虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

3ケタ÷2ケタ の 割り算

2017-10-08 13:39:41 | 算数

小2のAちゃんのお母さんから、

「3ケタ÷2ケタ  の  割り算でつまずいています」とうかがったので、

Aちゃんといっしょに割り算のひっ算の練習をすることにしました。

(Aちゃんは算数が得意な子で、

今、自宅で『最レベ算数3年生』の問題集をしています。)

 

342÷25を計算してみます。

 

Aちゃんが戸惑っていたのは、「商を立てる」位置でした。

そこで、最初に34の中に25があるか、考えてみることになりました。

(わかりやすいように、右手で2を隠して、34だけ見えるようにしています。

 

割り算の商を立てる前に、

おはじき等を使って、ある数の中にある数がいくつ分あるか、という

割り算のイメージをつかむ練習をしています。

 

(教室では、おもちゃの金貨を使ってこの操作をすることが

よくあります。海賊が金貨を山分けしているようで、

おはじきでするより盛り上がります。)

 

たとえば、8個のおはじきがあって、3で割る場合、

8個のおはじきから3ずつ取り分けていくと、

2回取り分けることができて、2個あまることがわかります。

 

34の中に、25があるか確かめる時、

こうして34個のおはじきから、24個分を取り出す操作をすると、

「商の部分に立てる数字は、こうやって、手で取り分けている操作が

何回分かということなんだ」と感覚の上で納得する子が多いです。

 

そうして一度でも、しっかり納得すると、

「3個しかないのに、25個取り出すことはできないから、3の上に商を立てない」

とわかるようになるし、

「数字を書くのは、ここでいいのかな、右だったかな、左だったかな」

と迷うことがなくなります。

商を立てる位置が決まったら、

割る数も割られる数も、「だいたい30とだいたい20のことだから……」

とどちらも指で1ケタ目を隠して3÷2で立てる数を推理すると、

計算が易しくなります。

 

 次第に慣れてくると、こんな面倒な操作は必要ないのですが、

「できない、わからない」と不安を口にすつ時期や

混乱してミスしやすい時期は、安心して計算に取り組める特効薬になります。

 

商を立てたら、かけ算して、引きます。それから、あまりの92を25で

割る操作をします。

「難しそうよね。でも大丈夫、指で隠すと、だいたいいくつで割っているか

すぐわかるからね。ピンチに陥ったら、左の人差し指と右の人差し指を

使えば解決するよ」と子どもに伝えると、ちょっと困った顔をしていた子も、

パッと明るい顔をして

意欲的に最後まで解ききる場合がよくあります。

Aちゃんも2ケタで割る割り算をしっかりマスターしていました。

 


デュプロブロックでクレーンで荷物を上げ下ろしするコーナーを

2017-10-08 13:36:56 | レゴ デュプロ ブロック

年中さんたちのレッスンで。

デュプロブロックで、「貨物列車を作ったよ」と言ってきた★くん。

「クレーンで荷物を上げ下ろしするコーナーを作る?」とたずねると、

大喜びでうなずきました。

クレーンの作り方です。

 

左右に動かすために、一か所の突起でとめます。

 

写真のようにブロックをはめます。

上の写真のように組んで、磁石をつけたひもを取りつけます。

輪ゴムに磁石を貼ったものを作り、ブロックの荷物に取り付けます。

 

★くんとわたしがクレーンを作っている間、

☆くんがその様子を真剣に眺めていました。

そこで、「☆くんもクレーンを作る?」とたずねると、

暗い表情をして首を横に振りました。

「だって、そんなの家にないもん」と、★くんが貨物列車用に使っている

かごの形のパーツを指さしました。

このパーツがないなら、クレーンの作り方を覚えて帰っても

家に帰って遊べないと思ったようです。

 

「それなら、貨物列車のパーツも作ってみる?それをお家に持って帰ったら、

クレーンといっしょに遊べるでしょう?お家に車の部分はあるの?」と言うと、

☆くんは、「車はある。貨物列車とクレーンを作るよ」と言いました。

 

貨物列車のパーツは、食品の空き容器に輪ゴムを貼って作りました。

1分もかからずにできました。

☆くんはとても満足した様子です。

真剣にクレーンの作り方を学んでいました。

 


小学生の算数学習の様子(過去記事)と「ひとつのことにじっくり関われる素地」

2017-10-07 09:54:50 | 算数

小学生の子たち(主に1~3年生の子らです)と算数を学んでいるときの様子を

いくつか紹介します。

 

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 <帯分数や分母の異なる分数が分かるようになる『分数ゲーム』

小学1年生の子らと分数ゲームを作りをしました。

 

紙皿を2つに切り分けたもの、3つに切り分けたもの、4つに切り分けたものを

数枚分ずつ作って、ケーキやピザの絵を描いたらできあがり。

サイコロにシールを貼って、2と3と4の数字を書きます。

(サイコロを加工するのがめんどうな時は、普通のサイコロのままで遊んで、

2と3と4以外が目が出た時に振りなおすのでもOKです)

 

<遊び方>

サイコロを振って、3が出たら3分の1のピース、

2が出たら2分の1のピースを取っていき、

1枚のケーキ(ピザ)を作った方が勝ちです。

 

勝った人は、1と2分の1のカードを手にして、

1と2分の1を目指してゲームを続けます。

 

写真では、勝った子が2を目標にしてゲームを続けているところです。

 

帯分数は習ったときに、できるようになっていても、

しばらくすると、どうやって仮分数に直すのか忘れてしまう子が多いです。

こうしたゲームをしていると、

直観的に2分の1+4分の2=1といった

計算がわかるようになってきます。

また分数の理解が進み、分数のたし算、ひき算、かけ算、割り算などが

できるようになっていきます。

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<表に整理すること と 規則を見つけだすこと>

小学2、3年生の科学クラブのレッスンで。

メンバーのひとりの☆ちゃんが、「お家でしたけれどわからなかった」という問題を

持ってきてくれました。

小学2年生用の問題集(『スーパーエリート問題集』)に載っているものだとはいえ、

東京学芸大附世田谷中の入試に出た過去問でなかなか難しい規則性の問題でした。

ちょうど科学クラブの子たちは、実験のデーターを表に整理することや、

表から規則的なルールを読みとることを大切にレッスンをしていますから、

実験後の学習タイムにみんなで取り組んでみることにしました。

まず、大きな紙に図を描きなおして、並んでいる奇数に番号を打ちました。

 

それぞれの番号にある数を書き込んでから、

どのように数が変化しているのか、その数を求めるためにはどんな式を作ればいいのか

アイデアを出し合いました。

 

科学クラブの子らはどの子もこうしたルールを見つけだすのがとても得意なので、

「できるからやらせて!」「ぼくがやりたい!」「わたしが!」と難なく

書き込んでいました。

が、わたしがいじわるにいきなり、「それなら、100番目はどう?」と

たずねると、1+2×(100-1)のところを、1+2×(101-1)と

間違えていました。数が大きくなるというだけで、何となくこんがらがりますね。

 

その後、1列目、2列目、3列目それぞれの一番最初の数につけた番号を調べて、

その番号の求め方の規則についても考えました。

 

↑ ■くんは、30列目の1番最初の数についている番号を

当てることができてうれしそうでした。

答えは、1+2+3+4+5………+29+1

で求まります。

 

プログラムロボットで遊んでいます。(左端の円柱形のおもちゃです)

一度壊れてから、子どもたちが線をつなぎなおしているので、元の形と異なります。

ロボットで紙コップを倒すコースを作っていたのですが、良い写真が残っていません。

 

■くんがブロックで作ったゲームで■くんと☆ちゃんが遊んでいたのですが、

「ルール違反をした」とか「こんな小さなスペースで試合の仕様がない」とか

「そんなルール聞いていない」とか「サッカーでの罰則は、このゲームでも

あたり前に守るべき」とかでひと揉め。

 

そこへ●くんが、「何揉めてるの?」と仲裁に入り、

どうすれば解決するかいっしょに考えてあげていました。

 

ルールをもう一度確認しあい、ゲームのサイズを大きく作りなおして

一件落着です。

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<2年生の子らと規則性>

小学2年生の女の子たちのレッスンで。

数ヶ月前から算数の力がしっかりついてきた女の子ふたり。

文章題なら最レベの3年生の複雑な問題もスムーズに解けるようです。

ひとりの子が、「でも、これはさーっぱりわからなかった」と言いながら持ってきて

くれたのが、中学入試用の規則性の問題が載っている問題集です。

三角形が積み重ねてあって、「三角形が81枚になるときは、何段目の時か?」

といった問題です。

こうした規則性の問題は確かに難しいけれど、一方ではいくつの子がチャレンジしても、

パズルやゲームに似た解く楽しさを満喫できる問題だとも言えるのです。

足し算さえできたら、後は紙に書きだしていく方法さえ工夫すれば

答えにたどりつけるのですから。

 

そういえば、息子が

「難問を解くということは、汎用性の高い基礎的な事柄をしっかり身につけること

でもあるよ」とつぶやいていたのを思いだしました。

 

こうも言っていました。

「難しい問題を解いても意味がない、易しい問題をたくさん解くべきだって言う人は

多いけどね。でも東大や京大の数学の問題のように難解だと思われている問題は、

実際には、数の世界の基本中の基本を扱っているというか、

数学のそれぞれの問題の本質的な意味を理解しているかどうかを問うているところが

あるよ。だから、センターの問題は小学生に解かせても意味がないけれど、

東大の問題なら小学生の解かせてみたたら楽しめるんじゃないかって問題

がけっこうあるよ。

体系的な知識の積み重ねや訓練で解くのではなく

直観的な洞察力を使って解くものが主だから。遊びの要素が濃いのかな。

といっても、しっかり解けるようになっておくには、勘だけじゃ無理で

時間はいるな。ある程度の時間、それに関わるのは避けられないけど。

もうちょっと時間が欲しいな」

超のんびり屋の息子も、受験日が近づくとさすがに時間の大切さを

実感している模様です。

 

 

話を2年生の子らのレッスンに戻しますね。

規則性の問題を理解するために

ブロックで規則的に大きくなっていく形を作りました。

最初は小さなサイズで作るつもりが、女の子ふたりとも、どんどん三角を大きく

することが楽しくてたまらなくなって巨大な三角形をこしらえていました。

 

表を作って気づいたことやわかったことを話しあうと

どんどん面白い意見が出ました。

ブロックのパーツのひとつひとつに上から番号をつけていくと、(左から右)

3段目なら、5,6,7,8、9の番号になります。

そのように番号をつけていく時、4段目の一番小さな数はいくつで、

一番大きな数はいくつか、10段目の一番小さな数はいくつで、

一番大きな数はいくつかといった問題も考えました。

ブロックでさんざん遊んでいた子らは、ブロックを指さしながら、

「一番小さい数って前の段の最後の数よりひとつ大きくなるだけだから

そんなの簡単だ」と言っていました。

 

↑ 自分なりに数のきまりについて書いて考えいました。

 

規則性の問題を子どもと楽しみたいという方は

写真のようなブロックの山を作りながら、

「この三角の山に隠れている秘密を探り出そう!」と提案して、

思いつく限りのルールを自由に言い合うといいかもしれません。

規則性の問題の解き方を教えるのではなくて、物をよく観察して、

「いくつずつ増えているか」とか「こういう表を作ってみたら面白そう」といった

自由なアイデアを出しあって紙に書いて検証しあうのです。

計算してみて、面白いルールを見つけたらそれも発表しあいます。

算数の世界がとても好きになりますよ。

 

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<どうして低学年の子に植木算や旅人算などを教えているの?>

 

虹色教室では、小学校低学年の子らにも

植木算や旅人算といった中学入試向けの算数の問題に触れる機会を

たくさん設けています。

 

でも「どうして?いくら何でもそんな先取り必要なの?」と感じている

方がいらっしゃるかもしれませんね。

 

実際に、とても有利にはなるでしょうが、

中学入試に有利だから、という理由でそんなことをしているわけではありません。

 

さまざまな理由がありますが、

一番の理由は、算数が実生活でどのように役立つのか、

今練習している計算訓練は、何のためにあるのか、

問題を通じて自然に理解することができるからなのです。

 

算数の本当の面白さや頭を使うことの楽しさにも気づけます。

 

植木を道路に植えていくということ、

自分が見慣れている都市の景観にどれほど算数が深くかかわっているのか、

そうしたことを知っていると、「算数が将来なんの役に立つんだ?」

何て疑問に縛られて、やる気を失うこともありませんよね。

野球の試合も見せずに、野球を知らない子に、素振りばかり練習させても、

上達させるのは難しいはずです。算数だって同じです。

 

植木を端から端まで3メートルおきに植えていく時、

2本植えたら、端から端までは何メートルで、

3本植えたら何メートルかという植木算の基本的な問題は、

指を折って、簡単な足し算ができるようになった子ならすぐできます。

そこで、絵を描いて考えてみることを学ぶと、たちまち応用がきくようになってきます。

 

子どもの頃、わたしは団地や学校の階段で、

じゃんけんしては「グーリーコ」「チヨコレイト」「パイナップル」と言いながら、

段を上り下がりする遊びをしていました。

そこで起こっていることは、旅人算について考える上で描く線分図の上で

起こっていることとよく似ています。

幼い幼児にしても、グリコばかり続くよりも、パイナップルばかり続いた方が

相手より先に進めることを体感で理解しているはずです。

そして、こうした生活に溶け込んでいる算数の概念に好奇心をくすぐられる感性を

持っているからこそ、これが子どもを惹きつける遊びになるんですよね。

 

虹色教室の幼児さんたちは、物を規則的に並べていくことが大好きだし、

ブロックでピラミッドのような形を作ることを喜びます。

そうした時に、算数の規則性の概念への気づきにつながるような

問いかけをしていると、算数がとても好きになっていきます。

 

計算のタイムを縮めるために計算プリントをこなすのでなく、

そこに勉強の動機があるのではなくて、植木を植えるために計算する……というのは、

意味を実感しやすい体験です。

そこで、ミスをして、自分の盲点となっていることに気づくことは、

その子が抱かされてきたイリュージョンを揺るがせて、素直に世界を眺めることが

できるようになるきっかけを作ってくれます。

 

なぜ算数を学ぶの?

 

という問いは、小さな本作りをしてみるだけでもすぐに理由を理解することができます。

たてとよこの長さを無視すれば、絵が貼れないとか、本の形にならないとか何らかの

不都合が生まれてくるのです。

 

基礎的な知識をためたり、計算を訓練したりすることは大事です。

 

でも、実際の暮らしのなかで、どう算数が使われているのか知り、

自分も算数を使って何かしてみて、それから訓練に戻る、

訓練からまた、どうして算数という行きつ戻りつする学びの時間を

作ってあげたいと感じています。

 

「ひとつのことにじっくり関われる素地」 

小学3年生の女の子たちと

空気の圧力で水を飛ばす道具を作って遊びました。

 

うまくいかないとき、「こうかな?」「こうじゃない?」とあれこれやってみて、

やっているうちに「そうだ、こういうことやってみよ!」と閃いて、ためしています。

一人の子のアイデアで、ストローの先に空気の吹き込み口にプラスチックのコップを取りつけてみたら、

うまくいきました。

 「遊び」に近い自発的な活動のなかで

何かに夢中になって関わると、学習する時の考える力の持久力が

変わってきます。

 

理科実験や工作の後で解いた「つるかめ算」などを面積図で解く問題。

 

集中して頭を使うような遊びをした後は、

見たことがない問題を解くときに、柔軟に多角的に考えて、

自力でやりきろうとする態度がアップします。

 

「もっと問題を出して!」とやる気が高まっていたので、

つるかめの足が200近いケースなど大きな数で問題を出しました。

 

すると、「結局大きい数になったって、筆算する時に(ケタが)増えるだけでしょ?」

と自分なりに基本を応用させて解いていました。

そういう姿を見ると、「あれもこれも」と将来役立ちそうな知識を詰め込んだり、

技能を訓練するよりも、

 

「ひとつのことにじっくり関わることを楽しめる」素地を養うことが

大事だな、と思いました。

 

それは「うまくいかないとき、わからないとき」に簡単に他人に頼ったり、放りだしたりしないで、

自分で試行錯誤をしていくことにつながります。

 

子どもの遊びの世界を豊かにすることは、

そのまま子どもたちの学力の向上につながっていくことを

今回も強く実感しました。


いつも遊びたがるものと思考の仕方のつながり

2017-10-04 13:16:18 | 通常レッスン

夏の疲れが残る中、運動会や文化発表会などの練習に忙しいこの時期、

集団活動に疲れて、ちょっと調子が悪いという子たちが出てきます。

 

年少のAくんも、最近、飽きっぽかったり、すぐに感情的に

なったりする様子が気になっていました。

ボードゲームにしても、工作にしても、以前は

他の誰よりも積極的に取り組んでいたのに、このところ、

どうもやる気に火がつかない様子で、らせん状のゴム製のキーチェーンの

ミニチュア版をつないだりはずしたりして遊んでいました。

 

それで、わたしもAくんのお母さんも、

けっこう長い期間、Aくんの「何だか調子が悪い」という面と

「ばねをほしがる」という面のふたつと付き合っていました。

 

そうするうちに、いつも遊びたがるばねという素材と

Aくんの思考のあり方は似ているな、と感じるようになりました。

Aくんはばねをどんどんつないでいったり、伸ばしていったりして、

延々と遊んでいました。

Aくんは最近、口数が少なくなっているのですが、おしゃべりする時は

たいてい、今ある状況がどのように展開していくのか、

先に起こることについて、不安からではない、好奇心からの発言が多いのです。

また、今ある状況を遡っていくと過去にあった何かについて話す場合もよくあります。


「恐竜の時代は~」とか、「ウルトラマンの時代は~」と

いった話をするのも好きです。問題を解決する時に、

時間の変化に伴う「夜になる」といった想像力の世界での解決を好

みます。

 

そんなことを話していたら、Aくんのお母さんが、

そういえば、この子に本を読んであげると、

何日も経ってから、その話題についてずっと考えていた様子で質問してきます、

と言っていました。

 

そうしたAくんの姿が見えてくると、Aくんがばねで遊んでいる時、

そのばねは、時間が現在過去未来とつながって伸びている中で、

未来に進んだり過去に戻ったりするイメージを助けてくれているのだろうと

思いました。

また、伸び縮みすることから得られる発見は、

Aくんからいろいろな思いを引き出しているのだろうとも。

Aくんのようにイメージの世界で持続した考えを保てる子は、

場面ごとにどんどん気持ちを切り替えて順応することを求められるのを

嫌がることがあります。

Aくんが集団の場でいきいきと過ごすことを願いつつ、

一方でAくんの心の中で育っている内面世界を大切に守ってあげたいと

思いました。

 

子どもの内面世界を守るということは、つまり、

その子独自の創造的な学び方を大事にしてあげることだと思います。

 

物理学者のデウ¨ィッド・ボームは、『創造性について』という著書で、

人生のあらゆる段階で創造的な学習がいかに有意義か、

また学ばれるべきことの特定の内容よりも、

学ぶという行為それ自体を最優先することがいかに重要かを

どれほど強調してもしすぎることはありません」と語っています。


「学ぶという行為は、それなしには、人は何らかの新しい状況において

何が事実で、何が事実ではないかを知ることができないという意味で、

真の知覚の本質だからです。

新しい、なじみのない何かを見ることができる真の知覚が働くには、

人が注意深く、機敏で、よく気づき、繊細であることが必要です。」

とも言っています。

 

 ボームによると、「アインシュタインより数学が得意で、

 もっと物理学を知っていたかなりの数の科学者がいたにちがいないのに、

 そのなかでアインシュタインが特別に際立った業績を残した理由は、

 アインシュタインが独創性を持っていたから」なのだそうです。

 

独創性の必要条件のひとつは、

自分の先入見や偏見を押し付けずに、物事をありのままに見て、

たとえ自分の着想や観念が覆されても、

 新しいことを学び取ることができなくてはならない、ということです。

それは、全人類に共通の原則で、子ども本来の学び方でもあります。

 

それについて、デウ¨ィッド・ボームは、『創造性について』の中で

このように説明しています。

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 子どもは単に何かを実際に試し、そして何が起こるかを見、

 それから実際に怒ったことに従って自分が行うことを修正することによって、

 歩くこと、話すこと、そして自分の周囲の世界を知ることを学びます。

 このようにして最初の数年間、人は驚嘆するような創造的な

 仕方で過ごし、新しいあらゆる種類のことを発見していきます。

 

 しかし、子どもが成長するにつれて、学習はより狭い意味を帯び、

 学校では教師の歓心を買い、試験に合格するために、

 復習して知識を積み重ねることによって学ぶようになります。

 職場では、同様にして、生計の糧を得るため、または他の何らかの

 このようにして、彼にそなわっていた何か新しい、独創的なものを見る

 能力は徐々に弱まっていきます。

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『生きものたちのつくる巣 109』

2017-10-01 21:10:28 | こんなこと、やってみたい!

娘が図書館で借りてきた『生きものたちのつくる巣 109』という

本がとても面白かったので、購入することにしました。

特に興味深かったのは、オーストラリアとニューギニアに住むニワシドリ

が作る「あずまや」と呼ばれる構造物です。

ひなを育てるための巣はメスが作り、

オスは「あずまや」という巣ではない不思議な形の構造物を作るのです。

トンネルのような「あずまや」を作って、卵のように見えるカタツムリの殻や

白い骨で飾り付けた「あずまや」を作る種類もあれば、

クリスマスツリーのような「あずまや」を作る種類もいます。

解説によると、ニワシドリの脳は他の鳥に比べて少し大きめなので、

メスが巣を作りひなを育てる状況でも、オスはオスで、

「巣づくりしたい」「ひなにエサをあげたい」「メスに求愛したい」

「メスに卵を産んでもらい、たくさん子孫を残したい」などの気持ちが、

本物の巣ではないけど、生命を育てることにつながるものをつくることになったの

かも……ということでした。

 

 小2のAちゃんが、ニワシドリのあずまやを作っていました

 Aちゃんはシルバニアファミリーが大好きな子です。

それで、梅田で展示しているシルバニアの新しいタウンシリーズの話をしたところ、

少し前にタウンシリーズを見たAちゃんが、

シルバニアの世界も進歩しすぎたから、昔の暮らしにもどらないといけない、

といったことを人形に語らせていたと、お母さんからうかがいました。

そうして、自分で小石などの自然素材を使ったシルバニアの世界を作っていました。

 

 『生きものたちのつくる巣 109』で最後に紹介されていたのは、

「人間」(!?)で、こんなことが書かれていました。

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昔々、人間は道具や火を使えるようになりました。それから、食べ物を食べるため

の道具や食器、寒くないように身に着ける福、安心してくらせる「家」つくり、

定期的に食べ物が手に入るように畑をつくり

家畜をかいました。物を運ぶために車などの移動手段をつくり

考えを伝えるために文字をつくり、心の平穏のために宗教や芸術活動をつくり

さらに電気などいろいろなエネルギー源をつくり……

この世の中では、じつにたくさんのものがつくられています。それらは元を

たどると生き物たちが新しい生命を生み育てるために

いろいろな「巣」をつくってきた延長線上にあるものなのかもしれません。

 

 引用  『生きものたちのつくる巣 109』   鈴木まもる 文・絵  株式会社エクスナレッジ

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 「こんなことをしたい」「こんなものを作りたい」「こんな風にしたい」

という子どもの心に生じる思いを大切にしてあげたいと思っています。

 

下の写真はガチャポンが作りたかった小1のBちゃんの

「自動販売機が作りたい」「ボタンを押すと出てくるようにしたい」

「ちゃんと取り出し口から出てくるようにしたい」

という思いから生まれた作品です。

 

下の写真は自販機の内部の写真です。

白いボタン部分を押すと、穴が重なりあって、オレンジジュースが滑り台をすべって

おりてきます。

 

 


「どうしても作りたい気持ち」と「自己流展開図」

2017-10-01 14:51:08 | 工作 ワークショップ

ペットボトルに紙を巻いて、紙の先に切り込みを入れて作る

シンプルなスペースシャトル。重心を取って帽子用のゴムを

取り付けると、空中をくるくる旋回します。(カウボーイの投げ縄を

扱うようにゴムを手にくるくるとスペースシャトルを回します)

 

年中のAくんは基本の作り方を習って作ってから、

見本にしている紙製の模型ののスペースシャトルを真似て、

機体の見本のスペースシャトルの柄を書き込むうちに、

模型と自分の作品の違いが気になりだしました。

 

機体の後部にある直方体のふくらみがどうしても必要だ、と

言い続け、しまいに、直方体の各面にあたる紙を切り貼りして、

自己流の展開図を作って組み立てていました。

苦労の末、できあがったスペースシャトルです。Aくんの思いがぎっしり詰まった出来栄えです。

算数の時間に、いただきものの数字の重りで遊べるてんびんを使って。

足し算をしました。

1+5=1+2+3

釣り合うとうれしいです。

10個のお菓子を兄と妹で分ける時、

兄の方がふたつ多くなるように分けると

いくつずつになるのか、といった課題を中心に

いくつかの問題にチャレンジしました。