フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

12月13日(土) 曇り

2008-12-14 02:23:48 | Weblog
  9時、起床。朝食は刺身と豚汁とご飯。午前中に大学が提携しているクリニックに電話をして生活習慣病検診の予約をする。今月なら25日が空いていますと言われたが、その日は現代人間論系の教室会議が入る可能性があるので、来月の6日に予約を入れる。最近、体重が増えているので、検診までの3週間で少し減量をしておこうと思う。『社会学年誌』の「編集後記」を書いてメールで送ってから家を出る。昼食は「すず金」の鰻重。「減量するんじゃなかったのか?」と自問し、「明日からね」と自答する。
  2時から早稲田社会学会の理事会。『社会学年誌』50号の進捗状況と、51号の構想について報告する。8月に理事の改選があって、「早稲田社会学ブックレット」編集委員会からの報告をする理事がいなくなった(『社会学年誌』の編集委員会とブックレットの編集委員会は別組織である)。新しく庶務担当理事になった方がブックレットの編集委員会とのパイプ役になっていただかないといけないと進言する。
  家を出るとき研究室の鍵を忘れてきたので、しかし、わざわざ教員受付で鍵を借りて研究室に入る用事もないので、教員ロビーで自販機の缶ジュースで乾いた喉を潤し、生協の書店で以下の本を購入する。

  堀江敏幸『未見坂』(新潮社)
  井上俊・伊藤公雄編『社会学ベーシック4 都市的世界』(世界思想社)
  小中陽太郎『市民たちの青春 小田実と歩いた世界』(講談社)
  湯浅誠・河添誠編『「生きづらさ」の臨界』(旬報社)

  帰りの電車の中で『市民たちの青春 小田実と歩いた世界』を読み、蒲田に着いてから「シャノアール」に寄って最後まで読む。「ベ平連」の中心人物だった小田実(とその周辺の人間たちの)評伝で、多分にゴシップ的である。

  「小さな入り口の三和土に立つと、脇にトイレがあるアパートだった。そのまま見通せる四畳半か六畳の畳の間で、炊飯器が見えた。
  扉を開けると、大柄で痩せた女性が三和土のところまで立ってきた。
  そして、
  「小田はいま外出しております」と言った。ぼくは、小田が女性と暮らしているとは知らなかったので、驚いた。行く先を聞いたが、わからない。明日出直すと告げた。女性は黙って頭を下げた。その人は青い顔をしていたが、細い瓜実顔で黒い髪をひっつめにして、地味な紺色のタイとスカートをはいていた。黒く細い目が、額の下できらりと光った。
  その後ぼくが小田の周りに見ることになる典型的な小田好みの女だった。みなほっそりしていて瓜実顔で額が富士額だ。しかしそれでいて強い意志を瞳に秘めているもの静かな女性だった。」(12頁)

  帰宅してメールをチェックするためにPCの電源を入れようとして、ちょっといやな予感がしたので、メールのチェックは風呂と夕食をすませてからにした。案の定、少々厄介な用件のメールが届いていた。書庫に行って、一年前の資料をあれこれ調べ、返事のメールを書く。これで一件落着ならいいのだが。気分を切り替えて、広津和郎の小説「線路」(大正7年)を読む。へびが電車に轢かれて死ぬあたりの描写は、前年に発表された志賀直哉の「城崎にて」を連想させる。