゃんのお絵かき作品も素敵ですね。

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教室外の子どもたちと接する機会があると、発達障害などのハンディーキャップがないにもかかわらず、★くんのような気になる態度を示す5、6歳の子とたくさん出会います。

 

「どうしてそうした困った態度を身につけてしまうのか」のもとをたどると、2、3歳という自我が生じはじめて、自己統制力が育っていく過程で

周囲の接し方がまずかったり、環境に少し問題があったんじゃないかな、と思われることが多々あります。

 

過去の原因探しばかりしていても仕方がないのですが、これからどのようにして気になる行動を克服していくといいのかを話題にする前に、

2、3歳児を育てている親御さんたちに学んでいただくためにも、そうした困った態度が生じてくる仕組みについて説明させてくださいね。

 

山梨大学の加藤繁美先生は、次のようにおっしゃっています。

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「自己チュー児」などと呼ばれる「超わがままタイプ」の子どもは、「しつけ」ができていないというよりも、自分の言葉を聴き取られ、自分の思いを受け止めてもらう心地よさを知らない子どもが、「荒れ」た行動をとっているのである。

その理由は、子どもの自己統制力が育っていく道筋が、実はそうした構造をもっているからにほかならない。

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子どもは最初に、大人と親密なコミュケーションの過程で、愛されることの心地よさを獲得していきます。

加藤繁美先生によると、一口に「愛されることの心地よさ」と言うけれど、実は乳児期に体験する大人・子どもコミュニケーションの質は、その後の子どもの育ちを規定するくらい大きな意味を持つものなのだそうです。

 

大人たちは子どもが自分でも自覚していない要求を読みとり、ていねいに「意味づけ」し続けます。

子どもはそうやって繰り返されるコミュニケーションを通して、自分の要求と音声が対応していくことを知っていきます。

 

そうして乳児期に獲得した「愛されることの心地よさ」をベースに、音声で表現できることを知った要求世界を自分の興味・関心にひきずられるようにして、どんどん表現するようになります。

それが「自我」の誕生と呼ばれるものです。

要求を主体として成長していくこの時期に、大人が子どもの発するものを受け止め、同時に方向づけるという対応を辛抱強くていねいに続けていくことで、

子どもは言葉で表現するようになった世界を大人と共有することに幸福を感じるようになるそうです。

 

そして2歳半を過ぎる頃から、大人と共有した価値の世界がはっきりしてきて、知性として形成される「第二の自我」の芽となるのだとか。

第二の自我とは、「社会的存在としての自分がどう行動すべきか」という形で知性として認識される「規範的自我」「理想的自我」である点を特徴としているそうです。

 

 3、4歳とは、身体が求める要求世界としての「自我」の世界と、知性として育てた「第二の自我」の世界の間に生じる矛盾と葛藤を生きている時期で、

やがて4歳半を過ぎる頃から、「自己内対話」をしながら生きていくようになります。

現在は、「自己内対話能力」がうまく育っていかない子が急速に増えていると言われています。

5,6歳という幼児後期になっても「自我」の世界だけは出し続けるけど、「第二の自我」が育っていかないという困ったちゃんが増えているのです。

 

5歳の★くんにしても、自分の要求はいくらでも出すのですが、「社会的存在として自分がどう行動すべきか」に気づいて、自分の内面でそれと折り合いをつけて行動に移すことができません。

「欲しい」とか「したい」とか、自分から要求を出すこと以外に無関心で、外からの要求には無視するか、憎まれ口をきいて相手もやりこめるかのどちらかで対応しているのです。

 

↑ ユースホステルのレッスンで。

回転すると模様がどのように変化するのか確かめています。


自分発ではじめることに、子どもは本気で取り組みます

2016-11-11 08:35:15 | 通常レッスン

自分の「これ面白そう」とか、自分の「これしたい」とか、自分の「いいことひらめいた」とか、自分の「どうして?」など、自分が出発点になって取り組んだことに子どもは本気で取り組みます。

 

年少のAくんと年中のBくんのレッスンでのこと。

お母さんは、「こんなのどう?」と誘いかけて、わたしも、「こんなことやあんなことができるよ。きっと面白いよ」と声をかけたけれど、「ちょっと待って、先にやりたいことがあるから」とブロックの上に恐竜を配置していたBくん。

「見て!」と誇らしそうに呼ぶ先を見ると、教室中の大きいサイズの恐竜を集めて恐竜の世界を作っていました。

 「すごいね。かっこいい。Bくん、火山も作ってみたらどうかな?」とたずねると、

「うん、うん、いいねぇ、いいねぇ」と大乗り気でした。

最初に小さな火山の作り方を教えると、Bくんはどんどん大きくしていきました。

それから、本来の火山の作り方ではないのですが、火山の内部の空洞をすべて同じブロックで埋め尽くすことに夢中でした。

こんなふうに、自分で思いついたことをしている時、子どもは本気になって取り組みます。

遊びの場や創作の場、また学びの場でも、見本は手本はあっても、子どもの自由な発想ややり方が試せる余白が十分あるように気をつけています。

 

Bくんの作っている火山をうらやましそうに見ていたAくん。

「Aくんも火山作ってみる?同じような作り方でピラミッドも作れるよ」と声をかけると、Aくんが「ピラミッド?ぼく知っているよ。ピラミッドでしょう?」と声を裏返して飛んできました。

少し前にピラミッドの本を見たそうで、「ピラミッド作る、ピラミッド作る」と大乗り気でした。

自分でやりたいと言い出したことだからか、ふたりとも自分たちだけでどんどんブロックをくみ上げていきました。

 

ピラミッドの下に財宝を隠すことにしました。

 

Bくんが火山に興味を抱いていたので、紙で火山を作って、噴火させる遊びをしたり、三角フラスコでぶくぶく泡が噴き出す実験をしたりしました。

 

ラミィキューブを使った「たし算」「ひき算」の問題を作る遊びも大盛り上がり。