先日の関西旅行の時に携えたのは、
『市民ヴィンス』という本でした。
これは、丁度ハロウィーンから大統領選挙の時期を
舞台にした物語です。ですから、物語の臨場感と
いうか、舞台立てというか読むには丁度良かったのです。
それも別に意識することなく読み出したら、丁度
重なっていたのです。
これは正に偶然の配剤というものです。
物語では、1980年のレーガンとカーターの選挙の時で、
今はオバマとマケインと丁度一騎打ちということになって
います。この選挙へ投票に行くというのがひとつの
モチーフになっています。
ジャンルとしては、ノアール小説とかピカレスク小説と
いったものです。クライム小説でありながら、人々が
望む潔癖な世の中に背を向けるというのではなく、もっとも
普通でまっとうな所への回帰がテーマであり、一種の成長
物語という本来ならクライム小説を手にする人の欲求に
沿わない物語かもしれません。
つまりは、はかない読者の裏切りがあり、クライム小説と
したらちょっと爽快感にかけるという人もいるかと思います。
もともと犯罪を語るにしては、マリファナ販売やカード偽造
という犯罪者としては小者的扱いで、それが証人保護プログラム
によって守られているという背景にどんな秘密があるのか
という設定になっています。
回帰の物語として、初めて市民として投票するという行動が
意味を持たされています。彼が持っている有権者登録カード
が度々登場します。現代の我々は、レーガンが当時勝ったことも
知っているわけですが、最後の方で主人公がどちらに投票した
かという興味を持たされてそれも一つのストーリーに絡められて
描かれているところにまた現在、白熱の選挙を繰り広げている
オバマとマケインの状況にオーバーラップしてなかなか面白い
読書体験となりました。
その前に読んでいたのは、『The Road』で、これは書店で見かけた映画『ノーカントリー』の
原作本をみかけそれをネットで注文する際に話題の本でNHKの週間ブック
レビューにも紹介されていたので一緒に注文したものでした。
ただ、この本の舞台になっていたのは、核戦争か何かで廃墟と化した
未来の世界で、どうしてそうなったとかどういう経緯で二人は生き
残ったかという説明はありません。
ただ、その荒涼とした望みのない世界でも人間として生き続けなければ
ならないという二人の姿勢をただ書いているだけです。こういう
舞台立てやテーマは別に目新しくもなく、なぜこうも評価され
るのか、私はこういう世界観が好きでもなく、番組でも評判で
ついでに買った程度だったのですが、結局最後まで好きになれずに
終わりました。
作者にしてみれば、書くべき本だったのでしょうが、読者に
してみれば、別にそういう世の中がまったく来ない保証はない
ものの、米や先進国はこんなひどい未来を描いてそれが我々の
将来と見て何か私たちとは違うものを感じているのでしょうか。
これはひとつの作者の我々への答えであり、自身の覚悟と
見られますが、私には今を考える上で特にためにも意味もない
感じがしました。
『市民ヴィンス』という本でした。
これは、丁度ハロウィーンから大統領選挙の時期を
舞台にした物語です。ですから、物語の臨場感と
いうか、舞台立てというか読むには丁度良かったのです。
それも別に意識することなく読み出したら、丁度
重なっていたのです。
これは正に偶然の配剤というものです。
物語では、1980年のレーガンとカーターの選挙の時で、
今はオバマとマケインと丁度一騎打ちということになって
います。この選挙へ投票に行くというのがひとつの
モチーフになっています。
ジャンルとしては、ノアール小説とかピカレスク小説と
いったものです。クライム小説でありながら、人々が
望む潔癖な世の中に背を向けるというのではなく、もっとも
普通でまっとうな所への回帰がテーマであり、一種の成長
物語という本来ならクライム小説を手にする人の欲求に
沿わない物語かもしれません。
つまりは、はかない読者の裏切りがあり、クライム小説と
したらちょっと爽快感にかけるという人もいるかと思います。
もともと犯罪を語るにしては、マリファナ販売やカード偽造
という犯罪者としては小者的扱いで、それが証人保護プログラム
によって守られているという背景にどんな秘密があるのか
という設定になっています。
回帰の物語として、初めて市民として投票するという行動が
意味を持たされています。彼が持っている有権者登録カード
が度々登場します。現代の我々は、レーガンが当時勝ったことも
知っているわけですが、最後の方で主人公がどちらに投票した
かという興味を持たされてそれも一つのストーリーに絡められて
描かれているところにまた現在、白熱の選挙を繰り広げている
オバマとマケインの状況にオーバーラップしてなかなか面白い
読書体験となりました。
その前に読んでいたのは、『The Road』で、これは書店で見かけた映画『ノーカントリー』の
原作本をみかけそれをネットで注文する際に話題の本でNHKの週間ブック
レビューにも紹介されていたので一緒に注文したものでした。
ただ、この本の舞台になっていたのは、核戦争か何かで廃墟と化した
未来の世界で、どうしてそうなったとかどういう経緯で二人は生き
残ったかという説明はありません。
ただ、その荒涼とした望みのない世界でも人間として生き続けなければ
ならないという二人の姿勢をただ書いているだけです。こういう
舞台立てやテーマは別に目新しくもなく、なぜこうも評価され
るのか、私はこういう世界観が好きでもなく、番組でも評判で
ついでに買った程度だったのですが、結局最後まで好きになれずに
終わりました。
作者にしてみれば、書くべき本だったのでしょうが、読者に
してみれば、別にそういう世の中がまったく来ない保証はない
ものの、米や先進国はこんなひどい未来を描いてそれが我々の
将来と見て何か私たちとは違うものを感じているのでしょうか。
これはひとつの作者の我々への答えであり、自身の覚悟と
見られますが、私には今を考える上で特にためにも意味もない
感じがしました。