金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
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520:関幸彦『敗者の日本史6 承久の乱と後鳥羽院』

2021-11-17 11:42:44 | 21 本の感想
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

鎌倉と京、公武権力構図の転換点とされる承久の乱。
治天の君=後鳥羽院が歌に込めた
「道ある世」への希求とは何だったのか。
諸史料を中心に、協調から武闘路線への道をたどり、
隠岐に配流された後鳥羽院のその後にも迫る。 

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定家から後鳥羽院に興味が広がってきたのだけども、
知れば知るほどおもしろいな~。
この本は、「敗者の日本史」の名の通り、
京方の公卿や武士に
スポットライトをあてているのが珍しい。
確固とした意志を持って院についた者ばかりでなく、
「たまたま京にいたときに戦いが始まっちゃって、
 やむをえず……」
という武士たちがいたのは知っていたけれども、
彼らの間にも血縁関係があり、
意外なつながりが見いだせることも。

後鳥羽院・順徳院とがっつり絡んでいた
高倉家や坊門家が没落していくのに対して、
疎外されていた土御門院とのつながりの方が強かったために
没落を免れる土御門家。
運としか言いようがないね……。

藤原(高倉)範季は、義経関係で知った人物だけど、
平家から妻をもらってしっかり平家と縁を結びつつ、
源氏の遺児である範頼を養育したり、
後白河院の平家妥当の計画に加わって解官されたり。
頼朝と親しい九条家の家司でありながら
義経に味方してまた解官。
養育していた後鳥羽帝のまわりを一族で固めて、
娘が寵愛を受けて最終的には天皇の外祖父に。
承久の乱の前に亡くなっているから
没落を見ないで済んでいて、すごい人生だなあ。


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519:富田常雄『武蔵坊弁慶(一) 玉虫の巻』

2021-11-17 11:15:13 | 21 本の感想
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

源氏再興に義経と行動を共にし、
衣川で果てたわれらが弁慶は、
身の丈2メートル、130キロの巨躯にみなぎる怪力に似ず、
美女・玉虫との恋に身を灼く純情な青年でもあった。
正義感に燃えてふるった蛮勇のせいで比叡山を追われた弁慶を
待つものは……。
剛力無双のヒーロー・弁慶の波乱万丈の生涯を描く痛快巨編。
男の強さ、優しさ、哀しさがみなぎる、
NHK大型時代劇原作にもなった全10巻。

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小学生のときにのめり込んで読んだ、思い出の作品。
長く、小汚い古本しか手に入らなかったのだけども、
電子書籍化してくれてうれしい限り。

1巻は、比叡山を追われた弁慶の恋と義経との出会い、
斬首の場から逃亡するまで。

巨体と怪力とともに可愛らしさと優しさを持つ弁慶。
おじさんの印象があったのだけども、この時点ではまだ
二十代後半なんだな。

やきもちを妬いて拗ねる玉虫の媚態も可愛いばかり。
牛若の家来になる前、弁慶が彼をつけ狙いつつも
やり取りを楽しみ、すでに彼に惹かれるつつある様子が
感じられるのもうまい。
しみじみと良い。
 
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