金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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39:杉森久英 『天皇の料理番〈下〉』

2017-03-02 18:54:15 | 17 本の感想
杉森久英『天皇の料理番 (下)』(集英社文庫)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

好奇心旺盛な篤蔵は、寸暇を惜しみ熱心に修業を続け、
華族会館、そして上野の精養軒で働くことになる。
フランス語も習得し、ついに西洋料理の本場、パリへ。
各国の王室貴族などが集まる一流ホテルで下働きとしてスタートした彼は、
人種や言葉の壁、文化の違いを乗り越えて、
一人前の料理人として認められていく―。
大正と昭和の時代、宮内省主厨長まで登りつめた男の生き様を描く感動長編。

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フランスで明治天皇の体調不良の報に胸を痛め、
崩御に号泣する主人公がなんか可愛い。
まだ宮中で働く前なのにね。
帝の神格化が強化され始めたのって、
明治に入ってからだと思うんだけど、
ここまで浸透してたんだろうか。

実際に「天皇の料理番」だった時期は、ページ数でいうと
全体の4分の1ほど。
秋山篤蔵の伝記といった感が強い。
人格的には首をかしげるところの多い主人公だが、
勉強熱心なところと負けん気の強さは賞賛に値する。

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映画:『ラ・ラ・ランド』

2017-03-02 17:59:02 | 映画の感想
映画:『ラ・ラ・ランド』(デイミヤン・チャゼル監督)
★★★★★

【シネマトゥデイの内容紹介】

何度もオーディションに落ちてすっかりへこんでいた
女優志望の卵ミア(エマ・ストーン)は、
ピアノの音色に導かれるようにジャズバーに入る。
そこでピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と出会うが、
そのいきさつは最悪なものだった。
ある日、ミアはプールサイドで不機嫌そうに
1980年代のポップスを演奏をするセバスチャンと再会し……。

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今年1本目の映画。
たいした前知識もなく、「ミュージカル風ラブコメ」くらいのイメージで見に行った。
まさかこんなに泣かされるとは思わなかった……。
涙ぐむことはあっても、涙が止まらないレベルで泣いたのは久しぶり。

序盤は正直、ストーリーの展開としては結構退屈だったのだけども、
今まで「意義がわからない」と思っていたミュージカルの良さが
少し理解できた気がする。
鮮やかな色彩とダンスは楽しかった。
そして終盤、ヒロインが店を発見した時点で、
先の展開が読めるがゆえに、フライング泣きしてしまった。
現実はほろ苦いからこそ、「もしも」の世界がまぶしくて胸が苦しい。

しかしこれ、10代・20代のときに見ていたら、
ちっとも良さがわからなかっただろうな。
夢をあきらめた、あるいは、あきらめなかった大人、
不遇な時代に恋人がいた人には、突き刺さるであろう話だった。
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