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台湾の馬英九政権が昨年六月に中国と締結したサービス貿易協定とは「中台が2010年に結んだ経済協力枠組み協定(ECFA)の具体化協議の1つ。医療や金融、建設などの市場を相互に開放し、参入を容易にする狙いだ。6月の締結後、双方の承認を経て早期に発効する予定だった」(日経)が、実際には「以経促統」(台湾経済をコントロールして統一を促す)の謀略に余念なき中国の公然たる「トロイの木馬」だろう。
米ニューヨークタイムスに掲載された風刺漫画。サービス貿易協定は中国が台湾へ贈るトロイの木馬というわけだ
ところが馬英九政権はこうしたものを国民の預かり知らない密室作業で調印し、国会でも国民党が野党、世論の猛反対をよそに強行採決に踏み切ろうとしたため、協定撤回を求める学生などが三月十八日以来、国会の議場や周辺の道路を占拠した。そして三十日に総統府前で行われた座り込みデモでは全国から集まった五十万人もが参加した。
50万人以上が参加したと見られる3・30デモ
もちろん要求するのは協定破棄だけにとどまらない。馬英九政権及び中国から台湾の民主主義を守れと叫んでいるのだ。この「民主主義」は「国家主権」と言い換えることもできる。
ちなみに、こうした学生や民衆は暴徒ではない。それは五十万人デモがの群衆が、七時間にわたる平和的な座り込みの後、ゴミ屑一つ残さずに整然と退去したのを見ても明らかなのである。こうした行動は、台湾人の成熟した文化の表れと言えた。
これに対し、粗暴その物であるのが、政権側の中国文化である。世論も国家の利益、安全をも顧みず、協定成立を強行しようとするのもその表れだが、さらにもう一つ、いかにもそれを思わせる事件が発生している。
四月一日、国会を占拠する学生らを恫喝するため、ヤクザが率いる約千名のデモ隊が押し寄せたのだ。リーダーは有名な暴力団である竹聯幇の精神的を作った「白狼」こと張楽安(在台中国人)である。
国会を占拠、包囲する学生に罵声を浴びせるを罵る白狼こと張安楽(右1)
この人物は一九八四年の江南事件(蒋経国の息子、蒋孝武に雇われた竹聯幇の幹部が米国で蒋経国批判の本を書いた作家、江南を暗殺)に関わり米国で服役。その後帰国し、一九九六年に中国の国務院台湾弁公室の優遇を受けながら商売で同国へ渡り、その滞在中に本国から犯罪組織防止条例違反で指名手配されるも、中国当局の庇護を受けた。そして身を中国に置きながら台湾の政党、中華統一促進党を創設して総裁に就任。二〇一三年、中国の身分証を以って台湾へ帰国、逮捕されたがただちに保釈された。
そして現在も中国の国家安全局第四局(台湾工作を担当)の資金援助を受けながら活動中だから、完全な中国の走狗と言えるわけだが、その白狼が学生との対話を要求したのだ。
一人五百元で雇ったゴロツキなど数百人を引き連れ、「国会から学生を追い出せ!」「暴力には暴力だ!政府がやらないから我々がやる!」「サービス貿易協定は必要だ!」と叫びながら国会に接近。もちろん警官隊によって阻止されたが、それでも学生らともみ合い、一部が暴行を加えている。
メディアはヤクザ襲来の話題で持ちきり。ただし中国時報など国民党系メディアは学生とヤクザを対等に扱っていた
街宣車に立ってマイクを握った白狼。「お前らに中国人である資格はない!」「中国はお前らを必要としない!」と怒声を上げたが、学生たちは「私たちは台湾人。もともと中国人ではない」と笑い声。「ヤクザは帰れ!」コールを浴びせた。
ヤクザデモの参加者。一人当たり5百元(約1500円)で雇われたゴロツキと見られる
学生たちへ載せ金を図って阻止されるヤクザデモ
これに対し、これまで学生を包囲してきた警察は一転して学生を守る側に。そしてこの騒動を機に暴力団一掃キャンペーンに乗り出し、多くのヤクザも逮捕している。
学生たちのプラカードには「ヤクザは消えうせろ!」と
しかしその一方で、「白狼」とは事前協議を行い、一定の条件の下でこの日のヤクザデモを容認したとも報道されている。警察はそれを否定するが、しかし現地では明らかに拳銃らしき物を所持するヤクザが野放しになっていた。
そこで浮上するのが、馬英九政権がヤクザを使い、反政府の民衆を恫喝し、あるいは挑発を行って騒動を起こし、民衆逮捕の口実作りを狙ったという疑いである。
実はこうした手口は国民党の常套手段なのである。たとえば一九四七年の二二八事件では、ゴロツキを集めて忠義服務隊を編成し、それを反抗する民衆側に送りこみ、治安維持を装いながら各地で狼藉を働き、騒擾を拡大させ、軍による鎮圧の口実作りを行った。
そもそも国民党のヤクザ利用は党のDNAの為せる技だ。孫文は秘密結社(ヤクザ組織)を動員して革命戦争を繰り返した人物であるし、蒋介石ももともとはゴロツキだ。
あるいは白狼は中国の指令を受けて動いていた可能性も高い。彼は中国亡命中、訪台する中国要人の警護(台湾人の抗議デモ対策)のため、台湾のヤクザたちを動かしていた。
あるいは国民党と中国の両方から使嗾を受けているのか。サービス貿易協定の調印は「国共合作」の賜物である以上、反協定の群衆への対処でも国共は「合作」しているはずである。
今回の騒動で「白狼」の一団は三時間ほど騒いで引き上げたが、台湾民衆の理性に反理性で応える馬英九以下の中国人勢力の本質を充分に見せつけた。
反理性の政権である以上、今後いかなる不当な手段で反政府の学生、民衆、そして野党の政治家たちに対処するのかは不透明だ。何しろ馬英九は中国の圧力を受けており、さらなる反民主的な動きを見せる恐れがあるのである。
なお三月三十日から三十一日にかけ、中国の広東省茂名市では武装警察が、反政府デモの群衆に催眠弾を撃ち込むなどでに死傷者を出したが、これなどは中国側が馬英九に送ったメッセージではないかとも、台湾では受け取られている。つまり「とっとと民衆など鎮圧し、サービス貿易協定の発効を急げ」との。
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● 着々と進む、台湾侵攻の地ならし。
台湾の馬英九政権が昨年六月に中国と締結したサービス貿易協定とは「中台が2010年に結んだ経済協力枠組み協定(ECFA)の具体化協議の1つ。医療や金融、建設などの市場を相互に開放し、参入を容易にする狙いだ。6月の締結後、双方の承認を経て早期に発効する予定だった」(日経)が、実際には「以経促統」(台湾経済をコントロールして統一を促す)の謀略に余念なき中国の公然たる「トロイの木馬」だろう。
米ニューヨークタイムスに掲載された風刺漫画。サービス貿易協定は中国が台湾へ贈るトロイの木馬というわけだ
ところが馬英九政権はこうしたものを国民の預かり知らない密室作業で調印し、国会でも国民党が野党、世論の猛反対をよそに強行採決に踏み切ろうとしたため、協定撤回を求める学生などが三月十八日以来、国会の議場や周辺の道路を占拠した。そして三十日に総統府前で行われた座り込みデモでは全国から集まった五十万人もが参加した。
50万人以上が参加したと見られる3・30デモ
もちろん要求するのは協定破棄だけにとどまらない。馬英九政権及び中国から台湾の民主主義を守れと叫んでいるのだ。この「民主主義」は「国家主権」と言い換えることもできる。
ちなみに、こうした学生や民衆は暴徒ではない。それは五十万人デモがの群衆が、七時間にわたる平和的な座り込みの後、ゴミ屑一つ残さずに整然と退去したのを見ても明らかなのである。こうした行動は、台湾人の成熟した文化の表れと言えた。
これに対し、粗暴その物であるのが、政権側の中国文化である。世論も国家の利益、安全をも顧みず、協定成立を強行しようとするのもその表れだが、さらにもう一つ、いかにもそれを思わせる事件が発生している。
四月一日、国会を占拠する学生らを恫喝するため、ヤクザが率いる約千名のデモ隊が押し寄せたのだ。リーダーは有名な暴力団である竹聯幇の精神的を作った「白狼」こと張楽安(在台中国人)である。
国会を占拠、包囲する学生に罵声を浴びせるを罵る白狼こと張安楽(右1)
この人物は一九八四年の江南事件(蒋経国の息子、蒋孝武に雇われた竹聯幇の幹部が米国で蒋経国批判の本を書いた作家、江南を暗殺)に関わり米国で服役。その後帰国し、一九九六年に中国の国務院台湾弁公室の優遇を受けながら商売で同国へ渡り、その滞在中に本国から犯罪組織防止条例違反で指名手配されるも、中国当局の庇護を受けた。そして身を中国に置きながら台湾の政党、中華統一促進党を創設して総裁に就任。二〇一三年、中国の身分証を以って台湾へ帰国、逮捕されたがただちに保釈された。
そして現在も中国の国家安全局第四局(台湾工作を担当)の資金援助を受けながら活動中だから、完全な中国の走狗と言えるわけだが、その白狼が学生との対話を要求したのだ。
一人五百元で雇ったゴロツキなど数百人を引き連れ、「国会から学生を追い出せ!」「暴力には暴力だ!政府がやらないから我々がやる!」「サービス貿易協定は必要だ!」と叫びながら国会に接近。もちろん警官隊によって阻止されたが、それでも学生らともみ合い、一部が暴行を加えている。
メディアはヤクザ襲来の話題で持ちきり。ただし中国時報など国民党系メディアは学生とヤクザを対等に扱っていた
街宣車に立ってマイクを握った白狼。「お前らに中国人である資格はない!」「中国はお前らを必要としない!」と怒声を上げたが、学生たちは「私たちは台湾人。もともと中国人ではない」と笑い声。「ヤクザは帰れ!」コールを浴びせた。
ヤクザデモの参加者。一人当たり5百元(約1500円)で雇われたゴロツキと見られる
学生たちへ載せ金を図って阻止されるヤクザデモ
これに対し、これまで学生を包囲してきた警察は一転して学生を守る側に。そしてこの騒動を機に暴力団一掃キャンペーンに乗り出し、多くのヤクザも逮捕している。
学生たちのプラカードには「ヤクザは消えうせろ!」と
しかしその一方で、「白狼」とは事前協議を行い、一定の条件の下でこの日のヤクザデモを容認したとも報道されている。警察はそれを否定するが、しかし現地では明らかに拳銃らしき物を所持するヤクザが野放しになっていた。
そこで浮上するのが、馬英九政権がヤクザを使い、反政府の民衆を恫喝し、あるいは挑発を行って騒動を起こし、民衆逮捕の口実作りを狙ったという疑いである。
実はこうした手口は国民党の常套手段なのである。たとえば一九四七年の二二八事件では、ゴロツキを集めて忠義服務隊を編成し、それを反抗する民衆側に送りこみ、治安維持を装いながら各地で狼藉を働き、騒擾を拡大させ、軍による鎮圧の口実作りを行った。
そもそも国民党のヤクザ利用は党のDNAの為せる技だ。孫文は秘密結社(ヤクザ組織)を動員して革命戦争を繰り返した人物であるし、蒋介石ももともとはゴロツキだ。
あるいは白狼は中国の指令を受けて動いていた可能性も高い。彼は中国亡命中、訪台する中国要人の警護(台湾人の抗議デモ対策)のため、台湾のヤクザたちを動かしていた。
あるいは国民党と中国の両方から使嗾を受けているのか。サービス貿易協定の調印は「国共合作」の賜物である以上、反協定の群衆への対処でも国共は「合作」しているはずである。
今回の騒動で「白狼」の一団は三時間ほど騒いで引き上げたが、台湾民衆の理性に反理性で応える馬英九以下の中国人勢力の本質を充分に見せつけた。
反理性の政権である以上、今後いかなる不当な手段で反政府の学生、民衆、そして野党の政治家たちに対処するのかは不透明だ。何しろ馬英九は中国の圧力を受けており、さらなる反民主的な動きを見せる恐れがあるのである。
なお三月三十日から三十一日にかけ、中国の広東省茂名市では武装警察が、反政府デモの群衆に催眠弾を撃ち込むなどでに死傷者を出したが、これなどは中国側が馬英九に送ったメッセージではないかとも、台湾では受け取られている。つまり「とっとと民衆など鎮圧し、サービス貿易協定の発効を急げ」との。
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● 着々と進む、台湾侵攻の地ならし。